萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年8月28日)

令和2年8月28日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

キーワード

高校生・高専生「富岳チャレンジ」、私立大学等経常費補助金の一部前倒し交付、GIGAスクール構想、第5期科学技術基本計画、東京オリンピック・パラリンピック競技大会、全国学力・学習状況調査のCBT化

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年8月28日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年8月28日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年8月28日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは、冒頭二件ございます。来月、スーパーコンピュータ「富岳」を使い、高校生などがプログラミングに挑戦するイベントを開催予定ですので報告したいと思います。「富岳」につきましては、先月、理化学研究所の松本理事長から世界一位獲得の報告を受けるとともに、今月の8月9日、私自身も神戸に出張し、実機の運用状況の視察をしてまいりました。その際、私からは、「富岳」を国民共有の財産として、誰もが活用しやすい環境を整えることや、「富岳」を活用した次世代の人材育成が重要である旨を申し上げたところです。松本理事長にも賛同いただき、今般、理化学研究所は、東京工業大学・大阪大学と共同で「高校生・高専生の『富岳』チャレンジ」を開催することとなりました。高校生・高専生を対象としたプログラミングコンテストとしては、これまで長年にわたり「SuperCon」が開催されてきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて今年度の本選が中止となり、出場予定の皆さんは残念な思いをされていたというふうに思います。先週、国立競技場で陸上の代替大会を行いましたけれども、これは、科学技術分野における高校生の代替大会だと位置付けをさせていただきたいと思います。今回開催する「富岳チャレンジ」は、この本選出場校を招待して、「富岳」を使ったプログラミングの課題に挑戦してもらうオンラインイベントとなります。今回のイベントの実現にご尽力いただいた関係者に敬意を表するとともに、参加者の皆さんには、世界一のスパコン「富岳」を使うチャレンジの機会をおおいに楽しんでもらいたいと思います。「富岳」が国民生活に密着し、その発展に寄与するためには、国民の皆様に幅広く使ってもらうこと、理解してもらうことが重要です。このイベントが、その一助となることを期待するとともに、今後は、小学生や中学生等にも「富岳」に触れてもらい、身近に感じてもらえるような取組もぜひ進めてまいりたいと思っているところでございます。
 もう1点なんですが、各私立大学等におかれましては、新型コロナウイルス感染症への対応として、授業料の延納措置や授業料減免等支援に加え、キャンパス内の感染防止対策や対面授業の実施・開始に向けた準備、大学病院での感染者受入れ等、様々な点でご尽力いただいているところです。このような状況の中で、私立大学等において例年とは異なる資金需要が生じていることを鑑み、今年度の私立大学等経常費補助金について、補助金の一部を前倒しで交付することにいたしました。具体的には、例年12月頃に配分している補助金の一部となる約750億円分を来月中旬に大学に交付する予定でございます。なお、これまでも繰り返し申し上げているところですが、コロナ禍の状況下にあっても、大学における学修の機会を確保し、対面授業の実施なども含め、学生が納得できる質の高い教育を提供することは必要不可欠と考えています。ついては、各大学等におかれましては、今回、前倒しで交付される資金も活用して、対面授業の実施なども含めた質の高い教育を提供していただくよう、この際、改めてお願いしたいと思います。私からは以上です。

記者)
 幹事社から、2問質問させていただきます。1点目、GIGAスクール構想についてなんですけれども、補正予算で1人1台の配備時期を本年度中に前倒しするとともに、特に、緊急事態宣言下の特定警戒都道府県の13自治体には8月中の配備を目指すとの目標を掲げていましたが、現状いかがでしょうか。また、あの、今年度中の配備は未定だとか、難しいといった自治体も一定数あるようですが、文科省としても、今後どのような支援あるいは助言をしていく予定ですか。

大臣)
 文科省としては、緊急対策パッケージに示した通り、今、お話しのあった13の特定警戒都道府県において、オンラインによる家庭学習が全ての児童生徒に可能な環境となるように、当該都道府県に対して、補正予算に基づくICT端末の整備にあたっては、正式な交付決定前であっても事前着手を特例的に認めることとともに、特に早急な端末整備が必要と考えられる自治体には、文科省より個別に働きかけを行うなど、様々な支援を行ってきたところでございます。その達成状況等については、現在、8月末までの状況を調査している最中であり、調査結果が取りまとまり次第、公表するとともに、その調査結果を踏まえ、必要に応じて対応を講じてまいりたいというふうに思っております。都道府県のレベルでは、一定の理解をしているんですけれど、その後、市町村が、実際には設置者として調達をしますので、そこでちょっとタイムラグが生じていることは否めない部分もございます。私、機会があるごとに、9月の議会を待たずして、ぜひ夏休み中に、例えば、先決処分をして、後に議会の承認をもらうようなことも考えて欲しいし、あるいは、大阪市のようにですね、臨時議会を開催をして、これは1日あればできるわけですから、そういった積極的な取組をしていただきたいということで、そういう対応をしていただいている自治体もありますけれども、大体13都道府県については、問題意識は共有していますので、後半でご質問のあった年度内に間に合わないんじゃないかというのは、この13の中では出てこないというふうに信頼をしているところでございます。他方ですね、中々慣れていなくて調達に時間がかかっている自治体があるのも承知をしておりますので、今、文科省としては、どうしたら調達がスムーズにいくか、あるいは、調達をした後のですね、作業がどうやったらスムーズにいくかということを、具体的にホームページなどにも掲載をしながらですね、バックアップをさせていただいております。8月の調査結果によっては、また、さらなる支援の方法を考えていきたいなと思っているところでございます。

