萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年5月12日)

令和2年5月12日(火曜日)
教育、文化、その他

キーワード

全国高等学校総合文化祭、新型コロナウイルスの感染拡大と対策、緊急事態宣言の一部解除と学校の再開、二次補正予算と学校支援策、9月入学・新学期制、新型コロナウイルスと学びの保障、新型コロナウイルスと学生への経済的支援

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年5月12日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年5月12日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年5月12日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは一件です。今年の7月31日から高知県で開催を予定していた第44回全国高等学校総合文化祭について、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、通常の方法により開催することは困難であると判断し、インターネットを活用した作品の発表や取組の紹介、演奏や実技の動画配信による開催に変更することとしましたので、お知らせをいたします。様々な大会等が中止になる中、全国高等学校総合文化祭においても、生徒の安全・安心を第一に考慮し、全国から高知県に集まることは取りやめますが、生徒たちの発表の機会の確保やこれまでの活動成果を少しでも多くの方にご覧いただくとともに、記録に残せるよう、主催者である文化庁、全国高等学校文化連盟、高知県実行委員会が協議を重ね、決定をいたしました。インターネット上での具体の開催方法の詳細については、今後、全国高等学校文化連盟や各部門、高知県と協議を行った上で、後日、改めて発表したいと思います。私からは以上です。

記者)
 コロナ関係で2点お伺いします。14日の専門家会議を受けて、緊急事態宣言の一部解除が検討される見通しになっています。学校再開に向けた動きも広がるとみられています。感染リスクをゼロにできない中での学校再開についてのお考えを改めてお聞かせください。また、今後の二次補正予算の中で学校支援策の必要性についてもお聞かせください。

大臣)
 新型コロナウイルス感染症に対応した学校の運営の在り方に関しては、これまで既に「学校再開ガイドライン」、「臨時休業の実施に関するガイドライン」等で示してまいりました。例えば、「臨時休業の実施に関するガイドライン」において、緊急事態宣言の対象区域となっている地域のみならず、対象区域になっていない地域の臨時休業の実施に係る考え方も示してまいりした。各学校の設置者におかれては、一部の地域について緊急事態宣言が解除された場合においても、これらの方針を踏まえ、学校の運営に当たっていただきたいと考えております。文科省におきましては、それぞれの地域におけるニーズを踏まえつつ、継続的に支援に努めてまいりたいと思っております。設置者の判断を優先しますから、必ずしも文部科学省が示したガイドライン通りにやっていただかなければならないということではないんですけれど、しかし、3月の休校時と4月の休校時では、皆さんもご案内のとおり、学校の対応というのは、かなりクローズでやってまいりました。少しずつ、分散でも結構ですから、やっぱり子供たちの学びの機会を作っていただくということが極めて重要でありまして、それを前提に、可能な限り、様々な知見を集めながら後押しをしていきたいなと思っているところです。

記者)
 支援策について伺えますか。

大臣)
 補正予算の中で、もうすでに前回の補正予算で、ICT環境の整備のための費用については確保できました。今後は、再開した後にですね、やっぱりマンパワーが当然必要になると思いますので、加配の教員の費用、それから学習指導員、またICTの専門的な知識を持った人たちにも中に入ってもらわないと、せっかくパソコンやタブレット、あるいは高速大容量のインフラが整備されたとしてもなかなか授業で活用できない。また、そういうことがあって欲しくないのですけれども、第2波第3波ということで、再び、一時的に学校を閉鎖をしなきゃならない、休校しなきゃならないことを考えますと、より充実した在宅での授業のあり方というものも検討していかなきゃならないので、そういった専門家の皆さんを投入できるような予算というものはしっかり確保していきたいと思っているところでございます。

記者)
 二点目なんですが、9月入学についてです。日本教育学会が、昨日、拙速に導入しないよう求める声明を出しました。様々な課題が指摘される中ですが、現時点での文科省としての検討状況をお聞かせください。

