萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年12月4日)

令和2年12月4日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

キーワード

小惑星探査機「はやぶさ2」カプセルの地球帰還、第19回FINA世界水泳選手権2022福岡大会及び第19回FINA世界マスターズ水泳選手権2022九州大会、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル、新型転換炉原型炉「ふげん」の使用済燃料の取扱いについて、高等学校における情報端末の整備、北海道大学前総長による提訴の報道について、わいせつ行為に及んだ教員と個人情報保護について、わいせつ行為による教員の免許失効情報が官報未掲載だった件について、児童生徒に対してわいせつ行為に及んだ教員への厳正な対応について、医学部入試にかかる情報開示

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年12月4日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年12月4日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年12月4日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 遅くなってすみませんでした。
 冒頭、私から3件ございます。まず、いよいよ明日ですね、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球近傍でカプセルを分離し、6日の未明にはカプセルがオーストラリアに着陸する予定です。小惑星への2回の着陸成功など着実な成果をあげてきた「はやぶさ2」は、カプセルの分離が無事成功した場合、気の毒ですけれど、10年かけて新たな小惑星の探査に向かいます。「はやぶさ2」にとってカプセルを無事地球に届けることは、6年52億kmにおよぶ宇宙の旅の最重要ミッションであり、大きな期待を持って見守りたいと思います。また、新たな探査への挑戦が、多くの国民に感動を与え、子供たちの科学への関心を育む機会になることを期待をしております。
 2つ目ですが、本日の閣議におきまして、令和4年に福岡市等で開催される「第19回FINA世界水泳選手権2022福岡大会」及び「第19回FINA世界マスターズ水泳選手権2022九州大会」について、政府として協力する旨の了解をいただきました。両大会は、国際水泳連盟の主催により2年に一度開催される水泳の世界大会であり、連続して一体的に開催される大規模な国際競技大会です。こうした大会が我が国で開催されることは、国際親善やスポーツの振興はもとより、スポーツツーリズムによる地域の活性化等に大きな意義を有するものであることから、政府としても、両大会の成功に向け必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、昨日、学校向けに作成している衛生管理マニュアルを改訂し、各学校や教育委員会等に周知をいたしました。現在、国内の感染者数の増加に伴い、学校関係の感染者数も増加していますが、大半は感染者が1人にとどまっており、学校から地域への感染拡大につながった事例は確認されていません。これは、各学校において、日々感染拡大の防止に教職員の皆様が大変なご努力をいただいていることが大きいと考えており、そのご尽力に感謝するとともに、引き続き、感染拡大防止の取組を継続していただきたいと考えています。今回のマニュアル改訂においては、学校関係者の感染状況も踏まえ、臨時休業の考え方を見直しました。臨時休業は、基本的には地方自治体の学校設置者において判断すべきことですが、地域一斉の臨時休業は、当該地域の社会経済活動全体を停止するような場合に採る措置でありまして、学校のみを休業とすることは、児童生徒の学びの保障や心身への影響の観点から避けるべきであることを明記しました。また、学校で感染者が発生した場合に直ちに臨時休業を行うのではなく、感染した児童生徒や濃厚接触者を出席停止とした上で、臨時休業を行う必要があるかどうかを保健所等々と相談して判断することとしています。さらに、今後も換気の徹底が大切であることから、常時換気の方法や換気設備の活用、地域の気候に応じた換気方法など、冬季に向けての必要な留意点を加えさせていただきました。文部科学省でも、随時、教育委員会等からのご相談に応じてまいりますので、必要があれば担当部局へご連絡いただきたいと考えております。私からは以上です。

記者)
 「ふげん」の使用済核燃料の再処理の関連なんですが、先日の行政レビューで厳しい指摘がなされましたが、1日の河野大臣の記者会見で、海外再処理という文科省の方針を了承する旨を示されました。改めまして受止めの方をお願いいたします。

大臣)
 今般の秋のレビューにおける「ふげん」の使用済燃料の取扱いに関する指摘について、事務方から河野大臣に説明を行い、理解を得ることができたという報告を受けています。文科省としては、令和8年度までに使用済燃料を県外に搬出するという地元との約束を誠実に履行できるよう、引き続き、必要な対応をとってまいりたいと思います。河野大臣も、党にいるときには非常に厳しい指摘を色々していましたけど、私、記者会見で申し上げた通り、現段階で考え得るベストの方法を考えたということを改めて丁寧に説明してご理解をいただいたと思っております。

記者)
 10月30日に自民党が経済対策としてまとめた提言と高校の1人1台端末の整備について伺いたいと思います。提言の中では、高校の1人1台端末を、第三次補正を念頭にですね、取り組んではどうかという提言になっております。この問題については、大臣、これまで普通科と専科の違いなどによるご説明いただいていますけれども、この提言を受けまして、三次補正の取組として、高校の1人1台端末の整備をどういうふうにお考えなのかお聞かせください。