記者)
 もう1点、科学技術基本計画の関連でお尋ねなんですけれども、間もなく、来年度からの第6期計画の方向性が固まると承知しているんですけれども、今年度までの第5期計画内にある40歳未満の若手大学院の割合1割という数値目標が盛り込まれていたと思うんですけれども、その達成が困難との見方が強まっています。将来的には3割以上を目指すことも盛り込まれていたと思うんですけれども、文科省として、これまでの施策で、例えば、見直すべきことだとか、あるいは、今後さらに取り組まなければいけない支援策などがありましたらご所見をお願いします。

大臣)
 大学院というか教員ですよね。

記者)
 教員です。

大臣)
 そうですよね。我が国の国力の源泉である大学や研究機関の研究力の強化は喫緊の課題であり、将来を担う若手が安定したポストに就きながら、研究に集中できる環境を整備することが重要です。我が国の大学教員につきましては、今、ご指摘のありました平成元年度から平成28年度の27年間で、本務教員総数は1.5倍に増加をしておりまして、中でもですね、「60歳以上」が2.1倍、「50歳から59歳」までは2倍と大幅に増加する一方で、「40歳未満」はほぼ同数で推移していることから、結果として、その割合は34.7%から逆に23.4%に減少してしまっております。この傾向はここ数年においても変わっていないと見込まれ、本年度を終期とする第5期科学技術基本計画におけるご指摘のあった目標値の達成については極めて厳しい状況であるというご指摘は、これは真摯に受け止めなくてはならないと思っています。このような状況下にあって、我が国の研究力増加のために重視すべきは、優秀な若手研究者が博士号を取得してから一定期間内に任期無しの教員ポストに就いて安定的に研究にまい進できることであります。このような観点から、この任期付きポスト比率の増加により、不安定な雇用の中で、アカデミアにおける研究者としての展望を描くことが困難な状況にあることは大きな問題だと認識しています。そのため、文部科学省としては、シニア教員の外部資金による任期付き雇用への転換促進、間接経費を活用した若手研究者への任期無しポストの提供、若手研究者比率や人事給与マネジメント改革の進捗状況に応じた運営費交付金の傾斜配分といった取組を総合的に進めるとともに、若手研究者の育成・活躍促進を後押ししてまいりたいと思います。なお、政府において行われている科学技術・イノベーション基本計画の検討に当たっては、このような若手研究者支援を大学や国が連携して行い、確実に成果をあげることを重視してまいりたいと思います。あの、言い訳じゃないんですけど、この5期計画の途中で、割と、この定年が後倒しになったということもあります。だから、元々の総数でいくと3割以上のキープはできていたんですけれど、全体の分母が大きくなってしまって、そこに、シニアの皆さんが、元気なシニアの皆さんが、大学に残るという事態が生じましたので、結果として、若い人たちにしわ寄せがきてしまっていることは否めないと思うので、これは、次の計画の中で、今、申し上げたようなことを様々な取組をして何とか改善をしたいと思っています。

記者)
 東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた政府の会議についてお伺いします。昨日ですね、菅官房長官も、出入国管理や会場運営など幅広い課題を総合的に検討する必要があるというふうに会見で述べていました。この会議についての、文科省が、どのように関わっていくか教えてください。

大臣)
 東京大会の確実な成功のためには、新型コロナウイルス感染症対策が不可欠であり、様々な課題を総合的に検討・調整していくため、9月以降、国、東京都、大会組織委員会による会議を開催する予定と聞いております。我々文科省としては、アスリートの皆さんを、健康をしっかり管理をしながら大会に臨んでいただく環境作りですとか、また、観客にとって安全・安心な大会の実現に向けて、関係省庁とともに、この会議の中で議論に参加をしてまいりたいと思います。現時点で、文科省の役割がどこからどこまでなのかということが決まっているわけじゃありませんので、あの、当然、大きな国際スポーツ大会ですから、あらゆる角度から、文科省として、責任を果たすべき役割はこの会議の中でしっかり発信をしていきたいなと思っています。

