萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月14日)

令和2年7月14日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

小惑星探査機「はやぶさ2」、豪雨災害と学びの保障、教育再生実行会議、9月入学・新学期制、民族共生象徴空間(ウポポイ)、アイヌ文化及び歴史の伝承、大学入学共通テスト、都内劇場での新型コロナウイルス感染拡大

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年7月14日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年7月14日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年7月14日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは一件です。昨年11月に小惑星「リュウグウ」を出発し、地球に向けて順調に航行をしている小惑星探査機「はやぶさ2」について、オーストラリアの宇宙庁等関係機関との調整の結果、地球帰還予定日が12月6日に決定しましたので報告をいたします。「はやぶさ2」は、「リュウグウ」のサンプルが採取されたとみられるカプセルを、地球近くで分離をし、大気圏に再突入させ、当該カプセルは、オーストラリアでの回収ということになります。再突入計画の詳細は、本日午後に開催される宇宙航空研究開発機構(JAXA)の記者会見で説明をいたします。カプセル分離後、「はやぶさ2」は、新たな探査を行う予定であり、その計画の詳細はJAXAとともに検討中です。その検討状況については、別途ご報告の場を設ける予定です。「はやぶさ2」のカプセルが無事に回収され、サンプルを分析することによって、太陽系や生命の起源の謎に迫る科学的成果をもたらし、我が国の深宇宙探査の技術の深さを内外に示すとともに、多くの国民に感動を与えることを期待をしてます。私からは以上です。

記者)
 一点質問させていただきたいと思います。学校の休校に関してです。九州の豪雨でですね、熊本なんかでは、かなり校舎がダメージを受けて休校が続いていると、今も。今後の再開の見通しもかなり立たずに、数週間程度の休校が予想されるというような地域もあるようです。一方で、都市部においては、学校関係者のコロナ感染がかなり相次いでいて、1回感染が出ると、濃厚接触者の調査等で3日から1週間程度の休校等行われているようなんですけれども。で、伺いたいのがですね、6月に学びの保障の総合パッケージを示されたと思うんですが、そのモデルで、ある程度、学校のイベント等も行いながらですね、年間を通じて学習の挽回は可能だというふうな考え方を示されておられましたけれども、こうした休校が続いている状況において、そういったことっていうのは今も通用するというふうにお考えなのかというのが1点と。今後、こういう事態がかなり全国的に相次いだ場合に、あのパッケージを何か見直したりですね、追加で対策を打つお考えというのはございますでしょうか。

大臣)
 まず、今般の豪雨による対応に当たっては、子供たちの安全確保に万全を期すことが最優先だと考えております。併せて、最大限、子供たちの学びを保障することが重要であります。被災した児童生徒が在籍する学校においては、当該児童生徒が授業を十分に受けることができないことによって、学習に著しい遅れが生じることのないよう、可能な限り、補充のための授業やICTによるオンライン学習の活用その他の必要な措置を講じるなど、例えば、時間割の編成の工夫や、長期休業期間の短縮、学習活動の重点化などが考えられると思いますが、これらについて、今月7日付の通知においてお示しをしたところです。また、新型コロナウイルス感染症に伴い、臨時休業の長期化に対応するため、必要な人的・物的支援を行うこととしているところですが、今般の被害を受けた学校のさらなる支援について、今後の休校状況や被災状況を見つつ、関係自治体のニーズを踏まえながら、教員の加配や学習指導員、スクールカウンセラー等の追加措置など、必要な対応をしてまいりたいと考えております。文科省としては、今回の豪雨により被災した学校の子供たち、特にあの、最終学年の児童生徒にあっても、しっかりと学びが保障されることが重要であると考えており、今回被災された関係自治体とよく連携を図りつつ、被災した学校の復旧状況を踏まえ、学習への状況について今後丁寧に情報収集を行いながら、それぞれの状況に応じたきめの細かい支援に努め、全ての子供たちの学びの保障に向けて全力で取り組んでまいります。まだ、被災状況が、つまびらかに承知をしておりませんが、しばらく学校が使えなくなるかもしれないという自治体があるのも事実だと思います。それで、例えば、大きな被害が出ている球磨町などはですね、お隣の、球磨村。失礼、球磨村などはですね、お隣の自治体に避難をされていますので、そちらでの学習の再開ということを試みているところでございますし、ご指摘のあったコロナが一部再発されている学校などで、休校が行われているのも事実でありますけれども、今の段階では長期にわたって休業・休校を続けるという状況にないので、前回示した学びのパッケージの中で様々な工夫をしていただきながらですね、現場でしっかり対応していただきたいなと思っています。仮に、第2波のような、全国的にまた、あるいは特定の区域で非常に大きな新型コロナの感染状況が確認されるような事態があった場合にはですね、お示ししている学びの保障のプログラムの中ではまかないきれないことも、当然、想定としては考えられますので、そのときには、新たに追加の様々な提案をしたい、そう思っております。現段階では、現場の努力を前提で、現場の皆さんにご負担かけますけれども、今のところ何とかそのやりくりをできるのだろうと、こう思っているところでございます。