大臣)
 以前から申し上げていますように、高等学校におけるICTの環境整備に向けては、多様な実態がございます。もう既に、例えば、私立学校などで入学時に指定されたメーカーのものを購入しているものもあれば、地財措置を有効に使ってですね、公立高校などで着実に台数を増やし、また、それに加えて、県単独で補助をして1人1台を完成している自治体もありますので、小学校中学校とは若干状況が違うということは、前から申し上げたところでございます。もちろん、せっかく小中でGIGAがスタートするわけですから、シームレスで高校に移行できるのが一番望ましいと思っていますから、将来的には、1人1台の環境というのを整備していく必要があるというふうに認識しておりますが、多様な実態に合わせてですね、補正予算ではその対応をしていきたいなというふうに思っておりますので、繰り返しになりますけれども、同じスペックのものを1台ずつ配るということを考えているわけではありません。

記者)
 すみません、1つ確認させてください。今のお話で、補正予算では多様な実態に対応するということは、補正予算で、今これからまとめる三次補正で、その問題について取り組むというお考えでよろしいのか伺えますか。

大臣)
 補正予算・年度当初予算関わらず、積極的に整備を進めていきたいと思います。

記者)
 北海道大学のですね、名和前学長が、国と北大を相手取って提訴するという発表をなされました。特に、文科省が認定した28件の解任理由について、全て事実誤認であるというふうに訴えています。これについて受止めを教えてください。

大臣)
 一部、そういった報道は承知していますけれど、現段階で訴状などを受け取っておりませんので、詳細は承知をしておりません。この場合でのコメントは差し控えさせていただきたいなと思います。

記者)
 28件の理由についても、これは正しいというふうに認識されていますか。

大臣)
 処分理由ですか。それは、省内できちんと確認をして大学とも調整の結果なので、間違いはないと思います。

記者)
 わいせつ教員の対応についてお伺いします。例えば、あの、ある教育委員会が、採用の際に採りたい教員が懲戒処分、わいせつ行為での懲戒処分を受けたかどうか、以前所属していた教育委員会に問い合わせたとした際に、問合せ先の自治体の個人情報保護条例の書きぶりでは提供できないケースも予想されるというお話がありました。どの自治体でも同じように提供されるというのが望ましいと思いますが、文科省としてのお考えをお聞かせください。

大臣)
 望ましいと思います。仮定の質問ですから、情報提供しないということが各自治体で決まっているわけでもありませんので。初めて40年に延期をしました、その目的は、過去のわいせつ教員の皆さんを教壇に安易に立たすことはしないという強いメッセージは、各自治体、共有していると思いますので、あらかじめ協力しないであろうという前提の質問をされても、そこにはお答えをしづらいところがございます。ぜひ、この、言うならトレンドをですね、各自治体と共有して、皆さんできちんと情報交換をしていただける体制をとっていきたいと思っています。

記者)
 私もわいせつ教員の問題で質問します。沖縄県教育委員会が、2014年にわいせつ行為で懲戒免職とした教員の免許失効情報を官報に公告していなかったことが分かりました。沖縄県では、他にも複数あり、他県の状況も危惧されます。文科省では官報情報検索ツールを拡充しますが、そもそも未掲載なら検索できず、ツールの信用性にも影響します。大臣の所感をお聞かせください。

大臣)
 その通りだと思います。沖縄県の教育委員会が当該手続を行っていなかったことは誠に遺憾だと思います。沖縄県教育委員会に対して、速やかに官報告示を行うよう指導するとともに、懲戒免職処分等により免許状が失効した場合の免許の返納手続や官報告示の手続について、先月30日に、改めて、各都道府県教育委員会に周知をさせていただきました。せっかくツールを作りましたので、有効性を確保するためにも、今後、こうした事案が生じないようにですね、制度の周知徹底に努めてまいりたいと思います。

記者)
 関連して、この問題をめぐっては、わいせつ行為を受けた女子生徒がその1年後に自ら命を絶っていたことが分かりました。こうした深刻な事案をどのように受け止められたかということについて、また、併せて法改正を含めた対策の検討状況についてもお聞かせください。

大臣)
 過去の事案でありまして、これまでの経緯について、私、詳しく承知をしていませんので軽々なコメントは避けたいと思いますけども、少なくともそのことがきっかけでですね、一人の生徒が命を絶ったということは大変残念なことでありますし、ご冥福をお祈りしたいと思います。が、しかし、こういうことが今後ないようにですね、40年間のツールの閲覧という新しい仕組みを作りましたけれども、繰り返し申し上げているように、法律をもってきちんと規制する必要があると思っています。現在、関係各省庁とも連携をとりながら準備をしておりますけれども、前から申し上げているように、他の職業との切分けで非常に難しい課題があることは承知しておりますので、引き続き、検討を続けてまいりたいと思っています。

記者)
 医学部医学科の入試について伺います。2018年に発覚した不適切入試の件ですけれども、今年行われた入試、また、来年以降行われる入試の結果について、男女別の合格率など、文科省としてどのように把握をしていくご方針か教えてください。

