萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年4月6日)

令和3年4月6日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

科学技術分野の文部科学大臣表彰、コミュニティ・スクールの在り方、教師不足問題について、競泳の池江選手の東京オリンピック代表選出、ノーベル賞受賞者の赤﨑氏の御逝去について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年4月6日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年4月6日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年4月6日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは2件です。文科省では、毎年、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に対して、文部科学大臣表彰として顕彰しております。この度、本年度の受賞者を決定しましたので発表させていただきます。本年度は、科学技術賞93件202名、若手科学賞97名、創意工夫功労者賞477名、研究支援賞10件20名に授与する予定です。今回受賞される方々には、心からお祝いを申し上げたいと思います。表彰式は、科学技術週間中の4月14日に文部科学省講堂において行い、私から、代表者に表彰状を授与する予定です。この顕彰を通じてその功績を国民に広くお伝えすることが、科学技術に携わる方々の意欲の向上につながっていくものと考えております。文部科学省としても、引き続き、科学技術の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 もう1件ですが、今後のコミュニティ・スクールの在り方について検討を行うため、この度、「コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議」を設置をし、第1回会議を今月23日に開催することとしましたのでご報告いたします。コミュニティ・スクールについては、平成26年(注)に行われた地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正において、法施行後5年を目途としてその在り方について検討を加えるものとされているところです。コミュニティ・スクールは、学校や地域が抱える様々な課題解決のプラットフォームともなり得るものであり、その数が、昨年7月の時点で9,788校、公立の学校の27.2%になるなど着実に増加しているところですが、現在も未だ地域によって導入状況は差が見られることから、更なる設置の促進や活動内容の充実を図るため、有識者のご意見も聞きながら、コミュニティ・スクールの在り方について検討してまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 教員不足への対応についてお伺いします。4月から、少人数学級への、向けての動きがスタートし、更に教員が必要となるだけでなく、毎年、年度当初に担任の欠員が発生することも踏まえ、全国的な実態を把握するための調査をするご予定はありますか。また、教員不足解消に向けてどのように取り組まれますでしょうか。

大臣)
 「教師不足」に関して、年度当初において小学校の学級担任が不足をし、教頭等の他の教員で対応するなど厳しい状況が生じていることは承知をしております。こうした状況も踏まえ、教師不足に関する全国的な実態を把握するため、今年度、調査を実施することとしております。教師不足が生じる主な要因としては、そもそも計画的にですね、正規採用をきちんと増やしていくということが最も望ましかったのですけれど、様々な事情が各自治体にもあったと思います。財政的なことも含めて、きちんとですね、計画的に配置ができていない上に、講師の登録名簿の登載者数が減少していることがあり、その背景には、産休や育休の取得者数や特別支援学級等の増加による見込み以上の必要教師数の増加があったり、人口構造の変化に伴う生産年齢人口の減少や、近年の採用倍率の低下を背景に講師の正規職員としての採用が進んでいることなどにより、講師のなり手の減少などが考えられます。このような状況も踏まえ、文科省としては、「学校・子供応援サポーター人材バンク」や「学校雇用シェアリンク」の立上げなどにより、教師のなり手確保に向けた取組、また、教師の業務負担を軽減し働きやすい環境にするためのスクール・サポート・スタッフ等の外部人材の活用により、学校における働き方改革などを進めることとしております。また、教員免許更新制が臨時的任用教員等の人材確保に影響を与えているとの指摘も踏まえ、中教審においては、将来にわたり必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるように、教員免許更新制や研修を巡る制度に関して包括的な検証を進めていただいているところです。さらに、去る3月12日、「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修等の在り方」について中教審に諮問を行ったところであり、質の高い教師を確保できるよう、既存の在り方にとらわれることなく検討を行ってまいりたいと思います。義務教育は国の責任ですから、新年度が始まって担任の先生がいないなんていう事態を、今後、生むことがないように、せっかくこの4月から、35人学級が順次進んでいくことになります。まさに今年は、色んな意味で教育改革の元年と位置付けてですね、教員の採用の在り方についても、地方の皆さんとしっかり同じ思いを持ってですね、将来的にこういう問題が発生しないように、しっかり検討を加えていきたいなと思っています。

記者)
 すみません、もう1問。オリンピックで恐縮なんですけれども、一昨日の日本選手権で池江璃花子選手が東京オリンピックに内定し、大会への機運が一気に高まりました。この受止めと、いよいよあと3か月になる大会まで、更に機運を高めていくためにどう取り組まれますでしょうか。

