萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年12月21日)

令和2年12月21日(月曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

令和3年度予算案の閣議決定、授業目的公衆送信補償金制度の額の認可、環境エネルギー分野への今後の取組について、デジタル教科書の今後の在り方、コロナ禍における外部人材の教育現場への活用

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年12月21日(月曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和2年12月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年12月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは2件です。本日、令和3年度政府予算案が閣議決定されました。厳しい財政状況の中にあり、これまでもリーマンショックの後など、経済が厳しくなると常に、人や科学技術への投資が躊躇されてきましたが、こういうときこそ、未来への投資をしっかりしていこうと主張してきた結果、文部科学省としましては、教育再生、スポーツ・文化芸術、科学技術・イノベーションの振興に必要な予算を確保できたものと考えています。主な内容についてご説明します。まず、教育関係ですが、「少人数による指導体制の計画的な整備」については、大臣折衝の結果、安全・安心な教育環境とICT等の活用による新たな学びを実現するため、義務標準法を改正し、小学校について学級編制の標準を5年かけて35人に引き下げることとなりました。少人数学級の実現は、地方自治体からの要望も多く、私としても、全力で取り組んでまいりました。小さな一歩かもしれませんが、学級編制の標準の計画的な引下げについては約40年ぶりでありまして、今後5年間かけて約14,000人の教職員定数の改善を図っていく予定です。また、今年度の補正予算でも大きく拡充されましたGIGAスクール構想を更に加速するために、GIGAスクールサポーターの配置をはじめ、学習者用デジタル教科書の実証、オンライン学習システムの全国展開等を推進をします。この、少人数学級とICT活用を両輪として、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、引き続き、全力で取り組んでまいります。さらに、国立・私立大学等については、補正予算も活用し、基盤的経費も確保しながら、「新たな日常」に向けた教育研究の推進を図りつつ改革を推進します。次に、スポーツ関係です。東京オリパラ競技大会等に向けて、選手強化活動等にしっかりと取り組むとともに、「新たな日常」におけるスポーツ施策の総合的な推進及びスポーツ・レガシーの継承に取り組んでまいります。次に、文化芸術関係ですが、文化芸術の創造・発展・継承や人材の育成、文化財や伝統行事等の次世代への継承、文化資源の活用、文化施設の機能強化など、文化芸術立国の実現を目指した取組を、推進を図ります。最後に、科学技術の関係です。まず、世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンドを創設するため、今年度の3次補正予算案において計上した5,000億円のほか、財政投融資当初計画額として4兆円を盛り込むとともに、博士後期課程学生の処遇向上を目指した若手研究者支援等の推進を図ります。また、アルテミス計画を含む国際宇宙探査などの宇宙・航空分野や、北極域研究船の建造を含めた海洋・極域、環境エネルギー分野などの研究開発に着手し、着実に推進をしたいと思います。説明は以上となりますが、文科省としては、ポストコロナの「新たな日常」や「Society 5.0」を見据えながら、日本を誰にでもチャンス溢れる国へ変えていくため、引き続き、教育再生、スポーツ・文化芸術、科学技術・イノベーションの振興に全力で取り組んでまいります。
 もう1点ですけれども、先週12月18日に、学校等における教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるため、平成30年の著作権法改正により創設された授業目的公衆送信補償金制度について、令和3年度以降に適用される補償金の額が文化庁長官によって認可されました。補償金額が決定したことで、令和3年度以降、例えば、小学生1人当たり年間120円、大学生1人当たり年間720円といった金額を、教育委員会や学校法人など、学校等の設置者が指定管理団体に支払うことで、学校の先生方が個別に許諾を得て使用料を支払うことなく、インターネットを介した学生等との著作物のやり取りを自由にできるようになります。また、設置者における補償金負担を軽減するための支援については、本年4月の閣議決定に基づき、各学校種や設置者の種別ごとに、令和3年度の地方財政措置の要望や政府予算案での計上をしているところです。各設置者におかれては、これを踏まえ、必要な準備を行っていただきたいと考えております。私からは以上です。

記者)
 冒頭お話いただいた予算における新型コロナウイルス対策についてお伺いします。スクール・サポート・スタッフや学習指導員の増員など、コロナ禍でも子供たちの学びを保障するための予算が盛り込まれていると思いますが、改めて、今回の予算における学校現場のコロナ対策支援のポイントであったり、どのように活用していってほしいのか、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 今年度については、感染症対応のための純増する教員の負担を軽減し、消毒作業ですとか児童生徒の健康観察の取りまとめなどを担うスクール・サポート・スタッフや、3密を避けるための少人数グループでの指導を可能とするための学習指導員など、大規模に配置した外部人材を柔軟に活用しながら、学校において感染症対策と教育活動の両立に取り組んでいるところです。補正予算による外部人材の大規模配置によって、これまでにない多様な人材の配置が広がっています。例えば、教育実習の機会を失った学生さんが、学習指導員として長期で学校に入ることができて、学生にとっても逆に良い機会になっているという評判をいただいたり、あるいは、コロナ禍で職を失った方が前職の経験を活かして子供への学習支援を行っていること、また、アルバイト先を失った学生が外部人材として学校現場に入ることにより、教職を志す契機になったことなど副次的な効果もたくさん生まれております。今、あの、国内の航空会社で教員資格を持ったCAさんなどにも現場に入っていただいて、サポーターとして働いていただいたり、学生たちに接遇教育をしていただくようなことも企画をして、今、調整をしているところでございます。令和3年度予算案においても、これら外部人材の予算は前年度に比べて45%増の90億円を計上したところであり、特に、スクール・サポート・スタッフについては、補正予算の執行額と同等の予算規模を確保します。引き続き、多様な人材にご協力いただきながら、教員だけでなく外部人材も含め教職員全体で、学校が過大な負担なく感染症対策に取り組めるようにしっかり支援をしてまいりたいと考えています。特に、コロナの状況が続く中で、4月からはGIGAスクールという新しいスタイルの学校がスタートしますので、こういった人たちには引き続き現場に入っていただいてですね、しっかり確立をしていきたいなと思っております。

