萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年1月22日)

令和3年1月22日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

国立大学法人法施行令の一部を改正する政令、地方独立行政法人法施行令の一部を改正する政令、大学入学共通テスト、芥川賞及び直木賞の受賞者について、東京オリンピック・パラリンピック競技大会、少人数学級、福島浜通り地域の国際教育研究拠点、部活動での外部指導者の関わりと適切な活用について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年1月22日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年1月22日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年1月22日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは1件です。本日の閣議において、文部科学省から請議をしました「国立大学法人法施行令の一部を改正する政令」及び「地方独立行政法人法施行令の一部を改正する政令」が決定をされました。これらの政令は、昨年6月の「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」の改正により、研究開発法人について、法人による研究成果の実用化を目指して行う共同研究や受託研究、また、共同研究や委託研究の企画及びあっせんを行う者への出資が可能であることが明確化されたと同様に、国公立大学法人等についても出資範囲を拡大するための改正を行うものです。今回の改正により、我が国の科学技術・イノベーションの中核としての国公立大学等における研究成果の活用を更に促進し、社会還元されるものと考えております。私からは以上です。

記者)
 幹事社から2点、質問させていただきます。まず1点目は、共通テストの第1日程で、追試験の対象者が1,729人と過去最多となりました。新型コロナの影響もあると思うんですけれども、その受止めをまずお願いいたします。

大臣)
 16日及び17日に実施された大学入学共通テストを受験できず、30日、31日の追試験受験を許可された人数が1,729人となったことが20日に大学入試センターから公表されましたが、これは過去最多の人数になると聞いております。今回の共通テストは、コロナ禍の下での実施となり、試験当日も含め、体調に不安がある場合などは、無理をせず追試験の受験を申請するよう予め周知するとともに、実施時期を1週間後から2週間後に変更、試験会場を2会場から全国47都道府県に設置、また、自宅待機などを要請されている場合などは診断書の提出は不要、試験中に体調が悪くなった場合は受験中の科目も含めて科目単位での追加・追試申請を可能といった、例年と異なる対応により、受験生が追試験の選択をしやすくなったものではないかと考えております。30日、31日に追試験を受験することとなった受験生、また、元々この第2日程を希望されている約700名の方がいらっしゃいますけれども、それぞれ体調整えて、日頃の成果が存分に発揮できることを願っております。何より、2会場じゃなくて47都道府県に設置しておいてよかったなというふうに思っているところです。

記者)
 もう1点なんですけども、先日、芥川賞、直木賞の受賞者、受賞作が発表されたんですが、どちらも女性の作者で、特にですね、芥川賞のほうは宇佐見りんさんという21歳8か月で、史上3番目の若さでの受賞となりました。これについての受止めをお願いいたします。

大臣)
 一昨日に発表された第164回芥川龍之介賞において、宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」が、また、第164回直木三十五賞において西條奈加さんの「心淋し川」が、それぞれ受賞作に決まったと承知をしております。受賞されましたお二人に、まずは心よりお祝いを申し上げたいと思います。特に、芥川賞の宇佐見さんについては、21歳という、今お話がありましたように、史上3番目に若い受賞でありまして、報道によると、選考委員から「言葉が吟味されていた」との高い評価があったと承知しています。このような若い作家が、日本の文学や言葉が持つ深い味わいを私たちに感じさせてくれる作品を書かれ、伝統ある芥川賞を受賞されたという快挙に対して、改めて敬意を表したいと思います。今後とも、こうしたすばらしい作品を世に送り出し、多くの人々に共感や感動を与え続けていただくことを期待しています。

記者)
 東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いします。東京オリンピックの開幕まで間もなくで、あと半年になります。コロナの感染状況が厳しい中で、開催だとか再延期、それから観客の有無など様々な点で様々な意見が出ている状況ですが、大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

大臣)
 緊急事態宣言が発出され、多くの国民の皆様や大会を目指すアスリートの皆様においても、この夏の大会開催を不安視する声があることは承知をしております。現在、そうした声にも耳を傾けながら、大会組織委員会、東京都、政府をはじめとする関係者が安全・安心な大会の実現に向けた準備を鋭意進めているところです。一方、年末から年始にかけて、国内では様々なスポーツイベントが開催されていますが、アスリートのひたむきな姿に、改めて、スポーツの素晴らしさを感じた国民の皆様も多かったのではないかと思います。あの、箱根駅伝ですとか高校バレーですとか、高校サッカー、また、大学ラグビー等々ですね、年末年始、色々配慮しながらですね、何とか無事に開催をすることができました。万全な感染症対策を講じた上で、東京大会を通じて世界中にスポーツの素晴らしさ、更には希望と勇気をお届けできるように、関係者が一丸となってしっかりと準備を進めてまいりたいと考えています。

