萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年8月4日)

令和2年8月4日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

国立工芸館の開館及び名誉館長の決定、教科書調査官に関する報道、実技・芸術系学生からのオンライン授業に関する要望、大学等におけるPCR検査、少人数学級、GIGAスクール構想、クルードラゴンの帰還、新型コロナウイルスと大学の後期授業

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年8月4日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年8月4日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年8月4日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは二件です。まず、国立工芸館の開館及び名誉館長の決定について報告をいたします。工芸分野のナショナルセンターであります国立工芸館につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、これまで開館を延期をしてきたところですが、この度、開館の準備が整い、本年10月24日(土曜日)に開館記念式典を開催し、翌25日より一般公開することにしましたので発表させていただきます。また、同館の名誉館長には、国内外に高い知名度と情報発信力をお持ちであり、日本の伝統文化や工芸の支援に精力的に取り組んでこられた中田英寿氏に就任していただくことになりました。文部科学省としては、国立工芸館の開館を機に、多くの皆様が石川県金沢市の国立工芸館に足を運んでいただき、工芸の魅力や文化への理解を深めていただくことを、期待をしているところでございます。
 もう一点、先般の記者会見でもご質問のございました教科書調査官の件ですけれども、考えられる限りの方面に、正式に確認をしました。外交上の機微等もございますので詳細については説明を省かせていただきますが、週刊誌報道にあった教科書調査官の名前が掲載されていると言われる文書の存在等含めて掲載にあるようなことの事実確認はなされませんでした。存在は確認されませんでした。併せて、特定の教科書検定に変更があったなどとされる教科書検定に関する部分も含めて全く問題はございませんでしたので報告をしたいと思います。以上です。

記者)
 一問、質問させていただきます。先週、東京藝術大の学生たちが文科省の方を訪れまして、芸術系の大学、それから芸術系の学部に通っている学生さんたちが、今、オンライン授業で苦しんでいるという窮状を訴えられました。学生さんたちが訴えているのが、今、オンラインの授業なので、中々そういう芸術の実技分野で思ったような授業を受けられない。なので、まず対面の授業を、ぜひ再開させてもらえるような支援を国にお願いしたいということと、あと、今、どうしてもオンラインで芸術を学ぶということが難しければ、来年から学び直したいということで、今年休学をしたいという学生さんたちも多くいるようなんですが、その際も、休学費用がかかってしまって、お金がかかってしまうので、そういう経済的負担をお願いしたいという二点を主に要望されていました。そういった支援、今後、検討されるご予定はありますでしょうか。大臣のお考えをお願いできますか。

大臣)
 ご指摘のようなですね、例えば、美術や音楽あるいは体育などの分野においては、対面ならではの教育効果の重要性も踏まえ、遠隔授業を継続する場合においても、効果的な対面授業との併用等を検討していただきたいと考えております。本年度後期や次年度の授業の実施方法につきましては、7月27日付け事務連絡において、各大学等に対し、地域の感染状況や教室の規模、学生数、教育効果等を総合的に考慮し、学生の希望等も踏まえ、感染対策を講じた上での対面授業がより適切と判断される場合には、対面授業の実施や遠隔授業との併用を検討していただくことを求めているところです。各大学等においては、当該事務連絡を踏まえ、分野の特性に応じた授業方法の工夫をご検討いただきたいと考えております。なお、授業料などの学納金の取扱いについては、一般的に、それぞれの大学において、その経営上の判断により決められるものであり、学生が休学するにあたって大学に納付することとされている場合の額の設定やその取扱についても各大学について判断すべきものと考えております。他方、今年はコロナという特別な事情なので各大学、そこは配慮をされることだというふうに思っております。いずれにしましても、各大学においては、その納付する費用について、学生や保護者に対して十分な説明を行うとともに、経済的に困窮している学生等が活用できる制度の周知やきめ細かな相談対応など、学生に寄り添った対応をお願いしたいと考えているところです。

記者)
 ちなみに、あの費用負担ですとか、大学、その休学の際にかかるお金の話なんですけれど、国として追加で支援をしたりですとか、そういったことをお考えにはならないでしょうか。

