萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年5月15日)

令和2年5月15日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

新型コロナウイルスの感染拡大と対策、緊急事態宣言の一部解除と学校の再開、新型コロナウイルスと学びの保障、PCR検査の協力体制、複数年度における教育課程の編成を認める特例的措置、全国学力・学習状況調査

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年5月15日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年5月15日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年5月15日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは冒頭一件です。昨日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の改定が行われました。39県が緊急事態措置の対象から外され、8都道府県は引き続き5月31日まで、緊急事態措置の対象とされました。今回対象から外れた39県も含め、引き続き、万全の感染症対策を講じていただく必要がありますが、同時に、社会全体が、長期間にわたり、この新型コロナウイルス感染症とともに生きていかなければならないという認識に立ち、子供たちの健やかな学びを保障することとの両立を図っていくことが重要です。このような状況を踏まえ、感染症対策を講じながら、最大限、子供たちの健やかな学びを保障することを目指した取組の方向性を示すため、本日午後に通知を発出する予定です。本通知においては、学校教育が協働的な学び合いの中で行われる特質を持つことに鑑み、学校行事等も含めた学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切であることを踏まえ、まずは、登校日の設定や分散登校の実施等を含む各種の取組により学校での指導を充実すること、その上で、臨時休業や分散登校のさらなる長期化や一旦収束しても再度感染者が増加する等により、年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることがどうしても困難な場合の特例的な対応として、最終学年以外の児童生徒について、次年度以降を見通した教育課程を編成すること、学校の授業における学習活動を重点化することなども考えられる旨を示す予定でございます。現在、通知の発出に向けた最終調整を行っているところであり、詳細については、通知発出に合わせて皆さんに改めてお知らせをする予定ですので、その節に詳しいことをまたお尋ねいただければと思っています。私からは以上です。

記者)
 まず、冒頭、新型コロナに関連して一問伺います。まず、質問なんですけれども、昨日、緊急事態宣言が39県で解除されたということを踏まえてなんですけれども、文科省の調べによれば、公立学校の休校解除が5月中で8割にのぼっておりまして、宣言解除でこの動きがさらに加速すると思うんですけれども、先ほど大臣もお話しのあった新しい学校再開の考え方で、学習遅れの取り戻しが可能だと考えてらっしゃるのか、それとも9月入学含めて抜本的な対応が必要と考えてらっしゃるのか、現時点での見解を教えてください。

大臣)
 昨日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が変更され、緊急事態措置を実施すべき区域から39県が解除されました。しかし、緊急事態宣言の対象地域から外れた地域において、学校における感染拡大のリスクがなくなるものではなく、また、一旦収束しても再度感染者が増加することも事態として想定をしておかなくてはなりません。学校設置者においては、引き続き、一切気を緩めることなく、感染防止対策を徹底した上で、段階的に教育活動を開始し、学校において「新しい生活様式」を実践していただきたいというふうに思っております。もちろん、学校で様々な取組をしていただくのですけれど、まず第一に、この長期の休業中・休校中の対応というのが、私たちが思っていた以上に様々でございまして、家庭学習を課したものでしっかり子供たちが理解も深めている、そういった地域や学校もある一方ですね、なかなか担任の先生から連絡がなかったなどという声も聞いておりますので、まず、再開後に、休業中の学習の保障というものの確認をしっかりしていただきたいと思います。その上で、今後の学校の在り方、直ちにですね、全ての児童生徒が登校できる環境にある自治体もありましょうし、残念ながら、一定の距離を保ちながら感染拡大防止に配慮しながらの学校再開を模索しなくてはならない地域もあるわけでありまして、そういう中で、残された学年、年度の時間の中で、様々な取組、カリキュラムの在り方など学校現場で考えていただく必要があると思います。現時点で、オールジャパンでですね、その、同じ取組をすれば全て解決するかと聞かれれば、そこはやっぱり現場の声を聞いてみないと分からないところがありますので、できる限り、年度内でそれぞれの学年の学習を終えていただきたいという希望はありますけれども、他方、先ほど申し上げたように、だからといって2倍速3倍速で授業を進めたりですね、夏休みをもうほとんどなくしたり、土曜日をフルで使ったりということで、詰め込むことによって数字の積み上げだけを目指すのではなくて、やっぱり学校教育ならではの様々な行事なども含めた、幅広にですね、子供たちの学びを考えていただくことが大事だと思っていますので、そういう、多分これから再開して各自治体からいろんな声が上がってくると思いますので、それをしっかり見極めた上でですね、対応していきたいなと思っています。

記者)
 新型コロナウイルスのPCR検査についてお聞きします。今、農林水産省の管轄、所管の農研機構などがPCR検査を協力するという、実際、協力もしております。政府全体でPCR検査を拡大することになると思うんですけれども、文部科学省でですね、大学や国立研究開発法人、理研だとか物材機構など、そういったところ全体でPCR検査、協力体制、今、準備状況はどういうふうになっておりますでしょうか。よろしくお願いします。

