萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年1月21日)

令和2年1月21日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

聖マリアンナ大学が医学部医学科の入学者選抜に関する第三者委員会の調査報告書を公表した件、大学入試センター試験、大学入学共通テスト、千葉セクション(チバニアン)が国際標準模式地に選定された件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年1月21日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年1月21日)

令和2年1月21日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。私からは特にございません。

記者)
 2点、質問させていただきます。まず、医学部の不正入試問題で、不正を認めていなかった聖マリアンナ医科大学の第三者委員会が差別があったとする報告書をまとめました。これについて文部科学省としての対応を教えてください。
 もう1点は、大学入試センター試験が先週末実施されて、来年からは共通テストに移行するという予定にはなっていますが、英語の検定試験や記述式の見送りということがありまして、試行調査を実施した当初の想定とは違うになります。センター試験の継続を求める声もありますが、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 まず、聖マリアンナの、医科大学の医学部医学科の入学選抜につきましてですが、平成30年12月に公表した最終まとめにおいて、文部科学省としては、不適切な事案であると認識した大学に指摘したものの、大学との間で見解の相違があったため、不適切である可能性が高い事案と指摘しており、平成31年2月には第三者委員会を設置して事実関係を調査するように文書で指導していました。本年、1月17日に聖マリアンナ医科大学が公表した第三者委員会の調査報告書は日本弁護士連合会の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠したものであり、第三者委員会が厳正な調査を行なったうえでとりまとめたものと承知をしております。この報告書においては、性別、現浪区分という属性による一律の差別的取扱いが行われたものと認めざる得ないと結論付けられております。これについて、聖マリアンナ医科大学としては、意図的ではないにせよ属性による評価の差異が生じ、一部受験者の試験、入試結果に影響を及ぼした可能性があったとの認識に至っているものの、自ら不適切な事案であったとは明言をしておりません。文科省としては大学としての受け止めやそのような見解に至った理由等を社会に向けて丁寧に説明することが必要と考えており、文科省としても、大学側から、しっかりとした説明を今後も求めてまいりたいと思っております。
 入試センターにつきましては、先週末に実施された大学入試センター試験については、正解の訂正や一部の会場で試験開始時刻の繰り下げなどがあったものの、概ね無事に終了することができました。センター試験の円滑な実施に力を尽くされた方々に心から感謝を申し上げたいと思います。受験生の皆さんは、これから各大学の個別試験がありますので、体調に十分気を付けて、自分の力を尽くして頑張っていただきたいと思います。来年度から実施される大学入学共通テストは、昨年の6月、文部科学省から出題の教科、科目及び試験時間を、大学入試センターから出題範囲や問題の作成方針を、それぞれ決定し公表しております。ご指摘のとおり、昨年12月にですね、国語及び数学における記述式問題の導入見送りに伴い、必要となる見直しを大学入試センターと連携して、速やかに行なったうえで今月中を目途に公表し、予定通り、来年度から大学入学テストを実施することとしています。なお、今般の大学入試改革は、子ども達が未来を切り開くために必要な資質、能力の育成を目指して高校教育改革、大学教育改革とともに高大接続改革の一環として取り組んでいるものであり、新たな共通テストが初等中等教育等において育成される思考力、判断力、表現力等を適切に評価し、多くの大学の入学者選抜に活用されるものとなることを期待をしております。

記者)
 そうすると、共通テストの実施までに、施行調査はスケジュール的にたぶんできないと思うんですが、それでも実施することに特に支障はないとお考えでしょうか。

大臣)
 試行調査は記述式等について行ったものであって、記述式の実施については見送りをもう決定しておりますので、その他の内容についてはすでに公表している内容で問題作り等が行われることになると思うので、試行調査を改めてやる予定はありません。

記者)
 先週、国立極地研究所と茨城大学が、今、千葉県市原市で申請していた地層がGSSPという標準地層に認定され、これに関連する時代が「チバニアン」という、日本では初めて地名が付いたということですけれども、それの受け止めについてお願いします。

大臣)
 国立極地研究所等の研究グループが申請していた千葉セクション、いわゆる「チバニアン」につきまして、先週17日の国際地質科学連合での最終審査において承認されたと承知をしております。研究グループ並びに千葉セクションへの調査研究のためのアクセスの確保や恒久的な保存を担う千葉県市原市を始め、関係者のご尽力に敬意を表したいと思います。この地が地質時代を決定する重要な地層である国際標準模式地に選定されたことは我が国初の快挙でありまして、これにより子ども達が科学に興味を持ち、次代の研究者が育っていくことを期待をしております。文部科学省としましては引き続きこうした地道に取り組まれている基礎研究を始め、科学技術、学術の振興に努めてまいりたいと思っております。