大臣)
 困窮されている学生への支援策については、すでにパッケージでお示ししているとおりでありまして、仮に、休学という選択をした場合に、休学期間中に何か、その、お金が発生するのかどうなのか、そこは学校ごとにちょっと状況が違うと思いますので、今日この場で一概にお答えするのは控えさせてもらいたいと思いますけれども、ぜひ、繰り返し申し上げていますけれど、このコロナによって修学を諦めることのないように学校にも支援をしていただきたいし、文科省もそれに寄り添ってですね、必要な支援策はしっかりと対応していきたいと思っています。

記者)
 PCR検査について質問させてください。全国の検査実施件数は1日あたり20,000件を超える日もあるんですが、その内、大学等での検査数は2,000件ほどに留まっています。大学全体の検査機器を活用してなぜ少ない数字に留まっているのでしょうか。合わせて、大学のPCR検査能力をフルに活用するために、国として検査人員を増やしたり、制度面の改善など積極的な対策を講じる必要があると思うんですが、そういった考えはありますでしょうか。お答えをお願いします。

大臣)
 新型コロナウイルス感染症への対応においては、大学等の更なる活用促進による検査体制の増強も含め、PCR検査の体制を整備することが重要であると認識をしております。文部科学省としては、大学病院に加え、大学の研究室等が保有する機器の活用促進に取り組んできたところです。文科省の調査では、現時点において検査を実施できる体制を構築しているのは、大学病院につきまして、70大学・71病院、検査可能件数は1日最大1,768件、また、大学病院を除く大学等の部局については、19大学・23部局で検査可能件数は1日2,273件という状況になっております。大学病院を除く大学等の部局が保有しているPCR機器は研究活動等に使用されておりまして、これらを新型コロナウイルスの検査に活用する場合には感染防止対策等の対応、検査を行う人員や試薬などの確保が必要になるとともに、本来の研究活動への影響等を考慮しなければならないと承知をしております。そのため、文部科学省としては、第二次補正予算において検査に協力する大学等を支援する予算を、措置をし、その他の活用可能な予算上の支援措置等も含め、6月17日付けで厚生労働省と連名で周知をするなどすることにより、各大学等における検査能力・検査協力体制の整備を促進しているところです。大学等におけるPCR検査体制の構築に向けては、引き続き、厚生労働省と密に連携を取りながらPCR検査体制の更なる拡大に向けて文部科学省としても最大限協力をしてまいりたいと思います。

記者)
 私、あの、小人数学級の実現について伺いたいと思います。コロナ対策もあって、学校現場には小人数学級を早く実現してほしいという意見・声が結構高まっておりまして、一方で、大臣もこれまで教育再生実行会議の席上などで、少人数によるきめ細やかな指導体制の計画的な整備という言い回しで繰り返し指摘されているところです。ただ、その、前回以前にですね、45人学級から40人学級にサイズダウンしたときには、昭和55年から12年間もかけたということなので、実は、計画的な移行であっても、コロナ対策のように短い期間のときにやるものとしては本当に効果がある、現実的な選択になるのかなというのがちょっと疑問を感じているところです。そこで大臣がご指摘になっている計画的な整備というのがどういうイメージであるのか。また、少人数学級の実現というものが、コロナ対策としてちゃんと現実的な選択肢になりうるのかどうか、そのあたりのお考えを伺えませんでしょうか。

大臣)
 これまでの新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、子供たちの学びを保障するとともに、「GIGAスクール構想」の下、個別最適化された学びを実現することができるよう、効果的なICTの活用や身体的距離の確保など、新しい時代の学びを支える環境を整備することが重要であると考えております。教育再生実行会議においても、令和時代のスタンダードとして、「新しい時代の学びの姿」や、その中での少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備など在り方について議論することとしておりまして、このような議論を踏まえ、関係省間で丁寧に検討してまいります。一方で、二次補正予算においては、現下の新型コロナウイルス感染症対策として、ご指摘の少人数編成の対応を含め、学校全体の指導体制の充実を図るため、教員加配、学習指導員、スクール・サポート・スタッフの追加配置分、合計約85,000人分を計上して、先月67,000人分について内示をしたところであり、この執行残額についても既に第二次募集を始めておりまして、各自治体の追加人数に迅速に対応してまいりたいと思います。ご指摘のように、このコロナ禍にあって少人数学級、1日も早く実現できないのかという問いに対しては、コロナ対応については今やっているようなクラスを分散をしたり、加配教員によって授業を行ったりするようなことで対応していきたいと思いまして、我々、今、考えております令和のスタンダードというのは、まさにアフターコロナの学校の形についてでありますので、若干、今、この段階の延長として、このまま少人数学級にできないのかと問われれば、それはちょっと乱暴な議論だと思います。他方ですね、過去の45人から40人のときのように、もちろん教員増なども必要になってきますし、中には施設の改修なども必要になってきますから、一定の時間は段階的に必要だと考えていますけれど、やるとなればですね、これは今までとはスピード感を変えて、しっかり前に進みたいと思います。現段階では、いろんな地域の感染状況を踏まえて、子供たちの学びをまず最大限に確保するっていうことに努力したいと思いますので、また9月入学の話と同じようにですね、一緒になっちゃってどうなんだと言うとこれは混乱をしますので、今は感染拡大防止のための少人数学級をできるところはやっていただくし、それに必要な費用や人については配置をしますけれど、改めて、少人数学級の在り方については、教育再生実行会議などでしっかり議論していただいた上で、方向を決めたいと思っています。

