萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年4月3日)

令和2年4月3日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

新型コロナウイルスの感染拡大と対策、遠隔教育の活用と推進、都立学校等における臨時休業の延長、教育実習の延期等と機会の確保、科学技術の振興に関する振り返りと展望

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年4月3日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年4月3日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年4月3日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。私からは特別ございません。

記者)
 まず私から一点お尋ねします。昨日、政府の規制改革推進会議の下に設置された特命タスクフォースで、遠隔教育を推進するための提案がなされました。インターネット環境が整っていないところを優先してPCなどの配備をすること、また、遠隔授業について、同時双方向のやりとりができなくても正式な授業に取り込めるよう求める内容でした。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

大臣)
 昨日、開催された新型コロナウイルス感染症対策に関する特命タスクフォースでは、今般の状況に対応した特例的な措置として遠隔教育の活用等について議論がされたものと承知をしております。文科省としても、新型コロナウイルスの感染拡大という緊急時であっても、子供たちの学びの機会を保障することは極めて重要であり、そのためにICT等を活用することは有効な手段であると認識をしております。今後、休業が長期化し、教育課程の実施に支障が生じる事態等に備え、ICTを活用した家庭での学習支援等に向けた環境整備を急ぎつつ、国内外の休業時の対応の先進事例を研究し、現在の状況を踏まえ、遠隔教育の柔軟な運用を含め、家庭での学習支援等による教育機会確保のための検討を加速化してまいりたいと思います。大学、高等教育機関などではですね、スマホなどを活用した遠隔授業を、大学などこの夏休みまでの間行うということで、本来でしたらきちんとした対面の授業でなければ単位にカウントしないという様々なルールがありましたけれども、それはもう、今年のこの状況は、緩和をしていこうということで、そこは私たちも同意をしているところでございます。あわせて、今、ICTが有効だと申し上げましたけれども、小学校、中学校に関しては、ご案内のとおり、まだ整備が遅れています。元年度の補正予算、また今年度の新予算ですでに環境整備が進みつつありますけれども、休講に直ちに対応できる、言うならば、イコールフィッティングの環境にはないということは認めなければならないと思います。しかしながら、せっかくあるものを使わずにみんなが平等でなければいけないということではなくて、例えば、家庭にある環境と足りないものを学校から持ち帰りなどをしながら、できることはやっていくということを、各自治体と一緒に模索をしてみたいと思います。メーカーの皆さんなどにもいろんなご協力をお願いをしてですね、経済的な負担軽減なども、今、お願いしているところでございますので、いずれにしてもこの機会を捉えて、ICT環境の整備というものに文科省としては力を入れていきたいなと、そんなふうに思っています。

記者)
 東京都の方で大幅な休校の延長がなされますが、さっき大臣がおっしゃったみたいに教育の機会の確保というのが課題になります。文科省として、家庭学習についてどのようにサポートをしていくか、考えをお聞かせください。あともう一つ、新中学3年生と新たな高校3年生からは、受験について不安の声が上がっています。そうした不安の声にどのように対応していくかお願いします。