記者)
 全国的な学力調査に関してちょっと伺いたいなと思います。先日、学テのCBT化の検討ワーキングのほうで、中間的な「論点整理」がなされたんですけれども、導入に向けてですね、小規模な試行段階を踏んだ上で拡大していくというような提言がなされているんですが、あの、もし、こういう形で導入するということになっていけばですね、大体どのくらいを目処に、そのCBT化を実現しようというふうにお考えなのかというのが1点と、その中でCBTに一斉に移行できない背景として、例えば、サーバの問題であるとか、200万人が一斉に受けると負荷がかかるとかいうところで、そういうものが足かせになってですね、CBT化が実現できないというところを踏まえて、抽出調査というのも一つの考え方みたいな記載も「論点整理」の中にあるんですけれども、悉皆か抽出かというのは、これまで色んな論点から是非が議論されているわけですが、大臣としてこれに関してどうお考えなのか、今後、悉皆か抽出かというのは改めて議論するお考えあるのか、その辺りを伺えればと思います。

大臣)
 全国学力・学習状況調査のCBT化については、本年4月より、「全国的な学力調査に関する専門家会議」の下に設置したワーキンググループにおいて専門的・技術的観点から検討いただき、この度、中間まとめとして「論点整理」をとりまとめていただいたところです。この「論点整理」においては、今後の検討の方向性として、CBTでの実施に当たっては、児童生徒が日常的にICTに触れて学習や操作に慣れることが重要であること。また、多数の問題作成や分析のための体制整備が必要であること。端末の動作確認や不具合への対応など、想定される現場の負担をできるだけ軽くする必要があることなどについて、ご指摘をいただいたところです。併せて、小規模から試行に着手をし、検証を重ねて段階的に規模を拡大していくことにより、早期のCBT化の実現につながるものであることについて提言をいただきました。文科省としては、この「論点整理」における専門的観点からの提言を踏まえ、CBT化の実現に向けて、来年度を念頭に、まずは小規模からの試行・検証に向けて必要な経費を、来年度の概算要求に盛り込む予定で検討しております。私自身はというご質問なので、これは、抽出ではなくて悉皆でやってきたことに大きな意義があると思いますので、悉皆を続けていきたいと基本的に思っています。併せて、図らずも、今年度末までに、全ての小学生・中学生に1人1台の端末の整備ができることが見通しがついたわけですから、そういう環境が整った後にですね、このCBTを活用しない手はないというふうに思っています。他方ですね、技術的に、同じ時間帯に一遍に子供たちが試験を受けると、サーバがパンクしてしまうんではないかという技術的な問題も当然あるんだと思いますけれど、私は、そこはですね、せっかくこういう環境を作って、サーバが対応できないから悉皆から抽出だというのは、また、本末転倒だと思っていまして。科学技術立国としてですね、これはあらゆる技術を総動員して、あの、大きなサーバを作るっていう手もありますけれど、そうじゃなくて、既存のものを上手に組み合わせたり、例えば、試験の時間は一定同じ形でやるけれども、その情報をですね、時間差をもって集めていくようなことも、技術的にはきっとできるんだと思います。よくチケットの販売なんかで、確かにフリーズしてしまうこともありますけれど、フリーズした人が永遠にアクセスできないかというとそうじゃないので、試験ができないっていう環境を作るのはけしからんことですが、これはあってはならないと思いますけれど、その結果の集約については、また、色んな技術があるんじゃないかと思っています。あの、そういうできないことをできることにするのが文科省の仕事だと思っていますので、あの、技術も含めて、しっかり検討していきたいなと思っています。

記者)
 悉皆でやってきたことに大いに意義があるというようなお話しだったと思うんですが、大臣として、一番の意義がある部分というのはどういったところだとお考えですか。

大臣)
 例えば、悉皆ですとね、同じ学校の中でも1組と2組で結果が大きく変わることも見ることができるわけです。そうすると、指導方法に問題があるんじゃないかということを現場では活用することもできますけど、大体分かっていますかということを全国的に聞くのとですね、あるいは、その、自治体ごとにちゃんと結果が出ることには、ややもすると、自治体の、何と言いますか、正解率のね、競争みたいになってしまう一面があって、そこは望ましくないなという思いもあったんですけれど、これをちゃんと利用すればですね、先生方の指導力のアップにもつながるし、あるいは課題を持っている自治体や教員の皆さんの早期発見にも、私、つながると思っていますので、そういう意味では、せっかくこういうICT化を日本中で進めようというときにですね、あえて紙でこんなに苦労して悉皆でやっていたものを、そこを、抽出に戻るというのはいかがなものかなっていうそんな思いで申し上げた次第でございます。

(了)

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