萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年2月21日)

令和2年2月21日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

キーワード

新型コロナウイルスの感染拡大と対策、新型コロナウイルス感染症に関する緊急研究への助成事業、大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議、首里城跡,玉陵及び国立劇場おきなわ視察、国公立大学入学者選抜個別学力検査、国立大学授業料の設定、JAPAN e-Portfolio、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年2月21日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年2月21日)

令和2年2月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。冒頭、私から三件ございます。まず新型コロナウイルス感染症への対応についてです。新型コロナウイルス感染症に関する緊急研究への助成について報告をいたします。新型コロナウイルス感染症に関する研究開発については、関係省庁連携の下、政府全体として取組みを進めており、文部科学省としても感染症研究国際展開戦略プログラム等の事業を活用して基盤的な研究を実施しているところです。今般、長崎大学の森田公一教授を研究代表者とする6大学10人の研究グループから新型コロナウイルス感染症に関する研究の実施についてご提案があり、科研費による助成を行うことといたしました。この研究では、6つの大学がアジア地域に展開している感染症研究拠点において、新型コロナウイルス感染症に関する検体や臨床情報等を収集するとともに、集めた情報を活用して簡易検査キットや治療薬・ワクチンなどの開発において、基盤となる技術の確立を早期に目指すものと承知をしております。私としましては、この研究における成果が、現在、国立感染症研究所を中心に進められている研究開発において診断の迅速化や精度の向上、薬剤の製造の効率化などに貢献していくことを期待をしております。また、昨日、厚生労働大臣からイベントの開催に関するメッセージが出されました。学校においては卒業式のシーズンを迎えており、開催について不安に思われる方も多いと思います。小中学校における卒業式は、これまでの学校生活を振り返ったりしながら、新しい生活の転換への動機付けとするための、まさにかけがえのない節目の行事だと思っております。現時点で一律に中止を求めることは考えておりませんが、特にすでに感染が確認されている地域においては、自治体の衛生部局ともよく相談をしていただいて感染拡大防止の観点から実施方法の変更や延期などを含め、対応を検討いただきたいと考えております。また、卒業式など行事を実施する際には参加者の手洗いの奨励や会場の入り口にアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状がある方には参加いただかないことを徹底するなど、感染拡大の防止に向けた可能な範囲での対策をとっていただきたいと考えております。
 次に、大学入試における多面的な評価の在り方に関する協力者会議の設置についてでございます。大学入試において、学力の3要素の一つである、「主体性を持って多様な人々と共同して学ぶ態度」を評価することについては、これまで高大接続システム改革会議最終報告等を踏まえて、筆記試験に加え、調査書や受験生本人が記載する資料等の活用を各大学に求めてきたところです。他方、昨年12月の学校の働き方改革法の成立を受けた教員の負担軽減の観点や新学習指導要領下での指導要録の見直しを踏まえ、令和6年度に実施される新学習指導要領に対応した最初の個別入試に向けた調査書や受験生本人が記載する資料の在り方について検討することが必要だと思っております。このため、今月7日の記者会見でも説明させていただきましたが、これまでの取組みを踏まえ、調査書や受験生本人が記載する資料をどのように入試で活用し、どこまで評価していくのか、あるいは国としての支援の在り方などについて、高校と大学の双方の考えや保護者の立場からの考えなどをよく聞きながら検討を行うべく、本日、新たな会議を設置をいたしました。会議における検討事項としましては、まず、大学入試における多面的な評価の内容や手法、調査書の在り方やその活用及び電子化の手法、調査書や志願者本人記載資料の活用、大学への情報提供の在り方などを考えており、年内を目途にしっかり検討してまいりたいと思います。
 最後に、明日2月22日に、世界文化遺産の構成資産であり国指定史跡となっている首里城跡を視察することを予定をしております。首里城正殿等の復元に向けては、防火対策の強化などの技術的な検討事項を踏まえた工程を年度内を目途に取りまとめをすることとなっているほか、世界文化遺産の構成資産である地下遺構の保全や公開に向けた作業も着実に進めていく必要があるところです。このため、現地に赴き防火設備や地下遺構など直接見て把握し、首里城の早急な復元への貢献やユネスコとの相談、調整など円滑にできるように沖縄県の当局の皆さんとも話合いをしてまいりたいと思っております。私からは以上です。

記者)
 新型コロナウイルス関連で、25日から国公立大の2次試験が始まります。東京大学や京都大学などでは特別な救済措置を設けないとした一方、北海道大学などでは願書などを使い総合的に判断するとそれぞれ判断が分かれています。文科省としての受止めと今後の対応方針についてお願いします。