記者)
 今の話題に関連してですね、前回、前々回の会見ではですね、熊本と鹿児島に人的支援の準備があるというふうに話されてたと思うんですが、現在、具体的に準備が進んでいる自治体への支援だったり具体的な支援の内容があればお伺いしたいのと、あと、冒頭で「はやぶさ」のお話がありましたけれども、もう少し期待できるものについてお話しいただければと思います。

大臣)
 今回の豪雨により被災した地域の学校に対する支援については、まず、熊本県と鹿児島県に対して、加配教員や学習指導員、スクール・サポート・スタッフの追加措置を行う準備をしたところですが、現在、これら2県に加え、長野県、岐阜県、福岡県、大分県についても同様の準備を進めております。また、このような人的措置に加えて、被災した学校施設の復旧については、災害復旧制度を活用し、速やかで円滑な事業実施が図られるように、個別の状況に応じて技術的相談に積極的に対応するなど、最大限の支援に努めているところです。文部科学省としては、子供たちが1日でも早く日常を取り戻すことができるよう、引き続き、関係自治体ともよく連携し、被災者に寄り添いながら、先手先手で被災地の支援に全力を尽くしてまいりたいと思っております。「はやぶさ」が帰ってきてどういうことが期待ができるかということはですね、様々な持ち帰った物によって調査内容が異なりますので、今の段階で特定して調査内容を決めることはできないのですけれども、順調であれば、今年の12月6日に地球に帰還する予定ですので、帰還の後、太陽系や生命起源の謎に迫る貴重なサンプルが持ち帰られることを、今、期待をしているところです。

記者)
 先ほど、大臣がですね、首相の下にいらっしゃって、教育再生実行会議の件についてお話しされたということでした。あの9月入学について検討するというようなことが以前から言われているかと思うんですけれども、具体的にどのようなお話をされたのかということと、今後、その会議でどのようなことを検討されていくかを伺わせてください。

大臣)
 しばらく間が空いてしまいましたけども、教育再生実行会議が近日中にスタートします。この間にいろんなことがありましたけれども、特に、コロナが発生し、学校の休校を余儀なくされるという事態を我々は体験をしました。このアフターコロナを見据えた時に、学校の在り方というのはどういうものが必要かというものを、前広にしっかりと議論していただこうと思っておりまして、例えば、授業の在り方、幸いにしてオンラインが年度末までには整備をされますので、これも単なるインフラ整備じゃなくて、活用の仕方をどうしていくのか。また、ご指摘にあった9月入学。途中でも非常にヒートアップしましたけれど、これは、少し落ち着いた環境の中でメリットやデメリットや将来像というものをしっかり議論していこうということなので、こういったコロナの後の日本の教育の、言うならば環境をどうしていくか、スタンダードをどうしていくかということを深く議論していただこうということを打合せしたところです。