大臣)
 9月の入学・新学期制について、学校の臨時休業がさらに長期化する事態を想定した際の対応案の選択肢の一つとして声が上がっているということは承知をしております。文科省としては、まずは、早期の収束に向けて感染拡大防止の取組を徹底したうえで、これまでも行ってきている子供の学習の保障のための取組を一層しっかりと進めていくことが重要であると考えています。9月入学は、文科省だけで、関わる問題ではなくて、社会全体に影響を及ぼすものであり、各方面との調整が必要な案件です。仮に、我が国の社会全体の問題として広く国民の間で認識が共有できるのであれば、私としては、選択肢の一つであると思いますが、いずれにしても子供たちのための最高の選択肢は何かということを第一に考えていくことが重要であると考えております。その上で、私としては、教育行政の責任者として、あらゆることを想定しながら対応する必要があると認識しておりますが、学校の臨時休業がいつまで延長されれば本格的な導入検討に向けて動き出すのか、あるいは新型コロナウイルス感染症の今後の状況がどうなるのか、十分に見定めつつ、考えていきたいと思っております。9月入学を実施する場合の導入時期等についても、当然、様々な課題があることは承知をしております。従って、様々な団体の人たちから、賛成、反対、色んな意見のあることは大いに結構なんですけれども、まずはですね、どうしたら再開後の学びの保障ができるかということでお知恵をいただければありがたいなとそんなふうに思っています。

記者)
 二点お伺いさせてください。一点目は、休校中の家庭での教育についてです。都内の一部の小学校では、学校が時間割を作り勉強させる取組などがありますが、一方で、教えるのは家庭任せとなっているところもあります。仕事がある家からは悲鳴があがっております。また、この家庭教育の内容を評価に組み入れるという学校もあり、格差を懸念する声も出ています。家庭教育を支えている文科省の見解を改めてお伺いさせてください。

大臣)
 感染拡大の防止のための臨時休業により子供たちの学びに著しい遅れがないように、学校や各自治体が主体となって必要な措置を講じることが重要であります。小学校、中学校、高等学校については、5月1日の段階で、段階的に学校教育活動を再開するにあたっての学校運営の工夫として、時間帯又は日によって登校の対象とする学年、または学級内のグループを順次変えたりするなど、分散登校の実施や最終学年、小学校6年生、中学校3年生、高校3年生を優先した登校日の設定について通知をしたところでございます。今、ご指摘のようにですね、学校間で対応が様々だということは否めないと思います。私も、色々現場のお話を聞いていますけれども、本当に一日に何回もですね、担任の先生が自分のクラスの児童に連絡を取りながら学習の進捗状況の確認をしてくれている、そういう家庭学習のあり方もあれば、残念なんですけれども、休校中、1ヶ月に一度しか担任の先生から連絡がなかったというびっくりするような報告もいただいておりますので、そういった意味では今後、少しずつ再開に向けて努力したいと思いますけれど、しかしこの間の学びというものは本当に学校から与えられた課題に対して子ども達がきちんと理解をしているのかどうかというのはただプリントの提出をもって、あるいは点数を付けることをもって評価をするんじゃなくて、ご負担になりますけれどもやっぱり補習受業などで少しずつ確認はしていただく必要があるんじゃないかと思っています。そういう前提で、先ほど幹事社の質問ありましたけれども、今の先生たちだけにご負担をかけるわけにはいきませんから、加配の教員や学習指導員などのマンパワーを入れて、与えられた時間の中で、この休み期間中の家での学びというものがきちんと身に付いているのかどうかの確認はさせていただきたいと思っています。

記者)
 二点目で総合祭の件です。通常通りの開催は残念ながらできない予定ですけれども、これまでそこを目指して活動を続けてきた、活動を続けている高校生たちへのメッセージがありましたらお願いします。また、大学入試への影響などについて、ここでの実績をアピールポイントに使う方も多いと聞いておりますので、そちらについてのご見解をお願いいたします。

