萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年10月30日)

令和2年10月30日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

児童虐待の根絶に向けた大臣メッセージ、H-IIAロケット43号機による光データ中継衛星の打上げ、大学入試改革、無形文化財及び無形の民俗文化財の保存及び活用の在り方、高等学校のICT化、聖マリアンナ大学医学部不正入試問題

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年10月30日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年10月30日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年10月30日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは今日は冒頭2件です。まず、11月は「児童虐待防止推進月間」です。子供たちへの虐待は、依然として極めて深刻な状況にあり、今般のコロナ禍での生活不安やストレス等に伴い児童虐待のリスクが高まることも懸念されております。児童虐待により子供たちが傷つき、亡くなるようなことは何としても無くさなければなりません。今年の月間を機に、私から全国の家庭・学校・地域の皆様に対して、児童虐待の根絶に向けたメッセージを発信することにしました。児童虐待の防止には、子供たちを見守り育てることに、家庭・学校・地域が一丸となって取り組むことが重要です。全国の関係の皆様におかれましては、この月間を機に、児童虐待の防止に向けて、改めて、積極的な取組をお願いしたいと思います。
 もう1点は、11月の29日にですね、H-IIAロケット43号機によりまして、光データ中継衛星を打ち上げることとなりました。本衛星は、低高度を周回する人工衛星の観測データを、光通信により中継し、地上に送信するための技術実証を行うものです。データの中継ができなければ、1日のうちのごく限られた時間しか観測データを地上に送信できませんが、この衛星を配備することにより、リアルタイムに近い形で送信することが可能となります。これにより、例えば、災害発生時の状況把握を適時・効果的に行うことが可能となるなど、防災や減災、国土強靱化等に極めて有用であり、国民の皆様の安全・安心に大きく貢献するものと期待をしております。文科省としては、こうした宇宙インフラの整備に向けた研究開発を着実に進め、我が国の社会経済の発展に貢献してまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 まず、最初、私から1点お聞きします。27日に公表されました大学を対象にした入試をめぐるアンケートについてなのですが、大学入学共通テスト改革に関する質問で記述式問題を出すべきとは思わないと回答した大学が85%に上り、一方で、個別試験で記述式を充実させるべきかという質問には私立大学が5割程度と、特に低い傾向が出ておりました。英語の民間試験についても、共通テストへの導入、個別試験での活用、いずれも大学側の慎重姿勢が強い結果となりました。改革については、現在議論が進んでいるところですけれども、この結果をどのようにお受け止めになられておられるか、ご所感を伺いたいと思います。また、あの、私立大学の方で、共通テスト・個別試験のいずれでも改革に消極的な姿勢が顕著となりましたが、こちらについてもご所感をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

大臣)
 今回の調査では、「共通テストの枠組で英語資格・検定試験を活用すべき」との意見が32%、「共通テストに記述式問題を出題すべき」との意見が15%となっております。その一方、「個別入試で英語資格・検定試験を活用すべき」との意見が一般選抜で約45%、総合型・学校推薦型で約60%ありました。また、「個別入試で記述式を充実すべき」との意見が全体で約60%あり、私立大学についても、国公立と比べれば低いものの、50%以上が肯定的な回答であったと承知しています。私としても、大学入試で英語4技能について適切に評価すること、初等中等教育を通じて育んだ論理的な思考力・表現力を評価する記述式問題が果たす役割が重要であると申し上げてきましたが、このこと自体については、多くの大学関係者と共有できていると思います。他方で、現在の入試日程の中で多くの受験生を対象に公平な評価や正確な採点を行う上での課題を認識している大学も少なくないことが、今回の結果に表れているのではないかと受け止めています。いずれにしましても、国民の皆様が納得する制度を作るためには、今回の調査に加え、今後、選抜区分ごとの詳細な実態調査の結果も報告するなどして、さらに議論を尽くしていただきたいと考えております。後段の私立の学校の件につきましては、これは繰り返し申し上げていますけど、アドミッション・ポリシーがあって、それぞれ建学の精神があって、どういう生徒を自分の学校は採りたいのかというのは、私学の学校、それぞれがきっちり考えることだと思いますので、私は、私立学校それぞれがですね、あの、例えば、AOなどの入試に関しては、ある程度時間的に余裕があるわけですから、一人一人きちんと面接をして話をしてやりとりをして、その、今までの高校での取組などを聞いてあげるとか、そういう時間的余裕っていうのは、組合せをすればできるんじゃないかなというふうに思っている一方で、こんなに対面授業をやってほしいって言っているのにやれない学校がいくつもあるので、そういう意味では、各大学の能力が問われているのかなっていうことを個人的にはちょっと心配しています。それぞれの学校が、より良い自分の学校にふさわしい生徒を取るということを目標にすれば、入試の在り方は自ずと変わってくるんじゃないかなと思いますので、そういった個々のご努力と言いますか、判断というのを尊重したいと思いますので、いい入試制度に、それぞれの学校がしていただくことが望ましいのではないかと思います。

