萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年2月14日)

令和2年2月14日(金曜日)
教育、スポーツ、文化、その他

キーワード

新型コロナウイルスの感染拡大と対策、GIGAスクール構想、文化庁移転、スポーツ団体ガバナンスコードと助成金、大学入試のあり方に関する検討会議

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年2月14日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年2月14日)

令和2年2月14日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から二点ございます。まず、新型コロナウイルスの関係です。昨日、新型コロナウイルスの感染・拡大防止等に向け、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策案・対応策が政府の新型コロナウイルスの感染症対策本部において取りまとめをされました。また本日の閣議において、今年度予算の着実な執行に加え、予備費についても講じられることとなりました。文部科学省としましては、新型コロナウイルスの感染・拡大防止等のため、緊急対応策に基づき、まず学校等における感染対策の強化や、帰国した児童生徒等の学校への受入れの支援、いじめ防止、就学機会の確保等の支援とともに、二つ目として中国の、留学中の日本人留学生の安全の確保。それから三つ目として科学研究費助成事業特別研究促進費などによる研究開発の推進などに取り組み、児童生徒等や帰国した方々の不安が解消されるよう教育委員会等の関係機関と連携して、必要な支援を行ってまいりたいと思います。引き続き、政府全体の方針の下で情報収集に万全を期すとともに、状況に変化があった場合に迅速かつ柔軟に対応する体制を整えるなど、新型コロナウイルス対策に遺漏なきよう取り組んでまいりたいと思います。
 それからもう一点、GIGAスクールでございますが、文部科学省では令和の学校のスタンダードとして、高速大容量の通信ネットワークと義務教育段階の児童生徒1人1台端末の一体的な整備を、令和元年度補正予算「GIGAスクール構想の実現」により、全国一斉に進めてまいります。そのためには、民間企業や業界団体などの関連企業等との間でのGIGAスクール構想の実現に向けた意見交換を開催することが。すみません、飛ばしました。民間企業、業界団体などからの支援協力が必要不可欠であります。このたび、私と民間の関連企業等との間での、GIGAスクール構想の実現に向けた意見交換会を開催することとしました。文科省としては、このような機会を通じて、民間企業や業界団体の支援・協力をお願いし、学校ICT環境整備を社会のインフラとして共に進め、学校でのICT活用が当たり前である社会を作り上げてまいりたいと思います。以上です。

記者)
 一つお尋ねします。今、お話しがあったGIGAスクール構想の意見交換会の話に関連してですけれども、自治体ごとにICT環境の整備に差があったり、担当する教師の方の得手不得手といった問題もあってかえって格差が広がるんじゃないか、という懸念が自治体の首長さんや専門家の方からも出ています。これに対してどういう対策を、今、お考えでしょうか。

大臣)
 逆にいうと、今までこの分野については、先進的な自治体と、なかなかハード面での整備が追い付かない、あるいは、今ご指摘のあった、指導者が不足するというような格差が生じていましたので、これを国全体で底上げをしていこう、というのが今回のGIGAスクールの大きな概念です。GIGAスクール構想の実現は、そもそも学校のICT環境整備が全国的に進んでおらず、自治体間の格差も大きい中、令和の学校のスタンダードとして、高速大容量の通信ネットワークと義務教育段階の児童生徒1人1台端末の一体的な整備を行うものであり、全国一斉に進めていかなければならないと考えています。文部科学省としては、これまで整備が進まなかった自治体も含め、各自治体が安価に学校ICT環境を整備し、維持管理できるよう、安価な環境整備モデル例の提示や本日の意見交換会のような民間企業等への直接の働きかけも含め、さまざまな施策を講じているところであり、整備が円滑に進むように、引き続き、丁寧に対応してまいりたいというふうに思っております。特に、ハードについては、各自治体が企業の皆さんと交渉して導入していた経緯がありまして、自治体のスケールメリットというのも当然あると思うんですけど、すごく客観的に外から見て高いなと思う値段で整備をしている自治体もあれば、すごく企業との協力をしながら限られた財源で非常に効率的に整備をしている自治体もあって、こういったものを、他所のことが多分分からなかったんだと思うので、ここは透明化をして、こういうモデルケースで整備していけばこのぐらいの金額でちゃんと整備できますよ、ということを各自治体にも促していくことによって、今、最初にご指摘のあった格差の是正に取り組むことができると思います。それから、人材については、確かに得意不得意、先生方もあると思います。ですから、ICT支援員という新たな人材をマンパワーとして学校に入れていこうと思ってますし、今日、キックオフをする民間の皆さんとの話合いの中では、ぜひメーカーさんですとか関連企業の皆さんからも、現場にぜひ人を出してもらえないかということもお願いをしていきたいと思います。それから大学生。既に実用的に使っている学生の皆さんも、空いた時間などで学校現場に行って、子供たちとふれあいながら応援をしてもらえるような学生スタッフというのも考えていきたいと思ってますし、また、その人たちがボランティアということもあるかもしれない、あるいは、アルバイトということもあるかもしれませんけれども、例えば、学部によっては、学校現場でそういった支援をすることによって学校の単位にカウントするような、そんな仕組みが取れないかということも大学関係者とも話合いを始めてますので、もう社会総ぐるみで、ご指摘のような格差が生じないように全体を上げていきたいと思いますので、ぜひ見守っていただきたいなと思います。以上です。

