萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年4月21日)

令和2年4月21日(火曜日)
教育、その他

キーワード

新型コロナウイルスの感染拡大と対策、緊急事態宣言を踏まえた対応、臨時休業の実施、特別定額給付金(仮称)の申請

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年4月21日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年4月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年4月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は私からはございませんのでどうぞ。

記者)
 全国で緊急事態宣言が発令されておりますが、一部の地域で、児童公園への立入りや遊具の使用を禁止する動きが出ております。子供の密集を避ける狙いがある一方、休校中の子供の居場所が少なくなり困っている家庭も多いかと存じます。これは所管外になるかと思いますが、子供の居場所の問題、また、体力や運動面で生じる課題について、今後どのように対処すべきかお聞かせください。

大臣)
 学校の臨時休業に当たっては、児童生徒の健康保持の観点から、学校や設置者において、地域における感染拡大の状況を踏まえながら、学校の校庭や体育館等の施設の開放について検討するなど、3つの密を避けつつ、児童生徒の安全な運動場所や運動の機会を確保していただきたいと考えております。また、学校の休業期間中は、児童生徒の運動不足が懸念されますが、本日発出を予定している学習保障に関する通知においては、屋外で行える運動の例や時間の目安を示すこととしておりますので、これも参考にして、日常的な運動を安全な環境の下で行っていただきたいと思っております。ご指摘のように、公園などで、かなり週末など人が密集しているという事態もありますので、学校の校庭などは非常に広いですし、一度に集まらなければ、上手に開放すれば、こういった課題も解決できるんじゃないかと思いますので、2週間経ちましたので、各自治体、学校、いろいろ知恵を出していただいて、逆に子供達にとっては最も親しみやすく慣れた安全な場所だというふうに思いますので、ぜひこういったことも今後検討に加えてほしいなと思っております。

記者)
 二点あります。一点目は先週の閣議後会見でもおっしゃっていたAO入試等の推薦入試について後ろ倒しを求めたいということですが、文科省内での今の検討状況を教えていただけますか。

大臣)
 AOですとか推薦入試の出願時期については、先週の記者会見において、あくまでまだ私案ですがという前提でお話をしましたけど、その後、事務方にその問題意識を伝えました。現在、このようなことについて高校・大学関係団体から意見聴取を行っているところであり、高校における部活動等の諸活動の実績についての評価や調査書において、特定の受験生が不利益を被ることのないよう、出願時期の在り方も含め、各大学に対して配慮いただきたい点などを検討・整理しているところです。これらの調整が整い次第、速やかに周知をしたいと思っております。また、一般入試も含めた大学入学者選抜全体の対応については、例年であれば大学入学者選抜実施要項を6月頃に各大学に通知しているところですが、これに捉われずに、新型コロナウイルスによる臨時休業等の状況などに応じて、受験生第一の立場に立って、高校・大学関係者等と十分相談をしてまいりたいと考えております。あわせて、卒業後の就職活動などにも大きな影響が出ると思いますので、ここは文科省が、とか、経済産業省が、というのではなくて、政府全体、社会全体で共通のカレンダーをしっかり持つことが大事だと思っておりまして、近々、経済団体の皆さんともお会いをして、就職活動時期の問題などについても相談をしたいと思います。様々な入試のための資格試験なども中止をしている自治体もあれば、無理に、かなり無理に実施をしている自治体もあります。そもそも免許の更新が3ヶ月延ばしましたけれども、それでもかなりの人が集まっていますので、こういうことを考えますと、あらゆる資格試験も含めて、今年は、こういうまさに緊急事態なので、社会全体で一緒に考えてもらわなきゃいけないと思っておりますので、そこは幅広に各省庁間とも連携をとりながら、繰り返しになりますけど、高校生達、不利益を被ることのないようにしっかりサポートしていきたいと思っております。

記者)
 もう一つ、試験の関係なんですが、多くの高校生が一番関心があるのは一般入試の件で、それなりというお話しもありましたけども、大体、文科省としてはいつぐらいまでに方針を決定、デッドライン、いつぐらいまでにというふうに考えていらっしゃるか、もしあればお願いします。

大臣)
 まず、今、緊急事態宣言が5月の6日までということなので、この間の様子を見ながら、様々なシミュレーションはしていますけれども、私の方で、今の段階で、デッドラインがいつだと言いますと、またこれ緊張感を高めることになりますので、全体の状況を見ながら適切に判断したいと思います。