大臣)
 今、これ慎重に、文化庁中心に関係団体の皆さんと話合いをしてきて、私ちょっと、先日、テレビ番組で中止になったということを発言してしまいまして、フライングしちゃったんですけど、中止をすることは決めていたんですね。それで、インターハイのときには、せめて学生の皆さんの記録に残るような都道府県単位での記録会などの開催をお願いしたいということを後からお願いしましたので、今回は、逆に、検討の途中だったんですけれど、できる限り、インターネットなどを活用した文化祭の開催ができないかを併せて検討してほしいということをお願いしたところ、実行委員会の皆さんも、それを受け止めた上での開催の変更ということの発表をしていただきました。そういう意味では、関係者の皆さんのご努力に感謝を申し上げたいなと思っています。例えば、合唱ですとか、あるいは演奏ですとか、こういったものは、もちろん生の音じゃないですから、そういう意味では正しい判断・評価ができるかどうかということはあるんですけれど、それなりの専門家の方たちに、今、限られた環境の中で送っていただいた映像をしっかり見ていただいて、評価をしていただくこともできるんじゃないかと思います。演劇などはちょっと時間がかかりますから、私が審査員になるわけにもいかないんですけれど、専門的な知識を持った皆さんに、ぜひ読込みと言いますか、しっかり見ていただいて、こういったものもできるんじゃないかと思います。ぜひ、こういったものを活用して、高校3年間の成果をですね、本当に、本当は一同に集まって、皆さんでお互いの演奏や演舞を見ながらですね、評価し合うのが望ましかったんですけどそれができなくなってしまいましたので、せめてもの、せめてもの皆さんの記録・証としてですね、大いにこのネット上で力を発揮していただきたいなと思っています。将棋の対戦などもあるそうなんですけど、これも環境をきちんと整えれば遠隔での対戦も可能だと思います。今、一番頭を痛めているのはカルタでありまして。ネット上でカルタの取合いができるのか。これはICTの関係者にも相談しながらですね、あらゆる種目でできる限り皆さんの結果が残せるようにしたいと思います。その延長で、以前からお話ししていますように、例えばAO入試、文化で受ける学生さんたちにとっては、ここでの結果・評価というものを活用していただけたら、高校3年生としてはありがたいんじゃないかなと思いますので、こういったことも大学関係者にしっかりお願いをしていきたいなと、そんなふうに思っています。

記者)
 大学生、専門学校生への支援についてお伺いします。先週金曜日に、公明党の方が一人10万円の支給を大臣の方に要望されたと思います。その際、斉藤幹事長の方が、予備費を活用する目処がついているという、大臣が発言されたというふうに明かされていましたが、大臣のご見解をお願いできればと思います。同時に、野党4党の方も法案を提出されていますが、それについての受止めもお願いします。

大臣)
 今般の新型コロナウイルス感染症の影響で大学生等が進学・修学を諦めないよう、しっかりと支えていくことが、何よりも重要だということは繰返し申し上げてまいりました。このため、経済的に困難な学生等に対しては、本年4月に開始した真に支援が必要な低所得者世帯を対象とする高等教育の修学支援新制度及び従来のより幅広い世帯を支援対象としている貸与型の奨学金の両制度において、家計が急変した学生等への支援を行っております。また、授業料や入学金の納付が困難になっている学生には、納付猶予や減免等を行うよう大学等に要請するとともに、先日成立した補正予算において、家計急変を理由に、各大学が独自に行う授業料減免等を支援をしていくこととしております。まずは、これらの支援がですね、確実に学生の皆さんに届くように、相談体制等をしっかりしていただきたいということをお願いしていますが、一方でですね、学費はともかく、アルバイトなどで、家計を自分で自立をして頑張ってきたという学生さんにとって、アルバイトがなくなって収入が途絶えてしまっているということで、そういったことの工夫、何とかできないかという相談をいただいております。学生等の状況にしっかりと寄り添って、与党における議論も踏まえてですね、いかなる支援を行うことができるか。これはもうそんなに時間をかけずにですね、検討してまいりたいというふうに思います。すでに、公明党の方から提言いただきましたし、また、野党の皆さんが法律を提出をされたと承知をしております。与党の幹事長と私の中でのいろんな会議の中でですね、できるだけ速やかにということであれば、補正予算の成立を待たないで、例えば、予備費の活用も検討をするべきではないかということを問題意識として二人の中で話をしたことでありまして、それを、私はまだ記者会見で一度もこのことを話してませんけれど、公明党さんサイドがそういう発信をされたというふうに承知しておりますので、予備費を前提にということではございません。これは、文科省が勝手にですね、予備費を使いますと言うとまたいろいろ課題が出てきますので。しかし、スピード感を考えたら、私は補正ではなくて、ここは、学生に関するものについては、予備費を使わせてもらいたいと思っておりまして、ここは、これは今後の交渉の中で努力してみたいと思っています。大切なことは、困っている学生さんにちゃんと届くということが大事なので、これは、私、学校の皆さんにも一緒に協力をしていただきながら、一番身近で学生さんたちの生活様式だとか形態が分かっている学校の皆さんが、少し窓口になってお手伝いをしていただいて、こういう学生を応援してくれというセレクトをしていただくことが極めて重要だと思っていますので、そういうことも含めて、今後、仕組みも含めて、できるだけ早く結果を出したいと思っています。

