萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年2月19日)

令和3年2月19日(金曜日)
教育、スポーツ、文化、その他

キーワード

社会教育士制度、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の就任及び選考プロセスについて、高輪築堤の遺構、文化芸術活動の継続・発展に向けた文化庁におけるアドバイザリーボードの検討、学校のICT化における教育長及び校長の役割

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年2月19日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年2月19日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年2月19日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは1件です。今年度から新たに「社会教育士」制度がスタートをし、地域の人づくりや地域づくりにおいて活躍が期待される社会教育士が輩出されています。今月で関係省令の改正から3年となるのを機に、本日、社会教育士の特設サイトを開設しましたのでお知らせいたします。特設サイトでは、社会教育士についてイラストでわかりやすく解説するとともに、福祉や防災、観光などの分野で活躍している事例を動画で紹介をしています。今後、社会教育士が、教育委員会のみならず他の行政部局や学校、NPO、企業などの多様な場で活用されるよう、その魅力を広く伝えていきたいと思います。報道各社の皆さまにもご協力をお願いいたします。私からは以上です。

記者)
 幹事社から2問、質問いたします。1問目、組織委員会の新しい会長に橋本新会長が就任されました。こちらの受止め、それとあと、開幕まで、本番まで残り半年近くですけれど、期待される役割などを教えてください。2問目が、先日、高輪ゲートウェイ駅の遺構の方に視察されたと思うんですけれどもこちらの感想。それとあと、今後の遺構の保存の在り方についてお考えを教えてください。お願いします。