記者)
 予算の関連でお聞きします。今回、当初予算と補正、三次予算を含めて、環境エネルギー分野で約400億円弱を計上されています。今、米国のバイデン政権が環境エネルギーの政策重視の、政策を掲げていて、日本でも同じような動きがあります。文科省として、21年以降、環境エネルギー分野への取組を教えてください。

大臣)
 バイデン政権ってまだスタートしていないから、あの、民主党の政権構想の中にそういうことがあるってことでいいですか。
 コロナ危機からの復興を気候変動や環境に配慮したものにするという「グリーンリカバリー」の動きが世界で加速するなど、環境エネルギー分野における国内外の関心は高まっていると思います。特に、2050年の脱炭素社会の実現という目標の達成は、我が国が総力を上げて取り組まなければいけない喫緊の課題であり、文科省としては、今までの、従来の延長線上にはない脱炭素技術の開発など、基礎・基盤的研究に取り組んでまいらなくてはならないという問題意識を持っています。具体的には、全ての政策の基盤となる気候変動に関する予測情報の創出や、次世代蓄電池、それから、大幅な省エネを可能とする革新的なパワーエレクトロニクス技術、水素製造をはじめとした多様な熱利用につながる高温ガス炉、核融合エネルギー技術などの研究開発などを推進してまいります。今後とも、関係省庁と連携しつつですね、脱炭素社会の実現に向けた研究開発等の取組を一層推進してまいりたいと思います。

記者)
 予算の関連で、デジタル教科書については、内容を来年度から実証・研究するとなると、2分の1の規制はやはり撤廃するしかないのかなと思うんですが、大臣、そこのお考えはどうでしょうか。

大臣)
 まず、学習者用のデジタル教科書は、令和元年度より紙の教科書に代えて使用できるようになりましたが、ICT環境整備の状況や無償供与でないことを理由に学校現場において導入が今まで進みませんでした。一方、GIGAスクール構想によって、来年4月から1人1台端末環境が実現することを踏まえて、有識者会議において、今、デジタル教科書の今後の在り方についての検討を大急ぎでやっていただいております。デジタル教科書の整備・活用を図りつつ、デジタル教科書を学校現場において広く活用していただき、実証を行う必要があります。このため、令和3年度においては、全国の小中学校等にデジタル教科書を提供することによる普及促進に向けた実証と、デジタル教科書のクラウド配信に関するフィージビリティの検証、それから、デジタル教科書の使用による教育上の効果・影響などを把握・検証するための実証研究を、一気にどんとやっていきたいと思います。直ちにですね、2分の1の全撤廃ということが果たして現場に馴染むかどうかってのは、今、有識者の皆さんに色々検討していただいていますので、目指す方向としては、緩和をしていくのは望ましいと私も思いますけれど、まだその、世の中的に、そんなにデジタル教科書を使って授業をやったという結果の実証がございませんので、来年はまず数を増やして、しっかりその数字を見ながら、最終的な方向は有識者の会議のご意見をいただきながら決めていきたいなと思っています。

記者)
 先ほどの冒頭発言でありました教育現場における外部人材の活用で、航空会社の方、活用というお話ありました。もう少し詳しく、現在の検討状況、今後の展開、教えてください。

大臣)
 まだ、詳しくは決まっていないのですけれど、このコロナ禍で民間の企業の皆さんも大変な思いしていて、そういう中で、本来の職業以外のところに出向を目指してる企業の色んなお話がありましたので、文科省としてできることは何なのかということを色々考えた末ですね、人事担当者の方と、今、調整しています。例えば、さっき例に出したのは、CAの中にもですね、小学校や中学校の教員資格を持っている方や、あるいは幼稚園の教諭の資格を持っている方もいらっしゃって、一定期間出向という形で現場に入っていただくことで、会社側も少しコロナが収まって、また再びそういう人たちを呼び戻すことができる期間まで、雇用を継続するための一つの支援策として、そういうことを、文科省としてもできることを考えていこうということで、今、取組をしています。合わせて、せっかくの機会ですから、例えば、今年残念ながら思うような就職ができなくてですね、言うならば、アルバイトで就職浪人をつなごうっていう学生さんの新卒者に対して、こういった学校のですね、現場の指導員などで教育現場に入っていただくことも、今、促しております。必ずしも教職の資格を持ってない人もきっといると思うのですけど、逆に、教育現場に入っていただくことで、教員を目指すきっかけにもしなっていただけるんだとすればですね、例えば、通信教育で不足をする単位を取っていただいて、教員を、その3年間新卒扱いをしていただけますから、この間に逆に学んでいただいて、資格を取っていただいて、今まで考えてみなかった教員という職業を目指していただくことも一つの方法じゃないかなと思って、あの、こういうコロナの時代なので、色んな可能性を、文科省ですって言って小さくまとまらないでですね、霞が関でも色んな職業で一時的に応援できることがあると思うので、お互いに、官民協力しながら頑張っていこうと思っている、1つの例として申し上げたところです。

(了)

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