萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年9月4日)

令和2年9月4日(金曜日)
教育、その他

キーワード

運動部活動に参加する学生等の集団における新型コロナウイルス感染症対策の徹底について(通知)、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル、学校における働き方改革、秋季入学、教育再生実行会議、GIGAスクール構想、新型コロナウイルスと学校行事、北海道大学次期総長の任命について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年9月4日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年9月4日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年9月4日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは一件です。8月以降、運動部活動に参加する学生等の集団において、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した事例の報告が増え、この中には、同じ寮で生活していた事例も見られます。運動部活動については、競技中・演習中だけでなく、長時間の集団での移動や寮生活等も含め、長時間にわたって、学生等や指導者が行動を共にしている場合には、集団内での感染拡大の可能性が高まるものと考えられます。こうした状況を踏まえ、昨日、運動部活動に参加する学生等の集団における感染症対策の徹底について通知を発出するとともに、学校の衛生管理マニュアルを改訂し、各教育委員会等を通じて各学校にお示しをしました。各学校の設置者等におかれては、今回の通知や衛生管理マニュアルでお示しした内容を踏まえ、感染症対策と運動部活動の両立を図っていただき、学生等が安心して学校生活を送れるよう取組を進めていただきたいと考えております。なお、これまでの報告によると、感染経路は半数以上が「家庭内感染」です。「学校内感染」は15%程度ですが、大規模な感染事例のある高校を除き、小中学校について見ると4%程度となっています。また、学校内で感染が広がり、そこから学校外に感染が大きく広がったような事例も見られないことから、学校が地域において感染を拡大する要因とはなっていないものと考えています。一方で、児童生徒や教職員に感染者が出たことによる差別や偏見、誹謗中傷等の事例も起きています。こうした事例を受け、8月25日に私からのメッセージを出したところですが、今後とも、内閣官房や法務省、厚労省とも連携をしながら、政府全体で差別等を防ぐための取組を進めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 幹事社から2問伺います。1問目なんですけれども、第2次安倍政権下での教育政策について、先日の会見でも総括的に振り返っていただいたんですが、特に、今、5年間の工程表を進めている最中、今、このコロナ禍でさらに喫緊の課題となっている教員の働き方改革と、あとは、この間に急浮上して、大臣だけでなく首相も国民的議論が必要だとおっしゃっていた秋季入学論について、この2点について、確実に議論や政策を進める上で、次の政権が果たすべき役割など今後の見通しについて大臣のご所見を伺えればと思います。

大臣)
 政権が果たす役割を私が言うのはちょっといかがかと思うんですけど、秋季入学については、7月に再開された教育再生実行会議において、「学びの保障」とは切り離して、ポストコロナ期の新たな学びの在り方を検討する中でご議論いただくこととしております。今後、しっかりと議論すべき課題と認識しております。学校における働き方改革については、感染症対応のためにこの改革が頓挫することがないよう、まずは、感染症対策と教育活動の両立のために負担が増大している学校に対して、外部人材の大規模配置などを、先生方に寄り添いながら最大限のサポートを続け、この特別な1年をしっかり乗り越えることが重要だと考えています。学校における働き方改革は、いつも申し上げていますけど、特効薬のない総力戦だと思います。国として、部活動や免許更新制度の見直し、教科担任制の推進、教職員定数の改善・外部人材の活用などの取組をしっかり進めていくことを、先般開催した「学校における働き方改革推進本部」においても確認をしたところであり、国・学校・教育委員会がそれぞれの立場において、あらゆる手立てを尽くして取組を進めて成果を出していけるよう、文科省が先頭に立って全力を尽くしていくことが求められていると思います。私としては、これらの課題はですね、たとえ誰が総理大臣になっても文科大臣になってもですね、引き続き取り組むべきテーマだと思っていますし、特に、本当でしたら働き方につきましては、今年が元年で、今までの教員の皆さんの働き方を変えましょうねっていうことで、法律まで変えて、現場の皆さんにも呼びかけをしてきた矢先にこういう事態になりましたので、大変心苦しく思っておりますが、全国の教職員の皆さん、本当に頑張って、夏休みも短縮をするような状況の中で、日々、「学びの保障」に汗をかいていただいていること、改めて感謝申し上げたいと思いますし、我々文科省はですね、この1年は特別な1年だということを改めて確認をしながらですね、先生方に寄り添って、将来はやっぱり教員というのはいい仕事だと皆さん思ってもらえるような仕事にですね、さらにブラッシュアップできるように、しっかり努力をしていきたいと思っています。