記者)
 28日に無形文化財と無形の民俗文化財の保存や活用の在り方を検討する文化審議会企画調査会が始まりました。今後の進め方について見通しをお聞かせください。

大臣)
 文化庁では、今週の28日に文化審議会の企画調査会を開催をし、無形文化財及び無形の民俗文化財の保存及び活用の在り方等について検討を始めました。28日の企画調査会においては、食文化等生活文化や地域のお祭りなどの無形文化財等について、登録制度を新設をし、保存活用すると良いのではないかといったご提案があったほか、地域における文化財保護の支援の必要性等について活発なご議論がなされたと報告を受けています。一部において、来年通常国会への法案提出を目指す報道があったことは承知していますが、いずれにしましても、企画調査会において、これからの論点も含め、しっかり議論を深めていただきたいなと考えているところです。

記者)
 高校のICT化について伺います。高校生へのパソコン配布を望む声が根強くありますが、配布の見通しや今後の対応について教えてください。

大臣)
 文科省としても、高校生を含め、全ての子供たちに対するICT環境整備が急務と考えておりますが、現段階で、高校生に1人1台端末を配るということは考えておりません。それよりも、高校ごとに様々な授業内容が異なりますので、それに合ったICTの環境支援をしていきたいなと思っています。

記者)
 先日ですね、医学部の不正入試問題で聖マリアンナ大学の私学助成金の50%カットが決まったかと思うんですけれども、この大学はですね、受験生が今月提訴もされて、文科省からも不適切な入試があったと言わざるを得ないと通告を受けているにも関わらず、まあ、いまだにまだ不正を認めていませんけれども、これついてご所感をお聞きしたいと思います。

大臣)
 不正を認めてないことについて。今月、開催された私立学校振興・共済事業団の運営審議会において、聖マリアンナ医科大学の令和2年度私立大学等経常費補助金の減額措置について議論が行われました。同大学の医学部の入試の事案については、大学が自ら設置した第三者委員会の報告書や文科省において確認した統計学の専門家の見解に対する合理的な説明がなかったことから、大学自らは認めていないものの、文科省として不適切と認めざるを得ない状況になった事案であるということを踏まえて、50%減額が適当にされたと承知をしております。大学にはですね、この措置の趣旨を重く受け止めていただきたいと思いますし、私、何度も申し上げていますけど、いやそうじゃないのだと言うならばそうじゃない合理的な説明をきちんと世の中にもするべきであって、そんなに毎年毎年、偶然偶然偶然偶然偶然そういったですね、合格者がそういう比率だったっていうのは、ちょっとやっぱり理解できないと思うんですよね。ですから、本当に、学校側としてはそういう思いがないのだということであれば、なぜそうなったのかっていうことはちゃんと説明した方がいいと思いますし、そもそも、これも何度も申し上げていますけれど、大学自らが設置した第三者委員会で一定の報告や答申を受けて、いやしかしそれは聞かないのだっていうのだったら何のための第三者委員会なのかなって、そんな気もいたします。一方ですね、コロナの対応などで附属病院が一生懸命頑張っていただいていることは評価をしたいなと思います。

(了)

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