記者)
 少人数学級についてお伺いします。以前、大臣が、国と地方の協議の場を設けることを言及されました。こちらは、人選によっては、色々将来の姿が変わってくると思うんですが、この協議の場でどういった方々をお呼びして意見を聞くのか、それと開催のスケジュール、検討内容など決まっていましたら教えてください。

大臣)
 公立小学校の少人数学級の計画的な整備を進めるに当たって、国と地方が連携した協議会を設置をし、定期的に検証を行うこととしております。この協議会の体制については、国側は、所管官庁である、当然、文部科学省。そして、地方財政や地方公務員の定員管理を行う総務省の2省に入っていただきたいと思っておりまして、地方側は全国知事会、全国市長会及び全国町村会の地方3団体とする予定です、今の段階では。協議会では、計画的な定数改善を進める上で課題となる教職員定数の適正な管理や、優秀な教員を確保するための取組、また、外部人材の活用や少人数学級の効果検証などについて確認を行い、必要に応じて改善策を検討することを考えています。具体的な検討内容ですとかスケジュールについては、法案がこれから審議でございますので、これ改めてですね、検討してまいりたいなと思っております。

記者)
 私も少人数学級の関連で、効果検証の考え方について伺いたいと思います。先ほど自民党の文科部会で、義務標準法の法案審査が行われて、附則の中に、まさに今おっしゃられた、効果検証や教員の確保などの検討事項という部分を盛り込まれたというふうに伺っております。大臣は、12月の事前閣僚折衝の後の記者会見で、少人数学級について、決してこれで終わりではないと。「第2ステージ」に向かって努力していきたいということをおっしゃられたわけですけども、その効果検証というのが、この「第2ステージ」である中学校の35人学級ですとか、小中学校の30人学級にどういうふうにつながっていくということをお考えなのか、大臣のご見解を伺えればと思います。

大臣)
 12日の会見でも申し上げたとおりですね、今後、小学校の35人学級の計画的な実施を進める中で、改めて、学習面に限らない教育効果について、多面的な検証を行えるように地方公共団体等と連携し、実証研究を進めるとともに、国と地方の協議の場などを通じて検討を進めてまいりたいと考えております。具体的な検証内容や検証方法などについては、法案のご審議を踏まえつつ検討してまいりたいと思います。文部科学省としては、この5年間の計画の間でしっかり検証した上で、その成果を踏まえ、更なる指導体制の改善を検討してまいりたいと思います。そもそも皆さんの前で申し上げた少人数学級、私がイメージとしていたのは小中30名というものでした。様々な事情で小学校の35人の実施に留まってスタートするわけですけれど、これも自治体との連携の中で5年間の計画的な配置をしながら進めていきます。その中で、今までも少人数学級や少人数指導などは加配指導してきて、一定のエビデンスというものは蓄積があるのですけれど、今回、一律に35人という学級編制にした時に、学習面や子供たちの、まさに様々なですね、内容について、ぜひ、多方面・多角面から検証を加えてですね、その良さというものを改めて国民の皆さんにしっかり知ってもらう努力をしていきたいなと、そう思っております。すなわち、その先に「第2ステージ」を置きたいと思っています。

記者)
 冒頭、質問があった共通テストの第2日程についてですが、第1日程が始まる直前、前にですね、濃厚接触となった受験生がPCR検査をなかなか受けられないというような相談があったそうですが、その、仮に第2日程に追試として受ける場合、第2日程の直前にまた濃厚接触者となってPCR検査を受けられないとなると、テスト自体を受けられないという結果になってしまいかねない生徒が出てくるかもしれない。文科省の方では、厚生労働省を通じて保健所などにPCR検査を受けるようにという、優先的にというか、速やかに受けるようにという通知を出されていますが、もう少し、その訴えを強くして、本当に優先的に受けられるようにするべきではないかと思うんですが、大臣、そこら辺の考えをお聞かせください。

大臣)
 前回と若干フェーズが違うのは、前回は50万人近い受験者がいる中で、濃厚接触者の数っていうのが全く把握できてない中で、あちらこちらでそういう話があってですね。で、それは我々の立場からすれば、受験生優先にしてくれっていうのは、当然、厚労省とも話はするのですけれど、例えばですね、濃厚接触者に指定されてない受験生で私も不安だと言って念のためという方との区別化がなかなかできないんじゃないかという、そういうシミュレーションしたときにそういう課題が出てきました。したがって、前回は、第2日程を選んでいただくっていうことにしたのですけれど、今回は、対象者が2,500名あまりでありますから、仮にですね、この中で濃厚接触の指定をされた受験生がいるとすれば、そこは、関係する保健所と連携しながら、ぜひ速やかな対応をしていただけるようなことはできるんじゃないかと思いますし、一応、追試験の日程も更に用意してありますので、そういった柔軟な対応で受験生のサポートをしていきたいなと思っています。