記者)
 先ほどお答えありました、学習の保障に関する通達、今日、お出しになるということなんですけれども、これの概要と狙いについて伺いたいのが一点と、もう一つ、その学習の保障に関係するんですけれども、元々、各家庭に持っているパソコンですとかスマートフォン、そういうBYODと言われるものの活用の問題があります。先週、当時その時点で緊急事態宣言が出ていた7都道府県に対しては、それを積極的に活用したほうがいいという事務連絡が出されていますが、そのまま緊急事態宣言が全国に拡大されました。この家庭にあるパソコンとかスマホを活用するということは家庭間の格差のこともあるし、子供の使い方もあるし、いくつか問題点を含んでいる、議論のあるところだと思うんですけれども、これについての大臣のご所見をあわせて伺いたいと思います。

大臣)
 現在、全国で臨時休業が行われておりますが、臨時休業中の自治体や学校による「学びの保障」のための取組に大きな違いが生じることを大変懸念しております。このため、子供達の「学びの保障」を家庭任せにせずに、全ての自治体で責任をもって取り組んでいただくよう要請するとともに、臨時休業中であっても最低限取り組むべき事項等についてまとめ、本日中に各学校設置者に対して通知をする予定です。通知では、臨時休業中の、学習指導に関すること、児童生徒の心身の状況の把握と心のケアに関すること等について、取り組むべき内容をお示しするとともに、取組状況や課題の文部科学省への報告を、大変恐縮なんですけれどもしていただく準備もして、お願いをしたいと考えております。文科省としては、引き続き、各学校設置者と連携して、子供の「学びの保障」に努めてまいりたいと思います。また、ICTの活用によって、子供達の学びを保障することは極めて重要だと考えておりますが、ご指摘のとおり、個々の家庭の状況により、ICTを活用できない可能性があるといった問題も承知しています。このため、この度の「緊急経済対策」において、全ての子供達が、家庭においてもICTを活用して学びを継続できる環境の実現に向けて、令和5年度までの児童生徒1人1台端末の整備スケジュールの加速、また、在宅・オンライン学習に必要な通信環境の整備等の施策を盛り込んでおり、これらの施策に取り組むために必要な経費として、文部科学省として、令和2年度補正予算案に総額2,292億円を計上しております。しかしながら、補正予算の成立を待つことなく、一日でも早く、家庭においてICTを活用して学習ができる環境を整えることが重要であり、各自治体において、家庭で所有しているパソコンやタブレットを児童生徒の家庭学習に活用すること、家庭にWi-Fi環境がない場合に保護者や児童生徒が使用するスマートフォン等を通信手段として活用すること、学校で既に整備されている端末の持ち帰りが可能になるように積極的に持ち帰りを奨励して活用することなど、あらゆる手段を使って、家庭にいても学習できる環境を確保していただきたいと考えております。前回、通知を出す前にもちょっと触れましたけれど、様々な家庭環境の中でですね、じゃあそのICTを使う・使えないということになると、確かに、ご指摘のように格差が生じる可能性があるんですけど、だからといって、じゃあその後ろ脚を揃えて全く目の前にあるものを使わないということのないように、学校の、少ないとは言いながらも平均で5.4人に1台分あるわけですから、例えば学校中のパソコンやタブレットを集めれば、6年生だけだったら対応できるとか、5年生までは対応できるということが判断できるんじゃないかと。その場合には、まず家庭で環境があって子供達のために使える人のものは貸してもらう。それからパソコンやタブレットはないんだけれども、例えばお父さん、お母さんのスマートフォンで、それはそれでいいですよ、使えますよということであれば、そういったものも利用しながら、全く環境のない人には学校から持ち帰りなどによって、何とか全ての児童、全ての生徒にあまねく環境を整備することは、今の段階では正直できませんけれど、しかしだからといってあるものを使わないというんではなくて、できるだけ今考えられるできることを全てやっていこうということを、全国の自治体に、今、呼び掛けているところでございますので、その辺はぜひ、ご理解をいただきたいと思います。いずれにしても、家庭でのICTを活用した学習環境の1日でも早い実現に向け、自治体や保護者に働きかけをしてまいりたいと思いますし、そのための環境整備として、ルーターの貸出しですとか、それからすでにお話ししたように大手キャリア3社につきましては、25才以下、50ギガまでの解放というのをお約束いただきましたので、こういったものを活用して、ぜひ家庭でもICTを活用した様々な授業をやっていただきたい。また、NHKのEテレも、大変分かりやすい番組編成をしていただきました。先ほど、以前報告したように、放送大学の枠も少し取らせてもらいましたので、ここで動画の配信などもしながら、使えるものは全て使って、子供達の学びの機会が失われないように、全力を挙げてサポートしたいと思います。