記者)
 ちょっと細かいことで恐縮なんですが、再生実行会議は、一応結論が来年の5月ぐらいということで、大臣からご指示があったと思うんですけれども、そうしますとその今おっしゃられたスピード感ということ。スピード感をこれまでとは違う形で少人数学級の事例について考えたいということであるならば、一応、その方向性が大体来年の5月の再生実行会議の一定の中間報告の段階で見通しが見えてくると理解してよろしいでしょうか。

大臣)
 逆に言うと、来年度から少人数学級をスタートしましょうというのは、これは物理的にもちょっと無理だと思いますので、そういう意味では、課題を整理をしてですね、そして、一定の答申をいただき、再生会議の答申、そのまんまを政策に反映できるかっていうと、またそれは、例えば、中教審にお諮りする必要もあるかもしれませんので、そういう手続きを踏みながらやっていきたいと思います。ただ、最初から15年かけてとかいう、そういうスピード感ではないということだけは申し上げたいと思います。

記者)
 宇宙関係でお聞きします。昨日、米国の宇宙船「クルードラゴン」が国際宇宙ステーションから地球に無事帰還しました。この宇宙船はですね、9月には野口宇宙飛行士、2021年春には星出宇宙飛行士が搭乗する予定だと思います。今回の成功について、大臣の受止めと今後の宇宙開発の期待などあれば教えてください。

大臣)
 日本時間の8月3日早朝、米国の「クルードラゴン」宇宙船の有人飛行試験機が、予定通り米国フロリダ沖に無事着水し、地球に帰還したとの報告を受けております。国際宇宙ステーションの更なる安定的な運用に向けて、今回の帰還が成功裏に終わったことを大変喜ばしく思っております。本試験結果を受けて、米国の「クルードラゴン」宇宙船の運用が、本格的に開始されると承知しております。今後、文科省としても、JAXAとともに、「クルードラゴン」宇宙船の安全性を確認することとしておりますが、その上で、初号機に野口聡一宇宙飛行士、2号機に星出彰彦宇宙飛行士が搭乗する予定です。両日本人宇宙飛行士の活躍を通じて、将来の宇宙探査に資する有人滞在技術の獲得と、これによる国際的なプレゼンスの更なる向上を期待しているところです。

記者)
 今まで出た質問に絡んで確認なんですけども。まずは少人数学級の関係で、先ほど、来年度から少人数学級をスタートしようというのは無理だというご発言があったんですけども、それはいわゆる制度としてかちっとしたスタートは無理であって、予算措置で事実上の少人数化を図ることを諦めているわけではないんですよね。そこを確認したいのですけれども。

大臣)
 制度上、来年の4月からスタートするのはちょっと難しいですよね。ただ、コロナの状況が今後どういう形で続くか、まだ見通しがつかない中で、現在行っている、例えば、分散登校やクラスを2クラスに分けたりする事実上の少人数学級をですね、これを逆にですね、直ちに止めるということにもならないと思いますので、いみじくも、予算のお話をしてくれましたけど、そういった思いも含めて、今は子供たちの学びに一番いい環境を確保して差し上げたい。それが、結果として、少人数学級になっているかもしれませんけど、この状況は、コロナの状況が終息しない限りは続けていかなきゃならないと思いますので、それと正式な制度上の新しい学校の姿というのは、もう少し落ち着いた環境でしっかり検討していきたいと思っています。

