萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年3月16日)

令和3年3月16日(火曜日)
教育、文化

キーワード

GIGAスクール構想における1人1台端末の適切な活用、デジタル教科書の今後の在り方、高輪築堤の遺構

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年3月16日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年3月16日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年3月16日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。今日、私からはございません。

記者)
 新年度からの児童生徒1人1台端末についてお伺いします。文科省は、先週12日に、積極的な利活用を求める通知や本格運用時のチェックリストを示しました。学習支援や学校と家庭との間の連絡の面で有効と考える事例があれば具体的に教えてください。一方で、学習と関係のない動画を自宅で長時間見たり、勝手にアプリをダウンロードして使ったり、SNSを通じてトラブルに巻き込まれたりする懸念もあるかと思います。保護者や学校のチェックには限界もあると思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 文科省としては、昨年末に立ち上げた「GIGA StuDX 推進チーム」の特設ホームページ上で、学校でのICTの日常的な活用イメージを具体的に持てるような優れた活用事例等を全国の学校現場に向けて情報発信をしています。例えば、子供たちが1人1台端末を通じて自分の意見などを入力し、それをクラウド上のホワイトボードでクラス全員で共有し、コメントをし合い、議論を深めている事例ですとか、あるいは、学級便りなど学校から保護者への配布資料を、子供を介して紙で渡すのではなく、直接保護者のスマートフォン等に送信できることにより、保護者がいつでも手軽に見られるようにした事例など、ICTを有効に活用した事例を紹介しています。一方、1人1台端末を安心・安全に利活用できるようにするため、本年1月、私からOS事業者に対して、フィルタリング等、有害情報から児童生徒を保護する方法、悪質なソフトウェアなどから端末を保護する方法、また、端末の紛失や盗難等に備える方法などの考え方や情報の整理について協力を依頼したところ、各事業者のご尽力によって公表していただいているところであり、各自治体においても、今回のチェックリストとともに、事業者の情報も積極的に活用しながら取組を進めていただきたいと思います。あの、ご指摘のように、初めての取組になりますから、想定を超えるトラブルなども絶対ないとは言えないと思うので、これはもう本当に、アンテナを高く上げてですね、良いことは横展開していきたいと思いますし、トラブルがあれば、またそれは直ちに、対処方法をですね、自治体の皆さんと共有できるようにしっかりしていきたいなと思っております。必要に応じてチェックリストの更新をしっかりして、今後とも、継続的にきめ細かな支援を行ってまいりたいと思います。

記者)
 デジタル教科書についてお伺いします。先日、デジタル教科書の検討会議が中間まとめの案を策定して、間もなく正式なまとめとして出されると思いますが、この中で前々から言われている本格導入の時期として令和6年度というものが掲げられていますが、この本格導入という意味がまだ曖昧で、発行会社さんも含めて、色々早く決めてほしいという声も上がったりとか、色々賛否両論、色々議論もかなり出てるところだと思います。やはり、どういった、本格導入という意味をどういうふうに理解したらいいのか、大臣のお考えを、できれば具体的にお伺いしたいんですけども、よろしくお願いします。

大臣)
 先日22日に開催された「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」において、中間まとめ案が概ね了承され、座長一任となっております。中間まとめ案においては、学校における1人1台端末環境の整備が進む中、児童生徒の学習環境をより良いものに改善し、学校教育の質を高めていくためには、各学校におけるデジタル教科書の活用を一層推進する必要があり、次の小学校用教科書の改訂時期である令和6年度を、デジタル教科書を本格的に導入する最初の契機として捉え、着実に取組を進めるべきであるとされております。一方、紙の教科書が長年にわたり学校教育の基盤を支え、使用されてきたことや、一覧性に優れている等の利点があることも指摘されており、紙の教科書とデジタル教科書の関係については、全国的な実証研究や関連分野における研究の成果などを踏まえつつ、更には財政負担も考慮しながら、今後詳細に検討する必要があるとされております。文科省としては、こうした中間まとめ案の方向性を踏まえ、来年度予算事業を通じてデジタル教科書の普及促進や実証研究を行うこととしております。また、デジタル教科書の本格的な導入の在り方については、今後の実証研究の成果も踏まえつつ、引き続き、有識者会議において議論を深めていただきたいと考えております。あの、曖昧だというご指摘があったのですけれど、曖昧という表現がいいかどうか分からないのですけれど、当面は、良い面、難しい面、悪い面、両面をしっかり見ながらですね、紙との併用も視野に入れながら実証研究を続けていきたいというのが正直なところでございまして。6年までに完全移行するのだということを、前提じゃないということだけはご理解いただきたいなと思います。デジタル教科書に関する普及促進や検討に関しては、一歩一歩着実にスモールステップで進めることが重要だと思っていまして、慎重な対応をしていきたいなと思っています。

記者)
 高輪築堤に関しまして、前回の会見でも、11日に大臣が総理に面会された際にどのような報告されたかご説明をいただいたんですが、1点、ちょっと改めて確認したい点があります。11日のぶら下がりで、大臣は、開発しながら遺構を残す案が大体まとまった、で、最終的に総理に報告を上げて政府としてどうするか意思決定しようと思っていますというふうにおっしゃっていただいたと聞いております。このときおっしゃられた案というのは、関係者の協議を見守る一方で、文科省としても、例えばこのような方法を取れば両立ができるというある程度具体的な方策を示したものをまとめたということなのでしょうか。それとも、開発と両立させるという方針を示したというほどのものなのか。この案について、改めてちょっと確認、お伺いできればと思います。

大臣)
 高輪ゲートウェイ駅前の再開発において、明治の鉄道創業期の重要な遺構が発見されたことを受け、2月26日(注)に現地を視察をしたことについて総理にご報告するため、先週11日にお伺いしました。私から、高輪築堤は明治時代の錦絵に出てくる橋梁が良好な状態で残っており、明治日本の近代化を体感できるかけがえのない素晴らしい文化遺産であることをご説明をいたしました。その際、開発をしながら遺構を残す観点から、保存と開発の両立が図られるよう、JR東日本の有識者会議において丁寧に議論を積み上げていただきたいと考えており、そうした考え方を総理にお伝えをしました。現在、JR東日本の有識者会議の検討やJR東日本と港区の協議が行われており、今後の方策について、関係者でよく知恵を出し合っていただきたいと考えていますが、文化庁からも専門的助言を行うことで、関係者による議論が建設的に行われるように支援をしていきたいと思います。あの、ぶら下がりといいますか歩きながらの話だったので、若い記者さんたちがその部分だけ取ったのかもしれないのですけれど、要は、問われれば、文化庁としては、現地で保存して初めて価値があるっていうことの確認を改めてさせていただいて、それは、私も総理も共有したということなので。ただ、他人様の土地ですから、勝手に財産をですね、残せとか移せとか壊せとかっていうわけにはいかないのですけれど、文化庁として専門的な助言を問われればですね、これはもう現地で保存するに値する価値がありますね、と。ただ、どういうボリュームで残すとか、そういうことまでは我々は口を挟むわけにはいきませんけれども、大前提としては、これ、現地でぜひ残してもらいたいぐらい立派なものですねってことの確認を、私も総理もしたということでございまして。政府としては、問われればですね、現地で残していくことが望ましいということを申し上げたいということを決めたということでございます。

(注)「26日」と発言しましたが、正しくは「16日」です。

(了)

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