萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年9月11日)

令和2年9月11日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

スポーツ庁長官人事、高等教育の修学支援新制度、学生支援緊急給付金、各教科等の指導におけるICTの効果的な活用、官房長官人事、文化芸術活動の継続支援事業、ILC計画、児童生徒に対してわいせつ行為に及んだ教職員への処分等について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年9月11日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年9月11日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年9月11日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。恐縮です。
 今日は冒頭、私から三件ございます。まず、先ほどの閣議で、10月1日付けのスポーツ庁の長官人事について、内閣の承認をいただきました。既に資料として配付しておりますとおり、鈴木大地スポーツ庁長官が9月30日で任期満了により退官され、その後任として、室伏広治氏に就任いただくこととしました。鈴木長官には、平成27年10月に初代スポーツ庁長官に就任いただき、第二期スポーツ基本計画の策定のほか、我が国の国際競技力向上の取組を推進するなど、スポーツ庁発足から現在まで、5年の長きにわたってスポーツ行政の旗振り役として尽力いただき、感謝をしております。また、新しく長官に就任いただく室伏広治氏は、我が国を代表するトップアスリートとしての経験を有するとともに、スポーツ科学分野での研究活動においても豊富な実績を有しており、スポーツ全般に関し、優れた実績と高い見識を有すること、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のスポーツディレクターや日本オリンピック委員会の理事として卓越した手腕を発揮しており、高い組織マネジメント能力を有すること、国内外のスポーツ関係団体等にも豊富なネットワークを有することなどから、次期スポーツ庁長官に最適任であると判断をしました。今後は、室伏氏がスポーツ庁長官としてリーダーシップを発揮され、来年に延期となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたアスリートの強化、競技力の向上をはじめ、我が国のスポーツ行政の顔として、スポーツを通じた地域活性化や健康増進、国際的なプレゼンスの向上に尽力されることを期待をしております。
 次にですね、今年度から開始をした「高等教育の修学支援新制度」では、一定の要件を満たす大学等を対象としており、毎年確認を行うこととなっておりますが、この度、今年度の結果がまとまりましたのでご報告させていただきます。大学・短期大学は新規確認13校を加えた1,060校、高等専門学校は全ての57校、専門学校は新規確認284校を加えた1,967校が要件を満たし、対象機関となりました。私としては、多くの大学等が対象機関となったことで、支援対象者となる子供たちの進学先として多様な選択肢を示すことができたと考えております。新制度が開始して半年近く経過しましたが、現時点で257,000人の学生等に支援を行っております。9月から後期の募集も始まっていますので、多くの方にこの仕組みをご利用いただきたく、申請をしていただきたいと思います。また、新型コロナウイルス感染症の影響によりアルバイト収入が減少した学生等に支援を行う「学生支援緊急給付金」については8月末までに約385,000人に支給を行いました。これに加え、更に学生約35,000人の支給に向けて、現在、手続きを進めており、これによりまして学校が推薦すべきと判断した全ての学生約420,000人に対し、9月末を目途に支援が行き届く見込みです。文科省としては意欲のある子供たちが経済的理由により進学を諦めることがないように、引き続き、各種支援に務めてまいりたいと思います。
 もう1点なのですが、この度、文部科学省では各教科等の指導におけるICTの効果的な活用に当たって参考となる資料を作成し、本日、文部科学省ホームページに掲載をいたします。記者の皆さんのお手元にも、ちょっと分厚く詳しいものを配らせていただいたと思います。資質・能力の3つの柱をバランスよく育成するために新学習指導要領では主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を進めることとしておりますが、このためには、学校における各教科等の指導にあたってICTを積極的に活用していくことが重要です。今回の資料は学校での実践事例に基づいて、主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善を行うにあたって参考となるものとなっておりますので、各教育委員会や学校における研修や日々の授業の改善などでご活用いただきたいと考えております。今後、本資料については随時更新をしていく予定でありまして、また、各教科などの指導におけるICTの活用に関する解説動画についても作成し、順次、ホームページに掲載する予定です。文科省としては各教科等の授業を通じて子供たちの資質・能力が一層確実に育成されるよう、学校の授業における1人1台端末の効果的な活用方法等について積極的に周知をし、授業改善の支援に務めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 2問質問があります。まずは、冒頭のご発言にもありましたスポーツ庁の新長官人事に関連しまして、まずは長年に渡り務められた鈴木長官についてなんですが、大臣からご覧になった鈴木長官のこれまでの功績というもの、そして、また室伏新長官については、たくさん期待するところはあると思うんですが、特にこれはと思う期待する部分、どのようなものがあるか、それぞれお願いいたします。

