萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年11月10日)

令和2年11月10日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

図書館関係の権利制限規定の見直しに関する報告書のとりまとめ、大学における研究と外国からの研究費受入れの在り方、新型コロナウイルスと大学入試、米国次期大統領と科学技術協力、GIGAスクール構想、冬季到来と衛生管理マニュアル等による感染予防対策、生徒に暴力行為を行った教員への処分について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年11月10日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年11月10日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年11月10日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは1件です。昨日、文化審議会の著作権分科会の下に設置をされた「図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」において、報告書案の内容が了承されました。その中では、図書館資料へのインターネットを通じたアクセスの円滑化について、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う図書館の休館等によりニーズが顕在化したことを受け、これに対応するための著作権法改正の方向性が示されています。具体的には、まず、一つ目の措置として、絶版等で一般に入手困難な資料に関しては、現在、図書館でのみ閲覧できるようになっているところ、各家庭などから、直接、資料にアクセスすることができるよう、国会図書館による送信サービスを拡充することとされています。ただし、権利者・出版社の利益保護のために、送信できる資料を厳格に絞り込むことや、ID・パスワードなどにより利用者を管理すること、データのダウンロードは不可として流出防止を図ることなどが併せて示されています。次に、二つ目の措置として、現在、各図書館等で実施されている資料の紙媒体での複製・提供に加え、FAXやメールなどでも送信を可能とすることとされています。ただし、これも権利者・出版社の利益保護のために、正規の電子出版等の市場を阻害しないような要件を設けることや、データの流出防止措置を講じること、著作権者・出版社の逸失利益を補填するため、「補償金」による対価還元を行うことなどが併せて示されています。今回、権利者の利益保護にも配慮したきめ細かな対応策をお示したものと受け止めておりますが、今後、文化審議会著作権分科会において、権利者・出版社の皆様のご意見を伺いながら、最終的な報告書が取りまとまりましたら、その内容に沿って速やかに法整備等の対応を進めていきたいと考えております。私からは以上です。

記者)
 大学の先端技術保護の関係で質問させていただきます。近年、大学から、中国をはじめ海外への技術流出防止強化が一つの課題となっておりますけれども、基本的に研究費の調達は、研究室ごとに行っているケースが多いと指摘されております。どこの研究室がどこから投資を受けているか、大学側が把握していないことが多いとの指摘もございます。中国など、技術情報の獲得を目的に、海外への学術機関に対する投資を強めているという状況もあると思いますけれども、現在の状況は、情報保護の観点から危機的な側面もあるかと思います。文科省として現在の状況をどう見ておられるのか、ご所感を伺うとともに、また、大学側に調査を求めるなど、何らかの現状把握に努める予定がおありかどうか伺えればと思います。よろしくお願いします。

大臣)
 まずですね、我が国の大学における研究費については、研究室ごとではなくて大学において機関として管理がなされている、これが原則だというふうに承知をしております。また、大学の管理状況に関しては、文科省において、各大学等が外国の政府機関や企業から受け入れている共同研究費や受託研究費を含めて、その総額に係る調査を毎年行っております。他方、本年7月に閣議決定された統合イノベーション戦略2020においては、安全・安心の実現に向けた具体的な取組として、政府資金が投入される研究を対象に、研究資金申請時における外国資金の受入れ状況等の情報開示を求めるといった内容が含まれておりますので、文科省としても、外国資金の受入れの在り方について、引き続き、関係府省とともに検討を進めてまいりたいと思っております。あの、後段お示しのように、総額では分かっておりますけれど、国ごとなどの調査については、今のところ行っておりませんが、個別具体の機関名の把握、また、大学と当該機関との間で交わした契約上の守秘義務などの関係もあってですね、国内外を問わず、文科省への開示が難しいケースもあるように承知をしておりますが、先ほど申し上げたような大きな方針の下でですね、これらをきちんと把握をしていく努力をしていきたいなと思っています。

記者)
 新型コロナウイルスへの対応について2つお聞きします。まず1つは今、感染拡大の懸念が高まっている状況かと思いますけれども、一斉休校などの対応をとられるかということがまず一つと、あと大学入学の共通テストが1月に迫っていますけども、感染が今後、拡大した場合に共通テストや各大学の入試はどういうふうに対応するのが望ましいというふうに考えてらっしゃるか教えてください。

