萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年8月25日)

令和2年8月25日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

キーワード

新型コロナウイルス感染者に対する差別、偏見、誹謗中傷等を防ぐための大臣メッセージ,科学技術改革タスクフォース戦略報告,新型コロナウイルスと冬季のインフルエンザ対策,教育再生実行会議,新型コロナウイルスと大学でのオンライン授業,新型コロナウイルスと国民体育大会,学校における働き方改革

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年8月25日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年8月25日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年8月25日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは二件です。まず、本日は、私から児童生徒等や学生の皆さん、また、教職員をはじめとする学校関係者の皆様、保護者や地域の皆様にメッセージをお伝えをしたいと思います。まず、児童生徒等や学生の皆さんに対して、新型コロナウイルスには誰もが感染する可能性があり、感染した人が悪いということではないこと、感染した人が悪いという雰囲気ができ、感染したことを言い出しにくくなると、さらに感染が広がってしまうかもしれないこと、感染した人を責めるのではなく、励まし、温かく迎えて欲しいということ、皆さんは、今自分ができる予防をしっかり行い、日々の学びを続けてほしいということ、これをお伝えしたいと思います。次に、教職員をはじめ学校関係者の皆様に対しては、児童生徒等が新型コロナウイルス感染症を正しく理解し、よりよい実践ができるよう学校における指導が一層重要となってきていることから、指導に当たって重要な点を示すとともに、差別や偏見等を防ぐための取組を組織的・継続的に進めていただくようお願いをしております。保護者や地域の皆様に対しては、感染者に対する差別や偏見、誹謗中傷等を許さないということ、また、このような状況下にあっても、子供たちにとって貴重な学ぶ機会を最大限保障するため、学校における感染症対策と教育活動の両立に対するご理解とご協力をお願いをしています。差別等に対する取組は、政府全体で進める必要があり、内閣官房では、今後、実態の把握や、相談窓口及び啓発の在り方について検討するものと承知しています。また、法務省においては、8月28日から相談電話「子どもの人権110番」の強化週間を実施する予定となっています。文部科学省としても、関係省庁等としっかり連携し、差別等の防止の取組を、引き続き、進めてまいりたいと思います。
 もう一点は、政策的に重要でありながら、これまで十分に検討が進んでいない局横断的な課題について、今般、若手有志職員が中心となって、所掌にとらわれず自由闊達な検討を行う「科学技術ワクワク挑戦チーム」の活動に関する報告書を取りまとめましたのでご報告いたします。これは、昨年決定した「文部科学省創生実行計画」における「現場に根差した政策立案機能の強化」の一環として取り組まれてきたものです。本報告では、社会全体がコロナ禍にあって研究現場にも多大な影響が出ている中、オンラインでの新たなコミュニケーションの形や協働の形も模索しながら、産学官民の幅広い現場の方々と一体となって議論を行ってきた成果が取りまとめられています。今回の提案の中には、コロナ禍の研究現場について、若手ならではのユニークな官民のネットワークや機動性を活かし、大学、研究開発法人、民間企業等の幅広いセクターと研究分野から、従来の調査では十分取られていなかった大学院生やポスト・ドクター等の若手人材の声を広くタイムリーに集めて分析したものでありました。この調査結果からは、コロナ禍の苦境を乗り越える上での数々の工夫や改善が得られています。今回得られた現場の知見や機動的なアンケートの調査の手法は、今後の政策立案や検討にしっかりと活かしていきたいと思います。本年7月末に、私もこの検討チームのメンバーと意見交換を行いましたが、若手職員の柔軟な発想、そして新たな視点からの意欲的な提案に触れることができ、大変頼もしく思いました。現場主義を徹底していくことは省改革の大きな柱です。引き続き、省内外の関係者との密な協働の下、今後のあるべき研究現場の姿を見据え、これをさらに魅力あるものへ創り変えていけるよう、文部科学省としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 幹事社から2点質問します。まず、1点目なんですけども、今週から全国的に夏休みが終わって新学期が始まったわけですけれども、今後も、新型コロナの感染拡大リスクに加えて、専門家会議ではインフルエンザの流行の兆しにも言及がありました。こういう中で、学校生活で、学校現場の教員の方々の負担や、大臣も今日のメッセージで言及されていますけども、子供たちへの精神的な負担を、引き続き、続くことが懸念されるんですが、改めて、どういった取組や支援を進めていくか、ご所見を伺わせてください。