大臣)
 大学入学の選抜は各大学が自立的に行うものでありますが、文部科学省としても、事態の重要性を鑑み、1月30日の木曜日に各国公立、私立大学に対して受験生の進学の機会の確保を図る観点から、別の試験日程での受験を認める振替受験や、センター試験を参考にした合否判定など、柔軟な対応について検討をお願いをしました。また、2月7日金曜日に各国公立、私立大学に対して受験会場の衛生管理体制の構築、受験生や保護者に対する情報提供や相談体制の整備についても改めて依頼をしたところです。更に、昨日2月20日に、特に2月25日から国公立大学の入学者選抜における個別学力検査の前期日程が開始されることなどを踏まえ、受験生の進学の機会を確保するその係る対応について、ホームページ等により早急に、広く情報提供に努めていただくよう依頼をしました。新型コロナウイルス感染症については日々状況が変化している中にあって、各大学が抱える実情も様々であると思いますが、受験生にとっては、受験はこれまでの努力を試すことのできるいわば集大成であり、各大学におかれては感染の拡大防止を念頭におきつつも受験生の進学の機会を最大限図っていただきたいと考えており、必要があれば更なるお願いを続けていきたいと思っています。

記者)
 コロナウイルス関連で、先ほど科研費の特別研究促進費の助成を決定したというところで、ほかにもですね、今後コロナの対策が続くと思うんですけれども、今後例えば文科省で、追加で何か研究助成などのお考えなどございますでしょうか。よろしくお願いします。

大臣)
 文科省では、2月13日に政府の対策本部で決定した新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策も踏まえ、関係省庁と連携し、診断・治療法等の開発に向けた研究を様々なかたちで支援をしているところです。この中で、今回の科研費による研究は、簡易検査キット、治療薬やワクチン等の開発において基盤となる技術の確立を早期に目指すものと承知をしております。これらの研究の進捗や成果を確認しつつ、今後の新型コロナウイルス対策に更に有効と思われる研究提案があれば、これは改めて精査をし、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

記者)
 国立大の授業料について、文科省が大学の裁量に任せる自由化が可能かどうか検討を始められたと、有識者会議を今日21日に設置するという報道がありました。これについて説明をいただきたいんですけれども、お願いします。

大臣)
 国立大学の授業料については、国において標準額を示しつつ、120%を上限として各大学が個別に授業料を設定することができる仕組みと現在なっております。また、国立大学の学部学生の定員については、従来、18歳人口の減少等を踏まえ、抑制的に取り扱ってきたところです。こうした国立大学の授業料や学生定員について各大学の判断により、一層柔軟に取り扱うことを可能とするかどうか、国立大学の役割等にも配慮しつつ、検討していただくこととしております。

記者)
 自由化を検討、というのはあっているという。

大臣)
 現状のルールが国の標準額の120%上限という頭打ちがありますから、この中で各大学が考えることは、あらかじめ、もう許容の範囲だと思います。それから今申し上げたように、定員については抑制的にやってきたんですけれども、これは各大学の判断によって、より一層柔軟に取り組むことを可能にするかどうか、国立大学の役割等も配慮しながら検討いただくこととしていますので、直ちに全部自由に考えていいですよということではないですけれども、確かに、検討を始めていただくことは結構だということです。

記者)
 先ほど冒頭発言にございました大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議でございます。現在、この関連では、JAPAN e-Portfolioという枠組みがございますけれども、このJAPAN e-Portfolioはこのまま現状のまま維持なさるお考えなのか、それとも白紙化して最初から考え直すのか。またJAPAN e-Portfolioでしたらすでに事業者が決まっておりますけれども、そこの見直しなども考えられるのか、ご見解を伺いたいと思います。