大臣)
 今何となく言ったけどね。鈴木長官には、平成27年10月にこのスポーツ庁ができたときにですね、初代長官として新組織の難しいかじ取りを行っていただきました。アスリート出身でありますし、また、指導者としてもいくつも経験を積んでおりましたので、我々文部科学省としては、現場をよく知る長官としてですね、リーダーシップを、発揮をしていただいて様々なスポーツ行政を上向きにご尽力いただいたことを高く評価をしたいと思います。ちょっと気の毒なのは、ちょうど5年の任期で、本当でしたらオリンピックを終えて退任というスケジュールだったのですけれど、オリンピックが1年延びてしまいました。これはもう私も同じなのですけれど、そういう意味ではこのオリンピックをですね、長官として迎えることができなかったということに対して、ちょっと申し訳ないなという気持ちが個人的にはございますが、この5年間、アスリートから行政という両面で仕事をしていただいたことは、これからのですね、鈴木長官の次のセカンドキャリアとして様々なところで力を発揮していただけるのだと思います。どういう職業に就くか、まだ報告を受けておりませんけれども、必ずや日本のスポーツ界をですね、更に違う立場で牽引をしていっていただける、そういう方だというふうに心から期待をしておるところでございます。室伏さんは、ご案内のとおりでございまして、今日の閣議で、議案で紹介されたときも、皆さんからおぉという声が上がってですね、皆さんからも大きな期待をいただいているということを改めて確認をしました。私も組織委員会の理事としてずっと3年間仕事を一緒にしてきましたけれども、スポーツディレクターとしてですね、各国のアスリートやアスリートOBとも人脈を持っておりまして、色んな意味で日本のスポーツを底上げをしていく大きな役割を果たしていただけるんだろうというふうに思っております。今、いくつかの公務を兼職しておりますけれど、これはもう長官になっていただいたらそこに専念をしていただかなくてはなりませんので、組織委員会などの兼職はご遠慮いただくことになるのかなというふうに思っておりますけれど、いずれにしましても、アスリート目線と、それから大学で教授も務めてまいりましたので、教育者としての経験、そして、今度は行政マンとしてこのスポーツ、どうあるべきか、来年のオリンピック・パラリンピックの成功に向けてアスリートの強化ですとか、競技力の向上を始め、もっと前広に幅広にですね、色んなご意見をいただいて日本のスポーツの底上げにご尽力をいただきたい、そのことを心から期待をしております。

記者)
 もう一つ質問です。これは次の政権に向けて、人事が色々と取り沙汰されていますけれども、その中でも注目が集まる官房長官の候補に大臣のお名前も挙がっておりますが、この受止めというものを改めてお願いいたします。

大臣)
 候補と言っても、メディアの皆さんが名前を挙げて色々議論しているんで、名前を挙げていただくことは光栄に思っておりますけれども、人事は新総理が全て決めることなので、その決定に従いたいと思います。

記者)
 12日から三次募集が始まる「文化芸術活動の継続支援事業」についてお尋ねいたします。これまで、申請件数、採択件数ともに、全体の予算規模からすれば思うようには伸びていないという現状を伺っております。取材していますと、補助のため、補助の仕組みなので、原資が手元にないといけないけれども、その原資がそもそもないんだという声などが聞こえてまいるんですが、この低調になっている原因について、大臣は、今、どのように見ておられますか。あとですね、今後、支援を広げ、予算執行を進めていくために、どのような取組が必要か、打開策についての現状のお考えをお聞かせください。

