萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月31日)

令和2年7月31日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

小・中学生を対象とした陸上競技大会、国際科学技術コンテスト、国際化学オリンピック、大学入学共通テスト、帰国外国人留学生と再入国、教科書調査官に関する報道、JAPAN e-Portfolio、ビラ配布と生徒の逮捕

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年7月31日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年7月31日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年7月31日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは、今日二件ございます。まず、本日、日本陸上競技連盟より、8月22日(土曜日)に小学校の6年生及び中学校3年生の陸上を続けてきた子供たちを対象とした陸上大会を国立競技場で開催することが発表されました。また、その翌日開催されるゴールデングランプリ陸上において、高校生の、日本のトップアスリートに挑戦する舞台の準備が進められております。感染症対策も十分に講じながら、子供たちを対象とした大会をオリンピック会場である国立競技場で開催することは子供たちの励みになるものであり、大会の開催にご尽力いただいている陸上関係者の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。また、全国各地において、部活動の多様な競技種目で代替大会が開催されているとともに、例えば、高校野球では甲子園での交流試合が予定をされております。部活動に熱心に取り組んできた子供たちの活躍の機会を確保するためにご尽力いただいている全ての皆様に改めて感謝を申し上げたいと思います。文部科学省としても、引き続き、関係団体と連携協力をしながら、子供たちの多様な活躍の機会を確保するために取組を進めてまいりたいと思います。
 もう一点は、文科省では、毎年、国際的な科学技術コンテストにおいて、特に優秀な成績を収めた日本代表生徒に対して文部科学大臣表彰を行っております。特に今年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、一部の国際大会が中止をされましたが、日本代表に選ばれた生徒など52名に対して、日頃の努力の成果を顕彰し、証として残していただきたいと考え、新たに、文部科学大臣特別賞を授与することといたしました。加えて、7月23日から30日には、第52回国際化学オリンピックがオンラインにより開催され、日本から4名の生徒が参加をし、全員が金メダルを獲得するなど、素晴らしい成績をあげました。失礼。「銀メダルを」獲得するなど、素晴らしい成績をあげました。この度、メダルを授与された4名を、文部科学大臣表彰の受賞者として決定をいたしました。国際化学オリンピックでメダルを獲得した皆さんの栄誉を大いに讃えるとともに、日頃から研鑽を積まれてきた日本代表生徒等の皆さんに、たゆまぬ努力に対して、心から敬意を表したいと思います。私からは以上です。

記者)
 一点、共通テストについてお伺いします。先日、国会答弁でも多少ありましたが、これまでのセンター試験のモニター調査のうち、平成28年度のセンター試験のモニター調査で、本試験と追試験の平均点の差がですね、国語で25点、約25点に上っているということがあります。今回、共通テストでは第一日程と第二日程が設けられますが、このような平均点の差が出た場合というのは合否に悪影響を及ぼさないのでしょうか。端的に、このような点差をどのように考えるか、大臣のお考えをお願いできますか。

大臣)
 共通テスト第1日程と第2日程の試験問題は、既に公表している問題作成方針のもと、同じ問題作成者が両者のバランスを取るよう作成した試験であり、同等の試験であると認識をしております。ご指摘の平成28年度センター試験については、本試験と追試験の各科目に関する平均点、標準偏差、また、最低点、最高点、平均点差、相関関数といった基本統計量を分析した結果、両者は概ね同等の学力を測定しているとの結果が得られたと大学入試センターから聞いているところでございます。なお、大学入試センターが実施しているモニター調査については、科目によっては分析対象が非常に少ないことや調査対象が首都圏の国公立大学の大学生であることなどを含め、試験を解答する調査協力者と実際の受験者のモティベーションの違いなど、調査上の限界があることは十分に留意することが必要だと考えているところでございます。

記者)
 関連した質問なんですが、共通テストの第2日程についてなんですが、高校生の意向調査の集計状況を教えてください。また、試験会場の確保など、今後の文科省の取組についてよろしくお願いします。