大臣)
 東京大会の開幕まで半年を切り、組織委員会においては、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする様々な課題に一刻の猶予も許されない状況ですので、まずは、前会長の辞任表明から短期間のうちに新会長が決まったことを歓迎したいと思います。橋本新会長は、夏冬合わせて7回、オリンピックに出場され、「オリンピックの申し子」であり、また、政治家としても、また、競技団体の役員としても我が国のスポーツ界に多大な貢献をされてきた方だと思います。私、先日の会見で「オリンピックに精通し、オリンピック憲章の大切さを理解された方」に就任していただきたいと申し上げましたが、まさにこの条件に当てはまる方だと思っております。国民や国内外の関係者の協力の下、リーダーシップを発揮し、安全・安心な大会の実現に向けてご尽力いただくことを期待をしていますし、文科省としても、新体制をしっかりサポートしていきたいと思います。何と言っても、開会式まで150日余りでございますし、コロナ禍がまだ収まっていないという状況の中でどういう大会が実現可能なのか、IOCともしっかり連携をとりながらですね、会長も、昨日、記者会見でおっしゃっていましたけれども、アスリートにとっても、また、世界中の皆さんにとっても安心・安全なオリンピックの実現に知恵を絞って、また、仲間の皆さんと協力しながら頑張っていただきたいなと、そう期待をしているところでございます。
 もう1点なんですけれど、先日、高輪ゲートウェイの駅前の再開発において、明治の鉄道創業期の重要な遺構が発見されたことを受けて、2月16日に文化財保護を担当する大臣として現状把握するため、現地の視察をしました。歴史の教科書にあるように、明治5年、工部省が新橋と横浜の間に鉄道を敷設しておりますが、当時の様子は、錦絵などにも描かれています。その錦絵に出てくる橋梁が良好な状態で残っている状況を見て、明治日本の近代化を体感できるかけがえのない素晴らしい文化遺産であるなというふうに感じたところでございます。たまたま、私、官房副長官の時代に、現在の総理が官房長官で、3年前になりますが、明治150年の記念イベントを行うための準備をその数年前から行っておりまして、そのときにも、明治維新以来のですね、日本の在り方について様々な知見を多くの皆さんから寄せていただいたのですけれど、仮にあの頃、この遺構が出ていればですね、150年イベントの一番のシンボルになったんではないかなというぐらい価値のある遺構だというふうに私も思っていますし、また、当時のメンバーの皆さんが異口同音にそうおっしゃっていますので、そういう意味では、非常に貴重な遺跡が発見されたんじゃないかと思っています。遺構の保存方策につきましては、現在、JR東日本の有識者会議の検討ですとか、JR東日本と港区との協議が行われていますが、私からは、有識者の意見も踏まえながら丁寧に議論をいただいて、ぜひ、開発と保存を両立させながら、貴重な文化遺産を現地で保存・公開できるようにご検討いただきたいというふうに当日の懇談会では申し上げました。JR東日本さんにつきましても、これ、もう何年もかけて様々な設計や準備をしてきていると思います。私、当日も申し上げたのですけれど、都市部ではですね、遺構や遺跡が出て工事が中断することは度々あるのですけれど、率直に申し上げて、そこで開発の見直しまでしてしまうとですね、これは、街作りっていうのはなかなか前に進みません。ましてや、世界と対抗するための国家戦略特区の指定を受けている開発でありますから、私は、そういう意味では、ここの開発は東京都のためにも、また、日本のためにも極めて重要だと思っておりまして。開発そのものを辞めるべきだというような乱暴なことを言うつもりはないのですけれど、しかし逆に、今申し上げたように、この遺構はですね、東京都内どっかほじくると同じようなものが出てきますよっていうものじゃなくて、まさに、日本の鉄道の歴史の一丁目一番地だと思うのですね。ですから、他に掛け替えのない遺構だというふうに、私、思っておりますので、JRの方にもですね、今までの積み上げのご努力は労いながらもですね、ここは知恵を絞ってもらえないかっていうことを強くお願いをしました。当日、JRからの提案は、それを切り取ってどこかへ移設をして保存をする方法を一つ検討していますという話があったのですが、その場から切り取った瞬間に、文化庁としては史跡の指定ができなくなりますので、それはもう、現地で保存をして公開して初めて遺跡ということになりますから、それは、文化的な価値は、残念ですけれども評価できなくなりますってことも申し上げました。それと、これ、民間のデベロッパーがですね、その土地をお買い求めになって開発をしていたらこういう遺跡が出てきたんだとすれば、ある意味、開発企業は善意の第三者ですから大変だなっていうこういう思いもあるかもしれないんですけれど、この土地は、JR東日本の土地である前は国鉄の土地でした。もっと言えば国有財産でした。従って、この国民の国有財産から出てきた遺構というのは、国民共有の、私は財産だというふうに思っていまして、そこは、やっぱりJR東日本っていう会社、ちょっと民間の普通の株式会社とは生い立ちも違うので、自らの会社の、まさにそのスタートのですね、極めて重要なものであるんじゃないかっていうことも、当日、申し上げさせていただきました。限られた時間なので全部を語れないのですけれど、その遺構が出てきた段階が、非常に状況が良いのとですね、それから、これが日本で初めて鉄道を作ることになったわけですけれど、それをきっかけに工部大学校というのを、技術者の養成を明治政府はしようっていうことになって工部大学校っていうのを作るんですね、この工部大学校っていうのは、後にその東大工学部になるんですけれど、日本の工学っていう学術のスタート、起点にもなったきっかけがこの鉄道建設なんです。ちなみに、今日、皆さんといらっしゃるこの文科省の場所が工部大学校の跡地なんですね。ですから、私としては、非常に、150年ぶりに何かすごいものを見つけてですね、そのときの文化庁を所管する担当大臣として、すごく因縁めいたものを感じました。150年のプロジェクトにも関わりましたし、また、この文科省との関係もあるんじゃないかと思います。で、皆さんもご承知のように、この文科省の建物の下には江戸城の虎ノ門の遺構が、工事のときに出てきて、これを建築、一時設計の少し見直しをしてですね、そして、ちゃんとこの遺構をですね、虎ノ門の駅から文科省に入るまでの間に石垣や何かが残っていると思うんですけれど、現状のまま保存をして、そして来場者の皆さんに見ていただけるような、そういう設計にしましたので、私は、日本の技術をもってすれば、JRさんと一緒に力を合わせればですね、現地で保存をかけながら、しかし、開発というのは進めることもできるんじゃないかと思っていまして。ぜひ、我が国の建築技術を駆使することによって、開発を進めながら、優れた歴史遺産を後世に残す方法などもあるのではないかということも申し上げてまいりました。今後の方策について、関係者でよく知恵を出し合っていただいて、必要に応じ、文化庁からも専門的な知見からの助言も行いたいと思いますので、ここはぜひ、JR・港区、また文化庁が力を合わせてですね、知恵を出して、しっかり後世にこれを皆さんに見ていただきたいなと。あの、教科書に、今、挿絵が出ていますけれど、今度は、写真が載ってもおかしくないぐらいの価値があるものだと私は思います。

