萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年12月20日)

令和元年12月20日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

令和2年度文部科学省関係予算案、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への推薦、大学入試の在り方に関する検討会に関する件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年12月20日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年12月20日)

令和元年12月20日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
冒頭、私から2件ございます。まず、本日、令和2年度政府予算案が閣議決定をされました。厳しい財政状況の中ではございますが、文部科学省におきましては、「人づくり革命」を断行し、「生産性革命」を実現するため、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興に必要な予算を確保できたものと考えております。主な内容について御説明いたします。まず、教育関係です。新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革については、大臣折衝を実施した上で、教職員定数3,726人を改善するとともに、スクール・サポーツ・スタッフ、部活動指導員を大幅に増員をいたします。また、国立大学法人の基礎的、基盤的経費である運営費交付金については、評価や客観的指標に基づくメリハリある配分により、国立大学の改革を推進をします。更に、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティネットを構築するため、10月から開始した幼児教育・保育の無償化を着実に実施するとともに、私立高校授業料の実質無償化、高等教育の修学支援新制度を着実に実施をします。
次に、スポーツ関係です。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けて、選手強化活動にしっかりと取り組むとともに、東京大会後のレガシー創出に向けてスポーツ施策の総合的な推進を図ります。
続いて、文化芸術関係ですが、文化財の確実な次世代への継承、文化芸術の創造・発展や人材の育成、文化資源の活用、文化を発信するための国内基盤の強化など、文化芸術立国の実現を目指した取組の推進を図ります。
最後に、科学技術関係ですが、研究資金の充実や研究環境の整備などを推進し、研究人材・資金・環境改革と大学改革の一体的展開を図るとともに、産学共創の場の形成や、国家戦略に基づくAI・量子技術などの研究開発を重点的に推進します。また、H3ロケットや月周回有人拠点「ゲートウェイ」を含む国際宇宙探査などの宇宙・航空分野や、健康・医療、防災・減災、海洋・極域、原子力、環境エネルギー分野など研究開発を着実に推進してまいりたいと思います。説明は以上となりますが、文部科学省としては、「人生100年時代」や「Society5.0」を見据えながら、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくため、引き続き、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興に全力で取り組んでまいりたいと思います。
もう1点、本日の閣議におきまして「北海道・北東北の縄文遺跡群」の推薦書を、ユネスコ世界遺産センターへ提出することが了解されました。令和3年夏の世界文化遺産への登録をめざして、関係自治体及び関係省庁と連携しながら、最善を尽くして取り組んでまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
大学入試共通テストについてお聞きします。大臣の下に設置される検討会議ですが、委員の人選の進捗や初会合の日程の見通しなど、現在の検討状況についてお聞かせください。

大臣)
検討会議につきましては、英語4技能に加えて、記述問題についても、この際、取り扱うことになったことを受け、鋭意準備を進めているところです。検討会議については、今、人選を急いでおりまして、できる限り年内に会議の設置を行うべく取り組んでいるところです。

記者)
予算の関係でお伺いします。今回、補正も含めればですね、かなり文教、科学技術関係予算というのは、大幅に増えていると思うんですけれども、改めてそこの所感をいただきたいのと、個別の事業の中でいわゆる幼児教育の関係でですね、調査研究費として新たな支援がどういった在り方があるのか探る予算が入っている訳なんですけれども、この関係は大臣、かねてから支援対象になっていない枠組みについても支援を検討すべきとおっしゃっていると思うんですが、今後の調査研究を経た上でのですね、どういう支援が望ましいのかという、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
まず、補正も含めた予算編成の所感ですけれども、厳しい財政状況の中、我々の主張、あるいは政策の優先順位というものを政府全体が正しく共有していただいて、それなりの出来上がりだったのではないかと思います。大臣としては、もう少し戦いたいという気持ちがあったんですけれども、全体を見ますとそれなりに要所にきちんと予算が配置ができたのではないかと思っております。いわゆる幼児教育の類似施設の件だと思うんですけれども、これまで申し上げてきたとおりですね、今般の幼児教育・保育の無償化の対象となっていない施設については、法令上の定めや基準などがなく、多種多様なものが存在していますが、各地域に固有の、様々な歴史的な経緯を経て、現在も地域や保護者のニーズに応え重要な役割を果たしているものもあると考えてまいりました。今回、こうした、例えば自然体験ですとか、様々な遊びや生活体験を通じた集団的な活動を提供する無償化対象となっていない施設に対する支援・振興方策を調査をし、地域にとって重要な役割を果たす施設への効果的な支援の在り方を明らかにするための事業を開始し、対象施設に対して活動経費を支給することを決めました。本事業は都道府県・市町村に委託する事業ですが、早期から施設等に対して支援できるように、採択された自治体がこのような施設等に対する支援を実施するための経費も盛り込んでおり、また、現在支援を行っている自治体の大半に対して委託するのに必要な予算額を確保しているところです。自治体においては、本事業の実施を契機に地域にとって不可欠な施設等に対する支援の充実につなげていきたいと考えております。今後、本事業で得られる知見も活かしつつ、並行して地方団体とも協議・調整を行い、令和3年度からの新たな支援策の実施を目指し取組を進めてまいりたいと思います。正直申し上げて、私、国会でも、また記者会見でも繰り返しこれらの施設についてしっかり支援していきたいということを申し上げてまいりました。形の上では、かろうじてそういうことでスタートするんですけれども、その時に申し上げてきたのは、国がですね、各市町村にあるこうした類似施設が、果たして地元にとっていい施設なのかどうなのかは全く分からないので、やっぱりそこは地元の自治体の皆さんが、かけがえのない施設なんだと、是非これは認可施設ではないけれども今回そういうことで応援してほしいと、地元としてもしっかりとした支えをしていくから国も伴走してほしいということの仕組みを作ろうと思って、市長会はじめ皆さんと相談をしてきたんですけれども、残念ながら最終的な合意に至りませんでしたので、やむを得ずこの1年間は調査という形で救済をして、来年、再来年度以降ですね、もう少しすっきりした形にしたいなと思っておりまして、そういう意味では、やや説明していた内容と若干変わってきてしまいましたので、自分としては少し思いがあるんですけれども、とりあえず考えてきた、調査をしてきた施設については、できる限り救済ができるんじゃないかなと、こう思っております。