記者)
 その上でもう一点、お伺いしたいんですけれど。大学独自の減免措置、授業料の減免措置についてですが、大臣、先週に、大学側がまずアクション起こしてくれと。それに対して、国が支援していきたいというお考えだと思います。しかし、この方法ですと、大学の経営格差、大学の経営財政によって学生さんへの支援が変わってしまう可能性があるわけですけれど、そこについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 私、そこはですね、自分の学校の学生さんですから、まず大事に考えてほしいと思うのです。せっかく夢と希望を持ってそれぞれの学校の門を叩いた学生さんが、今目の前で苦しんでいるわけですから。それに対して、学校がですね、何もできないということだとすると、そこはどうなのかなという思いがあります。今、経済的にとおっしゃいましたけども、例えば私立で言えばですね、この4月5月というのは最もキャッシュを持っている時期です。入試が終わって、3月に私学助成の第1期のお金を入れてますので、この時点で財政的に厳しいというのは、私はちょっと理解ができなくてですね、そこは頑張ってほしいなと思います。その上で、さらに厳しいということであれば、11月に支給するはずの私学助成の一部を前倒しすることも考えていますし、国立大学におきましては、4期に分けて交付金を出していますけれどこれも前倒しをしていく予定でいます。それぞれの地域や、あるいは学部によってね、応援の仕方というのはやっぱり変わってくると思うんですよ。オンラインとかの環境整備をすればいい授業を受けられる学部もあれば、やっぱり集まって実技をしないとなかなか授業が進まない学科もあるわけですから、そういうものも含めて各大学でまずご努力をいただきたいなと。私たちは、別に何と言いますかね、大学任せで言っているんじゃなくて、一緒に伴走して考えますよということは申し上げているわけですから、そこは大学もちゃんと一緒に考えていただかないと困るんじゃないか、そういう思いで申し上げました。あの、たまたま先日テレビの中で、私、目を覚ませと言ったら、それが学生に対して言ったといって、言いがかりをされている方がいるんですけど、大学の皆さんに目を覚ましていただいて、自校の学生さんたちを守ってほしいという意味でございます。

記者)
 先ほどの日本教育学会の声明についてお聞かせください。声明というか、会見の中ではですね、すでにオンライン入試を決めているところだったり、そうでないところがある以上、9月入学にしても教育格差の解消には繋がらないんじゃないかというような指摘もありました。大臣にはですね、格差の縮小に対する将来施策のメリットがあるのかどうか、そのあたりについていかがお考えでしょうか。

大臣)
 昨日の学会の皆さんが出された声明は承知していますけど、その中身について、ちょっと私、まだ承知を、詳しくしていないんですね。その中で、地域的に、あるいは、要するに授業が、この間十分できている学校もあれば、先ほどご質問があったように、家庭学習だけれどもちゃんと習熟度を上げている、そういう学校もあれば、残念ですけれど、なかなか家庭でですね、なかなか勉強ができてないお子さんもいらっしゃって、そういう意味では、差がそれぞれついているということは否めないと思います。9月入学と言いますか、学期を延ばすことによって、時間を確保することによって、これらの問題の解決はできるという一つの利点はあるのだろうなと、そう思っているところです。

記者)
 その点についての指摘として、やはりその、今すでに前を向いている学校というか、勉強を止めれば縮小するかもしれないが、その子たちは、当然、勉強を止めないでやるわけだから、その格差というのは変わらないんじゃないかというご指摘だったんですね。その点についてはいかがでしょうか。

大臣)
 それは例えばですね、ミニマムで、ここまでは超えていかなきゃならないというものまで、最低限のことはきちんとやらなきゃならないと思っているのですけれど、結果として、休校時間が少なかった学校がそれ以上の授業ができたとしてですね、それは、私はそれぞれの学校の取組の結果だと思いますので、これより下になっちゃうという差ができたら、これは義務教育としていかがかなと思うんですけど、きちんとした最後のゴールまでみんながちゃんとたどりつけた上で、先に授業をやっていた学校が少し予習ができたということであれば、それはそれでですね、それをもって格差というのはちょっとどうかなと思いますので、そこは、学びを止めないということを、私、前提にしていますから、仮にですね、仮にこういう授業の形態が続いたとしても、できることは何でもやってもらいたいと思っていますので、そこはご理解いただける話じゃないかなと思います。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室