大臣)
 まずですね、東京都などが都立学校の臨時休業の延長というものを決めたことは承知をしております。臨時休業期間中においては、入学式や始業式について規模などを縮小して実施をしたり、登校日を設定したりするとともに、今話題になりました、ICTの活用を含めた自宅学習等も指示するものと聞いております。文科省におきましては、新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドラインにおいて、臨時休業期間中の学習指導に関し、可能な限り、家庭学習を課すとともに、登校日を適切に設定することなどについて示しているところです。また、児童生徒の円滑な家庭学習を支援する教材等を紹介する「子供の学び応援サイト」を開設し、内容の充実に努めているところです。今後とも、東京都の教育委員会始め、学校の臨時休業を行っている自治体と緊密に連携し、児童生徒の学習に対する支援に努めてまいりたいと思います。3月2日から行った全国一斉休業とは若干環境が変わってくると思いますので、自治体ごとに取組が変わってくると思います。文科省としては、休業を続けていった場合にどういう課題が生じるのか、学習の遅れがないようにするためにはどうしたらいいのかということを、一番休業が続いている状況で応援できる体制というのを、変わらず支援体制を組んで、各自治体と協力体制を強化していきたいなとそんなふうに思っております。
 それから、受験生の不安の声は私たちのところにも届いております。十分に授業が受けられないことによって、学習に著しい遅れが生じることがないよう、可能な限り、家庭学習を課したり、あるいは登校日を設定して学習状況の確認や補習等の学習指導を行うなど、必要な措置を講じること、教育委員会等に依頼をしております。さらに、児童生徒の学習の支援方策の一つとして、児童生徒及び保護者等が自宅等で活用できる教材や動画等を紹介する応援サイトの開設・内容の充実に努めるとともに、ICTを活用した、家庭での学習支援等に向けた環境整備を進めております。入学者選抜については、受験生が不利益を被ることがないよう、実施者となる各大学や都道府県教育委員会等に対し、今後、配慮いただきたいことについてお示しをしていきたいと思います。具体的にはですね、この間のお休みは休業扱いにしないということはすでに通知をしているところでございますけれども、いつまでこの状況が続くかによってはですね、果たして学校を再開して、授業ができた自治体となかなかできなかった自治体が分かれていったときに、じゃあ最後、高校受験や大学受験を全く同じ条件でやることが公平かということも考えていかなきゃならないので、ちょっと状況を見ながらですけれども、現段階では、文科省としては、いずれにしてもこれ緊急事態ですから、異常な事態ですから、こういう状況の中で、今年の受験生が大きな不公平を被ることのないような配慮というものは、大学関係者たちともあらかじめ準備をしながら、それに見合う受験体制というのを作っていきたいと思っています。ぜひ安心していただきたいなと思っています。

記者)
 学校の再開に関して伺いたいんですけれども、全国的には、大都市部を除けば、週明けの6日から学校が再開されるという地域も多いかと思います。全国一斉休校の要請からすれば、1ヶ月以上の長期休校となっていて久方ぶりの登校となる子供たちもいらっしゃるわけですが、長期休校明けというのは、子供の精神が不安定になったり、自殺者が増えるという統計データもあるわけですけれども、そのあたりの子供たちの支援策とか、大臣として何かメッセージ等ございましたらお願いしたいんですが。

大臣)
 この間、自宅で過ごす時間が長くなることに伴い、生活のリズムの乱れやストレスや悩みを抱えているお子さんというのも実際にいらっしゃると思います。各教育委員会や学校において必要な対応を講じていくことが重要であると考えておりまして、必要なスクールカウンセラーなどの配備などにも力を入れてまいりたいというふうに思っています。「24時間子供SOSダイヤル」等の相談窓口を適宜周知をするとともに、しっかり相談ができる体制というのを学校や自治体で強化をしていきたいと思いますし、必要があれば人員の増加もしていきたいと思っています。また、現在不安に思っている子供たちに対して、私からは次のことを伝えたいと思っておりまして。自分や家族も病気になってしまうのではないか、学校はいつ再開されるのか、いつ友達に会えるかなど不安になることもあると思います。そのような気持ちになったら、ぜひお父さんやお母さんなど、誰かに悩みを話してほしいと思います。また、文部科学省でも「24時間子供SOSダイヤル」という相談窓口を設けています。0120-0-78310「なやみいおう」という番号ですけれども、相談してみていただきたいと思います。最後に、これはお願いですけれども、人が多くいる場所には行かないこと、外から帰ったら手洗いをしっかり行うことを守ってください。学校が再開されるまでみんなで力を合わせて乗り越えていきましょう。そんなメッセージを発したいと思います。

記者)
 新型コロナの感染拡大を受けて、教育実習を延期する動きなどが出る中、教育現場での混乱が生じないようにですね、文科省としての教育実習の機会、どのような考えなのか、大臣のご見解をお願いします。

