萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年2月2日)

令和3年2月2日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案、『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン、創発的研究支援事業の採択結果、田野瀬副大臣が副大臣職を免ぜられた件、H3ロケット試験機初号機を格納するコンテナが運搬中に傾いた件、佐賀県内の高校生を対象とした模擬試験の問題に不適切な表現があった件、札幌市教委が25年以上前のわいせつ行為を理由に教諭を懲戒免職にした件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年2月2日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年2月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年2月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から4件ございます。本日、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。本法律案では、40年ぶりに公立小学校の学級編制の標準を40人から35人に一律に引き下げることとし、学級数の増加に伴う所要の教室や教職員を地方自治体が見通しを持って確保することができるよう、5年間かけて段階的に整備していくこととしています。また、学級編制の標準の引下げが教育活動に与える影響等に関する実証研究や教員免許制度等の在り方に関する検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。令和という新しい時代の教育として、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として実施することで、一人一人に寄り添ったきめ細かな指導を可能とし、誰一人取り残すことなく全ての子供たちの可能性を引き出すとともに、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を構築してまいります。また、教職員の魅力向上とともに教員免許制度の抜本的な見直しを行うことで、多様で質の高い教師が確保できるよう取り組んでまいります。今後、国会において法案についてしっかりと説明を行い、ご審議をいただき、速やかに成立させていただけるよう努力してまいりたいと思います。
 2つ目ですが、「令和の日本型学校教育」を実現するため、教師の人材確保と質向上が喫緊の課題となっていることを踏まえ、先月、私の下に「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部」を設置をさせていただきました。先月29日に第2回の検討本部を開催し、先日の中央教育審議会の答申も踏まえ、「当面の取組」として、35人学級を担う教師の確保や社会人等多様な人材の活用、教職課程の高度化等に関する施策をまとめたプランを取りまとめました。まずは、これらの施策を、スピード感を持って実施してまいりたいと思います。今後、教師の人材確保と質向上の両面から、中長期的な実効性のある方策に取り組むため、教師の養成・採用・研修等に関する制度の在り方について、基本的な在り方に遡って検討を進める必要があります。これらについては、本部で検討するとともに、専門的な審議も必要となることから、次期の中央教育審議会においても幅広く審議していただく必要があると考えております。世の中に染み付いた学校が大変な職場というイメージを払拭し、教師が再び子供たちの憧れの職業となるよう、私自身、先頭に立って、制度の根本に立ち返って大胆に検討を進めてまいりたいと思います。プランの詳細については、事務方にお問合せください。
 3件目です。若手を中心とした多様な研究者による自由で挑戦的な研究を、研究に専念できる環境を確保しつつ、最長10年間支援する「創発的研究支援事業」がいよいよスタートします。先般、本事業の公募を実施し、これまで多くの有識者のご尽力の下、審査を行い、この度、その第1期生となる252名の研究者が採択されました。採択された研究者の皆さまが、将来の我が国を牽引する研究者になるという高い志を持ち、リスクを恐れず、果敢に挑戦し続けるとともに、互いに切磋琢磨することで未来のノーベル賞につながるような成果が創出されることを期待しております。文部科学省としては、引き続き、本事業を着実に推進するとともに、事業を通じて得られた経験や知見を他の制度や大学等の取組にも広げることで、優れた研究者の挑戦を後押しし、我が国の研究力強化につなげてまいりたいと考えております。
 最後に、昨日、田野瀬太道副大臣が副大臣の職を免ぜられ、新たに丹羽秀樹副大臣が着任されました。田野瀬前副大臣の行動については、昨日の会見で本人からも説明されているところですが、緊急事態宣言下における内閣の一員の行動として極めて軽率であったと考えており、私からも本人に対し、そのように厳しく指導をしてまいりました。私としては、これまでも、副大臣・政務官をはじめとする文部科学省職員に対して、国民の信頼を損なわないよう、現場の声を真摯に耳を傾け、気を引き締めてしっかり取り組むよう話をしてきたところです。しかしながら、このような事案が起きてしまったことについては大変残念であり、大変申し訳なく思っております。直接の大臣として、改めて、国民の皆さんにお詫びを申し上げたいと思います。新たに着任された丹羽副大臣におかれては、過去にも文部科学副大臣を経験されており、コロナ対策をはじめ、取り組むべき課題が山積する中において適任であると考えており、これまでの経験も踏まえて、存分に力を発揮していただけるものと期待をしております。私からは以上です。

記者)
 幹事社から1問、田野瀬副大臣の件について改めてお伺いしますが、発覚に至る経緯というのが、当初、松本議員との会食というか会合というかに同席していたことを明らかにしていなかったわけなんですが、この点について、大臣、どういうふうにお考えか教えてください。

大臣)
 昨日ですね、本人から、詳しい説明を直接受けました。説明によれば、松本先生からお誘いを受け、イタリア料理店とクラブでご一緒したとの説明があった上で、松本純議員の説明との関係でなかなか申し出ることができなかったという話がありました。極めて残念だというふうに思っております。