記者)
 18日の菅首相の施策方針演説で、福島県に国際教育研究拠点を整備するという表明がありました。これに関して、ちょっとご所感、ちょっと分からないんですけれども、政府全体としてどのような拠点を目指していくのか、文部科学省としてどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。

大臣)
 福島浜通り地域に新設する国際教育研究拠点については、「国際教育研究拠点の整備について」において、復興庁を中心に関係省庁が参画する体制の下で、研究内容等を具体化し、具現化し、令和3年度に新拠点に関する基本構想を策定することとされています。文科省としては、福島浜通り地域等の産業基盤の構築を目指す福島イノベーション・コースト構想の実現に向けて、これまで廃炉研究や人材育成などに取り組んできており、引き続き、福島の復興創生に貢献していけるよう、新拠点の実現に向けて復興庁としっかり連携してまいりたいと思っています。具体的なイメージは、様々な社会実験ができるようなですね、そういう施設を伴う研究機関が集まってくれることが望ましいということなのですけれど、一方、ここに辿り着くまでの間は、やっぱり将来にわたって、福島で生計を立てていただくような人たちが住み着いてくれる、あるいは戻ってきてくれることが、私は、大事じゃないかなと思っていますので。あんまり、専門性高い尖った研究所を作って、外国から優秀な研究者の方を一時的に招聘できたとしても、それは、継続的にこの施設がですね、本当に福島のためになるのかってこともありますし、いやいや、やるんだったら研究は突き抜けて、尖った研究をやったほうがいいんじゃないかと、色んな意見もありますので、基本的には政府全体で方針を定めますので、その中で福島らしい、そして私が今申し上げたように、将来はですね、県の中の子供たちもそこで働くことを望んだり目指したりするような施設になるように、ブラッシュアップをしていきたいなと思っています。

記者)
 部活動の外部委託の関係で伺いたいなと思います。先日、茨城のですね、公立中学校の方で、剣道部を指導していた外部指導員が体罰を行って、全治3か月の重傷ということで逮捕されるという事案があったと思います。それで、スポーツ庁を中心にですね、部活動の休日の、部活動に関しては、外部指導にどんどん切り替えていくということで、方針、示されておりまして、これは教員の働き方改革、必要なことだというふうに思いますけれども、一方で、外部指導員だからといって例えば競技歴が豊富だからといって、こういう体罰を行うとか、子供たちを苦しめるようなことがあってはいけないと思うんですがの、この辺の、質の確保ですね、外部指導を委託していく中で、大臣、どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 重要な視点だと思います。それで、この方、外部指導員じゃないのですよね。まず、そもそもそこに大きな問題があったかなと思うのです。と言いますのは、本件事案の詳細については、今、茨城県の教育委員会に確認中なのですけれど、現時点で把握していることとして、生徒に全治3か月の怪我を負わせた者は、学校の許可を得ない状態で剣道部の指導を行っていた方なのだそうです。部活動は学校教育の一環として行われるものであり、どのような人材を外部指導者として活用するのかを含め、学校が部活動を適切に管理することは当然でありまして、学校の許可を得ず部活動の指導に当たることは適切ではないと考えております。他方、本件のようなですね、学校から許可を得ていないなどのケースは、例外として、あくまで一般論として、部活動の指導に外部指導者が携わることは生徒への専門的な指導の実現や教師の負担軽減に資する有意義なものだと考えております。あの、これ両面あってですね、こういう地方都市で、OBの方だとか自営業の方なんかでちょっと時間があって、後輩たちの指導に来てくれる人たちを無下にやっぱり断れないという地域の環境も一方ではあるのだと思うのですね。一方では、やっぱり正式な外部指導員になるのだとすれば、そういう、ある意味マニュアルなどをしっかり身に着けていただいて、現場に立っていただかなくてはならないわけでありまして、これからまさに外部の人たちにこういった指導をお願いするときに、あまりにもですね、厚意で、一生懸命ですね、サポートしてくれている父兄ですとかOBなんかの皆さんが、その中から指導者が出てくる可能性もあるわけですから、あまり厳しくルール化をするとですね、それじゃとてもできないという人が出てきてしまう心配もある一方、やっぱり生徒に接する以上はですね、教育者の一員に加わっていただく、ある意味ではですね。そういう自覚と責任を持ってもらうことも必要なので、今回の例をしっかり検証しながら、これから外部指導員のお願いをするに当たって、様々な指導方法も含めてですね、外部指導者に対する研修の徹底、また、外部指導者の適切な活用についての通知というものを、全国の教育委員会と連携してやっていきたいなと思っています。

(了)

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大臣官房総務課広報室