萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年3月12日)

令和3年3月12日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

「戦略的創造研究推進事業」等の令和3年度戦略目標、高輪築堤の遺構、東日本大震災から10年を経た学校施設の耐震化について、「公用文作成の要領」の見直し、全日本私立幼稚園連合会における使途不明金について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年3月12日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年3月12日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年3月12日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは1件です。科学技術振興機構、JSTですけれども、及び日本医療研究開発機構(AMED)では、文部科学省が定める戦略目標の下、組織・分野の枠を超えた研究体制を構築し、戦略的に基礎研究を推進する「戦略的創造研究推進事業」等を実施しています。この度、文部科学省において、論文動向等の分析のほか、有識者へのヒアリングなどを通じて、科学的価値や経済・社会的インパクト等、多角的な観点から議論し、戦略目標を策定しました。令和3年度は、政策的な要請等との関連も踏まえ、まず、グリーン社会の実現、2つ目としてデジタル社会の形成、3つ目としてコロナ後の新たな社会の創造の3本柱に対応した8つの戦略目標を設定しました。4月以降、これらの戦略目標に基づき、JST及びAMEDにおいて公募が実施されることになります。幅広い分野の研究者の結集と融合により、イノベーションの源泉となる研究成果が創出されるよう、全国の研究者からの意欲的な提案を期待しております。詳細については、担当課にお問い合わせいただければと思います。私からは以上です。

記者)
 1点お尋ねします。昨日、高輪築堤の件で、総理と今後の方針などについて協議されたと聞いておりますが、具体的にどのような内容だったんでしょうか。高輪ゲートウェイ駅周辺の開発が進む中での保存の方法や規模などについて、現時点の方針があれば教えてください。

大臣)
 高輪ゲートウェイ駅前の再開発において、明治の鉄道創業期の貴重な遺構が発見されたことを受け、2月16日に現地を視察したことについて、皆さんにも記者会見でご報告しましたけれども、総理に改めて報告をするため、昨日、官邸を訪ねました。私から、高輪築堤は、明治時代の錦絵に出てくる橋梁が良好な状態で残っており、明治日本の近代化を体感できるかけがえのない素晴らしい文化遺産であることをご説明しました。あわせて、私から2点、報告を申し上げました。1点目は、現在、遺構の保存方策について、JR東日本の有識者会議の検討やJR東日本と港区との協議が行われていること、2点目は、有識者の意見も踏まえながら丁寧に議論をいただき、ぜひ、開発と保存を両立させながら、貴重な文化遺産を現地で保存・公開できるようご検討いただきたい旨、私から関係者にお願いしているということです。本件につきましては、今後の方策について、関係者でよく知恵を出し合っていただきたいと考えており、必要に応じて、文化庁からも専門的見地からの助言も行いたいというふうに思っているところでございます。

記者)
 震災の関係でお伺いします。昨日で東日本大震災発生から10年が経ちました。震災では学校施設にも大きな被害が出ましたけれども、10年間で公立学校の耐震化は大分進んだと思うんですが、非構造部材と言われるようなところに関しては、まだ、対策が、課題として残っていると思います。大臣として、この件に関する現状のご認識と、あわせて、子供たちの安全・安心を確保する観点で、今後、この件でどのように取り組んでいかれるのかお聞かせいただければと思います。

大臣)
 昨日、東日本大震災から10年の節目を迎えました。改めて、震災により亡くなられた方々に哀悼の意を表したいと思います。文科省においては、大規模な地震の被害から子供たちを守るため、これまで学校施設の耐震化に最優先で取り組んできた結果、令和2年の4月1日時点で公立の小中学校におけるいわゆる構造体の耐震化率は99.4%となっております。一方で、例えば天井や外壁の落下防止など、非構造部材の耐震対策実施率は48.2%にとどまっているほか、建築後25年以上経過した建物が全保有面積の約8割を占め、そのうちの約4分の3が改修を要するなど、老朽化が深刻になっており、引き続き、子供の安全・安心に直結する施設整備を急ぐ必要があると思っております。このため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の1年目として、学校施設の長寿命化対策を含め、令和2年度第3次補正予算で1,305億円を確保するとともに、令和3年度の予算案にも688億円を計上し、学校設置者との取組を一層支援していくこととしております。今後とも、国土強靱化関係予算なども活用しつつ、十分な予算額を確保して、安全・安心な教育環境の実現に取り組んでまいりたいと思っています。

記者)
 文化審議会の国語分科会の関係でちょっとお尋ねなんですけれども。「公用文作成の要領」というものが官公庁の皆さんの中にあるかと思うんですが、昭和20年代にできたものというものをどう改めるか、議論っていうのがまとまりつつ、まとまってきたと思います。昨今、SNSの発達とかですね、色々インターネットの発達なんかで官公庁の方からの発信の仕方っていうのが変わってきていると思いますけれども、改めて、そういうものをどう分かりやすく国民の皆さんに伝えるかというところで、大臣のお考えがあればというところと、あと、細かい話なのですけれども、カンマを横書きでどう使うかっていうところっていうのがあったと思います。文化庁と文科省のホームページなんかで若干ずれがあったと思うんですが、その辺り、お考えあればお願いします。

