萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年6月26日)

令和2年6月26日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

キーワード

市立小学校への視察、少人数学級と衛生管理、転校生に対する自宅待機要請、全国高等学校選手権大会、全国高等学校リモート陸上競技選手権大会、大学入学者選抜、GIGAスクール構想、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の改正、学校における働き方改革、科学技術・学術分野への寄附

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年6月26日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年6月26日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年6月26日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは一件です。今週の24日に、東久留米市立神宝小学校にて、学校再開後における授業その他の学校生活の様子を、視察をしてまいりました。本来でしたら、メディアの皆様にもご同行いただきたいという思いはありましたが、いまだこういう状況でありますし学校ということなので、少人数での対応ということになりましたので、ご理解をいただきたいと思います。今後、視察等を再開するにあたって、子供じゃなくて大人の施設の場合はお声をかけたいと思いますので、またご同行をいただければありがたいと思います。学校ではですね、換気に留意しながら机の間隔を空けて授業を行う様子や、休み時間の後や給食の前に手洗いをする様子、給食では机を消毒をし、身体的距離に気を付けながら配膳をしたりする様子などを直接目にすることができました。また、児童から質問を受けて、私から文科省の仕事について説明するなどの交流の機会もございました。今回は、緊急事態宣言が解除された後では初めての学校視察でしたが、感染症に気をつけながらも子供たちが元気に過ごす様子を目にすることができたと思っております。加えて、文科省からのガイドラインを参考にしながら、市の教育委員会や学校現場が様々な工夫をしてですね、率直に申し上げて、我々の期待以上のですね、しっかりとした取組をしているということを少し安心をしたところでございます。その他、市と学校から臨時休業中や学校再開後の「学びの保障」に関する取組などについて伺うとともに、市長さんや教育長、校長など、学校の関係者の皆さんとの意見交換を行いました。そうした皆様方との取組に心から敬意を表すとともに、文科省としても、引き続き、新型コロナウイルス感染症への対応にまい進していく思いを新たにしたところでございます。私からは以上です。

記者)
 一点お伺いします。少人数学級についてです。義務標準法では40人とされていますが、政府の示している新しい生活様式には、40人学級は多すぎるのではないか、20人、30人にするべきではないかという声もあがっていますが、骨太の方針や来年度の概算要求に文科省としてどう望むか、大臣の見解をお聞かせください。

大臣)
 身体的距離の確保につきましては、衛生管理マニュアルにおいて、感染が一定程度収束し、感染拡大が見られない地域では、児童生徒との間隔を、1メートルを目安に学級内で最大限とることとしており、併せて、それぞれの施設の状況に応じて頻繁に換気をするなど、組合せをしていただきたいということをお願いしています。一方で、今回のコロナウイルス感染症の教訓を踏まえ、どのような状況下においても、子供たちの学びを確実に保障していくことが大切だと思っております。このため、感染症対策も含め、ポストコロナの新しい時代にふさわしい指導体制のあり方について、しっかり検討してまいりたいと思っております。たまたま視察をした学校は1学年、全て2クラスでございまして、結果として20数名で1クラスを編成していましたので、非常に間隔が取れていたのですけれど、ご指摘の通りですね、40人ということになりますと、実は、今の基準が74平米で全国の自治体にお願いしているのですけれど、74平米であれば、確かに40人を、机を並べても、1メートルの間隔は何とか取れるのですけれど、旧基準が66平米でありまして、これは、昭和48年以前の基準なのですけれど、自治体によってはですね、新設校を作るときに古い学校とどうしても揃えてしまうっていう慣例がございましたので、割と、その64平米の教室っていうのが多いのだそうです。そうしますと、ご指摘のように、40人の机を入れて1メートルを確保するっていうのは難しいというふうになりますし、GIGAスクール構想でですね、今年度中に全ての小中学生に1人1台パソコンあるいはタブレットが配布できる、そういう状況にございます。率直に申し上げて、今、標準的に使っている64平米の教室で、今の机のサイズでパソコンを広げると教科書が置けなくなるということもありますから、ぜひ、ポストコロナの中で学校教育がどうあるべきか、40が多いか少ないかっていう議論だけに与するのではなくてですね、どういう環境でこれからの学校運営をしっかりしていくか。そして、今後、万が一新たな感染症などが発生したときに、できるだけ学校閉鎖をしない可能性をしっかり探求していくことも大事だと思いますので、そのことをしっかり検討していきたいなと、そう思っております。

記者)
 二点ありまして、岩手県の4つの市町村の教育委員会がですね、首都圏から転校してきた小中学生に対して、2週間登校せず自宅待機を要請するというようなことがありました。これについて、文科省の認識をお願いします。あともう一点ですね、夏の高校野球の地方大会が全国の都道府県で実施される見通しとなりました。また、日本陸連の方でですね、リモートの大会の実施も行われるということになっています。これについての大臣の受止めと、あと、大学入試への活用の働きかけの現状について教えてください。