記者)
縄文遺跡群についてなんですけれども、世界遺産推薦が閣議了解されたことの所感とですね、構成遺跡の中にガイダンス施設が整ってなかったり、資産価値を伝えるガイド体制ができていないということもあると思うんですけれども、登録後にですね、観光客を受入れていくためには、登録前に事前の準備が必要になると思うんですけれども、整備の主体がその自治体ではあると思うんですけれども、文部科学省もしくは文化庁として、財政面を含めてどのように支援していくお考えなのかをお願いします。

大臣)
「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、農耕以前における人類の生活の在り方を示す17の考古遺跡で構成され、1万年以上の長期にわたり継続した定住の開始、発展、成熟の過程や精神文化の発達を表すことから、世界的にも顕著な価値があるということは、十分認められていると考えています。他方で、世界遺産の総数がですね、既に1000件を超え、世界遺産委員会の諮問委員会であるイコモスによる審査は年々厳しくなっておりますので、審査の過程でのイコモスからの指摘には、柔軟に対応できるよう、地元自治体及び関係省庁と連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。文科省としては、我が国の素晴らしい遺産を世界遺産に登録できるように、今後とも全力で取り組んでまいりたいというように思っています。様々な御指摘がありましたけれど、そもそも国が頭越しに指定をしたんではなくて、地元の皆さんがこの大切な素晴らしい遺跡を世界遺産に指定をしてくれということで国に申し出があって、我々もその意を体して申請、推薦をするわけですから、ハード面で応援できることはどういう面があるのか、しっかり見ていきたいと思いますけれども、ガイドが足りないというお話はですね、これは逆に地元としてしっかり指定を前提に、そういう、言うならば学識経験者、学芸員の人たち、育てていただいて、皆さんが正しく説明いただけるような、人材育成というのは、大変、申し訳ないんですけれども、地元で前もって頑張ってもらいたいなと、私、個人的には思っております。

記者)
先ほど、幼児教育の類似施設に関するお話があったかと思うんですけれども、支援の対象外になっているとしてですね、支援を求めている施設の中には、例えば朝鮮幼稚園のような各種学校もあると思います。そのあたりに関してですね、今回、そこら辺のケアというのがなかったと思うんですけれども、大臣、そのあたりに対する支援に必要性についてはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
各種学校の中にある幼児施設については、基本的には対象になってないんですけれども、そこを外れてですね、認可保育所のような形で申請をしてくる場合もありますので、特定の国に関わるから支援をするとかしないとかということは、文科省としては全く考えてません。条件が整い、地元の皆さんからの要請があれば真摯に対応していきたいと思っています。

記者)
逆に民間保育所としての要請をしてくるということがあれば、それを受けるというお考えなんでしょうか。

大臣)
認可でなくて、無認可。

記者)
そうです。無認可です。

大臣)
それはそういう仕組みに当然乗ってきますから、それをあえて特定の国の関係者だからと言って排除することは、前提で考えていません。

記者)
ちょっと予算の話に戻るんですが、やはり目玉なのがですね、高等教育の無償化がですね、やはり大きな一つ項目かとかと思うんですが、もちろん内閣府で予算が上げられていますけれども、改めて高等教育無償化の意義と文科省としての取組みをお願いします。

大臣)
今回、真に経済的な支援が必要な低所得者世代の子供たちを対象とした高等教育の修学支援制度を実施するところであり、令和2年度予算に盛り込みました。また、一定の所得、年収590万円未満の世帯を対象とした私立学校の事業料の支援というのもメニューに加えさせていただきました。公立・私立の別なくですね、やはり中学生が自分たちの進路を広く選ぶことができる環境といのが、これで完全とは言いませんけれども、幅は十分広がってきたんじゃないかと思いますので、例えばですね、中学校時代の部活動を更に伸ばしていきたいと、本当は私立の有名校で自分の腕を試してみたいと思ったけれども、家庭の経済環境でそういう選択肢がなかった子供たちも、正直今までいたと思うんですけれども、今回の制度を使えばですね、十分にそういうチャレンジできるんだと思いますので、是非、有効に活用いただいてですね、中学生の皆さんの選択肢を増やしていくそういう環境を更に充実をしていきたい、こんなふうに思っています。


(了)
 

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