記者)
 すみません。質問に関連してですね、大学のキャンパスの開け方についてなんですけれども、先ほど、大臣も通知のお話をされていてですね、文科省から出されている夏休み明けの後期授業のやり方について、適切と判断されたものについて対面授業をという求め方をしているんですが、こういった表現であれば大学によっては、その、クラスター発生をですね、警戒するあまりキャンパスを一切開けないという学校も出かねないと思うんですけれども、そういう大学が出た場合、何か文科省としてより踏み込んだ対応というか、そういったことを採る余地というのはあるんでしょうか。

大臣)
 現在ですね、約85%の大学で遠隔授業が実施されておりますが、そのうち一部の授業を面接で行うなど、遠隔と面接を併用している大学が約60%、遠隔授業のみという大学が24%となっております。各大学等においては、本年度後期や次年度に向けて、授業の実施方法について検討いただいているところと承知しておりますが、遠隔授業には授業実施に時間的・場所的な制約がなくなることなどのメリットがある一方で、直接の対面による学生同士の交流を通じた人間形成と、対面ならではの教育効果の重要性も踏まえると、遠隔授業を継続する場合においても、効果的な対面授業との併用などを検討していただきたいと考えております。そのため、文部科学省において、7月27日付の連絡で、各大学に対してはですね、地域の感染状況や教室の規模、学生数、教育効果等を総合的に考慮し、学生の希望等も踏まえて、感染対策を講じた上での対面授業がより適切と判断される場合には、対面授業の実施や遠隔授業との併用を検討していただくことを求めているところでございます。また、感染の状況、日々刻々と変化しているものですから、一度実施方針を決定した後においても、地域の感染状況や学生の希望等も踏まえ、必要に応じてその実施方法の見直しや、更なる改善に努めていただくよう合わせて求めております。各大学の授業の在り方について、文部科学省がこうするべきだと、あるいはこうしてはいけないということはやや馴染まないと思うのですが、感染状況がどうなるか分からないのにあらかじめですね、来年3月までオンライン授業を続けますと決めてしまうのも私はちょっと乱暴だと思っておりまして。先日、千葉工業大学に視察に行きました。入口で検温ですとか、あるいは健康チェックをした上で、キャンパス内に入れて、そして工業大学ですから実技を伴う授業がたくさんありますけれども、実技を伴う授業はクラスを半分に分けて、半分が学校に来て、半分がオンラインでその授業を見る。その翌週はその逆の人たちが学校に来て、その学校に来ていた人たちがオンラインに変わるというようなことを様々工夫しておりました。また、学食などでですね、オンラインを、Wi-Fiを使って、授業を見る学生のために、全てのスペースにアクリル板のついたてなどが置いてありまして、そういう努力をしている学校も数多くあるんだと思います。他方、小学校や中学校でもですね、様々な工夫をしながら学校にみんな来ているわけですから、大学だけが完全にキャンパスを閉じているというのはいかがなものかと思いますので、ここはですね、やっぱり、学生の皆さんの思いっていうものをしっかり大学側が受け止めていただいて、私はオンラインと対面とハイブリッドな授業をですね、後期はやってみようと思うのが普通の学校の判断ではないかなというふうに期待をしているところでございまして。この辺はしっかり大学関係者にも我々の思いというものも伝えていきたいなと思っています。今後、ウィズコロナ、ポストコロナの社会では、遠隔の良さと対面の良さを上手に組み合わせていく教育を実現していくことが重要でありまして、今回の経験により蓄積されている好事例を横展開しながら、必要な検討してまいりたいと思います。全てのオンラインがだめだと言うつもりは全くありませんが、易きに流れてですね、言うならば授業の中身も非常に薄っぺらくなってしまうようなオンライン授業ではいけないと思います。オンラインを有効に活用して、きちんと学生の皆さんの習熟度が上がるような授業をやっていただいている学校は、それはそれで評価したいと思いますけど、そうじゃない学校も世の中にはあるのだということは学生の不満の声を聞けばご理解いただけるとこじゃないかなと思います。ここは大事なポイントだと思いますので、各大学に良識ある判断をお願いしていきたいと思っています。

(了)

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