大臣)
 まず、感染拡大が全国的に広がっていることには注視をしてまいりたいと思いますけれども、現段階で、一斉休校などを考えているという状況ではございません。大学の入試に関しては、来年以降ということになると思うのですけれど、今後、この拡大がどう広がっていくかによってはですね、受験の在り方っていうのも変えていかなくちゃならない。あるいは、その予備の日程なども更に増やしていくことも、大学関係者とも考えていかなければならないと思っています。今、あの、今までとは違ったシミュレーションでセーフティネットを日程的には張ってきましたけれど、それで本当に十分なのかどうなのか、例えば、受験シーズンの真っ最中に、言うならば、学校施設をロックダウンしなきゃならないほどの大きな感染拡大が広がったときにはどうするのかっていうことも含めて、関係者間では、様々なシミュレーションをしている状況でございます。

記者)
 今回というか、来年1月の共通テストの段階で、もし今後、感染が大幅に拡大した場合に、最悪の場合、中止などの対応を、大学あるいは入試センター等に求めるようなお考えはおありでしょうか。

大臣)
 今の段階でその中止というのは考えていませんし、地域性とかもあると思うので。あらかじめですね、10か0かの判断をするということを宣言しますと、これはもう、皆さん、萎縮しちゃうと思うので。あの、受験ですから、中止というのはないと思うんですね。どう延期できるかということだと思いますので、そこは関係者とよく色々考えて、色んなパターンを想定しておきたいなと思っています。

記者)
 先日、米国でですね、民主党のバイデン氏が大統領、勝利宣言したという報道があります。それでですね、あの、今回の受止めと、あと、今後、日本の宇宙政策中心に、科学技術政策の影響についての現状で、大臣のお考えを教えてください。

大臣)
 日米同盟は日本外交の基軸でありまして、アジア太平洋等、世界の平和と繁栄のため、引き続き、米国と緊密に協力していくという方針には変わりありません。科学技術分野では、これまでも科学技術協力協定に基づく閣僚級委員会の開催や、国際宇宙ステーションやITER計画をはじめとした大型プロジェクト等を通じた協力、活発な研究者交流など様々な協力を行っており、このような協力関係が次期政権においても継続されることを期待をしております。また、米国提案のアルテミス計画については、本年8月に発表された米国の民主党の綱領において、引き続き、有人宇宙探査に関するNASAの取組を支持するとされており、持続的な月探査の実現を目指すというアルテミス計画の目的についても、米国の民主党からも支持を受けているものと認識しております。文科省としては、バイデン次期政権の方針を見据えつつ、引き続き、日本とアメリカの科学技術協力の維持・強化に努めてまいりたいと思っています。

記者)
 2日の予算委員会で、大臣が答弁でGIGAスクール構想の実現を確実なものにするため、端末を配って終わりではなくて、通信費をどうするかなど、新たな課題もついてくるとお話しされました。こちらの新たな課題について、具体的にどのようなものを考えていらっしゃるのか、また、それの対応について教えてください。

大臣)
 GIGAスクール構想で、小中学校1人1台端末の整備のための財政的な裏付けについては、もう既に確認をしておりますので、自治体がそれぞれ対応していただければ、4月以降1人1台環境というのは作れると思います。他方、校内LANにつきましては、補正予算などでもですね、補助させていただいてですね、更なる整備を求めていますけれど、やっぱりこれ初めてのことなので、今まで、例えば、小学校の校舎で、1年1組から6年3組まで全員が一遍にパソコンを開くってことやったことないわけですから、その校内LANの容量だけじゃなくて、そこにアクセスする外部からの容量などが本当に足りているのかどうなのか。そして、機動的な授業がきちんとできるような環境が整っているのかっていうのを、今、追いかけ調査をしています。すなわち、これは、各自治体では想像を超えた状況が出てくるのだと思いますので、例えば、それに対して、財政的などういう応援ができるかっていうのは、今後考えていかなきゃいけないなと思っています。それから、せっかく繋がってもですね、例えば、自治体の財政的理由で、1日の使用量は何時間以内にしてくださいなんて言うと、これは夢のない政策になってしまいますので、こういった通信費などを、基本的には、今、自治体が負担していただくことになっておりますけれど、今後、もうこの形がスタンダードになればですね、義務教育のコストとして考えていく必要もあるのではないか。そうすると、一定程度、国としても、自治体に寄り添った対応をしていかないと、せっかく環境が整備されても、財政的な理由でフルに使える自治体と、財政的な理由で時間制限などが出てきてしまう自治体があるのは、これ、子供たちにとっては望ましいことじゃないと思っていますので、こういった新たに想定される課題について、冷静に整理をして、対応を検討していきたいと思っているところです。

