萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年4月2日)

令和3年4月2日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律、GIGAスクール構想、新年度を迎えての抱負・意気込み、「こども庁」創設の提言について、児童生徒に対する空き教室等学校内でのわいせつ被害について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年4月2日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年4月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年4月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは冒頭2件です。今国会に予算関連法案として提出した「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」が、一昨日の参議院本会議において、全会一致で可決、成立しました。今回の法改正は、Society5.0時代の到来や子供たちの多様化の一層の進展、また、今般の新型コロナウイルス感染症の発生等も踏まえ、安全・安心な教育環境の下、ICT等を活用した個別最適な学びと協働的な学びを実現するため、国が定める小学校の学級編制の標準を35人に引き下げ、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな指導の整備を図るものです。本法律の成立を受けて発出した施行通知では、今回の法改正により、教職員の安定的・計画的な採用が行いやすくなることを踏まえ、正規職員の採用をより一層計画的に行うとともに、多様な人材の活用等を図ること、既に地方独自に35人以下学級を実施している場合には、その財源が順次国費で措置されることを踏まえ、一層の教職員配置の改善等に努めることなど留意事項をお示しさせていただいたところであり、各地方公共団体においては、このようなことを踏まえ取組をお進めいただきたいと考えております。国においては、今回の学級編制の標準の引下げを計画的に実施する中で、地方自治体と連携した協議の場を通じて定期的に取組状況等の確認を行うとともに、少人数学級の効果検証を進め、その結果を踏まえ、学校の望ましい指導体制の在り方について更なる検討を進めてまいりたいと思います。誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す「令和の日本型学校教育」の構築に向けて、GIGAスクール構想と少人数学級を車の両輪として、引き続き、全力で取り組んでまいりたいと思います。
 もう1点です。この4月から、「GIGAスクール元年」とも言うべき学校における1人1台端末環境下での新しい学びがスタートします。ここに至るまでの、学校・教育委員会や民間事業者等、様々な関係者のご尽力に対し、改めて感謝を申し上げたいと思います。この4月からは、我が国の150年に及ぶ学校教育の蓄積の上に、こうした1人1台端末環境を最大限活用して、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指して、学校現場において教育活動に取り組んでいただく必要があります。1人1台端末を活用した新しい学びは、多くの学校にとって初めての取組になります。文部科学省としては、日々子供たちと向き合う教師の皆さんをはじめ、教育委員会など学校設置者に対する支援を充実するため、昨年末、省内に「GIGA StuDX 推進チーム」を立ち上げました。この4月1日付で推進チームの体制を抜本的に強化をし、全国から優れた経験と知見を有し、現場の実情もよくご存知の8人の教師の方々を新たに迎え入れ、専属で指導面での支援活動に当たっていただくことにしました。この推進チームのメンバーがそれぞれ担当地域を持ち、当該地域の教育委員会等でICT教育を中核的に担う指導主事等とオンラインも活用しながら繋がるなど、人的なネットワークを構築します。そして、優良事例等の収集に加え、現場の先生方が感じている課題や実情などの情報交換も行いながら、情報の発信や解決方法の共有等を行います。このことにより、学校でのICTの活用イメージを具体的に共有しながら、国・教育委員会・学校が協働して「GIGAスクール構想の実現」に向けて取り組んでいけるようにしたいと思います。今後も、こうした推進チームの取組をはじめ、様々な支援策を講じながら、新しい時代にふさわしい「令和の日本型学校教育」の実現を目指してまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 1問質問します。新年度を迎えたわけですけれども、今年の文科行政の大臣の取組についてお聞かせください。

大臣)
 全般。はい。まず1つは、まさに令和の新しい日本の学校のスタイルがスタートしますので、今申し上げた「GIGAスクール構想の実現」に向けてしっかり頑張っていきたいなと思っております。去年からずっと計画的な整備を促してきたのですけれど、残念ながら、昨日3月31日の時点で、まだ端末整備が整っていない自治体がいくつかあるということも具体的に分かってまいりましたので、引き続き、自治体の整備状況を把握しながら必要な支援を行うことをしっかり頑張ってまいりたいなと思っております。今までは「環境整備」に力を入れてきましたけれど、今申し上げたように、これからは「利活用」にフェーズが変わっていくんだと思います。それから、科学技術の分野につきまして、新たな展開が数多く施策で打ち出すことができました。ぜひ、この国の将来を担う、様々なですね、イノベーションにつながるような科学技術を更に後押しできるように、財政的にも人的にもしっかり支えていきたいと思います。スポーツにつきましては、間近に迫ったオリンピック・パラリンピックを通じてですね、改めてスポーツの魅力というものを内外に発信できるように努力をしてまいりたいと思いますし、文化行政につきましては、昨日付で新しく都倉俊一さんが文化庁の長官に就任をしました。若い記者さんたちはもしかしたらあまりご存知ないかもしれませんが、我々は、若い頃、戸倉さんの曲で育った世代でございまして、今までの宮田長官はご自身の芸術家ということで、著名なもの作りを進めてまいりましたけれど、これからは、どちらかと言うと持っている文化で稼ぐ文化事業というものを展開をしていただきたいなと、そんな話を昨日したところでございます。いずれにしましても、課題はたくさんございますので、一つ一つ結果を出すことを心がけて文部科学行政をしっかり前に進めていきたいなと、そんなふうに思っているところです。