記者)
 私は、教員の免許制度の件について伺います。先ほど冒頭発言でありました通り、本日、閣議決定された義務標準法の附則の中でも、教員免許制度の見直しの検討について盛り込まれておりまして、今先ほど、冒頭発言でも抜本的な見直しをということが言われております。大臣、あの、昨年6月に講演なさったときに、私見という前提ではあったんですけれども、教員免許制度は、やっぱり教員にとって、非常に更新講習が負担になっているということで、10年後に1回だけ講習を受けたらば、その後、2回、20年後30年後には講習を受けなくて済むようにしたほうがいいんじゃないかということを、私見としてでしたけれども、ご説明いただいたことがございます。こうやって35人学級が実現することになりまして、改めて、法律として明記してですね、抜本的な改正に取り組まれる上でどのようなイメージを持っていらっしゃるのか。また、昨年6月の個人的な見解というものについてもですね、よろしければご見解をいただければと思います。

大臣)
 6月の講演で申し上げたのは文字通り私見でありまして、省内で検討したわけでもなくて、私が常々思っていたことであります。この間、昨年ですね、新しい給特法の改正を行うときにも申し上げましたけれども、まさに、教員の働き方改革というのは特効薬がなくて、色んなところをしっかり見直しながらですね、教師のあるべき姿、教員として子供たちと向き合う時間を作っていく必要があるんじゃないか。それから、常に申し上げていましたけれども、その教員という職業が、どちらかというと大変な、ブラック職業だという、こう染み付いたイメージがあるのですけれど、これを何とか払拭するためには、方策は一つじゃなくて、総合的にやっぱり取組をしていかなきゃいけないということを申し上げてきました。その中の1つとして、私は、教員の皆さんが不断の研修を続けていくことが大事だと思っているのですけれども、しかし、今の10年20年30年、それぞれ年度に合わせて用意した研修がありますけれど、実際には限られた期間の中で、クラスを持っている先生方が出向いてですね、研修に行くときにですね、限られた時間の中で講座を取っていかなきゃならない。そうすると、例えば極論を言えば、20年目の研修なのに10年目と同じような内容をまた受けなきゃならないようなことも実態としてはあってですね、これは私の仲間の教師からも、果たして本当に有意義なのかと言う声を常々聞いてまいりましたので、ここは、しっかり検証を加えていきたいなというふうに思っています。教員免許制度は、全ての教師が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得られるようにすることを目的として導入をされたのですけれども、一方で、この免許更新制について、教師が多忙な中で、経済的・物理的な負担感を生じているとの声や、臨時的任用教員等の人材確保に影響を与えているとの声もあることは承知しています。このため、現在、中央教育審議会の教員養成部会において、将来にわたり必要な教師数の確保とその質・能力の確保が両立できるように、教員免許更新制や研修をめぐる制度に関して包括的な検証が進められているところです。本部においても、教員免許更新制度の在り方を検討していくこととしており、中教審で成案を得られた後、スピード感を持って制度の見直しなどの取組を具体化をしていきたいと思っております。

記者)
 1つだけフォローアップさせてください。今のご発言にあった臨時的任用教員についても、大臣はその、以前の、個人的な見解ではございましたけれども、国が統一した資格を、分かるような形で、その方たちが都道府県の間を移動してもずっと使っていけるような形にしたらどうかというご発言がありましたけど、こういったことも検討の対象になってくるんでしょうか。

大臣)
 それも私の私見なんですけどね。直ちに、その、今言ったような免許を国全体で認められるものにしていくかというのは、ちょっとまた大きな話だと思うのです。多分、専門誌ですから、外から見てですね、教員の形を変えていこうという動きがあることの胎動は、多分、感じていただいていると思うし、このことを、やっぱり教員の皆さんに、しっかりメッセージを届けてですね、いつも申し上げているように、私、その人との出会いが子供たちの人生観も変えるぐらい大切な職業なので、ぜひ教職で学ぶ学生の皆さんに教壇に立ってもらいたいと、憧れの職業に再び戻していきたいと。そのための様々な取組をしていきたいと思いますので、ぜひ、あの、業界紙としてもそういうメッセージを出していただければありがたいなと思います。本気で取り組むつもりでいます。

記者)
 宇宙関係でお聞きします。先月の31日にJAXA種子島宇宙センターで、H3ロケットを載せたトレーラーが運搬中に傾いたという事故と言いますか、ありました。それに関して、JAXA側からどのような報告があるのかというのと、事故の原因や今後のスケジュール、また今後の対策など教えてください。よろしくお願いします。