大臣)
 岩手県におきまして県外から転入生を自宅で2週間待機させる対応をとっていた市町村があったということについては、6月上旬にですね、報道機関から問い合わせを受け、文科省から速やかに岩手県の教育委員会を通じて状況の確認を行いました。その際、児童生徒の健康状態等に着目せず、県外からの転入者を一律に出席停止とする措置は適切ではない旨、岩手県の教育委員会に伝え、適切に対応いただくようお願いをしたところです。その後、6月22日に岩手県の教育委員会から、関係する市町村教育委員会において同様の待機要請を行わないこととした旨、報告をいただいております。今回の対応については、感染は誰にでも起こりうるという認識を共有し、見えないウイルスへの不安などから、特定の人々が、特定の人がですね、不利益を被ることがないようなしっかりとした対応を各教育委員会に丁寧にお願いしたいということを感じているところでございます。それから、高等学校の硬式野球が結果として全都道府県で何らかの形で実施をされるということになったことは承知をしております。プロ野球なども再開し、これから7月になると新しいガイドラインがスポーツや文化の面でも見直しをされるのだろうと思います。そうすると、観客を入れての大会っていうのも少しずつできるのではないかということを、期待をしております。9回までやらないで7回でという自治体もあれば、必ずしもトーナメントで最後までということでもないので、その先の全国大会を設置するというのは、残念ながら現段階では難しいと思いますけれども、いずれにしても、高校野球に取り組んできた高校生たちが、最後の夏をですね、一定のその成果をしっかり発揮できる機会を作っていただいたことは敬意を表したいと思います。また、あの陸上につきましても、日本陸連が、リモートでの開催、選手権をやるということになりました。要は、1ヶ所に集まらないでそれぞれの県で行った成績を全国レベルで統合してランキングをつけるということなのですけど、これは、例えば陸上競技場で言えば、1種2種3種という公認競技場の違いもありますし、アンツーカのトラックもあればですね、いまだに土の県などもあるわけでありますから、そういう意味では、若干環境が違うので、その結果を、同じ公認記録とはいえ、一律に並べて順位付けをするっていうのはどうなのかなという思いはあるのですけれど、しかし、これも私が心配していた、今まで3年間の成果を何らかの形できちんと測ってくれるということの大きな取組の一つだと思っておりますので評価をしたいと思います。日本陸連のほうには、国立競技場をせっかく借りましたから使ってくださいっていうことをお願いしているので、遠慮しないで、Go Toキャンペーンと組み合わせて集まってもらえないかなという期待もあるのですけど、それは陸連の判断に任せたいと思います。いずれにしましても、今、大学関係者とも話をしていまして、AO入試や、あるいは推薦入試で、こういった県単位での取組をですね、全国レベルに、いわゆる換算をした場合の、全国大会に出れた可能性ですとか、そういったことをきちんと読取りをしていただいて、例年の推薦試験以上に丁寧な対応で、こういった人達の進路というものにもしっかり目を配っていただけるようにお願いをしているところでございます。

記者)
 先ほど骨太の方針の話がちょっと出ましたけれども、7月の半ばに政府で成長戦略を始めることになると思うんですが、一昨日、自民党の文教部会で、その成長戦略について、文教政策での考え方というものについて、議論があったと思います。その中で、いくつか論点があるんですけれども、ICT関連の要員の再配備等もあるんですが、その中で一つ、デジタル教科書の充実というのも、はっきりとおっしゃられておりました。デジタル教科書につきましては、今のとこ価格が高いとか、いくつか問題点も指摘されておりますけれども、当然、GIGAスクールで1人1台が配備されましたらば、これからは、その中身は問題になってくると思いますので、そのデジタル教科書の整備についてどのようにお考えなのか、また、予算措置等必要なものであれば、文科省として考えていくお考えがあるのかどうか、その辺りをお聞かせ願えないでしょうか。

大臣)
 学習者用のですね、デジタル教科書については、令和元年度より紙の教科書に代えて使用できるようになっておりまして、文科省においては、「デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」を実施をしております。これ、今ご指摘ありましたように、当初は、GIGAスクール3年、言うなら4年またぎで整備をする予定だったので、この中でしっかり実証実験などをしていこうというふうに思っていたんですけれど、今年度末には全ての小中学校に端末が揃うということになります。この検証結果を踏まえてですね、1人1台端末環境を始めとするICT環境整備の加速と併せて、更なる普及促進を図るとともに、学びの充実の観点から、使用する授業時数の基準ですとか、学習者用のデジタル教科書の在り方などについてしっかり検討してまいりたいと思います。あの、せっかく来年度以降はですね、デジタル環境が整った中での学校教育が始まりますから、ちょっと今までとはフェーズを変えて、加速をして、有効性などをしっかり確認をしていきたいと思いますし、その必要な予算措置については、要求をしていきたいと思っています。

記者)
 教員の働き方改革の関係で伺いたいなと思います。給特法の改正でですね、来年度からの変形労働時間制を、各自治体の裁量によって導入することが可能になると思うんですが、その細かい制度設計を定めた省令等の決定が遅れてると思います。自治体等にお話聞きますと、省令を受けてですね、条例を作って、それから関係団体とかですね、関係者との協議も必要であると、導入に向けて。そうなると、その来年度から、来年度当初からの導入はかなりタイトなのではないかというようなことをおっしゃっている自治体、かなりの数に上るんですが、この点、大臣は来年からの導入というのは可能だというふうにお考えでしょうか。