記者)
 朝日さんからも質問があったコロナの関係で、関連でお伺いします。文科省の方でですね、学校の衛生管理マニュアルっていうのが、累次に、季節に合わせてっていうことで改訂をされてきた部分があると思います。これから冬に向かっていくっていうところで、このマニュアルの考え方、今後の改訂の見通しとですね、あともう一つ、コロナの感染の広がり、密を防ぐという意味で、換気との関連というのが言われていると思います。で、当然、寒い中で換気するっていうのは教室の換気ってかなり大変だと思うんですけれども、これの考え方について現時点でおっしゃられることというか、どんなふうに考えていけばいいのかっていうのをお伺いします。

大臣)
 これから冬季にかけて、空気が乾燥し、気温も低下してきますので、各学校においては、文科省から示している衛生管理マニュアルなども参考に、引き続き、各学校の状況に応じて、きめ細かな感染症予防対策をとっていただきたいと考えています。冬季に向けて留意すべき点がないかなども含めて検討し、各学校に必要とされる知見等についてお示しすることがあれば、その内容を衛生管理マニュアルの改訂などを通してですね、お示ししていただきたい、お示しをしていきたいと思います。すなわち、あの、冬バージョンまだないので、ご指摘のように、今までのような換気のあり方を、夏バージョンでやると、これは大変な、教室も寒い状況になるので、専門家の皆さんなどともよく相談しながら、どういう方法がいいのか、あるいは、例えば、同じ換気でもですね、どういう対角線上でドアや窓を開けることで効果が知らしめられるのか、こういったことも細かく考えて、必要とあれば、各自治体にですね、新しいマニュアルを発信したいなと思っています。今検討しています。

記者)
 兵庫県宝塚市の中学校で、柔道部の教師の男が、部員の生徒が差入れのアイスクリームを食べたことに激昂して、1人を、背骨を折る3か月の重傷にしたということで逮捕、起訴されています。この教師は、過去に、生徒への暴力行為で3度処分を受けていて、過去にもけがをさせていると、生徒に。この他にも体罰の報道、相次いでいますけれども、こうした教師の生徒に対する暴力行為についての大臣のお考えとですね、処分の在り方について聞きたいと思うんですね。わいせつ事案の教師については、原則、懲戒免職等の対応を取られているということなんですけれども、生徒への暴力事案、怪我をするとかそういう重大なハラスメント事案について、例えば、怪我をさせたら一発免職にするとか、そういった規定整備を各地の教育委員会に求める考えはありますか、と。で、また、そういったことに関しての具体的な検討状況を教えていただけますか。

大臣)
 この前、その件、報道で見てですね、ちょっとびっくりしました。どういう前後の状況があったのか分かりませんけれど、いずれにしても、どういう理由があるにしても、教員がですね、児童生徒に対して体罰を行うってことは許されないことであります。処分については、これあの、任命権者の判断に委ねたいと思いますけれど、あの、今申し上げたように、前後の状況が分からないので、文科省がですね、一律に、例えば、手を上げたことに対して、こういう処分をするべきだっていうことでは、もしかすると済まないぐらいもっとひどいこともあるかもしれないし、いや、実は、現場では、そこまでのことは報道にはなっているけれど当事者同士は実は納得しているんですってことも時にはあるのかもしれないので、国が一律のルールを決めて、わいせつ案件なんかとはちょっとニュアンスが違うのかなと思っています。いずれにしても、体罰などによってですね、ましてや怪我をしているわけですから、今回の場合は、お子さんがね、こういうことが絶対あってはならないってことを、改めて、全国にしっかり発信をしていきたいなと思っています。

(了)

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