萩生田光一文部科学大臣記者会見録-予算-(令和2年12月17日)

令和2年12月17日(木曜日)
教育

キーワード

少人数学級

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年12月17日(木曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和2年12月17日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年12月17日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 令和3年度予算について、本日、財務大臣と折衝を行いました。少人数によるきめ細かな指導体制を計画的に整備し、安全・安心な教育環境とICT等の活用による新たな学びを実現するため、義務標準法を改正し、小学校について、学級編制の標準を5年かけて35人に引き下げることといたしました。必要となる教職員定数の計画的な改善を図ることについてご了承をいただいたところです。少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備については、安倍内閣の下で議論が始まり、菅内閣の下で計画的に実現していくことが決まりました。まさに、菅内閣の教育改革の第一歩であります。学級編制の標準の計画的な引下げについては約40年ぶりでありますが、今後5年間かけて、約14,000人の教職員定数の改善を図っていく予定です。計画的な改善に当たっては、学級編制の標準を引き下げるため、次期通常国会に向けて必要な法改正の準備をするとともに、教室不足への対応などを各自治体の実情に応じて柔軟な対応ができるよう、必要な措置の検討を進めてまいります。また、教職員定数の適正な管理や新たな学びを支える優秀な人材の確保のための取組について、国と地方が連携し、定期的に検証・改善を図るための協議の場を設けたいと考えています。文部科学省としては、このコロナ禍でこれまでとは全く異なる形で学びを経験している子供たち、そして使命感を持って日々の教育活動と感染症対応に取り組んでくださっている先生方に寄り添いつつ、ICTの活用と少人数学級を両輪として、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、引き続き、全力で取り組んでまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 今回の措置によって、学校現場で具体的にどのような効果・影響があるかというところ。もう1点、大臣は、かねてから、30人学級、中学校も含めた引下げというのをおっしゃっておられましたが、その点について、今後、どのようにお考えになっているのかお願いします。

大臣)
 まず、現場としましては、当然のことながら、何時ぞや記者会見でもお話しましたけども、35人学級ということになると5×7=35という教室のフォーメーションが最大で行われることになりますので、一定間隔を得た環境の整備ができると思っています。そして、来年4月から始まるGIGAスクール構想と相まって、一人ひとりの先生方ができるだけ児童生徒と向き合う時間を増やすことができる新たな教育がスタートすると思います。誰一人取り残さないという大きなテーマに向かって、後れを取ってしまいそうな子供たちにはフォローアップをする、前に進みたい子供たちには更なる課題を与えていく。こういったですね、機動的な授業を展開しながら、子供たちの学力アップにもつながっていくと信じております。後段の30人学級は、数字を言うのはどうしようかなとずっと悩んでいたのですけれど、自分を奮い立たせる意味もあって、途中から、小中30人という大きな目標を掲げました。率直に申し上げて、隣の建物の壁は高かったなというのが正直な感想でございますが、しかし、この間、全国の皆さんからも様々な必要性に対して大きな声をいただいて、そして、小さな一歩かもしれませんが、小学校全学年で35人という新たなスタイルを作ることができました。決してこれで終わりではなくてですね、第2ステージに向けて、引き続き、努力をしていきたいと、強く、今日言うと色々また隣から話があるかもしれませんので、まずは、この35人学級を充実したものにして、教員の皆さんの働き方も変えながらですね、なるほどこれは良かったということを5年間でしっかり検証した上でですね、必要に応じた更なる改善・改革を進めていきたいなと、そう思っています。

記者)
 文科省としてはですね、中学校についても、引き続き、標準の引き下げというのを考えていきたいと、そういうことでよろしいんでしょうか。

大臣)
 必要性に、変更は全くないと、私、思っています。残念ながら、限られた時間の中で、今回はこういう結果になりましたけれども、引き続きですね、中学校においても少人数学級の必要性はあると思っていますので、そういった努力を続けていきたいと思っています。

記者)
 長丁場の折衝、大変お疲れ様でした。ありがとうございます。今のお話伺いますと、現状の加配定数を当面は基礎定数に入れるということになりますと、残念ながら、教員の定数が、人数が、児童生徒が進んでいくペースと同じように、段々減っていってしまうと。そういう、教員がこれからも減っていく、そこに歯止めをかけるということは、残念ながら、今回できなかったかと思うんですけども、そこのところのお考え方を1つ伺いたいところが、1つあります。もう1つ、一方で、基礎定数が増えれば、自治体は計画的な採用が可能になると思うので、今後ですね、そういう意味でも、定数改善計画を作っていらっしゃるお考えはあるかどうか、この点についてもお聞かせください。