大臣)
 開発中のH3ロケット試験機初号機については、先月31日にJAXA種子島宇宙センターにおいて取り組み、組立及び試験を実施するために運搬を行っていたところ、同センター敷地内で機体を後納(注)しているコンテナに傾きが確認されたため、車両を停止し、安全確保の措置を行った上で、ロケット組立施設に運び込まれたと承知しています。この作業の影響により、運搬作業に約4時間30分の遅れは生じたものの、機体への損傷などの影響はないことは確認しており、H3ロケットの開発計画に遅れは生じておりません。文科省としては、2021年度の試験機初号機の打上げに向けて、引き続き、JAXAと連携して着実に取り組んでまいりたいと思います。種子島の道路の幅員が決して広くない中で、港から発射台までの搬送というのは、毎回大きな、大イベントとしてですね、地元の皆さんにもご協力いただいて行っているのですけれど、今回、こういうことも起きましたので、今後はですね、別ルートで発射台までたどり着くことができないか。あるいは、既存の道路の幅員を難しい箇所については広げることができないかなど総合的に考えて、できるだけこういうトラブルは、できるだけということはあってはならないと思いますので、トラブルなく運搬ができるようにしたいと思います。ロケットの性能はいいのですけれど、陸で運ぶときの難しさがあるっていう、そのことを改めて認識して、しっかり対応してまいりたいと思っています。

記者)
 1月上旬、模試に関してお伺いできればと思いますけれども。佐賀県内で実施された模試において、イスラム教信者がテロリストになるっていうような、示唆する内容が出題されていました。それについて、大臣がどのようにお考えなのか。また、英語の問題だったのですけれども、問題作成者が日本人だったのかというのをお聞かせいただければと思います。

大臣)
 佐賀県内の高校生を対象に行われた県下一斉の模擬試験の外国語の問題文の中で、不適切な表現があったことについて承知をしております。もとより、模擬試験等の作問を行うに当たっては、試験の目的等に応じて、適切かつ公正な出題内容とすること、また、不当な差別的表現などはあってはならないことは当然であり、再発防止に向け、佐賀県教育委員会において適切に対応していただきたいと思っています。佐賀県教育委員会では、「生徒が特定の宗教について誤った認識や偏見を持つ恐れがあり、人権尊重の観点から不適切であった」ということを既に認めております。県内の県立学校長宛て通知も示しているところであり、私も同様に認識しております。この作問にあたっては、県下のですね、英語の先生方で取組をしたということで、全ての教員の方が全て日本人だったかどうかの確認は、ちょっと私、取れていませんけれども、毎年行っている模擬試験を、問題を作るグループの皆さんが取り組んでいただいた中の一環だというふうに承知しています。

記者)
 1点追加させていただいてもよろしいでしょうか。解決策としては、先ほど教師の研修であったりとか、というシステムについてお話ありましたけれども、事前の検査体制であったりとか、教師の定期的な、そういった差別防止の指導っていうのは何かこれからお考えでしょうか。

大臣)
 試験問題の作問体制やプロセスの適切性などについては、その作問等の過程において、複数の人たちで確認をするなどの組織的な確認体制をしっかり敷いていただいて、内容の妥当性などを確認することが重要であると考えております。今回、10名程度の教員が作問に関わったにも関わらず、その過程で問題に気付くことができなかったことは大変残念に思います。今回の事案を含めて、佐賀教育委員会において再発防止に向けて適切に対応していただきたいと考えていますし、これは佐賀県だけの問題ではなくてですね、こういった間違ったことが起これば、国際社会に間違ったメッセージを出すことになると思いますので、改めて、関係機関にしっかり徹底をしてまいりたいと思っています。

記者)
 わいせつ教員の関連で質問します。札幌市教委が、先週、28年前のわいせつ行為を認定し、中学校教諭を懲戒免職にしました。処分に時効はないという考えも示しましたが、長期間前の事案では裁量権の濫用や逸脱になる恐れもあります。札幌の事案の受止めを含め、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 1月28日、札幌市の教育委員会において、過去に行われた生徒に対するわいせつ行為を理由として、中学校教諭を懲戒免職処分としたということは承知しております。地方公務員法による懲戒処分については、法律上時効はなく、職員の身分を継続して保有する限り、在職中の義務違反に対していつでも懲戒処分を行うことができると考えられていますが、いずれにしろ、公立学校の教員への懲戒処分については、個別の事案に応じ、任命権者である教育委員会の権限と責任において、判断・対応がなされるものであり、今回の処分についても、札幌市教育委員会において、東京高裁判決を含めた様々な状況を勘案して判断されたことと思います。文科省としては、従前から繰り返し指導などをしてきた通り、児童生徒に対するわいせつ行為を行った教員については、原則として懲戒免職とするなど、厳正に処分を行うことが必要であると考えております。児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつ行為を行うなどということは断じてあってはならないことであり、引き続き、わいせつ行為を行った教員に対する厳正な処分やわいせつ行為を防止するための取組などについて、各教育委員会に取組を求めてまいりたいと考えています。

(注)「後納」と発言しましたが、正しくは「格納」です。

(了)

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大臣官房総務課広報室