萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年3月31日)

令和2年3月31日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

キーワード

新型コロナウイルスの感染拡大と対策、全国小中高等学校等における教育活動の再開等について、高等教育の就学支援新制度、野口聡一宇宙飛行士の新型宇宙船運用初号機への搭乗、東京オリンピックパラリンピック競技大会の延期、札幌国際大学に関する報道、GIGAスクール構想

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年3月31日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年3月31日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年3月31日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から三件ございます。一つは全国一斉休業終了後の対応についてでございます。新型コロナウイルス感染症については、国内では新規の感染者数が都市部を中心に増加をし、そして感染源が不明な感染者も増えてきています。このため、新学期からの学校再開については、引き続き、一切警戒を緩めることなく準備を進めることが必要です。28日の総理記者会見において、総理からは学校再開に向けての3つの条件を回避する対策を教育現場で徹底的に講じ、子供たちの感染防止に万全を期したうえで、再開にあたってはもう一度、専門家会議を開き、専門的な見地からご意見を伺う考えであるとの発言がございました。文部科学省としては、専門家会議の見解や、今後の感染拡大状況を踏まえ、24日(火曜日)に示した「臨時休業の実施に関するガイドライン」について、更に具体的な内容を示していきたいと考えています。私としては、子供たちに学びの機会を保障するため、感染症対策に万全を期した上で、基本的に学校を再開することが望ましいと考えておりますが、特に東京都ですとか大阪府などのように、感染経路が分からない患者が増えている都市部等もあり、感染の状況は、日々刻々と変わっているところです。そうした中で、例えば、新学期当初において分散登校や時差通学を実施することや、更に、今後、ある地域において爆発的患者急増が懸念されるような場合には、衛生主管部局とも十分相談の上、当該地域ごとの判断により、地域全体での感染症対策を強化する一貫として、新学期においても、一定地域での臨時休業を実施する可能性も視野に入れておく必要があると考えます。いずれにせよ、一人一人の「行動変容」、「強い行動自粛の呼びかけ」が必要な厳しい状況に変わりはありません。子供たちを守る我々教育関係者はこの認識を大前提に、警戒を一切緩めることがあってはならないということを、再度強調させていただきたいと思います。
 次に、明日4月1日から、「高等教育の修学支援新制度」がスタートをいたします。この制度は、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する質の高い高等教育を受けられるよう、真に必要な、支援を必要とする者に対し、授業料等の減免と給付型奨学金の支援を行うものです。新制度の対象となった学生の皆さんは、ぜひ、学びたい気持ちを持ち続け、勉学に励んでいただきたいと思います。新制度の支援対象者に向けたメッセージを、本日、文科省のホームページに掲載予定です。まだ申し込んでいない方も、4月から在学生を対象とした募集を行いますので、積極的に活用いただきたいと思います。特に今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、新学期が例年どおりスタートせず、授業期間の後ろ倒しやオンラインの授業実施等により、登校を控える方も多いと思います。そういう中で、学生の皆さんが学修を断念することのないよう、各種事務の期限を柔軟に対応するなど、きめ細かな対応を行い、新制度の支援が確実に届くようにしたいと思っております。また、すでに国会でも答弁をしておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した学生等への支援については、貸与型奨学金のみならず、新制度においても実施することとし、準備を行っているところです。文科省としては、引き続き、子供たちが経済的理由により、進学や修学を断念することのないよう、制度の実施を確実に進めてまいりたいと思います。
 最後に、このたび、JAXAの野口聡一宇宙飛行士が、米国のスペース・エックス社が開発する「クルードラゴン」宇宙船の運用初号機に搭乗することになりましたのでお知らせいたします。詳しくは、本日の午後にJAXAから発表がございます。野口飛行士は、過去、スペースシャトルとソユーズ宇宙船の双方に搭乗した実績があります。野口飛行士が、これまでの経験を活かし、新しい宇宙船への搭乗や、国際宇宙ステーションでの活動において、大きな成果を挙げられることを期待しています。今後、具体的な打上げ時期が決定しましたら、改めてお知らせしますが、野口飛行士には、搭乗に向けて、ぜひ訓練に励んでいただきたいと思います。私からは以上です。

記者)
 二点お伺いします。冒頭にありました学校再開についてですけれども、だとするとですね、これまで出してきた文科省の方針が変わらないということでいいのかということがまず一点。あともう一点、昨日、東京オリパラの日程が合意されましたが、それについての受止めもお願いします。