大臣)
 今日から有識者の皆さんに会議体を作って議論をしていただくので、あらかじめ私が、これはやめますとかこれは残してくださいと言うとやっぱり公正な議論ができないので、そこはオープンで議論に委ねていきたいなと思うんですけれど、あえて所感を申し上げさせていただくとすれば、せっかく一般社団法人の教育情報管理機構を作りましたので、ここがどんな役割を果たせるかは、是非、見守っていきたいなと思っているんです。他方、データベース化につきましては、私、この主体性を評価するという概念はすごく大事だと思うんですね。高校生が学校の活動以外でいろんな活躍やいろんな努力をしていることは、学校の先生にはなかなかわからないことがあると思います。例えばボーイスカウト活動などはですね、本来は全然その素振りも見えないけれど、子供たちを連れて海外のキャンポリーに出かけて、指導者として頑張っている、階級を持っているという人たちや、あるいはクラブ活動のことなんかも、先日、国会で点数化がありましたけれど、必ずしもレギュラーじゃなくてですね、補欠の選手であってもものすごくそういう役割を果たしている人もいっぱいいるんで、そういうことを自分で、本当は面接でもあれば自己主張できる場面があると思うんですけど、なかなか今の大学入試ではそういう時間的な制約がありますので、そういった意味では主体性を主張するツールというのは大事だと思うんですが、それを一律データ化をしてですね、そして野党の方からはそれだと嘘をつく人がいるというんですが、そうじゃなくて、学校の先生の確認をしてもらわないと入力ができないことになっているので、これは先生にとってはすごい手間だと思うんです。例えば私、学校の外で校外活動でこんなことをやっています、とその活動が何なのかが分からない先生は、まずなかなかその理解ができないところから始まりますから、そういう意味では、当初描いてきたJAPAN e-Portfolioのような電子化っていうのは、本当に有効性があるのかなというのは、ちょっと私、大臣就任以来疑問に思っていましたので、是非、だからといって止めるということではないんですけど、是非、今日から始まる会議体の中で、どうしたら評価しやすいのか、さっき申し上げたようなことを是非、皆さんで話合いをしてもらいたいなと思っていますので、その議論の行方をしばらく見守りたいと思います。

記者)
 新型コロナウイルスの感染で、冒頭発言のあった卒業式の関係で、実施方法の変更ということをおっしゃっていましたけど、それは具体的にどういったイメージをされているのかということと、あと関連で、オリンピック・パラリンピックを控えていまして、来月からは聖火リレーも始まるところなんですが、そういったオリパラに関係する影響というものを、今、どういうふうに考えてらっしゃるかというのをお聞かせください。

大臣)
 先ほど申し上げたとおりでありまして、卒業式ってかけがえのない機会だと思いますから、一律に中止とかを文科省として申し上げるつもりはありません。ただ、地域によって事情がいろいろ違うと思いますので、そこは衛生当局などともよく相談をしながらやり方を考えてもらいたいなと思います。例えば保護者の人たちと同じ体育館に一同に会することに問題があるという判断があれば、例えば映像などを通じて保護者と子供たちを分離した形での式を進行するというのも一つの方法だと思いますし、換気ですとか、手洗いですとか、マスクですとか、こういったもので徹底していただくことも必要だと思いますので、それはそれぞれの自治体の、別に自治体任せにするわけじゃなくて、基本的には方針はお伝えしてありますけれども、是非、地域地域で事情も違うと思うので、基本的にはどうしたらやれるか、また例えば時期によってはちょっとずらしてですね、春休みにもう1回やり直しをするという判断をする自治体も中には出てくるかもしれませんけれども、そこは柔軟にしながら、実施をできる限りできるような検討をしてもらいたいなと思っております。オリパラですとか、オリパラに関連するイベントなんですけれども、主催者において感染拡大の防止という観点から、感染の拡がり、会場の状況などを踏まえて、開催の必要性を改めて検討していただきたいこと、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自制要請を、自粛要請を行うものではないこと、というメッセージを発表したところでございます。このような状況を踏まえて、スポーツや文化イベントの開催にあたっては、例えば参加者の手洗いの奨励やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼することなど、感染機会を減らすための工夫を講じていきたいと思っています。オリパラにつきましては、現在、IOCと様々な準備を進めておりまして、予定通りの開催に向けて、必要な対策を講じていくことが確認されたところでありますので、橋本大臣ともしっかり連携をとりながら、IOCやJOC、大会組織委員会、競技団体と緊密な連携をとって準備を進めてまいりたいと思っています。

記者)
 コロナウイルスの関連で、今後、懸念されるものとしては学校での集団感染など懸念される、されていると思うんですけど、そうしたことへの対応はどのように考えてらっしゃいますか。

大臣)
 幸い今のところそういう事態はないんですけれど、文科省としては、様々なシミュレーションをし、すでにそういった場合には一部または全部の学校・学級閉鎖をしてほしいということの要請を今週出させていただきました。これも先ほどと同じで、一概に一律にこうするべきだということを、あらかじめ文部科学省が指示をすることはちょっとなじまないと思いますので、都道府県の教育委員会、市町村、設置者の皆さんと衛生当局との間で状況判断をしながら対応を考えていただきたいなと思っております。児童生徒から発症する場合もあれば先生からということもありえるわけですから、その場合は、今申し上げた学級単位で果たしていいのかということも含めて、様々な今、シミュレーションをしています。そういう中でできるだけ安全性を確保できるような方法を、しっかりとですね、もし万が一事態が発生したときには、関係自治体と連携とりながら対応していきたいと思います。

(了)

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大臣官房総務課広報室