大臣)
 すごいですよね。感動しました。白血病による長期療養から復帰した競泳の池江璃花子選手が、現在開催中の日本選手権において、100mバタフライで優勝し、400mメドレーリレーでの東京オリンピックの代表選出を確実にしました。闘病生活を経て、このような素晴らしい結果を収められることは社会に大きな希望と勇気を与えてくれる明るいニュースであり、その努力に心から敬意を表したいと思います。昨日、色んなニュース番組を見ていましたけれど、同じような状況を抱える皆さんが大変勇気をもらったというコメントをしておりまして、ちょうど1年前、イベントに池江さんに出ていただいて、竣工間もない国立競技場でメッセージを送ってもらったんですけれど、正直申し上げてあの時には、東京オリンピックには出られないのだろうなという思いの中で池江さんが選ばれたんだと私は思います。せめて本来であったら東京オリンピックで活躍ができたはずの池江さんが、今、病気と闘っているということでああいったメッセンジャーに選ばれたんですけど、そこから数か月で、本当にですね、世界レベルにまで、体も競技パフォーマンスも戻してですね、このような成果を示したっていうことは本当に素晴らしいと思っていまして、活躍を期待したいと思います。先月の25日から聖火リレーも始まりまして、大会開催への機運も高まってきたところですが、文科省としては、本番で日本選手団が活躍できるよう、大会に向けて強化活動を続けるアスリートに対して全力で支援するとともに、安全・安心な大会の実現に向け、引き続き、東京都や組織委員会と緊密に連携をしながら、しっかり準備を進めることで、さらに機運醸成につなげていきたいと考えています。

記者)
 先ほど冒頭発言にありました教員の実態把握調査についてお伺いします。こちらについて、どのような項目で調査をされますか。また、スケジュールや結果の検討、どのように今後の政策に活かしていくかを教えてください。

大臣)
 調査項目については、教師の不足数、教師の不足数のうち小学校の学級担任及び中学校の教科担任の不足数、教師の不足の要因、また、教師不足の解消に向けた取組についてお聞きをしたいと思っています。それから、調査はですね、来月に行なって、当然、結果についてはできるだけ早く公表してまいりたいなと思っております。あの、今、教員に対しての様々な会議が並行して行なわれていますので、そこで参考になるようにですね、結果を、ぜひ反映していきたいなと思っています。

記者)
 冒頭発言にありましたコミュニティ・スクールの役割について、どう考えるかということで伺いたいと思います。今回のGIGAスクールの整備につきましても、例えば、自治体でインターネットの環境が間に合わないときには、コミュニティ・スクールを上手に使った学校ですと地域の方に支えられてルーターを用意したりとか、そういうことは、実は校長先生とか学校管理職の裁量とかでですね、うまくやっているところでは非常にうまくいったケースがたくさんあると聞いています。ただ、一方で、うまくいかないケースもたくさんあって、同じ一つの自治体の中でも学校の間で差が出てきてしまったりと。そういうようなこともあって、コミュニティ・スクールを上手に使えるかどうかというのは、実は、学校現場にとってとても大事なことじゃないかと思うんですが、大臣はどのような役割を期待されているのか伺えればと思います。

大臣)
 コミュニティ・スクールの果たすべき役割っていうのは定款が決まっていてですね、それを一つ一つやってくれっていうんじゃなくて、今おっしゃったように、地域性に合わせて、言うならば、学校のサポーターとして応援団として地域の皆さんがしっかり支えていただく体制が大事だと思うので、仕事の中身とか役割っていうのは地域ごとに色々違うんだと思います。ただ、いずれにしても、お子さんが通っていない地域の皆さんも、あるいは卒業生の皆さんなどもですね、自分の母校や自分の地域の学校が今どういう状況にあるのか、どんなことで困っているのか、どんなことを手を差し伸べて差し上げたら子供たちの教育にプラスになるのかを、皆さんが日頃から意識してもらうことは極めて大事だと思っておりますので、今、例を出していただいたGIGAスクールなども、本当に学校の中だけではですね、なかなか情報不足で解決しないけれども、近所の町会の役員さんで、コミュニティ・スクールの役員さんなんかに聞いてみたらすごく簡単に解決することっていうのもたくさんあると思います。また、この1年で振り返りますと、修学旅行ができない子供たちのですね、変わる学校行事を、まさに、コミュニティ・スクールの皆さんや父兄が協力してですね、子供たちの思い出作りなどをしていただいた報告も数多くいただいておりますので、学校っていうのは、閉鎖的にならないように、地域の一員だというそういう思いを持って、これは、校長先生たちのマネジメントにもかかっているのだと思いますので、地域の皆さんとほどよい関係を作っていただいて、それぞれの地域に相応しい活動をですね、コミュニティ・スクールにはしっかり支えてほしいなと、そう思っています。答えは、多分1つじゃないんだと思います。

記者)
 科学技術関係で1つお伺いしたいのですが。先日、ノーベル賞受賞者の赤﨑先生が亡くなられました。それに関して、大臣の受止めをお聞かせいただければと思います。お願いします。

大臣)
 半導体工学の分野に大きく貢献された赤﨑先生が4月1日にお亡くなりになられたと聞き、心からお悔やみを申し上げたいと思います。赤﨑先生は、効率的な青色発光ダイオードの発明に関する研究業績が高く評価され、天野浩氏、中村修二氏とともに、2014年にノーベル物理学賞を受賞されました。当時、誰もが困難だと思っていた青色発光ダイオードの開発を、赤﨑先生は幾度の失敗にも諦めずに成し遂げられました。これにより、光の三原色が揃い、明るくエネルギー消費の少ない白色光源が可能となり、照明やディスプレイなど様々な製品に活用されています。まさに、現代の私たちの暮らしになくてはならない技術を生み出されました。改めて、先生のご功労に敬意を表すとともに、ご冥福をお祈りしたいと思います。

(注)「平成26年」と発言しましたが、正しくは「平成29年」です。

(了)

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大臣官房総務課広報室