大臣)
 感染の状況については、一部の地域では感染拡大が見られ、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として爆発的な感染拡大を伴う大流行につながりかねない状況であり、一人一人の「行動変容」と「強い行動自粛の呼びかけ」が必要な厳しい状況であることは、先ほど申し上げたように変わりはありません。教育関係者、各自治体におかれては、この認識を大前提に、引き続き警戒を一切緩めることなく、24日に示した学校再開ガイドラインを踏まえ、3条件の回避を徹底し、学校再開の準備を進めていただきたいと考えており、基本的にはその方針に変わりありません。しかし、その上で、専門家会議の見解や、日々刻々と変わる感染拡大状況を踏まえながら、24日に示した臨時休業の実施に関するガイドラインについて、更に具体的な内容を示してまいりたいというふうに思います。自治体ごとにかなり感染の拡大の状況が異なっております。どこで線を引くかというのは非常に難しいんですけど、例えば、50人以上の感染者が発症している自治体というのが都市部で見られますので、こういった自治体に対しては文科省のほうから直接、各自治体の教育部局と連絡を取りながらですね、一律のガイドラインを踏襲するのではなくて、やっぱり地域地域の事情が違いますから、教育委員会や衛生部局とよく相談のうえで、対応を考えていただきたいというそんなやりとりもしているところでございます。ここから先は、ちょっと地域によって対応がいろいろ変わってくると思いますので、そこは、基本的な方針は守りながらも、柔軟な対応をしっかりしていきたいなと思っております。
 オリンピックの開催日程が決定したことは、アスリートの皆さんにとっても、また大会運営に携わる人にとっても、具体的な目標が早い段階で定まったという意味ではよかったんではないかなと思います。いろんな案が、途中ではきっとあったというふうに私も漏れ聞いておりますけれど、なかなかやっぱり月を変えると様々な課題も出てくるということもありますので、そういう中で、またこのコロナとの闘いを、一定期間時間を要するということを前提に考えたら、ベストな選択であったんではないかと思います。文科省としては、アスリートが練習に集中し、大会本番でもその成果を遺憾なく発揮できるように、最大限の支援に努めるととともに、国立競技場等を所管する立場でありますので、新しい日程での会場の準備について組織委員会と調整を進めるなど、東京都や競技団体とも緊密に連携をとりながら、引き続き大会の成功に向けて万全を期してまいりたいと思います。

記者)
 学校再開のガイドラインのことでお伺いします。学校再開のガイドラインについては改定のお考えはないということでしょうか。

大臣)
 すでに発表しているガイドラインを直ちに変えるという考えはないんですけれども、追加の要件があれば、順次、日々刻々と状況が変わっていますので、追加をしていきたいと思っています。

記者)
 原則としては再開すると。あとは地域ごとの判断で、という原則は変わらないということでよろしいですか。

大臣)
 休校の時もそうなんですけれど、あくまで判断は設置者の皆さんにございますので、文科省としては、あるいは政府としては、3月2日に発令をした全国一斉の休校要請は解除したというところまででございますので、あとはその地域事情を踏まえて色々考えていただきたいなと思っています。

記者)
 もう一点、休校のほうのガイドラインなんですが、これは具体的な対応というお話ですが、例えば、今のガイドラインではどういうところが足りなくてどの辺をもうちょっと書き込んでいきたいとか、お考えをお聞かせください。

大臣)
 そもそも未知のウイルスですから、専門的な知見ですとか、あるいはエビデンスというものには非常に根拠になるものは少ないと思います。そういう中で、専門家会議の皆さんのご意見も踏まえながらですね、学校において感染者が出た場合の出席停止や臨時休業の判断により、判断について、より具体的なプロセスを示していくことが必要だと思います。一人出たら学校閉鎖がいいのかというお話もありましたけれども、色々、児童生徒のキャラクターも違うと思うんですね。例えば、読書が趣味で休み時間は部屋から出ないA君とですね、休み時間になれば隣の教室まで出ていくB君でサッカー部のキャプテンで放課後はグランドで異学年の子供達とも接触がある、同じ一人でもやっぱり環境が違うと思うので、そこは学校や地域と相談しないとなかなかですね、一律に、一人出たら全校閉めろということをあらかじめ文科省が言うのはやや乱暴だと思いますので、そういったことも柔軟に対応させていきたいと思います。いずれにしても、3月2日にお願いしたとおり、学校がクラスター化をしてはならないので、教育現場の皆さんと共に、緊張感を持って、様々な工夫をしながら、しっかり感染拡大防止に力を注ぎながら、学校の授業を進めていくということに注力をしたいと思っています。

記者)
 学校再開のガイドラインでお伺いさせていただきます。まず、先ほど大臣、現状50人以上の感染者がいる場合に文科省が直接連絡を取ってということをおっしゃっていましたけど、その50という数字はいわゆる1、2週間で新規の患者数が50人という意味でしょうか。それとも累積という意味合いになりますでしょうか。

大臣)
 累積で考えて連絡をしています。退院者数もいますから足したり引いたりもありますし、もっと言えば、感染経路の分からない患者さんが何人かという点ではややばらつきがあるんですけれど、少なくとも一つの自治体に、一定程度の患者さんが発生した自治体等はきめの細かい対応をしているところです。