記者)
 もう一点、すみません。今の教育再生実行会議のお話なんですけれども、9月入学に関しては、例えば、いろんな省庁をまたがるのでというお話があったかと思います。今回、教育再生実行会議がその場になったわけですけれども、従来のメンバーとかから、よりこう広くですね、省庁から集めるとか、その辺りのことっていうのは検討されているんでしょうか。

大臣)
 あの時期にですね、各省に係る課題について、皆さんが時間をかけて整理をしていただきました。それが、全て省庁横断的なものが出来上がっていますので、それを教育再生実行会議の方でスクリーニングをしていただき、議論を深めていただこうと思っています。その後にですね、仮に、例えば、9月入学を実施をするような方向が見い出されるんだとすればですね、これはまたフィードバックをして、各省に関係がある人たちと集まってもらう別の会議体っていうのは必要だと思いますけど、念のため申し上げておきますけど、慌てて結論を出すつもりはございませんので、将来の教育の在り方としての一つの指針として、せっかくの機会ですから、少し深堀をしようという環境でございます。

記者)
 先週のアイヌ民族の方への差別に関する発言とですね、あと大学入試等についてそれぞれお伺いさせていただきます。まず、あのアイヌの方への差別についてだったんですけれど、大臣、ウポポイの方に土曜日に訪問された際にですね、昨年9月の閣議決定された文言を引用をしつつ、ご自身の発言については、これまでの歴史や経緯を全て差別という言葉で一括りにすることがどうかという趣旨だったというふうにおっしゃられています。ただ、あの先週の閣議後の会見での発言はですね、原住民と開拓する方との間での価値観の違いがあったというふうにおっしゃられているのは、これは、抑圧される人と抑圧する側に分かれる同化政策を、価値観の違いだということで、価値観の違いが原因だというふうにおっしゃられたというふうに捉えられても仕方がないと思いますし、それを差別で一括りにするのはどうかというふうに大臣はおっしゃられました。で、これがですね、閣議決定で既にされている、厳粛に、アイヌの差別を厳粛に受け止めるということに、なんでしょう、それにちゃんと適合するのか、整合性があるのかということを、大臣、どのようにお考えでしょうか。もし、仮に、整合性があるとお考えでしたら、先週の発言を受けて、アイヌの方々から、私が、今、説明したような解釈をされて、アイヌの方々から、憤りですとか悲しみの声が上がっています。そういう方々に対してどのようにお考えか教えていただけますか。

大臣)
 12日にですね、ウポポイが、お蔭様でオープンしました。長い間、多くの皆さんが待ち望んでいた施設でありまして、そういった意味では大変喜ばしく思っております。あの、ご存じかどうか、私、官房長官の下で官房副長官を2年務めて、この施設の概要、建設段階、アイヌの関係者の皆さんとの懇談、様々な機会を通じて、少なからず、この建設に携わってきました。したがって、あの、現場でですね、協会の皆さん、歴代の役員の皆さん、わざわざ私の部屋を訪ねていただいて、そして、ここまでくることができたという感謝の言葉をいただいたところでございます。あの、発言につきましては、別段ですね、私、差別がなかったなんて一言も言ってなくて、そういう時代があったことを十分承知の上で、ただ、折角のお祝いの施設ですから、未来志向の共生施設として多くの皆さんに愛される施設になってもらいたい、こういう思いで発言をしたつもりでございまして、発言の趣旨については、今まで申し上げてきた記者会見を含めた発言のとおりでございます。

記者)
 今の、大臣がおっしゃられることも分かるんですけれども、一方で、その、先日の発言について、アイヌの方々から憤りですとか、悲しみ。国の認識が浅いというような悲しみの声も上がっています。そういうふうに受け取られるような発言をされたいことについては、いかがお考えでしょうか。

大臣)
 アイヌの協会の皆さんから感謝の言葉をいただきました。いい施設を造っていただいたということでですね、これから未来志向の共生施設として多くの皆さんに愛される施設になってほしいと思っています。私、あの別に、アイヌの皆さんをですね、悲しませることを目的に発言したわけではなくて、未来志向共生施設、大事に、皆でしっかり多くの人達に来ていただく施設にしたい、こういう思いから発言したのみでありまして、その真意につきましては記者会見でも申し上げたとおりです。