記者)
 コロナ禍の文化芸術についてお伺いします。新型コロナウイルスの影響で、文化芸術のイベントにも大きな影響が出ています。観客の人数、5,000人以下及び収容率50パーセントという制限もなされていると思うんですが、これだとなかなか厳しいという声も団体からは上がっていると思います。で、文化庁では、この件でアドバイザリーボードを設置されて検討をされているというふうに伺っているんですけども、この、ここでの議論を通じて、今後、この文化芸術イベントの開催制限の在り方についてはどのようにあるべきか、どうしていくべきか、お考えをお聞かせください。

大臣)
 本件につきましては、感染症拡大のリスクを最小限に抑えつつ、可能な限り活動を継続し、発展させていくため、感染症等に関する有識者からなる文化庁のアドバイザリーボードを設置をし、感染症対策の在り方を検討してきたところです。具体的には、コンサートや演劇などの公演について、開催制限の段階的な緩和の在り方、また、感染症対策において今後留意すべき事項などをご議論いただきました。例えば、今後、緊急事態宣言が解除されて、イベントの開催制限についても段階的に緩和される局面となっていく際に、感染症拡大のリスクを抑えつつ、可能な限り、文化芸術活動を継続・発展させていくという観点からは、感染症状況を踏まえつつ、大声での歓声・声援などがないことを前提としうる公演については、早期に収容率100パーセント以内まで緩和していくことが考えられるとしています。あの、一概に、例えば舞台と言いましても、クラシックのコンサートなどは、観客の皆さんが咳払い一つしないように注意をするわけじゃないですか。それと若い人のコンサートみたいに、みんながスタンディングで一緒に歌ったりするような性格のものとは、少しずつ内容を整理していった方がいいんじゃないかと思っていまして。別にいいんですよ、そのファンの人たちが我慢をして立たないということをルールにしてやってもいいんですけれど、機械的に50を60とかじゃなくてですね、また、そのホールのハードの面でも技術が色々違って、もうこの1年間で、空調関係を多額の投資をして改善しているホールも国内に結構あるんですね。ですから、何分に1回換気ができるようなものと、それから、旧態依然で扉を開けないと換気ができないというホールとでは、やっぱり条件が異なると思いますので、こういったところを、アドバイザリーボードの皆さんに細かく見ていただいて、できるだけ早く、かつてのですね、舞台芸術を取り戻すことができるように、我々としては、報告の詳細を今日の午後に発表したいと思います。私としては、取りまとめいただいた報告を踏まえて、イベント開催制限の早期の緩和に向けて働きかけをしたいと考えておりますので、また、所管から色々聞いていただいたらよろしいかと思います。

記者)
 今週の火曜日に国立教育政策研究所が、学校現場への調査を元に、GIGAスクールの促進要因と阻害要因を分析した研究・報告を行いました。その中で、実際の教育長や校長先生のリーダーシップがちゃんとある学校のところではICTがはっきり進んでいるんですけれども、逆に校長が伝統的な授業手法にこだわると、それが阻害要因になってしまって、市町村や学校の間の格差が広がってしまっているという指摘がありました。結局、伝統的な授業にこだわる校長先生の意識を変えてもらわないと、このお話は、GIGAスクールは進まないという結果になっておりますけども、この受止めと学校のリーダー層の人たちの意識の改革の仕方についてお考えがあればお聞かせください。

