萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年2月16日)

令和3年2月16日(火曜日)
教育、スポーツ、その他

キーワード

福島県沖を震源とする地震について、新型コロナウイルスの影響を受けた大学生等の退学・休学等の調査結果、児童生徒の自殺、少人数学級、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の新会長人事、コロナ禍における子供たちの旅行を支援する地方自治体の取組について、GIGAスクール構想

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年2月16日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年2月16日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年2月16日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは冒頭2件です。まず、先週13日深夜の福島県沖を震源とする地震についてでございます。被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。今回の地震による文部科学省関係の被害については、今朝の6時時点で、学校管理下における児童生徒等の人的被害の報告はまずありません。一方、物的被害としては、学校施設等で542件の被害が出ており、その主な被害としては、壁の亀裂、給水管の損傷、天井の一部落下などとなっております。また、休校している学校は16校、短縮授業をしている学校は5校です。文科省の対応状況としては、まず、関係県の教育委員会に対して児童生徒等の安全確保と文教施設や通学路等の状況の把握を要請するとともに、文教施設の被害情報収集のため、建築構造の有識者及び文科省の職員を派遣をしました。また、被災地の学校において教育活動を実施する際の留意点を周知をし、全ての国公私立大学に対して、各大学の個別入試の受験機会の確保に関する配慮を依頼するとともに、地震調査研究推進本部地震調査委員会を開催し、今般の地震の評価などを行ったところです。地震発生から1週間程度、最大震度6強程度の地震が発生するおそれがあり、特に今回の地震で揺れが強かった地域の皆さまには、引き続き、十分な注意をお願いしたいと思います。文科省としては、引き続き、子供たちの安全・安心な教育環境の確保に向け、関係自治体ともよく連携しつつ、被災者に寄り添いながら、先手先手で被災地の支援に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 2件目です。コロナ禍における全国の大学生等の退学・休学等の調査結果について、調査結果がまとまりましたのでお知らせをいたします。文科省では、これまで新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に困難な学生が修学・進学を諦めることがないよう、関係省庁のメニューも含めた「学生の”学びの支援”緊急パッケージ」をとりまとめ、昨年12月にはその内容を改訂し、継続的に支援を行ってきたところです。その改訂に合わせて公表した前回調査は4月から10月までの休学・退学などの状況を調査しましたが、今回、12月までに期間を延ばして調査した結果、全体としては、前回調査結果と概ね同様の傾向であり、大学の中途退学者数については昨年度よりやや少なく、休学者数についても大きな変化は見られない状況にあります。また、今般のコロナの影響で中退せざるを得なかった学生等が再入学を希望する場合に、各大学等において柔軟に対応いただけるよう、調査結果と併せて再入学に係る好事例もお示ししております。今回の調査結果については、これまでの支援が一定程度効果を上げている部分はあると思いますが、今後、年度末に向けて中退・休学者が増加することも想定され、予断を許さない状況です。文科省としては、引き続き、学生等が活用可能な支援策を呼び掛けることに加え、昨年秋以降にアルバイト収入が減少した学生等約14,000人に対して、学生支援緊急給付金の追加支給を行う予定です。大学等においても、年度末に向けて経済的に困難であったり不安や悩みを抱える学生等に対して、積極的な情報発信を含め、きめ細かな対応を講じていただくようお願いしたいと思います。なお、調査結果の詳細は、後程事務方よりプレスリリースしますのでそちらをご参照いただきますようにお願いいたします。私からは以上です。

記者)
 去年1年間、自殺した小中高校生が国の調査で過去最多となりました。こちらの受止め、更に、内訳を見ると、特に女子の増加率が高くなっています。こちらの受止め、また、今後の対策についてお聞かせください。

