萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年12月8日)

令和2年12月8日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

小惑星探査機「はやぶさ2」カプセルの日本到着、新型コロナウイルスと大学における対面・オンライン授業の実態、公立中学校での新型コロナウイルス集団感染、公立小学校教員によるいじめアンケート改ざんに関する報道、コロナ禍における登校について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年12月8日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年12月8日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年12月8日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から1件ございます。本日の閣議で報告しましたが、小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが、6日未明にオーストラリアのウーメラ砂漠に着陸し、無事回収され、今朝、日本に到着をしました。先ほど、JAXAの相模原にカプセルが到着をしたと報告を受けたところでございます。「リュウグウ」から人類への玉手箱と言えるカプセルには、太陽系初期の痕跡が残る小惑星の地下のサンプルも含まれているとみられ、初代「はやぶさ」が持ち帰った「イトカワ」のサンプル等との比較分析により、太陽系の初期の歴史の解明に貢献することが期待されます。さらに「はやぶさ2」は、休む間もなく新たに約11年・100億kmの小惑星探査の旅に出発をしました。これは、「はやぶさ」初号機以来の関係者の努力による技術進歩の結果、トラブルなく省エネ飛行ができたためであり、宇宙探査の新たな扉を開く快挙だと考えております。新たな探査への挑戦が、コロナ禍の多くの国民に感動を与え、子供たちの科学への関心を育む機会になることを期待をしております。私からは以上です。

記者)
 1点伺います。大学の対面授業の関係です。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、感染拡大地域にある大学での対面授業や、それに伴う学生の活動による感染リスクを懸念する声が専門家からは上がっています。文科省は、対面授業が少ない大学を公表する方針ですが、感染拡大地域にある大学については違う対応を取るなどのお考えはないのでしょうか、よろしくお願いします。

大臣)
 大学における授業の在り方については、学生や保護者などからも多数のお問合せをいただいており、対面授業が十分に実施されていないことなどについて、特に、今年度新たに入学した1年生などから、多くの疑問の声が寄せられているところです。これまでもお話をしておりますが、コロナ禍にあってもですね、質の高い学修機会を確保することは、大学等の高等教育機関の使命であり、感染対策を講じつつ、学生が納得する対応・工夫をしっかりと行っていくことが今まさに求められていると考えています。感染リスクに関して懸念を持つ大学の声があることも承知していますが、大学における感染の事例は、授業ではなく、むしろ課外・学外での活動によるものが多く、文部科学省としても、厚生労働省など関係省庁と連携して、感染リスクが高い、いわゆる「5つの場面」への注意喚起や、自治体と連携した学生への周知啓発などを各大学等に要請しているところです。また、感染対策の措置を十分に講じながら、対面授業の実施など学生の学修機会を確保するための工夫を行っている大学も数多くございます。こういった例を元にですね、文部科学省では、それらの情報の収集・発信を行いつつ、感染対策の留意事項をお示ししており、引き続き、各大学において必要となる情報提供などに努めてまいりたいと思います。

記者)
 埼玉県の川越市で、中学校で35人という一番大きなクラスターが発生した件で伺います。まず、この最大級のクラスターが発生したことに対する受止めを伺いたいというのが1つ、もう1つは、衛生管理マニュアルとの関係なんですけれども、衛生管理マニュアルは非常に、感染状況に応じてレベル1からレベル3まで、非常に細かく設定していますけれども、実際の学校現場では、中々、最近のように第3波と言われるように感染が広がっている状況がある中でもずっとレベル1は状態のまま対応しているということもあるようで、今回も練習中にマスクをしてないでですね、合唱の演唱をした結果、こういう感染が広がったのではないかという指摘、実際、教育委員会の調べではそういう話も伺っております。衛生管理マニュアルがあるのに、実際には、中々弾力的な運用ができていないのではないかという印象も受けるんですけれども、感染が広がる中で、大臣から改めて学校現場に伝えたいことがあったらお聞かせください。

大臣)
 川越市の中学校で生徒と教員あわせて30名以上の集団感染が発生したことは承知しています。川越市の教育委員会からは、今回の感染がどのような状況で広がったのかについて、現在調査中と伺っておりますが、一部報道にあるとおり、同校の合唱の練習に際してマスクを外す場面もあったと聞いております。こういった状況を踏まえて、本日、文科省から、合唱など感染リスクの高い活動について、改めて注意を促す通知を各学校の設置者に発出をする予定です。地域の感染レベルについては、文科省から示している衛生管理マニュアルを参考に、地域のまん延状況なども踏まえ、学校の設置者において適切にご判断いただきたいと考えております。その上で、各学校において、地域の感染拡大状況に応じ、感染リスクの高い活動については、活動内容の変更、中止などの措置を講じていただくよう、引き続き、お願いしたいと思います。本日発出予定の通知については、内容が確定次第、記者の皆さんにもお配りしたいと思います。