大臣)
 大学入学共通テストの第2日程を選択する受験生が確実に当該日程で試験を受けることができるように、試験会場等を確保するため、7月1日から20日までの間で、全国の高等学校等を通じて受験日に関する意向調査を行いました。令和2年7月豪雨の影響で回答が得られていない高校などがありますが、昨日の時点での回答状況は、「どちらかといえば受験する」も含めて第1日程を考えている学生さんが431,000人、どちらかといえば、第2日程を含めた、第2日程を検討している学生さんが32,000人となっております。本調査は、あくまで現時点における生徒の皆さんの意向ですので、先の豪雨や新型コロナウイルス感染の罹患状況などの影響によっては、当然その意向は変わり得るものでありますが、受験生がどのような選択をしても不利益がないよう、試験実施に向けた必要な準備を、大学入試センターと連携してしっかりと進めてまいりたいと思っております。

記者)
 重ねてなんですが、追試験は、例年、数百人が受けるものかと思うんですが、今回の第2日程は32,000人が受ける可能性があるということなんですが、この運用について、全都道府県を会場にするという方針は変わりなく維持されるんでしょうか。

大臣)
 もう既に発表しております通り、今回の第2日程というのは、追試験の性格、一部、第1日程を受けられなかった人にとっては追試験という役割はありますけれど、あらかじめ第2日程を選ぶことを現役の高校生に選択できる、そういう制度にしましたので、当然のことながら、試験会場につきましては、全ての都道府県で準備をしたいと思いますし、また、離島僻地の受験生にも、可能な限り、配慮した設定とすることなど、試験会場の確保をしっかり進めてまいりたいと思っております。

記者)
 一時帰国している外国人留学生の関係でお伺いします。来月5日からですね、在留資格のある留学生については、PCR検査の実施などを踏まえてですね、再入国が認められることになりましたが、文科省として、大学などに何か留意点を呼び掛けているようなことがあればお願いします。

大臣)
 今月の29日、外務省より、我が国への在留資格を有しながら、入国拒否対象地域の指定以前に当該地域に出国した外国人について、日本入国前72時間以内のPCR検査の実施等を条件に、来月5日から再入国を認めることが発表されております。これを受け、文部科学省から各大学等に対して、この内容を周知するとともに、外国人留学生の再入国に際しては、事前に14日間の待機場所を確保することや、公共交通機関を使用しない移動手段を確保することなどについて、学生等へ適切な指導や各大学等における感染拡大防止に関する徹底した対応をお願いしております。文部科学省としては、一時帰国のまま再入国することができない外国人留学生が多数いると承知しておりまして、また、各大学等からは、大学のグローバル化や教育・研究に大きな影響が出ているということも聞いておりますので、今回の措置を機に、留学生の学修の機会が確保されることは極めて重要なことだと考えております。引き続き、文部科学省としても、きめ細かな情報収集並びに情報提供を行いながら、関係省庁と連携して対応してまいりたいと思います。

記者)
 教科書検定に関連して伺うんですけれども、一部週刊誌の報道では、検定を担当する教科調査官が北朝鮮のスパイリストなるものに掲載されていたと報じられています。事実関係の調査を求める声もあるんですけれども、現在の見解と今後の対応についてお聞かせください。

大臣)
 一部の週刊誌において、そのような報道がなされたことは承知しております。該当すると思われる調査官にはですね、すでに担当課より記事の内容について聞き取りを行い、本人からは全く身に覚えがないという趣旨の回答がなされたと報告を受けております。しかしながら、一部で週刊誌のみならず、新聞などでその追記事などもございますので、私の立場としましては、きちんと調査をしようと思って、その対応を今続けているところでございます。

記者)
 それに関連してなんですけども、一部新聞報道という話もありましたが、あの、自由社の歴史教科書が不合格となったことに絡めて、不正が、疑惑を訴える声もあるわけなんですけど。端的に言って、今回の、そのいわゆる指摘されているですね、教科書調査官との関係があるのかどうかというのは、この辺の見解はどうなんでしょうか。