記者)
 2問目ですが、先週の会見でも伺ったんですけども、GIGAスクール構想の関連で、8月末時点での学習用端末の配備状況の調査結果がまとまっていれば伺いたいのと、また、その学習端末を扱う際に、氏名などの個人情報を外部ネットワークで扱えないと定める各自治体の個人情報保護条例が、ある種、壁みたいなものになって、クラウドなどICTを最大限活用した学びができないといった事例も聞いているんですけれども、文科省としてどういった対応を促しますか。

大臣)
 各自治体の端末の整備状況につきましては、全国全ての自治体を対象に、先月31日までの状況を調査しておりますが、現在、提出された情報を集計中であり、結果がまとまり次第、速報値として公表したいと思います。また、自治体の個人情報保護条例の件なんですけど、学校のICT活用に支障が生じているという事例については、文科省としても、網羅的に把握しているものではありませんが、そのような指摘があることは承知をしています。こうした場合はですね、例えば、条例に基づいて個人情報保護審議会の許可を得ることで、クラウド・サービスを活用することが簡単に可能となります。そういった例もすでに承知をしておりますし、各自治体において適切に対応していただく必要があると思っています。初めてのことなので、なかなか、各自治体もどういうアクセスメニューがあるのかっていうのが分からなくてですね、おっしゃるように、条例側から見れば、その児童生徒の個人情報を、簡単にクラウドにですね、ぶら下げてしまって、もしものことがあったらどうなんだってことなのですけど、やっぱりその、クラウド側を運営している会社の方も、当然これ、自治体向けのメニューを作っていますから、個人情報の保護条例があることを前提に、言うならば、申し合わせですとか契約内容の中でしっかりそれを保護するってことをうたった上で契約をしている自治体が数多くあると承知しています。いい先行事例を収集しながら、自治体の参考になるような情報提供をしていきたいと思います。ちなみに、夏休み前に、私、渋谷区の笹塚の学校に視察しましたけど、渋谷区などはですね、これは、クラウド事業者側の個人情報の適切な管理の確認ということをきちんと明文化をして契約行為の中にしっかり入れて、そして、自治体の個人情報保護審議会で許可を得た上で学習用クラウドに参加をしております。奈良県奈良市などでもそういった取組をしていますので、そんなに難しい事じゃないと思うんです。ぜひ、いい例を示しながら対応していきたいなと思っています。

記者)
 GIGAスクールに関しまして、端末の整備をするときに、5年後の更新のときに国費を、国がちゃんとそれを補助してくれるかどうかがはっきりしないということが、自治体が躊躇する一つの理由になっているということを自治体の方がおっしゃっています。そして、そのことが、昨日の自民党の教育再生実行本部でも議論になりまして、その中で、自民党の人から、中期的な計画を作って5年後にもですね、しっかりと、国が更新時の国費の負担をするということを明確にした方がいいんじゃないかという議論がありました。これ、政府として、そういう5年後の更新費用の負担について、中期的な計画等でですね、明確にしていくようなお考えはありますでしょうか。

大臣)
 昨日の自民党の教育再生実行本部において、各団体から端末等の更新に係る財政支援について要望があったことは承知をしています。また、GIGAスクール構想を、引き継ぎをして前倒しを決めた段階でですね、例えば、市長会などもですね、これは、今頑張って入れるのはいいけれど、5年後あるいは7年後、8年後、もうその機械が劣化したり新しいシステムが出てきたときに、更新費用はどうするんだろうか、あるいは、今までは限られた台数で行ってきたけれども、本当に1人1台となった場合に、通信費用は地元負担だけで行うんだろうかっていう課題は浮き彫りにされておりましたので問題意識は持っております。文科省としても、端末更新に際しての費用負担のあり方は重要な課題であると認識しておりまして、今後、関係省庁や地方自治体とも協議しながら、ぜひ、安心して、将来に渡ってですね、対応できるような形を目指していきたいと思っています。その検討のためにも、まずは、令和の時代のスタンダードとして学校における1人1台のICT活用が当たり前である環境を作り上げていくことが前提だと思っていまして、今年度は、とにかく1人1台決まっているわけですからそれを頑張ってくださいと。将来課題については、引き続き、検討しながら、国が大きな方針を変えたわけですし、私、機会あるごとに申し上げていますけど、令和の時代の学校の、もう標準的な備品。机があれば椅子があって、当たり前にパソコンやタブレットがあるっていうのがこれからの学校になるので、言うならば、義務教育のコストの中に含めていく必要はあると思います。ただ、あえて申し上げますけど、20数年間、地財措置をしてきたにもかかわらず、こういう状況が今目の前に横たわっていることも、地方自治体の皆さんも一緒に考えていかなきゃいけないことだと思うんです。すなわち、地財に紛れたら正しく使ってくれるのですかってことを逆に私は聞きたいわけでございまして。そうなると、これはもう子供たちの大事な学校教育環境なのだから、国も地方自治体も、責任を持ってこの環境を維持し、また、いいものに更新していくっていう方針をね、この年度内に整備をするまでの間に、良い意味で方向性を示していくことができるように頑張りたいと思います。