記者)
 1つ追加でフォローアップさせてください。その、合唱の練習というのは、結局、コンクールが開かれるので、コンクールのために色んな練習が行われたということなんですけれども、こういう大会の、コンクール等の開催についてのお考えについてはいかがでしょうか。

大臣)
 かねてから申し上げていますように、かけがえのない学校行事、コロナで多く奪われている状況にあると思います。この学校でもですね、例えば、練習で、一人一人の間を空けてマスクをしたままの練習をするような対応をしていれば、もしかするとこういう事態は避けられたのかもしれないと思いますので。リスクがあるから学校行事を全て止めろということを文科省が発信すると、これはまた間違ったメッセージになると思います。年度末に向けて、学校現場の先生方、少しでもね、子供たちの思い出に残るイベント・行事というのをやって差し上げたいということで様々な工夫や努力をしていただいていると思いますので、そこは、逆に応援したいと思います。ただ、結果としてこういうことになってしまっては不幸な話になってしまいますので、感染マニュアルをよく徹底していただいてですね、できる限り、感染防止に配慮しながら様々な対応をしていただくことが望ましいと思いますので、一律に、感染リスクがある合唱コンクールは全国一斉に中止をするべきだなどということを発信するつもりはないのですけれど、ぜひ、気を付けてやってもらいたいなと思います。

記者)
 昨日、発表になりました仙台市の小学校においてですね、いじめのアンケート、改ざんしていたという件に関して、ちょっとご所感を伺いたいなと思います。あの、改ざんしたのはですね、常勤講師と言われる、担任をもちながら非正規で任用期間のある先生だったと。もちろん、文部科学省としては、いじめのアンケートでですね、きちんといじめを把握するようにと指導されているところでしょうから、これ、許されないことだと思うんですが、一方で、その、非正規の先生ということで、教育委員会の事情聴取に対して、評価が下がるのが非常に怖かったというようなことをおっしゃっておられると。よく一般に言われるのが、非正規の先生は、自分が雇止めになるかもしれないというリスクでですね、なかなか職場で声を上げられないとか、評価を気にしてしまうという点があるというふうに言われていますけれども、今回の問題に関して、非正規教員の待遇というところも含めて、大臣、どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 まず、ご指摘の仙台市の事案については、報道で承知をしております。文科省としては、現在、仙台市に事実関係の確認などを行っているところであり、引き続き、状況の把握等に努めるとともに、必要に応じて指導・助言を行ってまいりたいと思います。本件ということじゃなくて一般論としてですね、非常勤の講師の皆さんが、正規の教員を目指している場合と非常勤のまま一定期間働きたい場合と、両方あると思うのですけれど、教壇に立つという意味ではですね、非常勤であっても正規の職員であってもその責任は同じだと思います。そういう自覚は持って頑張っていただきたいと思いますが、一方ですね、そういう期限を切って雇用されているということで、もし、そういう人たちが不安に思って、こういう対応で、言うならば、間違った報告などをすることがあるとすれば、それは極めて残念なことですし、その先生だけの責任ではないと思いますので、私は、これはもうまさに非常勤ですから、そういう意味では、現場に立っていながらですね、自分自身も向上の途中だと思います。大いに、指導主任などにきちんと相談をしてですね、正しく、問題が発生したとしても、こういういじめに限らずですね、正しく報告していただくことが大事だと思いますし、それをもって直ちにその人の評価に直結するというふうに私は思いませんので、そこは自信をもって頑張っていただきたいなと思います。

記者)
 すみません、1点だけ伺いたいんですが、今、教壇に立つ以上は責任は同じだというふうにおっしゃられて、私もそう思うんですね。一方で、責任が同じ人に対して、待遇とか給与とかが著しく差があるということが不合理だとおっしゃる方がいらっしゃるんですけれど、この点はいかがお考えでしょうか。

大臣)
 それは、非常勤と常勤とそういう仕組みがある以上は、給与面で差があるのは事実なのですけれど、今申し上げたように、その方がですね、非常勤の経験を経て常勤の教員を目指すということであれば、そこは、その人にとってキャリアアップのプロセスだと思いますので、そこは頑張っていただきたいなと思います。直ちに同じ採用ということであれば、正規の教員を増やすのと同じことになってしまうので、残念ながら、そういう仕組みは、残念ながら持っておりませんので、そこはご理解いただきたいなと思います。教員不足ですからね、それはもう、ぜひ、志のある人たちは、正規教員目指して頑張ってほしいと思いますので、あの、ぜひ、前向きに努力してほしいなと思います。