記者)
 すみません、1問って言ったんですけど、もう1問すみません。少し、GIGAスクールに関して、整備が整っていない自治体がいくつかあると、今、ご発言があったんですけれども、その理由についてお聞かせいただきたいのと、先ほど支援チームを強化するというお話だったんですが、今まで、大臣もOS会社とかに働きかけてきたと思うんですけれども、今一番必要とされている支援というのがどの辺りとお考えなのかをお聞かせください。

大臣)
 あの、40くらい残っているのかな。

事務方)
 43。

大臣)
 もしかしたら昨日の段階で頑張って滑り込んだ自治体もあるかもしれませんが、1か月ぐらい前に確認したところ約40弱の自治体がまだ未整備で、残念ながら、新学期までに整備が終わらないという報告を受けております。で、主な理由はですね、入札の公示をしたのですけれども不調になってしまったというのが、多くの理由であります。それから、端末の需給の逼迫。これは、全国で800万台の発注がありましたので、選んだ機種がなかなか数が整わなくて納品が間に合わなかったというのが現場の意見なのですけれど、メーカーと話していますとそうでもなくて、ちゃんとGIGAに合わせてですね、どういう受注に対してもしっかり対応できるようにやってきたので、何かその不具合がきっとあるんじゃないかなと思っています。あとは、ぼーっとしている自治体ですね。まさか、31日までにみんな揃うと思いませんでしたっていう自治体もありましたので、これは、4月1日から始まりますよっていうことを、私、首長の方にも直接連絡をさせていただきました。ちょっとびっくりしたのは、納品が終わっていると言いながら、学校現場じゃなくて自治体の倉庫に何万台もありますみたいなことをおっしゃっているところもあったので、昨日までの間に、もう一度、各自治会に改めてしっかり整備をしてくれということをお願いしたところでございます。あの、残念ながら、もう完全に、この4月の段階では間に合わないとギブアップをしてしまっている自治体もありまして、2学期からということをおっしゃっている自治体もあるんですけれど、それは、同じ義務教育を受ける子供たちにとっては可哀想な話なので、今申し上げたような、民間と協力することによって課題を詰めることができるとすればいくらでもお手伝いしようということで文科省としては今しっかり努力をしているところです。これからは先ほども申し上げましたように、これを整備じゃなくて使っていかなきゃなりませんので、使い勝手を良くするために、先ほど申し上げた8名の専門的な職員も配置をしました。それから民間の皆さんも、引き続き、伴走していただけることをあらかじめ約束をいただいておりますので、ICT支援員ですとか、こういった専門的知識を持った人たちを学校現場にしっかり引き続き送り込んでですね、あの、先生方も、初めてのことなので色んな負担があると思うので、できる限り負担を軽減しながら、そして、色んなことができるツールですけれども、全てをフルスペックで教育現場ですぐに開いていこうとすると、これはまた混乱が起きますので、しっかり正しく必要なことから、ステップバイステップで前に進んでもらいたいと思っていまして、そういう時間的なことや物質的なことをですね、全国の自治体と共有しながら間違いのないように前に進んでいきたいなと思っています。

記者)
 「こども庁」についてお伺いします。昨日、菅総理と自民党二階幹事長、官邸で会談して、総理の方から、「こども庁」創設に向けて党内で検討するよう指示があったということです。子供関連の政策は、所管が複数の省庁にまたがっておりますけれども、こうした与党の動きについて、大臣としてのお受止め、それから、こういう子供関連の行政の組織の望ましい在り方について、お考えをお聞かせいただければと思います。

大臣)
 自民党の有志の皆さんによる「こども庁」創設の提言に関して、菅総理から自民党に対して党内で具体的に検討するよう指示がなされたという報道は承知しています。文科省においては、子供に関連する様々な課題に対応するため、内閣府や厚生労働省等と課題に応じて連携を図りながら、取組を進めているところです。本提言については、党の方で検討を行うと聞いておりますので、まずは、そこでしっかりとした議論が行われることを期待をしたいなと思っています。いずれにしても大切なことは、未来を担う子供たちを社会全体で支えていくということであり、政府全体として、子供関連施策をしっかりと前に進めていくことが大事だと思っています。そういうことで、常々申し上げている、人への投資ということにつながるのだとすれば、それはどういう形でも望ましいんじゃないかなと思っていますので、しばらくは党の議論を注目してみたいなと思っています。