大臣)
 全国多くの小中学校におきまして、夏季休業を終えまして、授業が再開されていると思いますが、この間も、全国的に感染者数が増加し、児童生徒や教職員の感染事例の報告も続いております。各教育委員会等においては、より一層、都道府県の衛生主管部局等との連携を緊密にして、地域の感染状況を把握し、学校や家庭に対して十分な情報提供を行っていただくことが大切です。また、冬季にかけてインフルエンザの流行も予想されますが、学校で必要とされる基本的な感染症対策は、新型コロナウイルス感染症と同様と考えられ、文部科学省から示している衛生管理マニュアルなども参考に、引き続き、日常的に児童生徒と教職員の健康観察を行うとともに、地域の感染状況に応じて、具体的な活動場面ごとにきめ細かな感染症予防対策を行っていただきたいと考えています。現場の先生方、大変ご苦労されていることを十分承知していますし、できるだけ教員の皆さんには、教員本来の仕事に向き合っていただけるようにですね、外部スタッフの導入など、国としても、引き続き、支援をしっかりして、各自治体・学校が感染症対策に万全を期した上で、教育活動を実施いただけるように支援を続けていきたいと思っています。

記者)
 もう1点質問があります。本日、今年度2度目の教育再生実行会議が開かれて、今後は、ワーキンググループでそれぞれ検討が始まるかと思うんですけども、大臣は、以前、教育再生実行会議の提言は来年5月目処にもまとめていただきたいというお考えを示されていたかと思うんですけども、それぞれのワーキンググループでの議論のスピード感っていうのはいかが考えていらっしゃいますでしょうか。特に、初等中等教育ワーキンググループでは、感染症対策っていうのも盛り込まれているかと思うんですけども、スピード感について、お考え聞かせてください。

大臣)
 本日16時から教育再生実行会議を開催し、「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」について、前回会議の議論を踏まえ、さらに検討事項を具体化した主な論点についてご議論をいただく予定です。大きな論点として、少人数による指導体制・環境整備の在り方や、対面とオンラインのハイブリット教育の在り方などがあると考えています。本日の実行会議でのご議論を踏まえ、以降は、私の下でワーキンググループを開催し、専門的・多角的な検討を深めていきたいと思っております。ご指摘のようにですね、初等中等教育で取り組むべき内容と高等教育機関で対応すべき内容については、若干、アプローチが違うと思いますし、特に、初等中等教育に至っては、感染症対策あるいは遅れていたICTの環境整備、また、一つの大きな議題として議論いただく少人数学級などがございますので、そこはですね、専門家の先生方の判断にもよりますけれども、最終的な取りまとめは来年5月ぐらいで目指していますけれど、例えばですね、新年度の予算に反映をしていかなきゃならないテーマなどで、貴重なご意見があるとすれば、そういったことは少し加速をしていただけるんじゃないかということを期待をしております。本日の実行会議の具体的な議事の内容については、会議の終了後に、私と座長から、改めて、記者ブリーフを行いたいと思います。

記者)
 今、幹事社さんの質問にもあった教育再生実行会議の絡みで、大学教育の関係でお伺いしたいんですけれども、以前、大臣は会見でですね、オンラインと対面のハイブリッドをやって欲しいというふうな呼びかけをされたかと思うんですが、現状、大学の授業の実施状況で、前回の調査を、また新たにしているものがあればその結果をお伺いしたいのと、新入生など、一度も学校に通っていない学生がいる中で、学生の実態について、調査もしくは対応を何か検討しているものがあればお願いします。

