萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年3月10日)

令和2年3月10日(火曜日)
教育、文化、その他

キーワード

公立小学校視察、新型コロナウイルスの感染拡大と対策、全国小中高等学校等一斉休業の要請、著作権法改正、自民党ワーキングチームによる大学英語入試に関する提言案

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年3月10日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年3月10日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年3月10日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から二件、報告がございます。まず一点目なんですけれど、昨日、港区立御成門小学校に、視察にお邪魔をさせていただきました。本来、貼出しをしてメディアの皆さんにもご同行いただきたいという思いがあったんですが、こういう状況なので、先方とも相談の上、できる限り少人数での対応ということになりましたのでこの報告をもってご理解いただきたいと思います。現場では港区の教育委員会の指導課の皆さん、また教育局の担当の方にもご同席いただき、校長先生等からお話を聞いてまいりました。特にこちらではですね、放課後児童クラブを、当然、午前中から時間延長していただいております。それに加え、学校のですね、一部教室・図書館等の解放によって学童に類似をした居場所作りの努力をしていただいている。それから、元々ございます、全ての児童については、学校の校庭施設などの対応を月曜日から金曜日、学校ごとに、失礼、学年ごとに異なる時間で教職員が付いて対応しているなど様々な取組をしていることを、お伺いをしてまいりました。先方からは、やはり給食のキャンセルに伴う補償などについて国として取組を、強化をしてほしいという要望をいただいたところでございます。急な要請ではありましたけれども、区あるいは学校現場の皆さんが大変なご努力と知恵を絞って非常に落ち着いた運営をしていることを確認させていただいてほっとしたところでございます。
 もう一点ですけれども、本日、著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定をされました。昨今、インターネット上の海賊版による被害が深刻化しており、クリエイターやコンテンツ産業を守るために、早急に実効的な対策を講じることが必要です。私も、漫画家の方々から単行本の新刊が翌日には海賊版サイトにアップロードされてしまうといったお話を直接伺い、極めて深刻な状況にあることを改めて実感をしました。このような状況に対応するため、本法案では、ユーザーを侵害コンテンツに誘導するリーチサイトや侵害コンテンツのダウンロードに対する規制などを行います。本法案については、昨年、提出が見送りになった経緯がありますが、その後、パブリックコメントなどを通じて国民の皆様の声を丁寧に伺いながら検討を重ね、必要な修正を行っております。これにより、海賊版対策としての実効性の確保と国民の正当な情報収集等の萎縮防止のバランスが取れた内容になっているものと考えております。昨年からの主な修正点としては侵害コンテンツのダウンロード違法化について、スクリーンショットの際の写り込みや漫画の1コマや数コマといった軽微なもの、また二次創作やパロディ、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合のダウンロード規制対象外とするとともに、附則に普及啓発、教育の充実を始めとした運用上の配慮規定なども設けています。今後、国会において本法案についてしっかりと説明を行い、ご審議をいただき、速やかに成立させていただけるよう努力してまいります。また、本法案に関しては、国民の皆様の不安、懸念を払しょくできるよう丁寧な情報発信を行うとともに、海賊版対策の円滑かつ効果的な実施のため、今後もステークホルダーや専門家が集まって継続的に意見交換等を行う場を設け、普及啓発や効果の検証などにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。私からは以上です

記者)
 二つご質問させていただきます。
 新型コロナウイルスの関連でですね、昨日、政府の専門会議のメンバーが、会見でですね、大規模イベントの自粛要請などについて効果を評価するには時間が必要だということで、19日を目処に分析結果を示す考えを明らかにしました。学校の再開に与える影響はどのようなものがあるかというのをまずお伺いしたいです。もう一点、休校中にですね、繁華街などに出かける子供達の姿がネットなどで話題になっています。改めて休校中の留意点について教えてください。

大臣)
 今般の学校の一斉臨時休業の要請は、今がまさに感染の流行を早期に収束させるために極めて重要な時期であることを踏まえ、多くの子供達や教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行ったものです。昨日開催された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、依然として警戒を緩めることはできないとの見解が示されたところであり、当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要と考えております。臨時休業後の対応については、今後の各地域における感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。また、先ほど19日という日にちをおっしゃいましたけれども、これは北海道のですね、経過が一つの目安になるということなので、そういう意味で19日という基点を、専門家会議の皆さんはよくウォッチをして対応を考えていきたいということの報告をいただいたところです。もう一点ですけれども、臨時休業を行った趣旨を踏まえれば感染を予防する実効性を担保するためにお子さん達は基本的には自宅で過ごすよう指導をお願いしております。3月4日付の事務連絡においても、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解を踏まえ、児童生徒の外出についての留意点をお示しをしたところです。他方、児童生徒の健康維持のために屋外で適度な運動をしたり散歩をしたりすること等について妨げるものではなく、感染リスクを極力減らしながら適切な行動をとっていただくことが重要であると思っております。昨日、訪問しました御成門小学校でも校庭に大体20人ぐらいの人数で少し運動するというようなことを心がけていて、子供達の密集は避けるけれども、しかし、少しはやっぱり、体を動かさなきゃいけないということも学校現場でご心配いただいているところです。昨日付で新型コロナウイルス感染症対策のための小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校における一斉臨時休業に関するQ&Aの事務連絡の追加をさせていただきました。その旨のお示しをしたところです。いずれにしても、学校や地域の実情に応じた適切な対応をとっていただきたいと考えておりまして、人が密集するところへ出かけると感染のリスクがあるということを改めて子供達にも徹底をしてもらいたいと思います。

