萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年9月1日)

令和2年9月1日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

内閣総理大臣の辞意表明、教育改革の継続、自民党総裁選、教育再生実行会議、教育職員免許法の改正、科学技術基本計画

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年9月1日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年9月1日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年9月1日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。冒頭、私からはございません。

記者)
 幹事社から2点、伺います。まず、1点目は、先日、安倍首相が辞任を表明されましたが、改めて、二次政権も含めて様々な立場で関わってこられた大臣の受止めと、後は特に新型コロナウイルスの備えを今後も続けていかなければならない教育現場にとって、今後の教育政策の継続性などに不安があると思うんですけれども、現時点での大臣としてのお考え、見通しがあれば教えてください。

大臣)
 まず、総理の辞任につきましては、非常に残念に思っています。健康上の理由で、前回、13年前の第一次政権のときにはですね、組閣をし、臨時国会の召集で代表質疑を受ける段階での辞任ということで、その後、大きな混乱を招きましたので、前回ほどの症状は、私は近くにいて感じてなかったんですけれど、大事をとってそのような決断をしたんだと思います。総理自身もおっしゃっていましたけれども、断腸の思いだと思いますし、残り1年間、色んな意味で安倍内閣として加速を増して取り組もうという課題が数多くあった中でリーダーがいなくなる、変わるということは極めて残念だと思っています。しかしながら、この7年8か月ですね、安倍内閣の下で進めてきた教育改革につきましては、これは閣内外問わずですね、多くの皆さんが一定の評価をしていただいていると思いますし、その重要性には、何ら疑うものはないと思っています。従って、次の内閣でどなたが総理になろうと、どなたが文部科学大臣になろうと、文部科学行政は、国民への影響が大きく大変重要なものだと考えておりまして、様々な施策を着実に前進させていく必要があります。喫緊の新型コロナウイルス対策も、これは待ったなしで進めていかなくてはなりませんので、これらの課題に対し、政府、文科省として引き続きしっかり取り組んでいくことになると思います。そこは、心配はしていません。

記者)
 2問目ですが、自民党総裁選についてお尋ねします。今日の総務会で、党員投票なしでの、実施される方向性で検討が進んでいる一方で、若手議員や地方議員団からは、実施を求める声が上がっていると思います。総理大臣を選ぶ上で地方の声を反映しやすい環境を作るというのは大事かなと思うんですけれども、大臣のご所見があれば教えてください。

大臣)
 今、閣僚の一員であるので、党の方で決めることに対してコメントをするのは本来ふさわしくないと思いますが、一政治家として問われれば、総理、自民党の総理総裁というのは、総理大臣になる極めて大きな確率があるわけですから、そういった意味では、より広く、多くの国民、党員の皆さんから選ばれることが望ましいということは私も否定するものではありません。ただ、総理が辞意を表明されてですね、できるだけ早く新体制をということの中で、任期途中の退任の場合には、それに対応できるルールというものをあらかじめ作ってありますので、あたかもそのことが、何か急に後ろ向きにルールを変えているかのような報道も一部ありますけど決してそうではなくて、こういった事態が生じたときには、言うならばBプランでいくということは、あらかじめ党として作ってある制度でありますので、党の方で適切に判断するのだと思います。他方ですね、党員の皆さんは自分の意思を表明したいということもありますから、各都道府県連で、今朝、私たまたま所属をする東京都連の役員会に出てきたんですけれども。あまり党の話をこの文部科学大臣の記者会見でするのはなじまないと思うんですが、ご質問なので。東京は、独自に党員の皆さんの投票を行って、東京の意思というものをちゃんと党本部に上げていくということを決めさせてもらいました。そんな動きも、今後、出てくるんじゃないかと思います。

記者)
 改めて、安倍首相の辞任表明の関係で伺うんですけれども、先ほど、大臣のお言葉としても、7年8か月の教育改革は一定の評価をされているということなのですが、改めて振り返って、どういった評価をされているのか、どこが功績なのかという点をですね、一言、総括いただけますでしょうか。

大臣)
 色んなことで、教育の重要性を、クローズアップをしていただいた7年8か月だったんじゃないかなと思います。様々な例を列挙すると時間がかかると思うので、あえて一つだけということであれば、この二次内閣がスタートしたときに、私も一定の立場で関わりをもっておりましたけれども、とにかく、生まれた家庭の経済環境で子供たちの進路の選択肢が狭まっていく日本を変えたいというのが、今回、第二次内閣をスタートする上での教育の大きな目標でした。そういった意味では、幼児教育・保育の無償化、それから新しい奨学金制度、新制度ができることになって、高等教育も含めて、志のある子供たちが学びをチャレンジできる環境というのは大きく広がったんじゃないかなと思っていまして、その点は、皆さんにご理解いただけるんじゃないかと思います。