大臣)
 8月11日の会見でもお話ししましたとおり、各大学等における後期授業の開始に当たっては、感染防止をするための対策を十分講じた上で、可能なものについては、対面による授業の実施を積極的に検討いただきたいと考えております。文科省としては、各大学における検討に資するよう、対面による授業と感染対策を両立している好事例について、文部科学省のホームページにすでに掲載を行っているほか、今後、各大学団体の会議等の場を活用して、積極的に情報発信することとしております。お尋ねの調査につきましても、今月中にですね、各大学に依頼するべく調査項目の設計を鋭意進めているところです。この調査においては、各大学等における後期の授業の実施形態のほか、対面授業と遠隔授業を併用する場合の考え方や両者の割合、学内施設の利用状況、どの程度の学生が定期的にキャンパスに通学できるかといった点について把握をしたいと考えております。また、ご指摘の新入生につきましても、遠隔授業の実施により、通学の機会が減少している学生への対応を含め、各大学等が、学生に対してどのような措置を講じているかについても確認をする予定でございます。このほかのいくつかの大学に対しては、個別に意見交換を行い、今般のコロナ禍における授業の実施に対する基本的な考え方や、これを乗り越えるために講じている工夫等について、やりとりを通じて具体的に把握していきたいと思っておりますし、私も、この間、現場に視察をしたり、また、お見えになった大学関係者の皆さんとの意見交換をして、良い例につきましては、すでに文科省のホームページでもアップをしております。今までの調査は、どちらかというと少しざっくり、対面とオンラインどうなっていますかっていうところまでしか承知してなかったんですけれど、学生の皆さんからも様々な不安の声が上がっていますので、少しきめ細かい調査をさせていただいて、また、同時に、我々が目指す大学の現場の在り方というものも現場の皆さんにもお伝えさせていただいて、全国的な状況の調査と個別大学との意見交換を通じて、大学等における新型コロナウイルス感染症対策に関する実情を丁寧に把握した上で、各大学等において、後期授業が始まる9月の中旬頃までには、各大学等に対し、必要と考えられる情報を提供していきたいと考えています。

記者)
 新型コロナに伴う国体の延期に関してお伺いします。今年ですね、予定していた鹿児島県について、2023年予定の佐賀県が、その年の開催を巡って一年後ろ倒しをしていくということで両県が合意したということが先週、発表がありました。その点に関しての受止めをお願いします。

大臣)
 鹿児島県の中止は、鹿児島県の責任ではなくてですね、このコロナの状況にあって実施できないっていう客観的な判断に基づく決断でありました。オリンピックじゃないんですけれど、本当は、あの、1年ごとにずらしていけばという案もあったんですけれど、翌年の開催県も、もうすでに数年前から準備をしていますし、翌々年の開催県も、もうすでに県庁内にですね、対策室などを作って準備をしていますので、すでに実施予定の県については、なかなかそういう形になりませんでした。実施内定の県と直接相談をしたという事実もありますし、あと、我々もまたそのやりとりをずっと見守ってまいりまして、一定の方向ができましたので、良い意味でお互いが協力しながらですね、鹿児島での実施を望んでいた皆さんにも、この機会を逃すと、この国体だったら地元で出れたのに数年後だと出れないっていうアスリートの人たちがいることは否めないんですけれど、しかし、今まで準備してきたことが無駄にならないようなですね、代替ができるということが、見通しがついたことは、大変嬉しく思っております。今までこういったことがなかったものですから、仕組みやルールを今まで持っていなかったのですけれど、これを機会に私の下でですね、今後、自然災害などで、ごめんね、滋賀県とはこれから引き続き検討するようでございますが、全ての皆さんが納得している状況ではないのですけれど、いずれにしましても、これを機会にですね、こういった、例えば、感染症や自然災害によってやむを得ず実施ができなかった場合の代替をどうするかっていうのを、省内でもきちんとルール化をしていきたいなと思っているところです。

記者)
 滋賀も含めてですね、後催県の方に影響が出てくるわけですけれども。延期に伴って追加経費っていうものが、それぞれの大会、出てくると思うんですが、そこに関しての財政的な支援みたいなものは、国としては、方向性みたいなものは考えていますでしょうか。

大臣)
 あの、延期をすることでどういう費用が生まれてくるのか、また、それが、今回のコロナの影響で、明らかにですね、影響があるものなのか、そういったものはよく精査をして、今後、考えていきたいなと思っています。国体そのものは、どちらかというと自治体、それぞれ開催をする自治体の負担で準備をしていまして、国としては一定のメニューしかないのですけれど、今回は事情が事情なので、その辺はよく現場の声を聞きながら、きめの細かい対応を検討していきたいなと思っています。