記者)
 一つフォローさせてください。まさにそこの地財措置に紛れさせることの問題点というのは、この半年間の、2回の補正によってはっきりしてきたところだと思います。だからこそ、国が中心になって、もしくは国がリーダーシップをとって、きちんとここの国費でもって、直接、目的、事業目的を明記したような形のですね、何か計画、費用を出していく計画というのを立てるということはいかがでしょうか。

大臣)
 義務教育であっても、やっぱり責任者は設置者だと思っています。これまた、誤解がなく、別に、地方に責任を押し付けるつもりは全くありませんけれど、しかし、やっぱり責任を共有していくっていう上では、財源のあり方はどうあるべきかっていうのは大事なことだと思いますから、国と都道府県と市町村との間で、せっかく、今年中に、今年度中にできるGIGAスクールのですね、1人1台端末の環境をこれどうやって伸ばしていくかっていうのは、しっかり相談をしながら対応していきたいと思います。国が、一定の責任を負うっていう覚悟はですね、当然、私、この事業を始めたときから思っておりますので、大前提はそうなんですけれど、地方が一緒に伴走してくれないとこれはいかんなと思います。補助金でやるならやるけど地財だったらやらないみたいなことがあってはならないと思いますので、そこは、これから慎重に皆さんと相談しながら、前向きに考えていきたいと思います。

記者)
 部活動の改革に関しまして伺いたいなと思います。先般、働き方改革の一環として、休日の部活動をですね、地域活動に移行するという案が示されたと思います。長時間労働の是正に向けてですね、必要な対応であるというふうな認識した上でですね、一つ伺いたいんですけれども、休日は外部指導者に任せるとなるとですね、平日と指導者が変わるとかですね、それからその平日に、仮に支援する場合、どちらが責任を持つのとかですね、指導方針が違うとか、いろいろ課題もあるかと思います。それから、外部の指導者が、必ずしも体罰をしないとか、勝利至上主義に陥らないとか、そういう保障もないわけで、そのあたりの質の担保も必要になってくると思います。そのあたりの対策について、大臣としてどのようにお考えなのかということとですね、将来的にその平日の部活動を地域移行していく完全移管という考えについては、どうお考えなのかという点も伺いたいなと思います。