大臣)
 新型コロナウイルス感染症への対応において、PCRの体制を整備することが重要であることは認識しており、ご指摘のように、大学関係につきましても、既に協力を始めております。大学病院では、1日最大1,289件の検査を実施できる体制を構築し、検査に協力をいただいているところでございます。また、大学の研究施設や文部科学省関係の研究所が保有しているPCR機器を活用して新型コロナウイルスの検査に活用する場合には、感染防止対策等の対応、検査を行う人員や試薬等の確保も必要になる一方、他の感染症の検査等、他の用途との調整も必要になると思っております。文科省としては、理化学研究所を始めとする所管の研究開発法人については、PCR検査機器の保有状況を2月の時点で調査をして、約150台、研究所などではPCRに対応できる数を用意していますよということを厚労省に既に申し入れをして、協力体制、協力をできる申し出をしています。理研などでは、3カ所で自治体との連携の上で既にPCRの活用を始める、そういった準備をしております。また、大学と言いましても、大学のそれぞれの研究室にもですね、確かにPCRの検査機器はございまして、先日、山中先生がインターネットの番組の中で自分のiPS細胞の教室にも約30台のPCR検査機があって協力しますよということの申し出をしていただいて大変ありがたく思っています。他方、当然のことながら、そこに機械があれば直ちにPCRの検査ができるわけではなくて、バイオセーフティレベルの2以上の施設が必要だということになっておりますので、例えば、そこにある機械を、自治体が今後行うPCRセンターなどを作るときに外に持ち出して貸出しをするとか、こういったことも含めて、まだ潜在的に文科省関係で所有をするPCRが地域でどういう活躍ができるかというものを、リストアップを急いでいるところでございます。既に、大学病院の55病院のPCRの検査は始まっておりますし、それからさっき申し上げた文科省所管の研究施設の150台については、いつでもスタンバイしておりますが、まだそこまで需要があがってきていないといいますか、厚労省の方から協力要請といいますか、使いたいという申し出がなかったものですから、そこはウェイティングしているのですけれども、さらに深堀をして、個々の研究所にどれだけのPCRがあって、それがいざとなったときに使えるか使えないかということの調査を、今、もう一段階加えてやっているところでございます。いずれにしても、協力は当然しなきゃならないし、政府一体で取り組まなきゃならないことなので、既存のインフラで使えるものは最大限使ってPCR検査体制の拡充に文科省としても協力していきたいと思っています。

記者)
 本日、発出予定の通知に関して伺いたいなと思うんですけれども、学習内容の、次年度繰り越すか持越しを認めるということなんですけれども、これに関しまして、例えば、転校するとか、学習が遅れている地域から進んでいる地域に転校するとか、そういう子供への配慮とかはどのようにするべきかというのが一点とですね。それから、全国学力テストに関しましては、年度内に全国一律の学習内容を終えているというのが前提になっていると思うんですけれども、この点に関しましては、調査に関して実施するのかしないのか。それから一部地域は特例的に参加しないのを認めるとか、そのあたりの対応はいかがでしょうか。

大臣)
 まず、原則としては年度内で必要な指導を終えられように最大限の努力を行っていただくというのが大前提です。その上で、さっき申し上げたように、地域事情が異なりますので、詰込みによってなんとかゴールを目指すというのではなくて、やっぱり最終学年以外については、少し柔軟な対応も考えておくことも必要ですねということを今日の段階であらかじめ発出をしたいと思っています。学校における指導を充実しても、なお年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難な場合の特例として、あらかじめ複数年度における教育課程の編成を認める措置ということでございますので、そっちに芯が行っちゃうとですね、年度内で終了しなくなってしまいますので、あくまで原則はそこに置いてもらいたいと思います。児童生徒が転校した場合にはですね、それぞれの学校で引継ぎなどを行って、学習の進度や教科書の違い等についても、柔軟に対応を、現在もしていただいているところですけれども、今後、こういう事態の中で転校が生じる児童生徒に対しては、特例的な措置を具体的に講じるにあたり、今まで以上に丁寧な対応をしていくことが必要だと思っております。授業進度も違えば、自治体によって教科書も違うわけですから、そういう意味では、転校生についてはやっぱり特別なフォローが必要だと思いますので、今、ご指摘のようなケースが生じたときには、教育委員会同士、学校同士でしっかり連携を取ってもらって、例えば、放課後の補習なども含めて、足りなければ、当然補っていくという必要もありますし、進んでいる所から遅れている所に来た場合に、じゃあ今まで折角学んだことを無駄にすることなく、なんらかの形でその子がしっかり新しい環境でやり直しができることを丁寧に対応していきたいと思います。その関連で、全国一律の学習状況調査やテストなんですけれども、今年はご案内のとおり中止を発表させてもらいました。来年以降どうなるかということを今の段階で申し上げることは非常に難しいですけれども、いずれにしても、残された時間で、学校現場の皆さんで協力して、できるだけ日常をしっかり取り戻していくことがまずは大事だと思いますので、その状況を見極めて、明らかにですね、学習状況に差があるのに、それを無理やり、試験をしたことによって得られる情報が、果たして一体役に立つかということも含めて、そこは丁寧な対応を考えていきたいなと思います。

(了)

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大臣官房総務課広報室