萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年6月2日)

令和2年6月2日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

創発的研究支援事業、マテリアル革新力強化のための政府戦略、北九州市内における複数児童の新型コロナウイルス感染、学びの継続給付金、新型コロナウイルスの感染拡大防止策と安全管理

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年6月2日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年6月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年6月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から二件ございます。まず、創発的研究支援事業の公募開始についてです。文科省では、令和元年度の補正予算により、若手を中心とした多様な研究者による自由で挑戦的な研究を、研究に専念できる環境を確保しつつ、最長10年支援する創発的研究支援事業を、創設をしました。本事業につきましては、昨日、公募を開始したのでお知らせをしたいと思います。また、公募開始に当たって、文科大臣として私からのメッセージも併せて公表させていただきました。新型コロナウイルス感染症の拡大という難局は、新たなステージに移行しつつあり、今後、世界各国でコロナ後の社会の発展を目指した新たな取組が進んでいくことが予想されます。今後の世界を見通せば、破壊的なイノベーションにつながる成果の創出を目指し、既存の枠組みにとらわれず、野心的な研究構想に研究者が腰を据えて取り組んでいくことが重要となります。ぜひ、我こそはと思う方々の応募を、期待をしたいというふうに思います。
 もう一点ですが、本日、文部科学省及び経済産業省の有識者会合において、我が国の科学技術イノベーションの強みである「マテリアル」の革新力強化に向けた報告書を取りまとめましたのでお知らせをいたします。報告書では、マテリアルの研究開発現場のデジタル化、リモート化、スマート化に向けて、高品質なマテリアルデータを創出・利活用できるプラットフォームを整備していくことの必要性や、多様なマテリアルの研究成果を社会課題解決に迅速につなげるための戦略的な研究開発や人材育成に関するご提案をいただきました。こうしたマテリアルの取組は、新型感染症等に伴う研究活動の停滞リスクを低減し、今後の強靭な社会・産業作りを大きく牽引するものであると考えております。文科省としては、これらの取組について速やかに検討を着手するとともに、今後の政府戦略の策定を見据え、新しい時代にマテリアルの研究開発がどうあるべきか、関係府省とともに引き続き検討を深めてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 冒頭一点、質問させていただきます。冒頭、大臣がおっしゃられたマテリアル強化について、政府戦略についての会合の取りまとめについてお聞きします。政府は、もうすでに量子やAI分野などで政府戦略をもう作っておりまして、多分、今回の取りまとめというのは、そういった量子・AIの戦略レベルに相当するようなものを作るものだと思います。マテリアル戦略とも言うべき戦略の策定の重要性・意義だとか、あと今後の検討のスケジュールなどを教えてください。

大臣)
 本取りまとめでは、今後マテリアルの研究開発のデジタル化、リモート化、スマート化を進めていくことに加え、重要技術領域への戦略的投資やイノベーションエコシステムの構築、人材育成に関するご提案もいただきました。今後、これらをより具体化し、実行に移していくためには、関係府省との連携・協力が不可欠です。このため、マテリアル革新力強化のための政府全体の戦略の策定に向けて、今後、内閣府を中心とする関係府省と相談をしてまいりたいと思います。現段階で、決まったスケジュールは発表してないよね。これから各府省と連携しながら、それらを含めて発表、深掘りをしていきたいと思っています。

記者)
 北九州市の小学校でですね、児童の集団感染が発生している件についてお伺いします。感染が一番初めに確認された児童がですね、登校前、家庭で体温を計ったときは37度台で、学校で35度台だったということですけれども、全国で、小学校や中学校で授業が再開する中で、家庭や学校での検温ですとか症状についてどう考えるかという意識の高さが重要になってくると思うんですが、そのあたりの文科省としての認識と留意点などがあれば教えてください。

大臣)
 感染がまん延しているような地域では、学校の設置者において、地域の感染状況を把握し、感染症への警戒を高めていただくことが必要です。また、学校だけでは児童生徒等の体調を全て把握することは難しいことから、学校内での感染拡大を防ぐためには各家庭のご協力をいただくことが不可欠です。このため、ご家庭においても「新しい生活様式」の実践をしていただけるよう、学校において各家庭への積極的な情報発信を行い、家庭の協力を呼びかけていただきたいと考えております。文部科学省としても、昨日、PTA団体に協力をお願いする文書を、発出をしたところです。しかしながら、このような取組を通じてもなお感染リスクをゼロにすることは困難であるため、いかなる地域においても、感染者がいつ発生してもおかしくないという前提で、地方自治体内での衛生主管部局との連携や、学校医・学校薬剤師等の専門家と連携した学校における保健管理体制を築いていくことが重要と考えております。ご指摘のようにですね、家庭での検温をしていただいているのですけれど、長い間休校が続きましたので、ご家庭としては今までと同じような感覚で、ちょっと熱が高めに出てもですね、本人も元気だし、学校に行きたいと言うと、今までの風邪のような症状のときにはもしかすると許容範囲だったのかもしれないのですけれど、今回の新型コロナウイルス、未知のウイルスでありますので、それぞれの自治体が示している体温で、もう少し慎重な対応をしていただくことが極めて重要だというふうに思っておりますので、この点改めてですね、全国の自治体と共有して、ご家庭でのご協力もお願いしたいと思います。