大臣)
 こういう状況ですから、前期、例えば6月などの教育実習はなかなか難しいと思います。したがって、教育実習そのものは、学生が学校現場での教育実践を通じて、教育者としての愛情と使命感を深め、将来、教師になるための能力や適性を考える上で、極めて重要な機会であると考えています。新型コロナウイルス感染症の拡大により、地域によっては、学校の臨時休業等に伴い、特に、年度の前半においての教育実習の実施が困難になる場合もあり得ると考えています。このため、各大学や教育委員会等に対し、この春に予定していた実施時期を、まず秋に変更してもらいたいというお願いをすること、それから、3年生4年生、3年生で実習が終わっている学生もいますし、4年時で教育実習に出ようと準備をしていた学生もいると思うので、その場合は、4年時、すなわち、卒業年次の学生を優先に準備をしてほしいということ、それから、実習の2週間前程度から、毎朝の検温や、風邪症状の確認、実習中のマスクの常用など、万全の感染症対策を講じることなどを教育実習を実施するにあたっての留意事項について、本日中に通知を発出をする予定でございます。文科省としては、今後も、教育実習の実施状況の把握や必要な情報の提供に努め、教師を志す学生が安全かつ質の高い教育実習に取り組めるよう、しっかりと支援をしてまいりたいと思います。あの、あまり先に行かないうちにですね、この間できちんとできるということを発信をして、また、それに対応できる準備というのをしっかりやっていきたいと思っています。

記者)
 今日、4月初めての閣議後会見だと、年度初めての閣議後会見だと思うんですが、科学技術は特にお聞きしたいんですけれども、昨年度の振返りとですね、本年度の重点分野というのに関して、大臣の所見をお願いします。ウイルス、コロナウイルス感染、ワクチン開発などあると思うんですけれども、そういったことも含めてお願いします。

大臣)
 科学技術の関係では、昨年はなんといっても、吉野彰先生のノーベル科学賞の受賞がありました。私もノーベル賞授賞式に陪席をさせていただいて、受賞の喜びを吉野先生と共にさせていただいた、貴重な経験をさせてもらいました。先生がおっしゃっているように、若手を中心とする研究者が腰を据えて研究に打ち込める環境が重要だというふうに思っております。特に、基礎研究は10割バッターはいないんだ、と。そういう中で、空振り空振りをしながら、ヒットを打っていくんだと。だから、少し長いスパンで学生や研究者を見て欲しいという、そういう陳情を直接受けて、私もなるほどなと思ってきたところでございます。その考えの下、若手研究者を中心とした多様な研究者による、自由で挑戦的な研究を最長10年間支援する「創発的研究支援事業」を新設することができたことは極めて画期的だったかなと思っております。加えて、本年1月にはですね、総合科学技術・イノベーション会議において「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」を決定をさせていただきました。また、昨年10月には、米国が提案する月周回有人拠点「ゲートウェイ」の整備を含む月探査計画について、参画方針を決定しました。昨年12月の宇宙開発戦略本部において、協力項目の具体化を急ぐよう、総理から指示をいただいたことを踏まえ、今後もしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。そういった意味では、昨年はですね、科学技術の人材の裾野を広げることができた、そんな1年だったんではないかなと思います。特に、よく機会がある毎に私申し上げてますけれども、科学技術の研究に携わる人達がなかなかですね、来年無くなるかもしれない自分の机の上で仕事をする不安定な環境ではなくて、一定のスパンで、この分野に没頭できるという環境を国全体で作っていこうというマインドが政府全体で共有できたことは極めて大きな転換の年だったなというように振り返っております。今年度ですけど、まずは何よりも新型コロナ感染に対する研究開発に全力で取り組むべきだと思っております。文科省では、これまで関係府省とも連携して、日本医療研究開発機構を通じて、基盤的研究を支援するとともに、長崎大学の研究者を中心とした研究グループが行う研究を科研費で採択するなどの取組を進めております。このような支援の中、東京大学の医科学研究所からは、膵炎の治療薬「ナファモスタット」と、私が記者会見で何回も言っているのに総理が国会で「フサン」と言うものですから違うものじゃないかと思っている人がいるんですけど、同じものでございますが、感染が阻害する可能性があるとの発表があり、実用化に向け、更なる研究が進められています。こうした研究成果が今後の実用化につながることを期待をしております。また、今年度は第5期科学技術基本計画の最終年度です。令和3年度から始まる第6期科学技術基本計画についても、文部科学省として、今後本格化する総合科学技術・イノベーション会議での検討に、主体的に協力してまいります。今後とも未来のノーベル賞につながるような成果を輩出し、続けることができるよう、若手研究者の育成や多様で独創的な研究への支援など、様々な観点から科学技術の振興を図ってまいりたいと思います。

(了)

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