大臣)
 厚生労働省の公表情報によりますと、昨年における児童生徒の自殺者数は前年に比べて大きく増加をし、特に、女子の高校生の自殺者数は前年の2倍以上となっており、この実態を大変重く受け止めております。このような状況を踏まえ、文科省としては、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開催をしたところです。昨日、第1回目を開きました。昨日の協力者会議では、自殺予防教育の一層の充実や、コロナ禍において悩みを抱える児童生徒の現状、SNS相談や1人1台端末の活用などのICTを活用した効果的な自殺対策等についてご議論いただいたと聞いております。本協力者会議においては、今後、児童生徒の相談窓口等の関係者からヒアリングを行うなど、児童生徒の自殺者等に関する現状や適切な対応等について集中的にご審議いただくこととしており、委員の皆さまには様々なご意見もしっかり受け止めつつ、引き続き、充実したご議論をお願いしたいと考えております。文科省としては、本協力者会議における議論を踏まえて、引き続き、自殺予防教育を推進するとともに、コロナ禍における効果的な自殺対策について検討を進めてまいりたいと思います。ご指摘の女子生徒の自殺者が増えているという背景やそれを踏まえた対策については、今後、児童生徒の相談窓口などの関係者からヒアリングを行うなど、協力者会議においてご議論をお願いしております。その議論を踏まえ、引き続き、自殺予防教育を推進するとともに、コロナ禍における効果的な自殺対策について検討を進めていきたいと思っています。

記者)
 少人数学級について伺います。昨日の国会で菅総理が少人数学級について問われた際に、中学校を念頭に、望ましい指導体制の在り方を検討するというふうに答弁をなさいました。文科省としては、前々から中学校も含めた少人数化ということで訴えてこられたと思うんですけれども、今回、総理が前向きな答弁をしたと思いますが、このことについての受止めをお願いいたします。

大臣)
 私も、後ろで答弁を聞いていまして、良い答弁だったなと思います。
 元々、文科省としては小学校・中学校の少人数学級を目指しておりましたし、今更また振り返ってもしょうがないのですけれど、本来は30人という目標を掲げましたけれども、様々な事情で小学生の35人をスタートすることになりました。しかしながら、中学校についても、もしやるとすれば段階的に進んでいくということなので、最終形は9年後の形を目指していましたので、まだ、遅れていないと思います。総理自身も、その必要性を国会の場でああやっておっしゃっていただきましたので、大変勇気をいただいたと思っています。間違った政策じゃないということを国民の皆さんにしっかりご理解いただき、また、来年度から始まる小学校のですね、少人数学級、段階的にしっかり検証しながらですね、その有効性について改めて発信をして、できる限り早い時期に中学校の35人も目指していきたい、そう思っているところです。

記者)
 組織委員会の会長人事についてお伺いしたいんですけども。ちょっと二転三転しましたが、改めて、検討委員会で検討するということで、女性を望む声もありますし、会長という職務を考えると国際経験ですとか調整能力ですとか、そういったことを求める声もあります。大臣としては、どういったプロセスで選考が行われて、どのような方が会長になられるのがよろしいというか適任とお考えかお伺いしたいんですが。

大臣)
 既に理事会の中に候補者検討委員会を設置するということが明らかになっておりますので、そこで、正に直接現場を抱えている組織委員会理事の皆さんがですね、適任者を選んでいただくことになると思います。組織委員会の会長、理想像を言えばですね、もちろん、国内外にきちんとした手腕が発揮できるリーダーシップのある方が望ましいと思いますし、今回、ああいう形で前会長が辞任をしたわけですから、改めて、オリンピック憲章の大切さをしっかり理解した人になってもらう必要があると思いますので。全く門外漢のですね、人よりは、やっぱり、スポーツやオリンピックに精通をした方が就任していただくのがスムーズではないかなと思っておりますが、これは、理事会の検討会に委ねたいと思います。

記者)
 岐阜県の本巣市が、コロナ禍で宿泊旅行の行事に行けなかった子供たちの声を受けて、小学校6年生と中学校3年生の子供たちに1人2万円の旅行券をプレゼントしてですね、中学校3年生には5年後の20歳の時に、小学校6年生には家族との旅行を楽しんでもらおうという企画だそうなんですけれども。今、緊急事態宣言で、なかなか修学旅行ですとかそういったことも難しいという状況になってきていますけれども、こういった取組について、文部科学省としてどういうふうに受け止めているかということと、国として何らかの、いわゆる修学旅行だとか文化祭だとかそういったことができなかった子供たちへのコロナ収束後の何らの補償的な行事、こういったものを国を挙げて何かやられる考え等あったらお聞かせいただきたいと思うんですが。