記者)
 聖マリアンナ医科大の医学部入試の関係でお伺いします。先ほど文科省としても説明を聞きたいということだったんですけれども、その説明を聞いた結果、納得いく説明じゃなかった場合にどう対応するのかということをお聞きしたいんですが、特に私学助成という観点で、他のすでに不正を認めた大学について厳しく対応されているケースもある中で、認めてない大学は保留になっていたりとかですね、そこらへんの対応が矛盾というか、納得できるものではない状況だと思うんですけども、大臣としてのお考えをお聞かせください。

大臣)
 聖マリアンナ医科大学の医学部医学科の入学者選抜が、今後、不適切な事案として整理された際には、日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会において、私立大学等経費、経常費補助金の減額について議論いただくことになると考えていますが、現段階では、大学側が意図してそれを行ったわけではないということをおっしゃっています。他方、今まではおっしゃっていなかった、いやしかし結果としてそういう属性があったということも一部認めているようなので、第三者委員会、自分たちの判断ではないといったものが第三者委員会の提出した報告書の中ではあったとなって、今、経営陣や関係者の皆さんとの話し合いをしているんだと思いますので、こちらから外的な要件で、黒だとか白だとかということを決める性格のものではないと思いますので、大学側が真摯に第三者委員会の決定を踏まえてもう一度内部でしっかりとした話し合いをして、それを我々も説明を聞いて、その合理性をきちんと確認したうえで方向を考えていきたいと思っています。

記者)
 冒頭ありました大学入学共通テストの話で1点、お伺いします。先ほど、今後の方針は今月中に、記述式見送りに対する方針は今月中にということでしたが、それ以外の問題も変わるということで受験者の間に非常に不安が広がっていると思います。今、現状としては、試行調査の問題も基にこうなるんじゃないかというような憶測が飛び交っていて、特に、予備校ですとかそういったところが、危惧して模試を受けなさいという形にもなりかねないと思います。今後、受験生の不安解消をするために、例えばこういうふうな形の形式の問題になりますよといったことをアピールしていったりですとか公表していったりという考えはないでしょうか。

大臣)
 形式についてはすでに昨年の6月の段階で公表している出題教科、科目の試験時間や配点、問題の作成方針について記述式と、記述式がなくなりましたのでその分、時間配分と点数配分をどうするかを早く知らせなきゃいけないと思っていますので、これは繰り返しになりますけど、今月中を目途にですね、文科省において、また大学入試センターにおいて、しっかり公表してまいりたいと思います。それが明らかになれば、いわゆる予備校のアピールと本人の判断というのは自ずと変わってくるのかなと思いますので、それを急ぐことが必要だと思うので、今月一杯ちょっと待っていただいて、今月中には公表したいと思います。

記者)
 その形式で、今、試行調査のところでちょっと変わったなというようなところを、多分受験生の方は意識されていると思うんですけれど、そういったところをもう少し詳しく説明してあげたりとか、そういう機会を設けるということはないでしょうか。

大臣)
 いずれにしても途中で制度を変えるという大きな変更をした以上は、例年とは違う意味で、来年の試験、受験生に対してはいろんなニュースを発信をしていく必要があると思っていますので、そこは丁寧に、文科省としても発信をしていきたいと、心がけていきたいと思っています。

記者)
 聖マリアンナ医科大の件でお伺いしたいんですが、聖マリ大がですね、受験生に対する補償としてですね、受験料の返還ということなんですけれども、他大学ではそういう不正があったところについては合否判定を見直すなど、そういう対応をとっているところもあります。大臣としては聖マリアンナ医科大の対応についてどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 今まで全く認めていなかったものを、一部の属性でそういう可能性があるということをコメントしているようですし、今、ご指摘があったように申し出のあった受験者に対しては受験料を返すということも言っているようなので、全く大学側に非がなければ受験料を返すという判断には至らないと思うので、学内でも多分、いろいろ今、作業を続けているんだと思いますので、第三者委員会の報告、それから学校の発言も若干変化をしていますので、ここは何か、文科省が時間を切ったりプレッシャーをかけて返事をよこせと言うよりは、大学の自主性を尊重しながらきちんとその方向性を示してもらえるというふうに期待をしていますし、これは私の私見ですけど、特に人の命を預かる人材育成をする学校ですから、そういったことは世間から見てですね、なるほどと理解いただけるような説明ができなければいけないと思いますので、それは別に医学部じゃなくてももちろんそうなんですけれど、特に命に関わる職業に就く人たちを育てていく学校なので、ちゃんと我々もなるほどと納得できるような説明をしていただくことを期待していますし、その機会は作っていきたいと思います。

記者)
 まだ彼らは、聖マリアンナ医科大からは、そのあたりの最終的な判断というのは終わっていないんだというような説明を、文科省にあるということなんでしょうか。

大臣)
 途中経過について第三者委員会の報告、調査の発表までは第三者委員会が発表しましたけれど、大学はそれに対して一部コメントを発しているだけなので、最終報告を文科省として聞いている状況ではありません。

(了)

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