記者)
 幹事社さんの質問に関連して1点お伺いしたいんですけれども。大学対面授業の割合が半分未満の大学名の公表についてなんですけれど、こちら、当初は11月上旬ということだったんですけども、結構延びていますけれども、目処はいつぐらいになるのかということと、今現在、コロナの感染拡大が続いて、対面をオンラインに切り替えるという、むしろ後退と言うとあれですけども、そういったケースも出ていますけども、この今の状況で、対面授業の割合を文科省が公表される意味合いについて、改めてお伺いできませんでしょうか。

大臣)
 ちょっとこの間、色々経緯があったのはご承知だと思います。大学の関係者とも話合いをしてきました。新学期当初、後期の新学期当初はですね、コロナが非常に少し落ち着いていった状況の中で、しかし、前期の授業からオンライン一辺倒だという大学の皆さんからですね、学生の不安の声が上がっていたので、そこは寄り添って色んな工夫をして対面をしてもらいたいということを申入れをしました。その後、改善をされた大学もありますし、今ご指摘のように、この年末に向かって少し、第3波で、状況が上がってきていますので、ここへきて逆に、対面でやっていた授業をオンラインに変えるという大学も出てきました。当初、私が公表したのは、別に対面をやれということのプレッシャーで公表すると言ったんじゃなくて、高校3年生たちがですね、それぞれの大学がどういう状況で授業をやっているのかが分からないと。そういう情報提供の責任も文科省としてはあるだろうという判断の中で各大学にアンケートを取ったのですけれど、大学の懇談会の中でも、名前の公表は避けて欲しいという要請もございました。それはなぜなんですかと言ったら、大学側が、誤解をされると一方的にレッテル貼りをされる可能性があるということだったので、それぞれの大学がどういう取組をしていて、結果として、例えば、オンラインをこれだけの比重でやっているとか、対面を避けている理由はこういうことなのだということも含めて、じゃあ丁寧にヒアリングをしましょうということで、今、作業を続けているというふうに承知をしておりますので、あの、いずれかの機会に公表したいと思います。ただその、5割以下にと言うと何となくですね、非常に、5割以下はけしからんというメッセージになるといけないと思いますので、比率じゃなくて、できあがった資料について、例えば、全て公表することも含めてですね、大学生の進路先を決定する上での参考にしていただく1つのツールとしては有効なのではないかなと思います。各大学も、それぞれ自信を持ってオンライン授業をやっているのだとすれば、誤解を解く機会にもなるんじゃないかと思いますので、そういうことで大学とも寄り添いながら対応を考えていきたいと思っています。時期については、ちょっとまだ報告がきていません。

記者)
 ここのところ第3波ということで、感染者が増えています。10月2日にですね、台東区議会で感染への不安から学校を自主的に休校すると、お休みするということを選んだ家庭への相談機関設立を求める陳情が趣旨採択されました。台東区では、生活指導相談学級というもので、自主休校者の受入れをしているほか、寝屋川市では不安な家庭、感染の観点から不安な家庭には、登校選択制ということで、自宅でのオンライン授業等を選べるとのことですが、国として、今後こういった自主休校ですとか登校選択制に関して、何らかの取組をされる考えはありますでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 義務教育は、原則、対面・登校ということが望ましいと思いますが、感染状況、地域によって異なりますので、設置者の判断で柔軟にそういう対応をすることは、それぞれの責任でよろしいと私も思います。台東区の服部区長は、例えば、持病をお持ちのお子さんなどで、少し心配でですね、この際、本当は学校に行きたいのだけれども、しばらくの間、オンライン授業を許してもらいたいというそういう陳情を受けてそのような対応をしたと聞いてますし、福岡の高島市長などは、やっぱりあの、この際、3月までの間はですね、ご家庭の事情やお子さんの健康状況によって、登校が心配だというお子さんに関してはそういった判断をしたとしても休校扱いしないということを、それぞれ設置者の判断で決めておりますので、私は、そういう柔軟な対応でよろしいかと思います。あの、文科省として一律にですね、選択制でいいですよと言うと、これもまた間違ったメッセージになると思いますので、基本的には冒頭申し上げたように、登校していただいて対面が原則なんですけれど、それぞれ、地域やお子さんの健康状態もあるでしょうから、そこは、柔軟な対応を設置者の方で判断していただきたいと思っています。

(了)

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