萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年2月24日)

令和3年2月24日(水曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)、南極地域観測隊(第61次越冬隊及び第62次夏隊)及び南極観測船「しらせ」の帰国、大学の共同開発による超小型衛星「ひろがり」の打上げ成功、学校における新型コロナウイルス感染状況について、防災教育、主権者教育

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年2月24日(水曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年2月24日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年2月24日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは2点です。大学や高等専門学校における数理・データサイエンス・AI教育の取組を奨励するため、初級レベルにあたるリテラシーレベルの教育プログラムを認定する制度を開始し、本日からその募集を行うこととしましたのでお知らせをいたします。この認定制度は、内閣府、経済産業省と連携し、大学等の正規の教育課程のうち、優れた教育プログラムを文部科学大臣が認定して奨励することにより、数理・データサイエンス・AI教育に関する基礎的な能力の向上を図る機会の拡大を目指すものです。AI戦略2019では、2025年度までに、全ての大学・高等専門学校生が初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得することを目標として掲げており、そのために教育環境を構築することが必要です。各大学・高等専門学校の積極的な申請を期待しております。詳細については、後ほど担当課からまた説明をさせていただきたいと思います。
 続いて2件目です。南極地域観測隊の第61次越冬隊と第62次夏隊が、南極観測船「しらせ」で、2月22日に横須賀港に到着し、無事帰国を果たしました。今次隊は、新型コロナウイルスの感染防止の徹底を第一に考え、観測史上初の無寄港・無補給での派遣を実施しました。帰国まで感染者を出すことなく、当初の計画通り、越冬隊の交代及び物資の輸送を実施することができました。関係者の努力に感謝をしたいと思います。現在、昭和基地では、第62次越冬隊が順調に観測や研究などを引き続き活動をしております。来月以降に、帰国した隊長や艦長に来省いただける予定ですので、直接報告が聞けるのを楽しみにしています。また、観測隊が、3月15日にオンラインで記者会見をし、3月21日にYouTubeで成果報告会を実施すると聞いておりますので、ぜひとも多くの方にご覧いただければと思います。詳細については、担当課にお問い合わせください。私からは以上です。

記者)
 1問質問があります。先日、室蘭工業大学と大阪府立大学が共同開発した超小型衛星の打ち上げが成功し、国際宇宙ステーションに到着しました。こちらの受止めと大学による小型衛星の開発、相次いでおりますが、こちらの動きについてもお考えをお聞かせください。お願いします。

大臣)
 室蘭工業大学と大阪府立大学の学生が共同開発した超小型衛星「ひろがり」を載せた民間ロケットが、21日、アメリカでの打ち上げに成功したことについて大変喜ばしく思っております。「ひろがり」は、文部科学省が実施している超小型衛星開発を通じた人材育成プログラムを活用し開発されたものであり、太陽電池パネルやアンテナなどの大面積化の必要性に応えるため、コンパクトに収納した構造物を宇宙空間で展開・実証することを主な目的としていると承知しております。「ひろがり」は、今後、国際宇宙ステーションから宇宙空間に放出され、軌道上での実証実験を行うことが予定されていると承知しており、その取組が無事進むことを期待しております。文科省としては、大学生等を対象とした実践的な取組を通じた次世代宇宙人材の育成は重要であると考えており、今後も、大学等による宇宙利用の裾野拡大に資する取組を支援することを通じて、将来の宇宙活動を支える人材基盤の強化に努めてまいりたいと思います。各大学の学生の皆さんが積極的な研究をしていることを大いに奨励をしてまいりたいと思いますし、今回、予算の関係でアメリカの民間ロケットに載せたのですけれど、今後、国内での研究が広がってですね、多くのこういった成果がまとまるのでしたら、ぜひ日本発で打ち上げたいなと、こんな思いも持っています。

記者)
 間もなくですね、昨年12月末に学校の一斉休校を要請してから1年が経つのを前にですね、学校における感染者の状況を改めて教えていただきたいのと、1年振り返って、学校、様変わりしたと思うんですが、それを進めてこられた文部科学大臣としてどういうふうに見ていらっしゃるかコメントをお願いします。