記者)
 加えて、自民党総裁選に関して伺いたいんですけれども、先ほど、大臣もご指摘のように、コロナ対応ですとか経済対策など喫緊の課題が続くわけなんですけれども、そういった中で政策面での継続性が重要だということで、その流れで、菅官房長官の支援の動きが広がっているところなんですけれども、現在の現職の閣僚としてですね、次期総裁にはどういった候補がふさわしいと考えるか、ご所見をお聞かせください。

大臣)
 それは、あまりこの場でお答えするのはなじまないと思いますけれども、おっしゃる通り、継続性は、一つは大事だと思います。だからといって、安倍総理が変わるわけですから、新しい総理はですね、その自分の政策の優先順位の中で新たな試みをすることは、否定するものじゃありませんので、それはそれでよろしいんじゃないかと思います。

記者)
 私は、今、これからの予算編成と今まさに動き始めたばっかりの教育再生実行会議をこれからどう考えていくべきなのか、大臣のご所見を伺いたいと思います。特に、教育再生実行会議は、従来の省庁の枠組みではなくて、いわば首相官邸と政府全体が一つになってやるという安倍政権の非常に特徴的な動きの一つでありまして、その中で、今一つ焦点になっているのは、少人数学級のことでありまして、まさに、予算全体を考えて、政府の在り方全体を考えてこれから取り組んで、考えて、話しを進めようとしているときにですね、やっとレールを敷くか敷かないかという具合のタイミングで、今回、政権が、安倍首相辞任ということになりましたけれども、やっぱり、非常に学校現場からも注目が大きいところなんですけども、この先の考え方、色んな、どういうふうに見ていらっしゃるか、大臣のご所見をお願いします。

大臣)
 先週の25日にですね、教育再生実行会議を開催をし、「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」というテーマで主な論点について議論いただくとともに、今後のワーキンググループを開催し、専門的・多角的な検討を深めていくことについて、ご了解をいただきました。新型コロナウイルス感染症を経験する中で、子供たちの学びを確実に保障するため、新たな学びに関する方向性をしっかり打ち出すことは、今後とも取り組む必要のある重要課題であると考えています。特に、これまで各委員から、少人数による指導体制・環境整備などをしっかり進めるべきとのご意見もいただいておりますので、これらを踏まえて、早急にワーキンググループを開催し、状況に応じて、早めに一定の方向性をお示しいただくなど、柔軟な対応をいただきたいと考えております。まだ総理の任期も残っておりますので、残されました時間で、私も全力を挙げてですね、やれるべきことはしっかりやっていきたいと思っていますし、このテーマはですね、どなたが総理になっても、どなたが文科大臣になっても、今後、その新たな感染症に対応できる学校というのを作っていかなきゃいけないわけですから、その視点からも、この少人数学級の在り方というのは、決してリーダーが変わったからといって話が断ち切れになるテーマでは絶対にないと思っています。私も、どういう立場になっても、このことはですね、しっかり方向性をつけることができるように頑張っていきたいとそんな思いでいます。

記者)
 一つだけフォローさせてください。金曜日の記者会見で、この少人数学級について来年度の予算に反映させていきたいということで準備を進めるということでございました。この方針は今も堅持されているということでしょうか。

大臣)
 全く変わっていません。

記者)
 2点伺わせてください。1つは、教員のわいせつ事案に関する対処なんですけれども、本日報道でですね、教員免許法を改正して現状再取得まで3年というのを5年に延ばすという案を軸に検討されているというような報道がなされていますけれども、この辺の事実関係とですね、それから、事実であれば、3年間から5年というのは、ちょっと個人的な見解になりますが、それほど実効性があるように感じられない部分もあるんですけども、大臣としてどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 私も報道を見てですね、ちょっとびっくりしました。担当局の方で色んなシミュレーションをしているのは事実でありますけれども、過日、国会でも申し上げましたように、厳格化を速やかに進めていきたいというのは私の思いでございますので、3年が5年でいい制度に変えることができるんだったら、それは一つの案だと思うんですけれど、私、その詳細な中身についてまだ詳しく承知をしておりません。児童生徒を守り育てる立場にある教師が、児童生徒に対してわいせつ行為を行うなどということは、断じてあってはならないことだと思っています。今の仕組みでは、例えば、教員が児童生徒へのわいせつ行為により、懲戒免職処分を受け免許状が失効しても、3年を経過すると、再度、免許状を取得することが可能となるなどの課題があります。しかし、こうした被害から子供たちを守るには、より抜本的な仕組みの見直しが必要と考えており、現在、法改正に向けて、法制上の課題や他の制度との関係等も含め、検討を進めているところです。一部の報道にあった欠格期間の延長等も検討課題の一つとして考えられる事項ではありますが、それだけでは足りるものでは全くないと思っておりまして、より幅広い視点から、実効性のある方策を検討し、できる限り速やかに国会に法案を提出できるように準備を進めていきたいと考えています。