大臣)
 私も記事を読みましたけれど、これ、事実だとすればちょっとびっくりする話だと思うのですね。で、今何をしているかっていうことをつまびらかに皆さんにお伝えをするわけにはいかない。と言いますのは、外交問題も含めて、インテリジェンスのお話であります。ちなみに、私、官邸で2年間官房副長官務めて、この手のお話をいくつも、自分なりにきちんと対応してきましたので、考えられる全ての情報を収集して、きちんとですね、方向性を皆さんに、いずれかの機会に報告したいと思います。他方、報道は、出版社の不合格と何かリンクしているような報道があったのですけれど、報道のあった調査官を含め、歴史につきましては、複数の調査官が担当しておりまして、当該調査官が、発行者と、すなわち連絡調整や取りまとめを行うなどの主担当として行っていたという事実はございません。いくつかの社をみんなで分けて、担当者、責任を置くので、まず、第一に担当外だったってことですね。それから、教科書検定の在り方については、あんまり公にこういう仕組みでこういうふうにしてっていうことを申し上げるのはいかがかなと思うのですが、連日のように報道がありますので私の責任であえて申し上げますけれど、この検定官は、当該出版社の担当じゃない上にですね、あの、公表されていますけれど、40か所の訂正意見が付されていますけれど、この担当者が担当したのはそのうちの2か所でございまして。それは、率直に申し上げて、朝鮮半島の問題とは全く関係のない箇所でありました。そんなことも改めてご報告したいと思います。失礼。「400か所の指摘のうち2か所」ということでございます。

記者)
 「JAPAN e-Portfolio」の運営団体の許可の取消しに関して伺いたいなと思います。先般、大臣の方がですね、国会でそのようにおっしゃられましたけれども、どうもうまくいってないということでですね、まだ利用者が限られている中で早めに見直すというのは決断としては評価したいなと思うんですが、一方で、これは文科省の方で進めてきた事業でありまして、うまくいってないっていうのは文部科学省の責任もあるのかなと思っているんですが、その点、大臣、どう総括されておられますでしょうか。

大臣)
 「JAPAN e-Portfolio」の運営許可については、一般社団法人教育情報管理機構に対して、条件付き許可を出していたところですけれども、この度、機構から令和元年度の決算報告及び事業報告の提出があったことを受けて、「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」において、必要な資力を有しているかどうかの確認など、運営許可の継続の可否について非公開で調査が行われました。協力者会議においては、機構の財務状況を不安視する意見が多く出されたとのことであり、文科省としては、協力者会議でのご意見を踏まえつつ、今後運営許可を取り消す方向で、運営許可が取り消された場合の事業停止に伴う必要な対応についての機構との調整や、利用者の登録データの取扱等について高校関係団体等との調整を行っております。文科省としても、この「JAPAN e-Portfolio」の運営を許可した者として、高校生や利用大学に対して、運営停止に伴う対応等について丁寧に説明するとともに、大学入試において主体性等を評価することに関して、協力者会議において、調査書や受験生本人が記載する資料などをどのように入試で活用し、どこまで評価していくかなど、多面的な評価の内容や手法等について検討を進めてまいります。あの、当然のことながら文科省の判断で許可したわけですから、それが継続的な運営ができない団体だったということであるのだとすればですね、これは文科省にも一定の責任を当然感じなきゃいけないと思っています。

記者)
 それに関連してなんですけれども、文部科学省としては、その主体性評価をしてほしいという考えはお変わりがないというふうに聞いているんですけれども、一方でその、主体性を引き出すっていうのは大学の役割なんじゃないかっていうような意見もあります。で、現状、AOとか推薦とか主体性を評価する入試がある中で、一般入試までみんな主体性を評価していこうというのは、どうも私引っかかるんですが、大臣、その点はどうお考えでしょうか。