記者)
 新型コロナウイルス関連なんですけれども、感染の長期化が、懸念なんかが示されているところではありますけれども、一方で、休校から一週間が経過してですね、早いところでは、そして児童生徒への悪影響を懸念する声が日増しに高まっていると思います。大臣は先週の国会でですね、休校解除の目安の作成を検討する必要があると、そういった見解を示されましたけれども、現在の検討状況とですね、いつまでに何かしら示す必要があるとお考えになっているか、伺えますでしょうか。

大臣)
 昨日の新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議では、依然として警戒を緩めることはできないとの見解が示されたところであり、当面はですね、円滑な、臨時休業実施を続けていく必要性を感じております。感染拡大防止に全力を尽くすことが今は最も重要だと考えております。しかしながらですね、どこかで出口は考えていかなきゃなりませんので、その場合にはどういった、要するにチェックポイントが必要なのか、こういったことを、引き続き専門家の皆さんや地域の実状を踏まえて、いろいろリストアップをしてですね、そしてそのときに備えていきたいなと思っております。恐縮ですけど、現段階で直ちに学校再開の目安を示す状況にないという判断を今日の時点ではしております。

記者)
 休校については、早いところでは二週間というような目安を立てている自治体もあるかと思います。そういったところに対して何らかの、文科省としては働きかけをするなり、そのあたりのお考えってあるんでしょうか。

大臣)
 政府としての要請は春休みの前までということになります。春休みの前までというと高校生、中学生、小学生で期間が異なりますし、また自治体ごとにまずは二週間という期日を決めている自治体もあるやに承知をしております。あくまで設置者の判断を尊重したいと思いますけれども、地域によってやっぱり抱えている状況が違って、非常に、言うならば抑え込みがうまくいっている地域とですね、その後、新たにやっぱり感染者が増えている自治体もありますので、その辺は地域事情がありますから、一概に延ばせとか短くしていいということは今の段階ではちょっと言えないと思いますので、ここは現場とよく調整をしながら、間違った判断のないように、文科省としてはフォローしていきたいなと思っています。

記者)
 著作権法の改正の関係でお伺いしたいんですけども、先ほども大臣がおっしゃっていたように、昨年、提出を一度見送って、ネット利用を、範囲が広すぎてネット利用が萎縮するといった批判が相次いだわけですけれども、今回それを踏まえて範囲を絞り込んだわけですが、海賊版対策の実効性という観点からそこは保たれているかどうか、そこの評価を改めてお伺いしたいのと、いまだにネット利用が萎縮するんじゃないかと懸念を持たれているネット利用者の方は多いと思うんですけども、その辺の配慮として十分かどうか、これからの課題みたいなところをお伺いできますでしょうか。

大臣)
 今回のこの法案では、国民の皆様の声を丁寧に伺いながら検討した結果を反映しており、海賊版対策としての実効性確保と国民の正当な情報収集等の萎縮防止のバランスがとれた内容だというふうに考えております。今回の法案で規制されるのは、あくまで違法にアップロードされた著作物を違法だと知りながらダウンロードを行う場合のみであり、また軽微なものや二次創作、パロディなどに関する様々な除外規定を設けていますので、インターネット上での正当な情報収集等は萎縮しないものと考えています。文科省としては国民の皆さんに十分なご理解をいただけるよう、速やかに法案の趣旨や内容について、分かりやすく整理したQ&Aを作成・公表するなど、丁寧な情報提供を行っていく予定です。

記者)
 昨日、自民党文科部会のワーキングチームが、大学英語入試をめぐる提言案を大筋でとりまとめました。中身としては、英語4技能評価を含めて、民間試験を使うかどうかも含めて大学の自主性をかなり尊重する内容だったと思うんですけれども、その受止めと今後の議論にどう影響していくと考えてらっしゃるのか教えてください。

大臣)
 昨日、自民党のワーキングチームにおいて、提言案についての議論が行われたことは承知をしております。今後引き続き党内で検討が行われ、文部科学省に対して提言を頂けるものと承知をしてますが、文部科学省においては、大学入試のあり方に関する検討会議において検討が始まったところでございますので、党の提言を受け止め、更に関係者や国民の意見を踏まえながら、受験生が安心して受験できる仕組みについて、年内を目処にしっかり検討してまいりたいと思います。あくまで党の皆さんがいろいろお話合いをいただいた一つの、言うならば結果だと思います。しかしながら、すでに私の下で検討会を始めていますので、それはそれでぜひ、自由な議論をしていただきたいなと思っています。

(了)

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大臣官房総務課広報室