記者)
 もう1件伺いたいのですが、先ほど、教育再生実行会議のお話が出ましたけれども、その関連なんですけれども、安倍内閣、第2次安倍内閣で教育再生実行会議ということで、従来、文部科学省と中教審の、車の両輪で教育施策というのを一つ考えていったところにですね、政治主導というのを入れていくための一つの装置だったろうというふうに考えているんですけれども、その中に色んな改革がなされてですね、一方で、大学入試改革も、教育再生実行会議のほうから出てきたものだったと記憶していますが、そういう形で、結果的にうまくいかなかったものもあるわけですけれども、この、政治とですね、役人と官僚と学者の関係性というのを、どのようにあるべきなのか。この教育再生実行会議に関して、大臣としてどのように総括されておられるかという見解を伺いたいなと思います。

大臣)
 教育再生実行会議では、平成25年1月の発足以来、21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を実行に移していくため、これまで11次にわたる提言を取りまとめてきました。これらの提言を受け、例えば、いじめ問題等への対応ですとか、教育委員会制度改革、給付型の奨学金の創設などに関する法律改正をはじめ、様々な制度改革や新たな事業が実現してきていると思います。このように、内閣の最重要課題の一つである教育改革を着実に推進し、大きな成果を上げてきたものと考えています。この7月からは、新たなテーマである「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」について議論を始めていただいているところであり、私としては、今後とも、この重要なテーマをしっかりと議論していただきたいと考えております。ご指摘のようにですね、例えば、高大接続については、私の責任で一度立ち止まって、今、見直しをしていますけれど、失敗というご指摘がありましたけれど、決して失敗ではなくて、失敗をしないように立ち止まって制度を見直しているという状況にございます。それから、いわゆる現場を知っている皆さんや、あるいはその、学術的に専門性の高い皆さんや、あるいは行政の経験者など、色んな立場の違いからですね、教育の在り方というものに皆さんが視線を注いでいただいたという点では、私は、大きな意義があったんだと思います。必ずしも皆さんがですね、全会一致で物事が決まる内容ではないですから、非常に対立軸が生じたこともありましたけれども、逆に言えばですね、今まで教育行政というのはそんなに対立をしてまで、制度をですね、どうするかという議論をする機会すらなくてですね、ほわっとした状況の中で物事が進んできたこともあったんじゃないかと思いますから、私は、そういった意味ではこの再生会議の役割というのは、極めて日本の教育を変えていく、良くしていくための大きな役割を果たしていただいているとこう思っております。ぜひ、あの、これから新しいリーダーの下で内閣が組閣をされますけれども、いずれにしましても、この教育再生会議、名称はともかくですね、こういった政府全体で教育に関わりをもっていくということの重要性はしっかり継承していただきたい。そのことは、声を大に続けていきたいなと思っています。

記者)
 先週、内閣府のほうで第6期科学技術イノベーション基本計画の検討の方向性が示されました。で、これに関して、今、まだ終わってないですけれども、現在走っている第5期の計画の評価と、さらに12月に素案が出ると思うんですが、6期に盛り込むべき内容、文科省の取組など教えてください。

大臣)
 第5期科学技術基本計画では、我が国が目指す未来社会を「Society 5.0」というコンセプトとして世界に向けて提起し、目標値を定めて取り組んでおり、オープン・イノベーションの推進に関する指標では一定の進展が見られております。一方で、今回のコロナ禍において、デジタル化に対応した環境の整備に関し、その進捗状況にばらつきがあることが明らかになりました。Society 5.0の実現は道半ばであり、研究力に関する指標については、目標の達成が困難な状況にあると承知しております。この度公表された「科学技術イノベーション基本計画の検討の方向性(案)」においては、政策の柱として、「イノベーション力の強化」、「研究力の強化」、「人材育成・資金循環」という整理が提案されております。特に、我が国の研究力強化のために重視すべきは、優秀な若手研究者が博士号を取得してから一定期間内に任期無しの教員ポストに就いて安定的に研究にまい進することができることでありまして、文科省としては、若手研究者支援や、大学や国を連携して、この若手研究者の支援を行っていくことを、確実に成果を挙げることが重要だと考えております。これらの成果及び課題を踏まえて、文科省としても、今後の内閣府における次期科学技術・イノベーション基本計画に係る検討に積極的に協力してまいりたいと思います。この5期の期間にも、ノーベル賞も引き続き受賞しましたし、先日は、8年ぶりにスーパーコンピューターを、世界1位の評価をいただく富岳を発表することができたなど大きな成果もあったと思います。大事なのは人だと思いますので、この科学技術に携わる研究者がしっかり増えていくように、また、安定的に研究ができるようにですね、第6期でまたさらに深堀りをしていきたいと思っています。

(了)

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