大臣)
 まず、必要となる財源については、いわゆる自然減ですとか、現在小学校の35人学級の実施に既に活用されている国の加配定数の一部の振替などによって財源確保をしながら、追加的財政負担ができる限り生じないような計画的な改善を進めたいと考えております。少人数学級の加配定数については、7,500人程度活用されておりまして、そのうち中学校や小学校の34人学級での活用を考慮し、3,000人分を振り替えることとしております。そのほか、少子化による自然減の状況を踏まえて、毎年度必要な財源を確保してまいりたいと思いますが、今、ご指摘がありましたように、この35人ということが明確になりましたので、しかも、5年間計画的にということなので、先ほど、冒頭のご挨拶でも申し上げました、国と地方の協議の場をきちんと作りながらですね、各都道府県には計画的な新規採用というものをきちんとしていただきたいなと思っております。したがって、世の中はですね、例えば、10年前は特別支援にこれだけの人員が必要かということは想定できなかったわけですから、5年間という一定の計画の中で、必要な人材についてはしっかり確保していくことは怠りなくやっていきたいと思いますので、あらかじめ全く教員を増やさないんだということを決打ちをするんじゃなくてですね、必要なところには必要な人を充てていきたいと思っていますし、また同時に、この間、働き方改革で、例えばスクールサポーターですとかICTの指導員などのように、教員以外の人材で学校現場の色んな隙間を埋める人材を配置をしてきました。来年度、3年度予算でも、これはもう倍増していこうと思っていまして、そういった教員が子供たちと向き合う時間をしっかり作っていくことで、計画的な人事配置で、私は成果を出すことができると思っていますし、また、その努力を地方の皆さんと一緒にやらなきゃならないと思っていますので、最初からそんな悲観的なお話はしないで、ぜひ、見守っていただきたいなと思っています。

記者)
 1つだけフォローアップさせてください。計画的に配置をしていくことで、学校現場では、今、非正規の先生が増えているという状態がありますけども、この計画的な配置が可能になってくることによって、非正規の先生が増えていくという状況に対して何かしらの効果とか影響があるとお考えでしょうか。

大臣)
 必ずしも非正規を前提にしていません。私たち、今回の改革はですね、もちろん、第一には子供たちの教育環境を整えたいということなのですけれど、やっぱりご案内の通り、教員志願者が非常に減っている現状を考えますと、こういう様々な取組のトータルを見ていただいて、改めて、魅力ある教育現場だということを、教職を目指す人たちにアピールしていくことも極めて効果的・有効であるというふうに思っていますので、ぜひ、非正規で留めるのではなくてですね、正規の職員をきちんと配置をしていくということに心がけていきたいと思います。ただ、都道府県・市町村によって色々事情は違いますので、止むを得ず、非正規で、1人分の人件費で2人を配置したいという学校などもあることは否定しませんけれど、そこは、基本的には、腰を据えてしっかり子供たちと向き合える先生方を1人でも増やしていくということをきちんとやっていきたいと思っています。

記者)
 ちょっと確認させていただきたいんですけれども、こちらにある通り、来年度は、小2に関しては35人学級、これは加配定数があるので、それを基礎に振り替えるということだと思うんですが、その令和4年度以降のところに関してはどうなんでしょうか。加配の振替があるのか、それから基礎定数の純増があるのか、その辺りいかがでしょうか。

大臣)
 さっきちょっと申し上げたように、少人数学級の加配定数は、7,500人程度活用されています、現在。そのうち中学校や小学校の34人以下学級での活用を考慮して、3,000人を順次振り替えていくということを考えておりまして、少子化による自然減などの状況を踏まえて、毎年度必要な財源をきちんと確保していきたいと思いますので、そこはお含みいただいてですね、しっかり前に進んでいきたいなと思っています。

記者)
 検証の場も設けられるということで、学びの質を高めていかなきゃいけないと、これは財務省から求めていることだと思うんですが。そうなってくると、重要なのは教員の養成といいますか、質の高い教員の確保だと思うんですけれども、その辺り、特に小学校はですね、採用倍率がかなり厳しいことになっていますが、何か施策をお考えでしょうか。

大臣)
 教師は子供たちの人生を変えるくらい価値のある職業だということを、機会ある毎に申し上げてまいりました。学校教育の成否は、教師の資質能力にかかってくると思います。定数改善計画を進める中にあっても、同時に教師の質を確保できるように、文部科学省としても、現職段階では、ICTも活用し「令和の日本型学校教育」に対応した研修の徹底をしてまいりたいと思いますし、養成段階では、ICTに特化した科目新設などの教職課程の見直しを進めていきたいと思います。採用段階では、特別免許状の活用などによる社会人などの多様な人材の活用の促進も併せて考えていきたいと思っていまして、養成と採用と研修を一体的に改革をしていく。その取組をさらに深化させ、加速をさせていきたいなと思っています。併せて、学校における働き方改革や教育環境の改善を通じて、教職の魅力の向上を図ることによって、現職教師の離職率の低下になんとか歯止めをかけたいと思っています。教職志願者数の増加にもつなげていければというふうに思っておりまして、先ほど申し上げたように、パッケージで、正に、日本の学校現場変わりますよということを世の中にしっかり発信をしてですね、教職を目指す人たちを増やしていきたい。そして、その研修もですね、今までのようにどこかに集まって講義を受けるみたいな、言うならば、今までの研修に囚われずにですね、折角、ICT環境が整うわけですから、いつでもどこでもですね、やっぱりその、研修が可能になるような、そういう制度もしっかり取り入れていきたいなと思っています。冒頭、ご指摘のあった、国と地方についても大事なことでありまして、率直に申し上げて、地方自治体の中には、言うならば、少し逸脱をした人事配置などをしている自治体があることを財務当局からも指摘をされました。そこは否めない部分もあるし、もっと調べるとやむを得ない事情も、もしかしたらあるのかもしれないんですけれど、そういう、1つの自治体でもそういう、言うならば不適切な人事配置などがあると、結果的に全国の皆さんにご迷惑をかけちゃうので、ここは知事会や市町村会の皆さんともしっかり、課題を共有してですね、適切な配置をお互いに心がけていくという努力をしながら、限られた人数で、最大の効果があげられる公教育を目指していきたいなと思っています。

(了)

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