記者)
 その上で一点だけ、ごめんなさい。国が主体になって、今後差別というものをどのように伝えていくのか。それからもう一つ、これは所管外になりますけれども、アイヌ民族の方の中には、先住権ですとか土地利用、水産資源を優先的に使えるようにしてほしいというお考えがあります。これは差別という不平等が世代を超えて引き継がれてしまったために、是正をしてほしいというお考えです。そういう考えについて、どのようにお考えか教えていただけますか。

大臣)
 所管外のことについて、ここでお答えさせていたくのは控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、アイヌの人達が困難な時代もあったと思います。それを乗り越えて、今、折角ですね、こういう素晴らしい施設ができて、そして、協会の皆さんも、それに対して非常に賛同されているわけです。多くの人達が施設を通じてですね、アイヌ文化の素晴らしさというのを、国内外、また世界に発信できるような、そういう後押しをしっかりしていきたいなと思っています。

記者)
 大学入試について1点だけお願いします。共通テストについてだったんですけれど、第1日程と第2日程の間に公平性があるのかということについて、東大の南風原名誉教授から大臣宛ての要望書も出されていると思います。第1日程と第2日程、仮にやった際に公平じゃないといった場合が出てくる可能性もあると思いますけれども、これについて、大臣、どのようにお考えか教えていただけますか。

大臣)
 まず、特定の教授の方からのメールについて、いちいち記者会見でお答えするのは控えたいと思います。ただ、一般論として、機会を増やすということに努力をさせてもらいましたので、当然、問題の難易度などは専門家の皆さんが作っていただくので、類似のものができますけれど、同じ問題ではないわけですから、必ずしもイコールフィッティングではないということは前提の上でですね、今回、こういうコロナの状況の中で、厳しい環境に置かれた高校生たちが自分の選択の中で、第1日程、あるいは第2日程を選んでいただくことができるという環境を作ったということをご理解いただきたいと思います。

記者)
 1点お伺いいたします。今、あの新宿区内の劇場で集団感染が起きてまして、保健所が約800人の観客、濃厚接触者に指定しました。ガイドラインに沿って公演を実施していたと主催者・劇場側は主張しているわけなんですけれども、今後、文化やスポーツのイベントを再開されていく中で、このようなことが起きていることへのご所感、今後、どのように対応をしていくか、何か文科省、文化庁として現状のお考えがあればお聞かせください。

大臣)
 東京都新宿区の劇場において開催された公演に関して、スタッフや観覧者をはじめ、計37名の新型コロナウイルス陽性者が確認されており、感染経路等については、主催者と保健所が連携し調査を進めているところです。併せて、保健所より全観覧者が濃厚接触者と指定されたことを受け、主催者から観覧者に対して速やかに最寄りの保健所等へ相談するよう促すなど、更なる感染拡大を防止するための取組が進められているものと認識しています。文科省としては、劇場における新型コロナウイルス感染予防について、かねてより、公益社団法人全国公立文化施設協会が作成したガイドラインに基づき、適切な措置を講じることを求めてきたところであります。今回の事案では、イベント後の出待ちや面会など、ガイドラインにおいて控えるべきとされた行為が行われていたとの報道もあると承知をしておりますし、先ほど、たまたま、西村担当大臣とお話しをさせていただきましたら、舞台が終わった後に演者の皆さんと、皆さんで肩を組んで写真を撮ったり、握手をしたりという、そういうこともあったということなので、ガイドライン通りかと言われると、そこはちょっと、逸脱しているんじゃないかと思います。折角、同業者の皆さんが、新しい時代にあわせて、1日も早く再開をしようということでガイドラインを作ったわけですから、私はあらゆる舞台に関わる関係者の皆さんが、そのガイドラインをしっかり守っていただいて、その上でですね、安全な公演をしていただくことを、期待をしているところです。

(了)

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