大臣)
 本日、文化審議会国語分科会において、「公用文作成の要領」の見直しに向けた審議の報告がとりまとめられる予定と承知をしています。今回の見直しにおいても、昭和26年当時の国語審議会の建議に基づく「公用文作成の要領」にもあるような、「感じのよく意味のとおりやすいものとする」という基本となる考え方は変わらないと考えております。一方で、同要領から約70年が経過して、今、あの、質問者もおっしゃいましたけど、SNSの使用など国の府省庁から国民に直接情報をお伝えする機会が増加するなど、社会状況の変化への対応が必要となっております。審議の中で示された、例えば「インキュベーション」といった読み手になじみのない外来語を、場面によっては「起業支援」と言い換えるなどの提案は私も共感するところです。先日、衆議院の委員会の中でもですね、あまりにも大臣所信に横文字が多すぎると、あえて横文字を使わなくてもいいんじゃないかというご指摘をいただきましたので。要は、分かりやすく伝えるということが大事なのだと思います。対象は全ての国民ということになりますと、実は、若い人にはその方が分かりやすいワードもあったり、しかし、お年寄りの方にはなじみがないというワードもあったりするので、ここは一概に何をもって分かりやすく伝えられるかっていうのがすごく難しいと思うので、そこは考えなきゃいけないのですけれど、いずれにしても、公用文でございますから、大多数の人たちが理解をしていただくっていうことが大事だと思いますので、本報告を踏まえて、特に国民に直接情報をお伝えする際には、社会状況や日本語の変化に対応し、わかりやすい表現を積極的に使うなど、公用文をより伝わりやすいものとしていくことに心がけていきたいと思っています。

記者)
 高輪築堤についてお伺いします。総理に、2点ご報告したということですが、総理の受止め、何か回答などありましたでしょうか。また、こちらは国家戦略特区ということで、開発もやはり大事というところで、なかなか調整が難しいところかと思うんですが、その辺り、総理は何かお話ありましたでしょうか。

大臣)
 今、JR東日本の有識者会議の検討ですとか、港区も入って協議をしていますので、総理がこう言っていましたよとか言うとですね、方向性に影響を与えるといけないので、それも直接の表現は控えたいと思うのですけれど、確かに、150年前の遺構がきれいに残っていることはですね、総理も写真を見て大変びっくりしていました。たまたま以前もお話ししたように、総理は明治150年の記念イベントの責任者として様々なとりまとめをした経緯がありましたので、当時の一緒に取り組まれた専門家の先生方が異口同音にですね、もしあの頃これが発見されていたら150年の象徴的なイベントの事業になったんですねっていうことをおっしゃっていましたよということを言いましたら、それについては、確かに3年前にこれが見つかったらちょっと状況は違ったかもしれないねって、そんなことはおっしゃっていましたけれど、いずれにしても、JRも長い年月をかけて開発の準備をしてきたということもありましょう。そんなことを考えると、町づくりも止めてはいけないし、他方、やっぱり歴史に謙虚であるべきだということで、この両面を両立できるように、文化庁としても知恵を出して欲しいと、こういったことをおっしゃっていました。

記者)
 全日本私立幼稚園連合会の問題についてお尋ねします。先日から、野党の方からは、文部科学省が積極的に調査に関与するべきだという指摘が相次いでまして、大臣も答弁を委員会でされてましたけども、文科省として、今後、どういうふうに対応していくか、改めてお考えをお聞かせください。

大臣)
 全日本私立幼稚園連合会及び全日本私立幼稚園PTA連合会において、今回、使途不明金に関して様々な問題が生じていることは承知をしております。香川前会長と当時の事務局長を、昨日、団体が刑事告訴したということをお聞きしていますので、今後は司法の判断で、司法の調査の下で色んなことが解明されるんじゃないかと思っています。国会でも度々答弁していますけれど、両団体は任意の団体であって文科省の所管団体じゃないのでね。それをもって、文科省がもっと積極的に介入して、真相解明を求めろとおっしゃる方いらっしゃるんですけれど、どうしたら任意の団体に、いきなり文部科学省が入っていってですよ、書類を見せろとか経過を説明しろっていくことができるのか、逆に、私はちょっと不思議なのですね。だから、そうは言うものの、所管をする幼稚園の人たちの団体の連合会なので、少なくともその幼稚園の先生方や、もちろん、園児の保護者の皆さんが不安を抱くようなことがあることは、幼児教育に与える影響もありますから、そういう意味で、外側ではできることはしっかりやっていきたいと思いますけれど、この事件そのものに、私が中に入っていって解明しろっていうのはちょっと無理があるんじゃないかなと思っています。いずれにしても、あってはならない不祥事だということはもう言うまでもないと思いますので、司法の判断、また、内部でもきちんと調査をするということで、専門家も入れて様々な準備をしていると思いますので、その成り行きをしっかり見守っていきたいなと思っています。

(了)

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