記者)
 一つだけフォローさせてください。今の各家庭でも所持しているICT端末を活用するということにつきましては、何らかの通知なり事務連絡という形で全国に連絡されるご予定はあるんでしょうか。

大臣)
 今日の通知の中に、最初の7指定都市以外のものについては、今日の通知の中に改めて入れさせていただきました。ただ、各教育委員会でですね、家庭のICT環境の調査などを、既に新学期が始まった段階でそれぞれしていただいていますので、それを加速してまいりたいと思います。

記者)
 本日、発出する「学びの保障」に関してお伺いします。まず、現状で休校中の課題、現状、今お子さん方が抱えている課題について、大臣のご認識をお伺いしたいのと、もう一つ、休校中に最低限しなければならないことも狙いになると思いますけれど、学校再開後にフォローアップも非常に大事になってくると思いますけれども、その点について、文科省としてどのような方針を持たれている形になりますか。

大臣)
 今、全国で調査をして、未だに手元に教科書が届いていないという自治体や学校があることが確認できています。これについては、例えば、横浜市のように、もうオンライン授業がしっかりできているんで、紙ベースの教科書が届いていなくても大丈夫ですよという自治体もあれば、何らかの理由で届いていない、その何らかの理由が私にはちょっと理解できませんけれど、しかしやっぱり、子供達の新学期が始まって休校が始まっているわけですから、手元に教科書なくですね、プリントだけ先に届けられてそれだけを進めろと言われても、これはちょっと本末転倒な気もしますので、改めて、今日の段階でしっかり100%子供達に、小中学生に関しては教科書が届くようなフォローアップというのをしっかりやっていきたいなと思っています。その上で、じゃあ子供達が、自分でしっかり計画を立ててできる子もいるでしょうし、やっぱり誰かが外から見ないと中々できない子もいると思うので、自分なりの時間割を作ろうというようなことのフォーマットなども、各教育委員会に、今日発出をさせていただきたいと思います。それを、時間割を作ることと学びの結果を、記録を残しておかないとですね、本当にやれているのかやれていないのか、後ほどのチェックのしようがなくなると思いますので、そういったこともですね、本当はそこまで文部科学省が用意することが自治体にとって失礼になるんじゃないか、そのくらいの思いがあったんですけれども、ちょっと3月のときの休校は各自治体、学校がすごく色んな知恵をしぼって様々なことをやっていただいたんですけれど、今回の場合は、かなり先生方も学校に来ないようにという自治体も結構あるものですから、フリーズしてしまって、思うように家庭訪問ですとか、あるいは個別の登校ですとか、あるいは様々な授業の進捗、自分の学習の進捗の確認ができていない自治体がやや見受けられますので、そういうことの取りこぼしのないように、しっかり今日を機会にもう一回チェックを、大変失礼ですけれども各自治体の皆さんにお願いをしていきたいなと思っています。その再開後は、前回もお話ししましたけれど、学習指導員や加配教員を、マンパワーを一気に現場に入れて、少し、例えば放課後の補習授業などもやっていかないとですね、確かに不利益を被らないために、家庭で学習したものがきちんと理解できていれば、改めて授業をやらなくてもいいですということはこの前お話ししました。割と見出しでそっちが出ちゃったので、あたかも家でプリントをやったらもう授業をやらないのかと、こういうご批判もあるんですけど、そうじゃなくて、あくまでちゃんと分かっているかどうかの確認はしなきゃなりません。そのためには、本来の授業だけでは間に合わなくなる可能性がありますので、土曜授業ですとか、あるいは今からそう言うと皆さん萎縮しちゃうかもしれないですけど、夏休みが全て休みで解放できるのか、もしかすると一部の日程は授業をやるとか、あるいは平日の放課後に補習授業をやるなどしてしっかりカバーをしていかなきゃならないと思っています。そのためには、やっぱり現職の教員だけでは負担が大きいので、OBの皆さんも含めてマンパワーを現場に入れていきたいということを前回の記者会見でもお伝えしました。今日、教員の加配や学習指導員の追加措置を支援することを目的に、各教育委員会において各学校の状況を踏まえながら教員の加配や学習指導員の配置、地方単独事業の実施、ボランティアなどの活用などを通じて、新たな人材確保が必要になる機会が生じることを前提に、ぜひ、人材確保に一定の期間が必要になると思いますから、私からも退職された先生方に向けて協力をお願いする旨のメッセージを発出するとともに、全国の退職教員とつながりのある関係団体の皆様にも周知のお願いをする予定です。教職員の組合の皆さんのOBの方もいらっしゃるので、そういう団体にも率直にお願いをさせていただきたいと思います。教育委員会に対しても、退職教員の一層の活用をお願いする旨の事務連絡を発出をしたいと思います。まさに、未曾有の事態でありますので、教育関係者が一致団結してこの難局を乗り切ることが大切だと思います。自治体によっては、OBを使う場合には、教員免許が切れている場合はどうするんだと、こういうご心配をする方もいらっしゃるんですけど、免許が切れていてもついこないだまでは現場で働いていた先生方が応援に入ってくれるということであればぜひお願いしたい。そこは、免許が必要なわけではございませんので、学習指導員の場合は、あらゆる教育関係者、まして経験のある皆さんに本当にこの機会に助けていただいて、現場に戻っていただいて、それも繰り返しになりますけれども、都道府県で採用されていますから、勤務先と居住地がかなり離れた方が大勢いるんですけれど、元の学校に行って手伝ってあげたいという人はそれでも結構ですけど、そうじゃない方は、電車などに乗らないで徒歩や自転車で行けるご地元の居住地域の近くの学校で働いてもらうようなことも含めて、きめの細かい対応をしたいと思いますので、ここはもう全国のOBの皆さんに、ぜひ手を上げていただいて、助けていただきたい、こう思っております。