大臣)
 医学部医学科に対しては、性別等による一律の差別的な取扱いなどの不適切な入試が行われたことから、特に男女別合格率を含めた入試結果の開示を要請し、その開示状況をフォローアップしているところです。男女別合格率が明らかになるデータを公表していない大学については、積極的に開示するように、今、個別に要請をしているところでありまして、順次、数は減ってきていると報告を受けております。文科省としては、各大学のアドミッションポリシーに基づき、多様な入学者選抜が行われている中で、入試結果の開示については、あくまでも当該大学において判断すべきものと考えますが、他方で、医学部医学科不正入試の社会に与えた影響の大きさや医師を志す一人ひとりの受験生の想いを考えればですね、私としても、この問題を一過性のものにしないようにすることが大事であるということを繰り返し申し上げてまいりました。従いまして、個別の要請にもかかわらず、大学が自主的に開示をしない場合にはですね、文科省として調査をすることも含めて、今後の対応を考えてまいりたいと思っています。

記者)
 追加ですみません。受験シーズンでもあります。受験生にとってはですね、できるだけ早くどういった大学なのかというのを目指す上で知りたいとは思うんですけれども。文科省として調査をされた際の結果の公表の目処と、来年以降も毎年調査を続けるという方向でいいのか教えてください。

大臣)
 国会でも答弁しましたけれども、元々は学校の自主性を尊重したいということで、病院の事務局長会議の中で、不正入試の後、こういうことが今後ないように、男女別の比率について公表してほしいということを申し上げたら、その会議体を通じて、所属をする全ての大学が了解をしたと、私、承知していましたので、一度約束したにもかかわらず、残念ながらそれが履行されてないということが年末にきて分かりましたので、今申し上げたように、最後もう一度、開示をしていない学校に対して開示のお願いをしています。それでもその結果に応じないということであれば、次なる対応というのを考えてまいりたいと思います。当然のことながら、受験にですね、参考になるようにしないと意味がないと思いますので、そこは時期をしっかり見て対応したいと思います。

記者)
 あと1点だけ。現在も自主公開が進む中で、81学科の8割ぐらいですかね、公開しているところはあると思うんですけど、逆に言うと2割がまだ公開してないわけで。今後、文科省が言っても公開しないところが出てくる懸念も残るような気もします。そういった場合に次なる手とおっしゃいましたけれども、なかなか法的にペナルティというのは難しいのかもしれないですけれども、どういうふうに調査を完遂するというおつもりがあるんでしょうか。

大臣)
 これ、社会に与えた影響、非常に大きいというのは、これは、関係ない大学からすれば確かに迷惑な話かもしれませんけれど、医学部全体でこういう疑念を持たれることは決していいことではないと思います。信頼回復するためには全ての医学部を持つ学校で対応していただくことが望ましいということで今日まで待っていたわけですから。そんなに心配することなく結果が出ると私は期待していますので、そこはまず推移を見ていきたいと思います。

記者)
 高校生の1人1台端末について伺います。11月30日に文科省が2022年度から公立高校1年生向けに整備検討という報道がありましたが、文科省の担当課は、確定していないとのことでした。自民党議員のブログには、文科省として、令和4年度、つまり2022年度に、1人1台端末環境で学んだ中学3年生が高校へ進学した後も同様の条件で学びの環境を目指すというのが国の方針だという記述がありました。率直なところ、2022年度から1人1台端末整備をやるのかやらないのか、検討に手をつけたばかりなのか、ある程度具体的な方向性がすでに固まっているのか、文科省としての検討状況を教えてください。というのが1つ目です。で、2つ目が、既に整備を進めている自治体もあると思うんですけれども、文科省が後追いで整備をしていくとすると、既に保護者に買わせてしまっている自治体もしくはその計画で進めている自治体はどのような対応をとればよろしいのでしょうか。自民党議員の、自治体ごとの端末の整備の格差、指摘されていましたが、どう全国的に一定の質の整備を実現していくのか教えてください。

大臣)
 そこが難しいところなんです、高校生の場合は、質の整備ということで。例えば、職業・専門高校などの場合は、やっぱりスペックの高いもので、CAD機能が整ったものですとかね、あるいは、大きな画面で作業するっていうことが必要なので、小学生や中学生で整備をしているようなタブレットなどでは、残念ながら、授業で使いきれないという課題がある、そのことは承知をしています。で、冒頭の質問にあるように、2022年をゴールにしたかと言われると、それは明確に省内で共有をしているわけじゃないですけれど、先ほどもお答えしましたけれど、せっかく小中でGIGAスタートして、そこはシームレスに高校でも使えるようにしていくのが、当然、望ましい社会像だと思いますので、補正予算や当初予算など色んな財源を確保しながら、それから、できる限り子供たちに合ったものを提供できるような応援をしていきたいと思います。しかし、義務教育と違いますので、例えば、自治体でそれぞれの整備をしているということであればそれはよしとしたいと思いますし、一部、受益者負担でご父兄が負担している場合もあると思うんです。ただ、それは、もうその受益をその間、受けているわけですから、それを遡ってですね、国が何かを補償するっていうのはちょっとなじまないと思うので、色んなアプローチで、ぜひ全ての高等学校で、最終的には1人1台端末の環境が整うことが望ましいと思っていまして、そのための色んな方策を考えて、考えていますし、行動も起こしています。だから、来年から順次、少しずつ整備は進めていきたいと思います。

(了)

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大臣官房総務課広報室