記者)
 浜松市長からもお願いがあった、地域によって違うからきめ細やかな対応を、といったことに対する大臣の考えというのは、今、おっしゃったようなことだということですか。

大臣)
 はい。例えば、SINETという、国が今まで管理していた大容量の、その開放というのもしますので、自治体ごとに違うというのは、例えば、光ファイバーがどこまできてるかとか、あるいは校内LANを既に整備しちゃってるものをどうしたらいいのかって、いろいろパターンは違うと思うので、そこは、すごいきめ細かくメニューを作って、しかも標準的な金額は、こういうふうに発注すればこういう金額でこれだけの整備ができますよということをしっかりアナウンスしていきたいと思います。我々も、えっ、ってびっくりするぐらい高い金額でわずかなパソコンの整備をしている自治体の実態も承知してますので、そういうことのないように、企業側にも良心的な提案をしてもらいたいな、と思って今日の会議をスタートしたいと思ってます。

記者)
 文化庁移転の関係でお聞きします。当初、21年度内で移転を目標とされていましたけれども、22年8月以降に移転が、昨日確認されたかと思うんですけど、そこの受止めとですね、大臣から見て、見通しですね、いつぐらいになればいいとか、そのあたりの見通しがあれば教えてください。

大臣)
 文化庁の京都移転につきましては、平成28年3月の政府決定以降、遅くとも2021年度中の移転を目指して準備を進めてまいりました。昨日、移転協議会が持ち回り開催され、京都府から文化庁の移転先庁舎の実施設計を進める中で、京都府庁舎との一体的な整備の実施などの大幅な設計変更が必要であり、移転先庁舎の整備工期を予定より延伸せざるをえない旨の資料が示されました。今回の工期延伸につきましては、京都府において検討を重ねた結果であり、やむをえないものだというふうに考えております。2021年度中の移転は断念せざるをえないと考えております。引き続き、庁舎竣工後の速やかな移転に向けて、京都府、市はじめ関係方面と連携協力しながら、着実に準備を進めてまいりたいと思います。これは、文化庁として主体的に移転先の整備に取り組むというスキームがないんですね。あくまで、招致をしてくれた京都府、京都市が受け皿を作るということで、どちらかといえば文化庁はその受け皿作りを待っている状況にありますので、あちらがいろんなことを考えた結果、既存の建物の改修だけじゃなくて、ほかの建物との一体的な整備をしたほうがトータルでメリットがある、という判断を途中からされたんだと思いますので、我々はその結果を尊重してですね、待ちたいと思います。ただ、いつぐらいが望ましいかと言われましたけど、工事の、ハードの関係もあると思うんで、工事が終わりましたら速やかに移転をしたいと思っています。

記者)
 もう1点だけ、ごめんなさい。その一方で、ですね、中央省庁の移転というところで安倍政権の事業施策だったと思うんですが、その点で、閣議決定で21年度内と区切ったと思うんですが、そこの期限の短さみたいなものですね、一部、懸念がですね、年度末にかかるという部分だったりとかですね、あったというふうに私聞いてるんですけども、そのあたりの設定の無理みたいなものはなかった、というふうにお考えでしょうか。