大臣)
 新型コロナウイルス感染症について、学校が再開された昨年6月から本年1月末までの間に報告のあった小中高等学校等における感染者の数は、児童生徒約12,000人、教職員約1,600人です。その増減については、全国的な感染者の増加に伴い、1月上中旬のピークには多くの感染が報告されていましたが、今は減少傾向にあると承知しています。文科省では、1月5日に発出した感染症対策の徹底を求める通知をはじめ、緊急事態宣言を踏まえた対策の徹底について、改めて各教育委員会等に依頼をしているところです。新型コロナウイルス感染症への対応は、1年以上の長期にわたり継続していますが、緊急事態宣言の対象地域だけではなく、学校の関係者が危機意識を共有し、地域の感染状況に応じた対策を徹底していただいていることに改めて感謝を申し上げたいと思います。1年を振り返ってという、まだそういう余裕はなくてですね、この間の取組を各関係部署でしっかり検証しながらですね、色んな努力をしていただいていることには感謝を申し上げたいと思いますし、まだ、学校、年度末の卒業式や終業式に向けて、最後まで気を抜かずにですね、頑張っていただいている最中でございますので、この間に得た新しい学校の、言うならば知見と言いますか、色んな成果は次年度以降また展開していきたいと思いますし、また、我々が気が付かないところで本当にご無理をしていただいて、何とかカバーしていることっていっぱいあると思うんです。それは、予算や何かには全然関係なくですね、本当に現場の責任感で頑張っていただいて、何とか乗り越えたことっていうのはきっと数多くあると思うので、それが、今後、来年度以降ですね、直ちに感染症が全てなくなるということにはなりませんから、必要な取組を支援っていうものもちゃんと考えていかなきゃいけないなと思っていまして、そこは、今、全国的に色んな声を上げてもらって、しっかり検証して各自治体とも連携をして、支援策、取りまとめをしていきたいなと、そう思っているところです。

記者)
 感染者数に関して、先週末にマニュアルが改訂された際に、学校の感染者数の発表がなかったもので、なぜ最新の情報が出てこないのかなと担当課に問い合わせたところ、その、発表するのは文科省の裁量だというお答えだったんですね。ちょっと、なんかその、この情報について、各教育委員会から吸い上げて情報収集しているのに、なぜ文科省の裁量でこれを公表するかしないかを決めているのか。学校の現場の情報を、できれば速やかに公表すべきだと思うんですが、できればと言うか要請があれば、ですね。この情報の在り様について、どういうふうにお考えでしょうか。何か支障があるんでしょうか。

事務方)
 まとめるのにちょっと時間がかかっているだけでして。速やかに公表を、もちろんしていきたいと思います。

大臣)
 別に伏せる数字じゃないと思うので。多分、どたばたしながら整理をしていたのでそのときには答えられなかったと思うのですけれど。それは、順次公表していきたいと思います。

記者)
 防災教育についてお尋ねします。あの、先日、学者さんのグループなんかがですね、3月11日をですね、防災教育と災害伝承の日とするようにという提唱をされました。津波防災の日ということでですね、11月が、既に「津波防災の日」というのはあるんですけれども、東日本大震災で大変大きな津波っていうのがここ近年の災害の中であるというところを踏まえ、また、今年、震災から10年というふうになるわけですけれども、この提言についてですね、大臣としてどんなふうに受け止められるか教えてください。

大臣)
 東日本大震災から間もなく10年となりますが、震災以降、その教訓や経験を踏まえた防災教育は、被災地のみならず全国の学校で展開されるようになっており、私としても、子供の命を守り、安全・安心を確保する上で、大変重要な教育活動であると考えています。東日本大震災以降、文科省としても、防災教育の充実に努めてまいりました。私自身も昨年12月に被災地を訪問し、過去の被災経験から学ぶ防災教育の重要性について、改めて強く認識したところです。文科省では、学校防災のための参考資料を作成し、各学校に配布をしていますが、そこでは、被災地で経験談を聞く活動や語り部など災害を体験した方を学校に招聘して学ぶことなど、防災教育の望ましい取組の例としてお示しをしているところです。また、被災地以外の学校の児童生徒が、東日本大震災を経験した学校と交流活動をしたり、被災地でボランティア活動を行ったりすることなどを通じて、被災時の経験や復興についてのお話を伺う事例もあり、こうした取組について全国周知を行っているところだと思います。ご指摘の防災教育と災害伝承の日にするかどうかっていうのは、文科省というよりは国全体の方針だと思いますし、現実問題、その、かつて9月1日に、防災訓練、全国的にやっていたのを、今は、3月のこの11日前後にずらしてやっている学校も小学校などでは非常に多くなってきています。あるいは、9月と3月と両方行っているということも聞いておりますので、この3月11日っていうのは、我々、国民誰もにとって忘れがたい日だと思いますので、防災の大切さ、また、災害の悲惨さをですね、後世にも受け継ぐためにも、こういった重きを置いた対応っていうのは重要なんじゃないかなと思います。あの、その日を制定するかどうかは私には権限がないんですけれど、少なくとも学校現場ではですね、言わずもがな、この時期に合わせて様々な防災教育を展開しておりますので、それがより充実できるように、新年度はICTの環境なども整いますから、今まで紙ベースで学んでいたものが、もう、津波の映像をお子さんたちに見せるのがいいかどうかっていうこともありますけれど、しかし、よりリアルにですね、恐ろしさやあるいは大変さ、また、皆さんが支え合ったそういう頑張りの成果などをですね、子供たちに知ってもらうことを、色々、教材のオンラインなども活用しながら、今後考えていきたいなと思っています。