大臣)
 前回もちょっと触れましたけれど、全ての部活動を外部にお願いするのではなくて、環境が許される教員の中でですね、ぜひ続けたいと、積極的に取り組みたいっていう教員の方たちもいらっしゃるわけですから、そういう人たちのやる気をそぐようなことがある制度にしてはいけないと思います。ただ、今までのように、全く何ら手当もない中でですね、土日も試合の随行に行ったり、あるいは、平日も暗くなるまで、部活動を大会前などに行う人たちの働き方っていうのは変えていかなきゃいけないと思うので、そういう意味での外へのマンパワーの協力というのは、一つ必要だと思っています。今回の部活動の改革は、特に、休日の部活動が教師の負担となっていることや、教師に代わり、指導を行う地域人材を確保する必要があることを踏まえて、実現可能性を考慮しつつ、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革の第一歩として、休日の部活動の段階的な地域移行を進めることとし、まずは、全国各地で実践研究を実施をしてまいりたいと思います。その中で、おっしゃるように、平日と休日の指導の一貫性の確保は大事だと思いますし、指導を受ける生徒の視点からも必要なことだと思います。教師と地域人材の連携・協力体制についても、実践研究を進める中で様々な好事例を創出していきたいと考えております。文科省としては、全国各地での多様な実践研究を着実に進め、その成果を広く情報発信するとともに、課題を検証することにより、令和5年度から休日における部活動の段階的な地域移行の全国展開につなげてまいりたいと思っています。あの、ご指摘のとおり、例えば、都市部でしたら、野球のルールがよく分かっていて、ご本人もプレイヤーで指導ができる人がいます。あるいは、バスケットの審判ができる地域のおじさんがいたりしますけれど、地方へ行けば行くほど、そういう人たちって本当に集められるんだろうかと、本当にそんなに都合よく学校で必要な人材が、地域でですね、都合よくいらっしゃるのかっていうことは、これはあの、やっぱり都市の属性、色々見ながら考えて、一回研究してみないといけないと思っています。あの、例えば、OBの皆さんで、退職後に改めてそういう外部の指導員として入っていただいている横浜市の例なんかもよく見てまいりましたので、どういったのが一番の理想かということは、よく踏まえてやっていきたいと思いますし、また、手伝ってくれるなら誰でもいいですということになりますとね、やっぱり指導者としてふさわしくない人が入ってくる可能性っていうのもあるわけです。かといって、あんまりハードルを上げると、そんなに学校や我々が思っているような都合のいい時間にだけですね、学校に来てくれて手伝ってくれる大人って本当に世の中にいるんだろうかっていうことも考えなきゃいけないと思うので、例えば、指導者になっていただくための心構えとか短い研修ですとかね、そういったものを今後しっかり作りながらですね、質をしっかり担保していくっていうことも必要だと思っています。で、誤解をして欲しくないのは、これ初めの一歩なので、これが最終形じゃないので。例えば、私が、今、局の方に言っているのは、中学校なんかの大会は、日曜日やめてもらうってことはできないだろうかと。中体連にお願いして。土曜日にやってもらって、日曜日は休みを取るような。今、日曜日に大会やると、もう月曜日そのまま仕事来なきゃならないですから。そういったことも、今後、各競技団体なんかとも話し合いをしながらですね、できる限り、先生方が携わっていただきやすいような環境というのは作っていきたいと思います。

記者)
 9月に入り秋が近づいてまいりましたが、あの、運動会が開く予定の学校、また、感染のリスクから、開かない学校、それぞれ判断は分かれていると思いますが、やはり保護者も含めて楽しみにしている子供たち、たくさんいると思うので、あの、文部科学省として、運動会についてどのようなご見解というか、どのように、開くことの是非についても含めてご見解をお願いします。

大臣)
 機会あるごとに申し上げていますけど、学校教育っていうのは、その、授業のコマ数だけではなくて、やっぱり、クラスのみんなと協力するような学校行事ですとか、今、お話があった運動会、文化祭、修学旅行なども、子供たちにとってはかけがえのない思い出であり教育の場だと思っております。ですから、3か月の学校休校があって、色々その学校のスケジューリングは大変になっておりますけれど、できる限り、こういった行事は、規模を、たとえ縮小してでもですね、実施をしていただけないかってことは、繰り返し、教育現場の方にお願いをしてまいりました。まさに、秋の運動会シーズンなんですけれど、実際には、最近は春やる学校が多くてですね、もう今や運動会は秋の季語じゃないんじゃないかと言われてるぐらいに春が多くなってしまったんですけれど、修学旅行も含めて、3月31日までがその学年なので、ぜひですね、もちろん、授業をしっかり確保することも大事ですけれど、学校行事については積極的に取組をしていただきたい。そのための感染拡大防止や、あるいは、必ずしもフルスペックじゃなくてですね、いつもとはちょっと違う形であっても、何らかの、子供たちの学びの足跡が残せるような運動会や文化祭などは、ぜひ、やっていただきたい、そのことは引き続きお願いしていきたいと思っています。

記者)
 北大のですね、学長選について2点お聞きします。一昨日、新しい学長さんの予定者が決まりましたけれども、この間1年半ほど、学長不在で解任されるというかなり異常な事態を受けてのですね、新学長の選考について、大臣のお考えをお聞かせください。もう一点はですね、今後、大臣の任命を受けてということなんですけれども、いつ頃任命されるご予定でしょうか。お願いします。

大臣)
 北海道大学の総長選考会議におきまして、寳金清博北海道大学特任教授が次期総長の候補者として選考され、昨日、北海道大学から任命の申出をいただいたところでございます。北海道大学においては、総長不在の状況が続いておりましたが、今後、新しい総長がリーダーシップを発揮して、学生や教職員の期待に応え、教育研究の充実に取り組まれることを期待しております。任命につきましては、北海道大学の申出に基づきまして、できる限り速やかに手続きを行いたいと思いますので、そんなに先にはいかないと思います。

(了)

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