大臣)
 あくまで我々は、この建物に引っ越したいとかこの建物を直してくれ、とかっていうんじゃなくて、先方が選んだ建物に引っ越しを求められてこの計画が進んできたので、その建物の構造がどうなっているのか、一体どのくらい改修に時間とお金がかかるのかというのは、正直、全く当時は承知をしていないわけですから、どちらかといえば京都側さんのプランに合わせて、我々は分かりましたということで準備をして、すでに一部先行移転して業務も行ってます。ですから、目指した方向は何ら文化庁としては変わってないんで、あまり言うと京都の責任を押し付けているように聞こえるんで丁寧に話しているんですけど、建物も含めて、京都さんのほうの事情だと私は思いますので、そこは政府の移転計画に無理があったとは思ってないです。

記者)
 文化庁の京都移転に関連して私も一問、お聞きしたいんですけども、先ほど大臣も、工事が終わったら速やかに移転はしたいということをおっしゃっていましたが、政府決定で21年度中という目処を示していたわけで、現状はいつになるかというのは不透明だということです。今後、そういったスケジュール感についてですね、どこかの段階で示すお考えなのかというのを改めて教えてください。

大臣)
 具体的な移転時期についてはまだ明確に決まっていませんから、京都府からの報告では、移転先庁舎は2022年の8月末に竣工見込みというふうに報告を聞いておりますので、竣工後、速やかに移転を進めたいと思います。
 なお、昨日、庁舎整備予定地に戦国時代の堀などの遺構が出土したことを京都府が発表したことがございますので、この遺跡調査などをどういうふうに進められるのか、京都側の対応を見守りたいなと思っています。

記者)
 本日の一部新聞報道で、スポーツ庁が競技団体のガバナンスコードに違反した、違反というか反した場合にですね、2021年度の競技力向上への助成金、これを10%から20%削減する案を示された、というふうに報じられておりますが、事実関係の確認と、事実であればその狙いと趣旨をお伺いできればと思います。

大臣)
 競技力向上事業助成金の交付にあたりましては、これまで各競技団体のガバナンス調査の結果や、不祥事事案の状況に応じて、組織体制に課題があると判断した場合は、競技成績等を踏まえ算出した額に90%を乗じた額を助成金として交付しているところです。財務省財政制度等審議会の「令和2年度予算の編成等に関する建議」において、「『ガバナンス・コード』を踏まえ、メリハリのある評価とすること」などを通じ、経営体としての体制整備を中央競技団体に促していくことが重要であると指摘されています。このような状況を踏まえ、令和2年度から統括団体が行うガバナンスコードの適合性審査の結果を令和3年度の競技力向上事業助成金の交付に活用できるよう、その活用方策についてJSC、JOC及びJPC等の関係団体と連携しつつ、検討しているのが事実でございます。文科省としては、引き続き、関係団体の意見等も踏まえ、ガバナンスコードの適合性審査結果の助成金への活用について検討してまいりたいと思います。

記者)
 話題変わりまして、昨日の大学入試のあり方検討会議について一点、お伺いいたします。昨日の会議で一部の委員の方から、これまでの検討過程でも出ていた高校の基礎学力のテストについての言及もありました。今まだ自由討議の段階ですので、様々な意見が出たとは思うんですけれど、元々、検討会議自体が、英語の4技能と記述式を明記して今後のあり方を、検討を、ということで言っていますけど、それ以上に拡大するといいますか、大学入試のあり方全体についても、より考えていってほしいと大臣としてはお考えでしょうか。

大臣)
 この入試改革は高大接続改革の一環でありますので、当然のことながら、高校での教育の充実というのが同時に図れないと改革の意味がないんだと思います。そういった意味では、大方の出席されている委員の先生方は、4技能を伸ばしていくことは必要だよね、あるいは記述式は重要なポイントだよね、というこういうとこまでは共通しているので、それを試験でどう評価をしていくのか、試験に評価をされなくても高校では授業としてどうやってきちんとやっていくのかということは、今後いろんな意見を聞きながらやっていきたいと思います。いみじくも、私立中高の代表の先生がですね、一口に高校といっても高校のレベルがいろいろあって、全てを求めることで全体が萎縮してしまうこともあるので、そこは将来目指す方向、あるいは進学先などを考えながら習熟度を上げていくということも必要なんじゃないか、というご意見もありましたので、全て画一的に、これが大事だからこれを高校で全部達成するんだ、というんではなくて、学習指導要領の中できちんとそれを網羅できるような方向というのは大事だと思うんで、これからもよく現場の声を聞いていきたいなと思ってます。

(了)

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大臣官房総務課広報室