大臣)
 本来、受験の日程的な余裕があればですね、各大学が、それぞれアドミッションポリシーに基づいて、自分たちの学校で採りたい学生を採るわけですから、本当は、十分な面接時間ですとか、あるいは学生時代の取組などについてヒアリングをする機会があった方が、主体性を正しく評価するっていう点ではいいのだと思いますし、おっしゃるように、どちらが大事かって言ったら、受ける側の、受け止める側の大学側がそれを評価しなきゃならないので、それを画一的に、何て言いますか、フォーマットの中に埋め込むことで、主体性の評価をするということの難しさっていうのは、私もあると思います。ただ、要するに1点刻みの受験だけじゃなくて、いろんなことに頑張ってきた高校生たちを正しく評価をしよう、そして人間力を見てあげようっていうこういう思いっていうのは、これから大事な視点だと思いますので、今回、この運営の仕組みはですね、結果的に残念ながらうまくいかなかったんですけれど、学校の先生方の調査書ですとか、そういったものでしっかりそれを読み取ってもらえるような努力をしていただきたいなと思っています。今後どうするか、また改めて検討したいと思っています。

記者)
 共通テストについて改めてお伺いします。第2日程について文科省が、学生とかが希望して、学校長が認めた場合に選択ができるということにしたことで、学校現場を取材していると、高校生、希望しても校長とか学校の指導教員から、やっぱり第1日程、受けといたほうがいいよというふうに言われたという生徒が、いくつか取材しました。この対応について、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

大臣)
 せっかく、せっかくといいますか、今年大変なね、イレギュラーな年になってしまって、高校生たちもいろんな不安を抱えての受験になると思うので、そのために2週間っていう期日ではありますけれども、受験日を遅らせた日程を作りました。ですから、それぞれ最終的には受験をされる学生さんの判断を尊重したいと思います。1日も早く結果を前に進めていきたいっていうことであれば第1日程を選ぶ学生さんがいらっしゃると思うし、ラストスパートで2週間の時間を確保することで、最大限自分の力を試したいっていう学生さんは、第2日程を選択することもあるんだろうと思います。で、その上で、学校の先生方はやっぱり、このコロナ禍でですね、大変苦労している学生の皆さんの意見っていうのはぜひ尊重して差し上げていただきたいなというふうに思います。受験指導を担当していますとね、できるだけ早く、全ての学生さんの進路を決めて差し上げたいっていう先生方の思いも分からなくもありませんけれど、そこは今年はこういう年ですから、何とか学生を主体に考えていただいて、対応いただけたらなと、そんなふうに思っています。

記者)
 7月の8日にですね、目黒区内の中学校の前でですね、ビラを配っていた現役高校生が逮捕されるという事案がありました。で、これは事実確認されてないと思うので一般論として伺いたいんですけれども、主体的対話的な学びを推進されている文部科学省として、高校生が、何でしょう、意見表明という形でそういったビラを配るということに対して、中学校側の副校長が警察を呼んで逮捕したということなんですけれども。こういった中学校側の対応についてはどう思われるかということですね。

大臣)
 ごめんなさい。詳細はちょっと承知してないのですけれども。

記者)
 一般論として。

大臣)
 校外でビラの配布をすること自体はね、それは、我が国は別に規制をされるものではないと思うんですけれど。例えば、校門に限りなく近く、その前を通らなければ、校外に出れないような。

記者)
 学校から50 mぐらいのところで。

大臣)
 それは学校が何らかの判断をしたのだと思うので。ちょっと私中身が分からないんでね。例えば、中学生にとって極めて悪影響を与える内容のものであればですね、それは、そういう判断をすることもきっとあるのではないかなと思いますけれど。基本的に、そういう外で、学校外で行われることに学校の先生方が直接関与するっていうのは実際にはありえないんじゃないかなと思いますけれど。ちょっと中身が分からないので、なぜそういうことになったのか。

(了)

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