記者)
 わいせつ教員の問題で、空き教室が悪用される事例が全国で複数確認されています。こうした死角への対策について、大臣の見解を聞かせてください。

大臣)
 児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつな行為を行うということは断じてあってはならないと思います。児童生徒に対するわいせつ行為などが、残念ながら学校内でも行われている場合があることは承知しており、まず、学校内において、わいせつ行為などが起こりにくい環境づくりを進めることが重要であると考えています。文科省としては、これまでも各教育委員会の人事担当者を集めた研修会等において、密室状態を回避する取組や、1対1の指導を減らし、組織的な対応を進める取組などについて、各教育委員会の取組事例を共有するなどにより取組を求めてまいりました。引き続き、わいせつ行為を未然に防止するための取組等について、様々な機会を捉えて各教育委員会に取組を求めてまいりたいと思います。これは、空き教室があるからこういう事案が起こるのか、こういう先生がいるから空き教室が使われるのかという順番があると思うので、もちろん、空き教室がそういう犯罪の場に使われるのは望ましいと思いませんので、やっぱり、学校の場合は、外から中が見えるということが大事だと思いますし、一人の教員が独占的に、何か場所が使えるという環境は、やっぱり改善をしていく必要があると思っていまして、こういったことは、常々現場にも伝えているところでございまして、ぜひですね、こういった点を更に進めていきたいのと、たまたま、35人学級、始まりますので、圧倒的に空き教室がなくなっていくということもありますから、物理的な解決も含めて、前に進めていきたいと思っています。

記者)
 今年度、今日が初めての会見ということでお聞きしたいのですが、昨年度の振り返りをしていただきたいのとともに、科技関連での今年度力を入れたいというところ、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

大臣)
 昨年度ですね、印象に強く残った取組として、志ある優秀な若者が研究に専念できる環境をそれぞれのステージに応じて整備するために、修士課程から進学した博士課程の学生30,000人分の約半分に当たる15,000人への経済的支援を行うことを提案をし、博士課程学生支援の抜本強化に取り組むことを始めることができたと思っております。若手研究者を中心に研究に専念できる環境を確保しつつ、自由で挑戦的・融合的な研究を最長10年間支援する「創発的研究支援事業」の促進など若手研究者支援の更なる強化ができたのではないかと思っています。これは、若手とか一言に言わないで、すごくきめ細かく制度設計をしたつもりでございまして、例えば、特に女性研究者の場合は、結婚・出産などで研究キャリアが一定空白になるのですけれど年齢は進んじゃうわけですね。それを引き算をして、その部分を引いて、研究者としてはまだ若手だというようなことも作らせていただいたつもりでございまして、女性の科学分野への進出の機会も強化できたんじゃないかと思っています。それから、研究大学の抜本的な機能強化と、博士課程への学生支援のための長期安定的な投資を行う大学ファンドの創設に一歩踏み込むことができたことは、極めて大きいのではないかと思っています。科学技術・イノベーションを推進するため、昨日からスタートした第6期科学技術・イノベーション基本計画において、研究開発投資額として政府全体で30兆円、官民合わせて120兆円という野心的な目標を設定をしたところです。個別の研究分野については、コロナ禍におけるスパコン「富岳」の前倒し利用による治療薬候補の探索や、飛沫経路の予測などの緊急研究開発の実施、アルテミス計画における日米の具体的な貢献内容を確認する共同宣言に署名したことや、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の地下サンプルを含むカプセルをですね、期待以上の量を持って地球に帰還させたことなども印象深く感じているところでございます。今年度はですね、研究開発投資を効果的に活用し、未来を切り拓く科学技術・イノベーションを推進する観点から、今国会において国立大学法人のガバナンス改革のための法案を成立させていただくよう努力するとともに、我が国の研究力の抜本的な強化に向けた、博士課程学生を含む若手研究者への支援や、科学技術・イノベーションの源泉である基礎研究・学術研究の推進、世界と伍する研究大学の実現のための10兆円規模の大学ファンドの早期実現、また、AI、バイオテクノロジー、量子技術、マテリアル等の戦略分野の研究開発の推進、それから、H3ロケット試験機初号機の打上げなどのフロンティアの開拓に資する研究開発の推進などについて、しっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、もっと身近な、今言われている小学校の高学年などでの理科の専科の先生の必要性というのも声高に主張していきたいなと、こう思っているところです。

(了)

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