記者)
 学生らへの20万円の現金給付、最大20万円の現金給付を巡ってですね、留学生だけ成績優秀を要件としている件で質問させてください。先週の金曜日、要件の撤廃を求める55,000筆以上の署名が文科省に提出されました。今回の給付の目的は学びの継続にあると、大臣、おっしゃっていたかと思いますが、留学生については、優秀な学生しか学びの継続はしなくていいというメッセージになっていないかと、そういう懸念が背景にあります。大臣の受止めとそうした声を踏まえて見直す考えがないのか伺えますでしょうか。

大臣)
 「学びの継続給付金」については、学びの継続を支援することを目的とする給付金であり、国費による支援であることを踏まえ、日本人であるか外国人留学生であるかに関わらず、支援の趣旨に鑑みて、それぞれの一定の要件を設けることとしております。我が国で学ぶ意欲のある外国人留学生を支援するため、外国人留学生向けの奨学金制度である日本学生支援機構の学習奨励費の考え方を踏まえて要件を定めているものです。いずれにしても、最終的には、一番身近で学生等を見ている学校等において、その実情に沿って総合的に判断していただくこととしているところです。まずは、この給付金が1日でも早く必要な学生たちに行き渡るように早急に対応してまいりたいと思いますし、すでに、早い学校や早い学生さんでは、お手元に給付金が届いたという、そんな状況にございます。

記者)
 大学の判断というふうに前から大臣はおっしゃっていると思うんですけれども、文科省がですね、要件として示している以上ですね、多くの大学で従わざるを得ないんだと、そういうような声があります。大学が、独自のですね、判断をですね、成績に関わらずですね、生活・困窮度等に応じた判断ができるようにですね、どんなことが考えられるんでしょうか。

大臣)
 全ての学生に給付ができる制度ではありませんから、一定要件を設けることは、これは別に、日本人外国人問わず、やむを得ないことだと思います。元々のこの奨学金、給付金の目的は、例えば、アルバイトなどで自立をしていた学生が、コロナによって自らのアルバイトでお金を稼ぐことができなくなって修学の機会を失うことがないようにというところから始まっていますので、そういった、例えばご家庭での支援が仰げるお子さんなどとはまた違う条件の中で、苦労して、そしてこのままだと学校を辞めなきゃならないような事態が迫っている学生に対して、一時的に応援をしよう、それから既存のメニューについてもご紹介をしようということで作らせていただいた制度でございますので、目的は、あくまで学生の皆さんが、引き続き学業を続けていただくことが大事なので、これは、繰り返し申し上げますけれども、学校と伴走しながらですね、サポート体制を色々考えていきたいと思います。今回の給付金については、この限られた予算の中で、まずワンショット、こういった支援をしていきたいと思っています。

記者)
 学校再開にあたっての子どもの安全管理の関係で伺いたいと思います。全国の学校でですね、感染防止対策として子供にフェイスシールドの着用を求めるというような地域がかなり多いというふうに聞いています。このフェイスシールドに関しまして、医師等の専門家からですね、マスクと併用すると熱中症のリスクを高めたりですとか、それから子供が衝突すると危ないとかですね、そういったかえって子供にとってもリスクを高めるんじゃないかという指摘が相次いでいます。文科省のですね、衛生管理マニュアルでも、フェイスシールドに関して言及がないんですけれども、大臣としては着用に関してはどういったご見解をお持ちでしょうか。

大臣)
 ニュースなどでフェイスシールドを活用している学校の、授業の実態などを映像で承知はしています。あくまで設置者の判断で、様々な感染拡大防止の一つの策として行っているのだと思います。私、その有効性については知見を持っておりませんのでコメントは控えたいと思いますけれど、一方その、シールドをしてマスクをしてという、そういう映像も数多くみられましたので、マスクをしていれば、一般的には、一定の距離を保てば安全確保ができるんじゃないかという指針を示しておりますので、子供たちに悪影響がないように、特に、これから気温が上がりますから、熱中症などの二次的な被害が起きないように、よく有効性を現場で確認しながら、安全に気配りをしながら対応していただきたいなと思います。文科省として、直ちに相応しくないとか、どんどんやるべきだと、こういうことを申し上げる立場にはないと思いますので、教室にアクリル板を置いている自治体などもありますので、様々な工夫の一つだというふうに思っております。

記者)
 マスクとの、マスクと併用することまでは必要ないとお考えですか。

大臣)
 私、個人的にはマスクを、マスクは奨励していますので、マスクをしていただいていればそこになおかつフェイスシールドというと、結構、子供たちも大変で、我々もマスクだけでもかなりですね、息苦しく感じるところがあるので、そこはよくお子さん達の健康状態を確認してほしいなと思いますね。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室