記者)
 コロナ禍における学校現場の負担に関して伺いたいなと思います。先般、NPOがですね、全国の教員を対象にした調査で、7月の時間外労働が80時間を超える先生が6割近く、それから100時間を超える先生が4割ぐらいいらっしゃると。これは、あの、もちろん公式な調査ではございませんし、悉皆調査でもないんですけれども、一定、そういう実態はあるんだろうなというふうに考えます。それで、あの、大臣はですね、これまでこのコロナの状況で学校現場にはどうしても頑張っていただかなければいけないということを繰り返しおっしゃっていたと思うんですけれども、それはその通りだと思うんですが、一方で、その100時間を超えるとなってくるとこれは労基署が入ってくるレベルなんですね。で、あの、この実態に関して、大臣としてどのように受け止めておられるかというのとですね、これまで予算という形で、学校現場に、補正予算を大分入れているわけですけれども、それがあるにも関わらずこういった実態になってしまっているというのはどうしてなんでしょうか。

大臣)
 新型コロナウイルス感染症対策のために、臨時休業に伴う授業時間の増加や子供の健康観察、消毒作業等、学校の業務量が増大している現状は、先日の教育団体のヒアリング等においても言及がございました、承知をしているつもりです。今、ご指摘がありましたように、本来今年はですね、学校現場にとっては働き方改革元年で、少し、あの、時間数も含めて見直しをしていこうねということがスタートした矢先にこのような事態になってしまいましたので、先生方が、子供たちのために使命感を持って懸命に取り組んでいただいていることにはですね、改めて、心から感謝を申し上げたいと思います。一方、文科省としては、このような学校の負担を軽減することができるように、二次補正予算において、教員の加配、学習指導員、スクール・サポート・スタッフの追加配置分として、合計85,000人分、310億円を計上し、各自治体からは、その8割にあたる67,000人分の申請があり、先月、各自治体に内示をしたところでございます。順次、学校現場への配置が始まっているところですが、さらなる配置拡充に向けて、すでに2次募集を始めておりますのでご利用いただきたいと思っています。特に、消毒などは、8月6日付けで管理衛生マニュアルを改訂しまして、なんとなく神経質になるとものすごくどこまでも消毒しなきゃならないっていう負担感が現場にいってしまったんですけど、最低限、こういったことはやりましょうねっていうことと同時にですね、スクール・サポート・スタッフなどを上手に使っている自治体や学校は、朝の時間、外部の人たちが来て消毒を済ませていただけるような事例もありますので、そういった良い例を横展開をしていきたいなと思っています。他方、あの、教員の皆さんは、やっぱり使命感が強いものですから、特に、授業の遅れを取り戻さなくてはいけないなどで、結果として長時間労働になってしまっているっていう実態は否めない部分があるのだと思います。これは、労基署は学校ですから入らないのですけれど、しかし、民間に照らせばですね、これはあの、もう健康を害する可能性があるような事態まで先生方が追い込まれてはならないと思いますので、そこは、校長先生や副校長など管理職の皆さんがしっかり管理をしていただいて、必要なマンパワーについては、市町村教育委員会、都道府県教育委員会とよく連携して、そこはしっかり予算の裏打ちはしてありますので、もうちょっと積極的に使っていただいてもいいんじゃないかなと。そういう外からのマンパワーを使っていただきたいなと思っていますし、そうは言ってもなかなかそういう人が見つからないんだと、こういうお話がありましたので、春先から進めてきた学校応援スタッフのですね、紹介なども引き続きさせていただいているところでございます。あの、子供たちも大事ですけれども、先生方も健康を害しては、これは、結果として子供たちにも影響が出てしまうので、そのバランスはしっかりとりながらですね、緊急事態で大変ご苦労かけていますけれど、ここは、ご努力をいただきたいなと。その、必要な声はですね、黙っていないで上げていただいてですね、あの、どうしても、予算が県経由で行くものですから、なかなか学校一つ一つの現場となかなか現場感覚が合っていないところが、前半1学期はあったんじゃないかというふうに私も思っていますので、改めてそういう機会を通じてですね、現場の皆さんのご苦労をちゃんと汲み上げていただいて、必要な人や予算はしっかり充てていただくような、そんなことを改めてお願いをしていきたいなと、そんなふうに思っています。

(了)

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大臣官房総務課広報室