大臣)
 「文化芸術活動の継続支援事業」につきましては、二次募集終了時点で、22,250件の申請をいただいておりまして、9月4日の時点で、4,981件の採択を行っておりますが、より多くの申請をいただくとともに、より迅速な採択を行うことが必要だと考えております。本事業につきましては、例えば、簡易な手続きにより、20万円を上限とした支援を可能としておりますけれども、個人の方を中心に、今まで補助金の申請を行ったことがなく、募集案内等を参照し、適切な申請手続を行うことに苦慮しているとのご意見があるのも承知をしております。そのため、明日9月12日から開始する三次募集に併せて、申請書をより簡易に作成できるよう、申請に係るウェブサイトにおいて、申請の参考となるモデル例の更なる追加、審査のポイントを明示、また「Q&A」を、更なる充実などを図ることとしておりますし、審査の人員体制などもですね、増員をしてまいりたいと思っております。あの、ご指摘のとおり、せっかく補正予算でそれなりの金額をお認めいただいて、文化芸術に係る皆さんの支援をしたいということでスタートしたのですけれど、あの、申請される側も慣れていなかった。これは言い訳になりますけれど、受ける側の文化庁のほうもですね、初めての作業だったものですから、あの、本来の目的は、文化芸術で困っている人たちが、その活動を止めないように、なんとか文化の火をですね、消すことのないように、しっかりそういった人たちを守っていこうということだったのですが、以前にもちょっとお話ししましたけれど、文化芸術に携わる皆さんの就労体系っていうのがあまりにも多様なものですから、こっちが想定していた、こういう形なのでこういうお金が必要なんですと言われたときに、なるほどなと理解をできるところまでの、あらかじめの準備がなかったことでですね、かなり現場の皆さんに負担をかけてしまったのではないかと思っています。本来の目的は、そういう皆さんが活動を止めないで続けてもらうこと、まさに、文化の火を消さないことでありますから、そのために、今、申し上げたような改善をしてですね、一人でも多くの皆さんがこの制度を活用していただいて、ぜひ、文化活動を続けていただけるように、引き続き、しっかり応援をしていきたいと思っています。

記者)
 大型加速器ILCに関してお聞きします。8日に、高エネルギー研究機構が、国の大型研究ロードマップにILCへの申請を取り下げたという発表がありました。これ、今まで文科省がずっと議論されてきた内容だと思うんですけれども、このことの受止めと、今後の取組について教えてください。

大臣)
 高エネルギー加速器研究機構が、「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ」への申請を取り下げたというのは事実でございますが、申請の取下げ理由はですね、本年2月にILCに関する国際会議での声明において、ILCに関する国際協力体制などの推進の枠組みを再構築することとなり、その内容を踏まえ、申請内容を見直す必要が生じたためだと伺っております。文科省としては、米欧の政府機関との意見交換を行いつつ、国際研究者コミュニティによる議論を注視してまいりたいと思っているところです。

記者)
 先日、札幌市のですね、中学校で、先生から性被害を受けたと訴えている女性が、政策提言を行いました。内容は、わいせつ行為への認定で第三者機関が当たることだったり、免許を失った先生が再取得をすることをできないようにしてほしいというふうに要望しておられますが、大臣の受止めと今後、この要望に沿ったですね、検討をなさるお考えがあるかお聞かせください。

大臣)
 児童生徒を守り育てる立場にある教師が、児童生徒に対してわいせつ行為を行うなどということは断じてあってはならないことだと思います。一昨日、過去に教師による性被害に遭われた女性がですね、記者会見をされ、文科省に対し、教師による生徒への性暴力防止についての政策提言がございました。具体的には、文科省による懲戒処分基準等の統一や、原則、懲戒免職を求めること、第三者委員会による調査を必須とすること、教員免許の再取得を不可とすることなど、10項目の政策提言があったと承知をしております。文科省としても、児童生徒に対してわいせつ行為に及んだ教職員の厳正な処分については、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」にもあるとおり、これまでも、原則として懲戒免職とするように、各教育委員会に対して指導してきたところです。さらに、このような行為により懲戒処分等を受けた者の教員免許状の管理等の在り方についても、より抜本的な見直しが必要と考えており、現在、法改正も含め、検討を進めているところです。いただいた提言は耳を傾けるべき、まさに、現場の被害者の声というものもありますので、今、申し上げた抜本的な対策の強化の中で、取り入れるものについては積極的に入れてまいりたいと思いますし、特に、第三者委員会の設置については、これは、国がルール作りというよりは、任命権者である、人事権者である都道府県やあるいは政令市などがですね、そういう必要があるときには、現在も第三者委員会を入れて調査をしておりますので、そこは、柔軟な対応をですね、これからもしていっていただいたらいかがかなとそう思っております。

(了)

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