大臣)
 学校においてICTを積極的に活用していくためには、まさに、校長先生、あるいはもっと言えば自治体の教育長がですね、その有効性を理解し、教職員と認識を共有するとともに、ICT環境の整備や教職員を支援する外部人材の確保などに努める必要があり、その果たすべき役割は大きいと考えています。このため、文科省としては、各種会議などを通じて、教育長に対して、ICT活用の必要性や具体的な活用事例等の情報を提供するとともに、独立行政法人教職員支援機構において、学校管理職に対し、オンライン学習の活用を含めた新しい学校経営の在り方を取り扱った研修を実施をしています。今、ご指摘のように、例えば校長先生が定年まであと数年で、今まで積み上げてきた指導方法や自分の価値観がしっかりしていればするほどですね、この4月から始まるICT教育には、もしかしたら違和感を持つ先生もいらっしゃるんだと思います。ただ、間違いなく時代が変わってきているわけですから、私は、間違っても校長先生たちがそれのブレーキになってはいけないと思いますので、ガイドライン、しっかり出させていただいて、その中で言うなら、ミニマムスタンダード、ここまではちゃんと使いましょうねっていうのは、全国で共有をしていただきたいし、このことは教育長や校長会議などにも徹底をしていきたいなと思っているんです。例えば設置者である自治体や、また、直接の学校の責任者である校長先生の判断で、持ち帰りはだめっていう学校が出てくる可能性も否定できないですよね。そんなときに、持ち帰らせてやってくれって我々は指導・助言はできるけれど、最終的に、やっぱりルールは学校や自治体が決めなきゃならないと思います。そのときに目安となるものは、例えば、低学年などは重たいっていうことや、あるいは自宅に持ち帰って本来の学習以外のことに使うことが心配されるっていうようなこともきっとあると思うので、いずれにしても、4月から初めて全国で同じ条件が整うので、いいグッドプラクティスについては、横展開、どんどんしていきたいと思うし、また、問題が発生すればそれは気を付けましょうねっていうのも共有していきたいと思うのですけれど、最終的には自治体や学校に権限があることは、私、否定しませんけれど、せっかくこういう、環境が変わってきたので、その時代の変化をしっかり受け止めていただいて、いいリーダーシップを発揮していただきたいなとそう思っているところです。

記者)
 東京大会の組織の新会長の人事について伺います。透明性という観点で一連の経緯を振り返りますと、森さんがお辞めになる際に、川淵さんを後継に指名して、それに対して批判が集まりまして、で、橋本さんが選ばれるに当たってもその選考プロセスのほとんどが非公表ということになっているんですけども、大臣のお考えとして、透明性という観点から今回の会長選考のプロセスについてどういうふうにお考えか教えてください。

大臣)
 まず、森会長と川淵さんの話の中身については、我々は承知していません。後継指名をしたのではないかという報道はありますけど、後継指名をしたのかどうかは明らかになっていませんし、私は、森さんが、自分が身を引くに当たって、後の組織、色んな意味で、川淵さんは経験豊かな人ですから、サポートしてくれっていうやりとりはあったのかもしれません。ただ、川淵さんが、ああいう形で、既に自分が会長になるかのようなご発言をしたことに対して違和感を感じた多くの国民がいらっしゃったということは現実でありますので、その反省に至って、今回は選考委員会を作って、そして、それは男女4人ずつですか、それからアスリートの人たちを中心に、どういうオリンピックの、5つの項目から相応しい人たちを選んでいこうということで、メンバーも明らかにしない。会議の中身についても、後ほどのブリーフをするっていうことにしたことは、私は、人事を決める会議としては、極めて適切であったのではないかなというふうに思います。あの、昨日、御手洗さんが詳しく説明していましたけど、人事を決めるときに全てを公開でやるっていうのは結構リスクがあって、例えば、その人の支援者もいれば反対者もいて、途中から自分たちが電話をかけたりそういうこともきっとあるんだと思うので。私は、手続き上は間違っていなかったし、公平性は担保されたと思うんです。あの、例えば、朝日新聞の役員を決めるときに、社員の前でみんなでやるっていうことはまずないですよね。それはそれで、会社の経営方針や今までの実績で、お互いにきちんと役員会の中で、あるいは株主の皆さんの意見も聞きながら色んなことが決まっていくのだと思うので、私は、今回の組織委員会の対応っていうのは、しっかりプロセスも含めて公平性は保てたんじゃないか。また、透明性というのは外から見える透明性っていうより、課程のプロセスについてきちんと説明ができる段取りが組めたんじゃないかと思っていますので、そこは了としたいなと思っています。

(了)

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