大臣)
 臨時国会で、給特法の改正を、成立をさせていただきました。これは、あくまで各自治体の選択制で、採用するかしないかってことも含めて考えていただくことになっています。ご指摘のですね、本来、省令について、もう少し早く決定をするべきだったのですけど、コロナの関係で会議が開けなかったものですから、7月2日に改めて開催をして、ご議論いただくこととなっており、その後、速やかに省令等を制定する予定でおります。その省令等を踏まえて、来年4月からの本格導入に、行おうとする地方公共団体においては、9月の議会に条例変更が間に合うようにしたいと思っております。したがって、9月議会でですね、条例の変更をすれば、令和3年度からの、年度当初からの実施っていうのは可能になると思います。いずれにしましても、このコロナの事態で、率直に申し上げて、夏休みなどを短縮してですね、去年議論をした、言うならば、未来像とは全く違う対応を学校現場の先生方には今年は取ってもらわなきゃならないことになると思います。そのことは、幸いに、学校の先生方も覚悟して積極的な取組をしていただいておりますから、こういう緊急事態なので、今年は例外的に様々な取組をしていただきながらですね、来年正常化に戻れるとすれば、できるだけ早く、各自治体が条例制定をして、運用に移行してもらいたいと思いますので、これは、繰り返しになりますけど、自治体の判断がありますから、急いでやろうと、来年からやろうというところは、ぜひ、それぞれの県議会や市議会などで対応してもらいたいと思うし、こういう事態なので、ちょっともう少し時間を見ながらやりましょうということであれば、それはそれで良としたいというふうに思っています。いずれにしても、やっぱり、この先生方って、なかなか時間では仕事が計りきれないんだなっていうことが、今回のことでも、社会の皆さんが共有していただいたのだと思います。土曜日に出勤をすることも学校や自治体によってはあると思いますし、夏休みの短縮、夏休みは勤務期間、時間中ですから、休日出勤ではないんですけれど、そうは言っても、本来研修などに充てられる時間を、もうそのフルに授業をやらなきゃならないってことになれば、一定の負担は生じるのだと思うので、ここはあの、全国の先生方に、ぜひ、踏ん張ってもらって頑張っていただいて、やっぱり先生という職業が大切だってことをですね、社会全体で皆さんに見ていただく中で、新しい働き方や、新しい給与制度に進んでいきたいなと思っています。

記者)
 すみません。ちょっと関連でもう一件、伺いたいんですけど。今お話もあったとおり、感染症等があれば、その夏休みが短縮されるという可能性が現実のものに、今年度になってしまったということなんですが、今後また新規感染症等によって、夏季休業が短縮されるっていう可能性が今回のことであるなという認識をしたわけですけれども、そのことが、かなり、改めてその変形労働を導入する際の難しさっていうものを示したんじゃないかっていう意見もあるわけです。この点は大臣、どうお考えでしょうか。

大臣)
 そこはむきになって否定するつもりはないのですけれど、ただ、今まではですね、全く時間管理がない中で、どんどん仕事が積み上がってきた数十年を考えれば、ここは、ある意味では、先生方の働き方を変えていく大きな機会だと思います。ぜひ、コロナの後、学校どうあるべきかっていうそのハード・ソフト両面と合わせてですね、ぜひ先生方が、やる気を持って、そして本来の職業である子供たちと向き合う時間を十分確保できる学校運営ができるようなですね、体制作りに力を入れていきたいなと思っています。

記者)
 先日ユニクロのですね、柳井会長が、京都大学の本庶先生と山中先生の研究に対して、50億円ずつ寄付をされたんですが。新型コロナを含めて、研究に対するですね、民間のこういった寄付が、動きが広がっていくことが期待されるんですが、大臣はその辺りどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 コロナに限らず、科学技術に対して民間の皆さんがですね、寄付をしていただけるという文化が醸成されることは大変歓迎をしております。ただ、逆にこのコロナで、経済界の皆さんも非常に厳しい状況にあって、例えば、あの文化振興のための基金を作りましたけれど、いまだにその、200万を超えないということでございまして、なかなか寄付が集まらないという状況も全国的にはきっとあるのだろうと思います。もちろんこういった寄付文化っていうものをですね、世の中に必要なものに対して、あるいは世の中の豊かさに対して、経済的に頑張っている皆さんが寄付をするって文化を広げていきたいって思いは、私、大臣として思っておりますけれども、ここは、しばらく厳しい状況が続くのだと思います。いずれにしても、コロナにつきましては、しっかりとした感染拡大防止のための抗ウイルス剤ですとか、ワクチンの開発というものを急がなきゃなりません。そういう意味では、科学分野の皆さんが、しっかり十分な予算の中でしっかりとした研究をし、1日も早い成果を出していくことが大事だと思いますので、これはあの、ぜひ、経済界の皆さんにも、引き続き、応援いただけるなら大いに歓迎したいと思っています。

(了)

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