大臣)
 私個人は、修学旅行はかけがいのない小学校・中学校時代の宿泊行事であり、校外活動として有意義なものだということで、できる限り、実施の可能性というのを模索してもらいたいということを全国の教育委員会にもお願いをしてまいりました。お陰様で、時期をずらしてもう一度チャレンジしていただいた自治体もありますし、せっかく年度末にずらしてもう1回やろうと思っていたら緊急事態宣言になってしまってできなくなってしまった自治体もあると承知をしております。色んな報告を聞いていますけれども、例えば、学校での宿泊を行ったような学校の取組もありますし、また、日帰りで、代替のですね、研修などを行っているのもあると思います。今ご指摘の本巣市の取組については、今日、初めて知りました。財政負担が伴うことについて、国が一律に支援をするというのはなかなか難しいと思うので、本巣市さんがどういう根拠でこういうことをやっていらっしゃるのか。マインドはすごく良いと思うのですけれど、例えば修学旅行の積立金は返さないでそこに上乗せをしてそういうことをしているのか、丸っきり市単独の財源でやっているのか、ちょっとそこは、私、分かりませんので何とも言えないのですけれど。同じようなことを、修学旅行に行けなかった全ての児童生徒に国が責任を持ってやるというのはちょっと難しいと思います。ただ、そういう児童生徒に寄り添ってですね、コロナの中で貴重な経験ができなかった人たちに、何とか代替案を示していくという市の姿勢は評価をしたいなと思います。ただ、学校の仲間と行く宿泊旅行と家族で行くのは、若干、ちょっとニュアンスが違うのかなと思いますので、それでも何もしないよりは色んな取組をしていただくことが、子供たちにとっては次へのステップになるのかなと思いますので、それはそれで評価したいなと思います。

記者)
 GIGAスクール構想に関して伺いたいなと思います。4月から、いよいよと言いますか、端末の方の配備も、おそらく3月末までにほとんどの自治体で終わるだろうというふうに言われています。それで活用方法なんですけれども、昨年の9月にですね、コロナ禍においての対応として持ち帰りを認めるようにと。それからグッドプラクティスとして、例えば東京都渋谷区の取組ですとかそういうものも、確か、各自治体の方にアナウンスしていたと思います。4月以降はまだコロナの状況が続きますけれども、実際には、多分、平常通りの授業が行われるだろうというふうに考えておりまして、そういう形の中での端末の持ち帰りというのをどう考えられるか。先日の中教審の方では、持ち帰りを認めなければ意味がないんじゃないかというような答申も出てましたけれども、その辺り、その、文科省としてですね、各自治体の方に何かアナウンスされるご予定とかお考えはありますでしょうか。

大臣)
 今までも議論を積み重ねてきましたけれども、基本的にはですね、いつでも学び、自分自身の学び直しができるようなことが、できるのがこのICT機器の良さなので。学校に大事に置いておくんじゃなくて、持ち帰りを前提に有効利用してもらいたいなという気持ちはあります。ただ、今、いみじくも大久保さんがおっしゃったように、その、ICT教育元年ですから、スタートダッシュからですね、全て持ち帰りで、家でも自由に使っていいよということが本当に子供たちのためになるかどうかっていうことも含めて、設置者で、色んな、これからルール化をしていくんだと思うんですね。私はポジティブなリストでいいと思うのですけれど、逆に、自治体としてはネガティブリストを作って、持ち帰ってもこういうことはやらせるべきじゃないとか、こういうものは時間制限するべきだとか、あるいはその、親子でのルール化をするようにとか、今、こんなことの準備をしていますので、一律にこうするべきだって国が指針を示すつもりはないんですけれど、ただ、やっぱり、自治体の不安には応えていかなきゃならないので、Q&Aで全てチェックができるような形を3月末までに用意をしたいなと思っています。例えば、タブレットの面白さっていうのは、例えばインターネットにつないだり、あるいは時にゲームができたりすることも面白味じゃないですか。だから、授業だけに使うのだっていうことの機能だけでは、なかなか子供たちも魅力を感じないと思うのですね。じゃあ、それはだめなのだと、勉強に関係ないことは一切使っちゃいけないんだってやるのが本当にこの機器を使った新しい教育の環境の向上のためにプラスかマイナスかっていうことも考えなきゃならないし、しかし、こんなものを学校で渡すから、うちの子は帰ってきてずっとゲームやっているじゃないですか、ってことは望ましくないと思うので、その辺のボリュームも含めて、だんだん練れていくんじゃないかと思います。最初は慎重な対応でスタートするっていうことでもよろしいと、私、思いますので、他方、いいプラクティスについては横展開をしていくっていうことで、夏までに少し、全体像を決めていきたいなと思っています。

(了)

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