記者)
 昨日、自民党の役員会で安倍総理が10万の給付についてですね、考えを示しました。改めて大臣の考えをお伺いしたいのと、あと別件でもう一点、昨日、文科省のほうから、都道府県の休校の状況についてとりまとめが報告されました。和歌山など一部を省いて、休校の措置が取られることになりますが、そのことについての受止めもあわせてお願いします。

大臣)
 給付の件は報道で私も承知していますけれど、内閣の一員として、方針が決まれば当然それに従ってまいりたいと思います。それから、都道府県立学校の件ですけれど、4月16日の緊急事態宣言の対象区域を、全都道府県の拡大を受けて、新たに14の都道府県の区域の全都道府県立学校の臨時休業が決定され、ほぼ全ての都道府県立学校が臨時休業となっています。各地域での対応は、各都道府県の本部で判断することではありますが、都市部からの移動でクラスターが発生しており、更なる行動変容の協力が求められること、10代以下の感染者も増えていること等を踏まえると、現実問題として、学校休業を判断するのは、私はやむを得ないと思います。ここはじっと我慢をしてですね、その後、一日も早い再開に向けて皆さんとともに頑張りたいと思います。

記者)
 大臣、先ほどから色々な対策ということをお話しになっているわけですけれども、これを伺っていると、5月6日以降、休校が続く可能性とかも視野に入れての動きなのかなというふうに受け止められるんですけれども、そのあたりどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 これは専門家会議や諮問会議の皆さんのご意見を聞いて決めることなので、私個人が何か判断をするということはないんですけれど、一番ありがたいのは、5月6日でこの指定が解除されて、そして徐々に学校が再開されることが最も望ましいと思っていますけれど、しかし、もうしばらくこの状況が続いたらどうなるんだろうかということはですね、文科省として責任をもってシミュレーションをしておかなきゃならないと思っております。その延長では、ご指摘のあったような入試関係の問題ですとか、就職ですとか、資格試験ですとか、あるいは各種大会ですとか、こういったこともありますので、そこは予断を持たずに、しっかり考えながら行動していきたいなと思っています。他方、私が延長するんじゃないかと言えば、これはまた皆さん不安に思うと思うので、今の段階では、5月6日までをしっかり我慢をして、そして一日も早い再開に向けて努力したい、こういうことを思っています。

記者)
 最悪の場合というのが、もしかしたらもう半年とかできないかもしれない、そういう場合もあり得るんじゃないかというような情勢かと思うんですけれども、そうすると、最悪の場合、1年生とかの課程が全然終わらないというような事態もあり得なくはないという気がしています。そのあたりというのは、最悪のケースというのは、どのようなことをお考えなんでしょうか。

大臣)
 ここで最悪のケースはこういうことがありますよねと言うと、これもまた皆さんに不安を与えますのであえてコメントをしませんけれども、教育行政の責任者として、これはありとあらゆることを想定しながらしっかり対応していきたいと思います。

(了)

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