記者)
 主権者教育の関係で伺いたいなと思います。先般、主権者教育推進会議の方で、今後の主権者教育に向けた最終報告案が大筋で了承されたと思うんですけれども、その中で、以前から言われていることですが、主権者教育の課題としてですね、現実の課題というものを政治的中立性の関係で学校現場がなかなか扱うことができていないと。そこに関して、腰が引けているんじゃないかという指摘があります。実際、学校現場の先生の話とかを聞いているとですね、保護者の方、大きな学校では保護者の方の考え方も色々ありますし、また、地方議会で、色々ですね、論争のあるテーマを取り上げると批判を浴びたりするということで、非常に難しいという声は、たくさん、色んな先生から聞いています。で、こういうテーマを、でも扱わないと、実際に厳しい政策判断とかに関して主権者教育ってできないと思うんですけれども、大臣、その辺りどのように進めていくべきだとお考えでしょうか。

大臣)
 2月19日に開催された主権者教育推進会議において「最終報告(案)」が、おたずねの現実の具体的な政治的事象を扱った授業を展開するための方策が盛り込まれたということは承知しています。文科省では、平成27年の公職選挙法改正に伴い通知を発出をし、高等学校においては政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象を扱うことを積極的に行うよう示したところですが、その実施状況については「現実の政治的事象についての話し合い活動」に取り組んだ高等学校が3割強にとどまるなど、実施上の課題がみられているところです。このような課題を踏まえ、最終報告では、各学校における具体的な政治的事象を扱った授業の展開を推進する観点から、各学校や教育委員会への平成27年通知や国の副教材「私たちが拓く日本の未来」に示した政治的中立性の考え方の周知や、実践事例の収集、開発、国による小中学校向けの副教材や教師用指導資料の開発、NPOと連携した取組の推進、また、主権者教育の重要性についての家庭への周知を盛り込んでいると承知しております。今、ご指摘のあったように、具体的な学校現場で、例えば政党間の政策の違いを子供たちに判断してもらうなんてことはきっと有効なんだと思うんですけれど、例えば、政治的中立って言いますとね、総務省に届出のある政党の政治家っていうのが、それぞれの地方の自治体に全ているっていうことはまず考えられないわけですよ。例えば、私の町は私しか国会議員はいないんですよね。国会の仕事はとか、政治的、私が、例えば学校へ行って話しをするとですね、これは、私が所属する政党の考え方を子供たちに披露することになっちゃって、その対立軸を、候補者がいればいいですよね、同じようにこの選挙区で国民の代表を目指している人が9人いればいいけれど、まずいないんじゃないですか、どこも。だから、すごくそこは、現実に照らすとすごい難しいところはありますよね。この前、なんか、大阪の中学校で地方議員の皆さんが各党出たんだけど、結局、呼ばれない政党があるわけですよ。呼ばれないというか呼んでもそこにいないわけですよね。いないけれども政党としては存在しているという、そういう人たちの扱いまで中立・平等にやっていかないといけないのか。あるいは、自分の町が接している現実問題について、例えば地方議会の構成に併せて、それぞれの意見を聞くことによって子供たちが色んな考えをめぐらすことが勉強になるのかっていうのが、ちょっと私も、自分が政治家なので、一概にこれがいいとかって言い辛いところがあるんですけれど。本当はね、町の中で起きたテーマに関して、大人たちがどう考えているのか、政治家と言われる人たちがどういう考えを持っているのかは、意見を交わしてもらうことを子供たちが見ることが、多分、主権者教育にとってはすごくいいことなんだと思うんですけれど。中立・公平っていうことが果たして貫けるのかなと。目の前にある政治要素の中で勉強することで、将来は幅広く考えられるけど、今は、例えば3人しか、3人の話しか聞けないかもしれないけれども、聞かないよりは聞いたほうがいいような気もするし、そこはちょっと難しいところですよね。今後、どういうふうにしていったらいいのか。実践事例を色々収集しながらですね、どういう主権者教育をしていくか。もう既に、高校生の中には有権者も出てきちゃうわけですからね。3年生などは18歳になれば有権者になっちゃうわけですから、できるだけ前倒しで学んでもらうことは大事だと思うので、しっかりやっていきたいと思います。

(了)

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