記者)
 今後、ガイドラインに、現状のガイドラインは学校内での感染者、児童生徒、教職員から感染者が出た場合の対応は明記されているんですけれど、それ以外の、地域での拡大状況を踏まえて休校するための判断の基準みたいなものも、ガイドラインに載せてくるような形になりますでしょうか。

大臣)
 その辺も我々だけでは知見が足りないので、専門家の皆さんの声も聞きながら、必要なことは順次加えていきたいと思います。学校の中で感染者が発生した場合は、学校として直ちに対応しなきゃならないんですけれど、学校の人じゃないけれどもその児童の親御さんであるとか、そういったことも二次的には考えていかなきゃいけないと思いますので、そこは対応をしっかりしたいと思います。さっき私が50人と言ったのは例でありまして、特別に人数で切って連絡しているわけではございません。

記者)
 別件でもう一点お願いします。北海道の札幌国際大学のほうで日本語能力の乏しい留学生を受け入れているという報道が一部ありました。本日、学長が会見するということではあるんですけれど、文科省もですね、事実関係を聞いた上で調査をしているというふうにもあったんですけれども、もし事実確認がありましたら教えていただきたいのと、今後の対応方針、もしありましたらお願いします。

大臣)
 確認します。

記者)
 GIGAスクール構想について伺いたいと思います。先週、自民党の議連の人たちですとか、昨日の自民党の教育再生実行本部の会合の中で、最近の臨時休校のことを踏まえてGIGAスクールの構想を前倒しして、かつ一人一台のパソコン端末を家庭学習にも活用できるようにしたらいいんじゃないかという意見が出されています。現時点で、大臣、この点をどうお考えかお聞かせ願えますか。

大臣)
 新年度からGIGAスクール構想を進めていこう、向こう3年度で児童生徒一人当たり一台の端末の配備をしようということはすでに皆さんにご報告のとおりであります。しかし、図らずもこういう事態が生じてですね、もしインフラ整備がもっと早く進んでいれば、休校中のオンライン授業など様々な活用ができたなという悔しい思いもしております。これは与党の皆さんの同じ考えなんだと思います。そういった点では、すでに2年度の予算については確定しましたけれども、これから積み上げる経済対策の中にも、ぜひ改めて、こういった必要性というものもしっかり提言をしていきたいなと、そして、できれば短期間でですね、整備を、前倒しができるならばありがたいなというふうに期待をしているところでございます。その結果、オンライン授業と言いますと、今度、受け手の環境もありますから、例えばWi-Fiが家庭に無ければなかなかWi-Fi専用の端末では対応ができないということもありますので、例えばルーターの貸し出しなども含めた様々な対応というのを、この機会に足元をしっかり見直して、できる準備というのは少し加速をしていきたいなと思っているところでございます。

記者)
 一つフォローアップさせてください。家庭学習に使うということ自体については前向きに考えたほうがいいとお考えですか。

大臣)
 こういう緊急事態では非常に有効なツールであるというふうに思いますし、また環境の整備が整った後にはですね、持ち帰りが是か非かという議論がまだ残っていますけれども、活用できるものというのは色々あるんではないかというふうに思いますので、有効性は、一定、私は認めていきたいと思います。ただ、行き過ぎますと学校に来なくていいんじゃないかと、オンラインでいいじゃないかという一部の人たちの意見もありますので、直ちにそこへワープするのではなくて、この非常事態を踏まえて、ICTツールの有効性というのを、もう一回、しっかり確認した上で有効性を考えていきたいなと思っています。

記者)
 コロナウイルス感染拡大で海外ではロケットの打上げだとか望遠鏡のプロジェクトの中止などが、今、話題になっています。その受止めと、国内で同様のプロジェクトに関して、影響や今後の対策など教えてください。

大臣)
 欧米でも新型コロナウイルスの感染の急拡大の中、宇宙関係の海外機関、例えばフランスでは、民間の打上げ事業社であるアリアンスペース社のギアナ宇宙センターでの進行中の打上げ準備作業が中止をされました。また米国では、NASAの全職員がテレワークの当面の実施をしているそうです。米国及びイタリアでは、重力波観測の今週中の中断など様々な影響が出ているところです。それは様々な意味で仕方がないと思いますけれど、他方、宇宙ステーションは今日も動いているわけですから、必要な業務は各国連携しながらしっかりやっていきたいと思っています。我が国では、JAXAにおいて新型コロナウイルスの感染拡大による影響について評価、検討しているところですけれども、現時点で、具体的なプロジェクトが遅延するという報告は受けておりません。一般の国民向けの見学スペースなどの閉鎖ですとか職員のテレワークは実施をしておりますけれども、引き続きJAXA等の関係機関と密に連絡をしながら、プロジェクトは進めながら、拡大感染予防に注力をしていきたいなと思っています。

(了)

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大臣官房総務課広報室