萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年12月6日)

令和元年12月6日(金曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

給特法改正法の成立、大学入学共通テストにおける記述式問題に関する件、自民党及び公明党から京都大学のiPS細胞ストック事業に関する提言があった件、千葉県流山市におけるいじめ問題に関する件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年12月6日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年12月6日)

令和元年12月6日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件ございます。今週の水曜日、参議院の本会議において、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律が可決、成立をいたしました。学校における働き方改革は、特効薬のない総力戦です。「上限ガイドライン」の策定、業務の役割分担・適正化、小学校における英語専科指導の充実等の教職員定数の改善や外部人材の確保など、取組を総合的に進めてこそ、成果が上がるものであると認識をしております。こうした総合的な取組を更に推進する一つのきっかけとなるよう、今回の法改正において、昨年1月に策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を法的根拠のある「指針」に格上げすること、休日の「まとめ取り」のため、一年単位の変形労働時間制を各地方公共団体の判断により条例で選択的に活用できるようにすることとしております。「指針」につきましては、法律上根拠付けることにより、業務の適正化に向けた取組が促進され、在校等時間の縮減の実効性が高まるものと考えております。また、休日の「まとめ取り」につきましては、一定期間のまとまった休日を確保することで、教師の自己研鑽やリフレッシュの時間を確保し、子供たちに対して効果的な教育を行うことに資するとともに、教職の魅力向上につながることにより意欲と能力のある人材が教師を目指すことを後押しすることを通じ、教育の質の向上につながるものと考えております。文部科学省としましては、今回の法改正を契機として、今後とも集中的に学校現場での働き方改革を推進をしてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 昨日、公明党から大臣に対して、来年度の大学入試共通テストにおける記述式問題について見直し、延期を求める提言書が出されました。幅広い国民の意見に耳を傾け理解を得ながら進めるよう求めています。与党内からも記述式問題について延期を求める声が広がった形ですが、受け止めをお願いいたします。

大臣)
 昨日、公明党より大学入学共通テストにおける記述式問題の導入について、見直し・延期を検討することを含む提言を受け取りました。また、自民党におきましても、昨日、記述式問題の導入について、受験生の混乱なく実施することが可能か点検し、必要な改善、見直しを早急に行うこと等を求める決議について議論が行われたと承知をしております。文部科学省としては、これらの与党からの要望というものを重く受け止めてまいりたいと思います。しかしながら、文部科学省として一部報道にあったような記述式問題の導入の延期を決定をしたり、また検討を行っているという事実はございません。記述式問題に関して指摘されている課題に対して、どのような改善が可能であるか、大学入試センターや採点業者とも連携しつつ様々な方策について検討しているところであり、課題解消に向けて努力を続けているところです。

記者)
 ちょっと関連して、昨日、公明党の方からですね、iPS細胞のストック事業に関して継続を求める提言書が提出されたと思います。それに対しての受け止めと今後の取組みについて教えてください。

大臣)
 昨日、自民党及び公明党からそれぞれ、京都大学のiPS細胞ストック事業について、将来的な支援方策を含む今後の在り方に関する御提言をいただきました。iPS細胞研究に対する支援は、2012年の山中先生のノーベル賞受賞を契機として、総理の発言を受け政府として10年間で1,100億円の支援を行うという方針を既に決め、これまで取り組んでおります。現在、2020年度概算要求についても、対前年同額で概算要求をしているところです。与党からの御提言をしっかりと受け止め、文部科学省としては、引き続き着実な支援を行い、iPS細胞を活用した再生医療がいち早く国民に届くように努めてまいりたいと思います。11月27日の衆議院の科学技術・イノベーション推進特別委員会においても、iPS細胞ストック事業の予算編成に関し、決定プロセスの透明性に関する事項が理事会協議事項になったと聞いております。いずれにしましても、文科省としましては、今までどおりの支援を、iPS、しっかり行なっていきたいと思っています。

記者)
 話が記述式の問題に戻りますけれども、大臣はどういった点を考慮しながらいつまでに判断するお考えですか。

大臣)
 先ほども申し上げましたけれども、一番大事なのは受験生のことだと思います。国会で、衆参で様々な指摘をいただきました。それにつきましては、文部科学省として、大学入試センターの方に指示をして、そして採点業者との間で改善方努力を依頼をしているところです。直ちに改善できる課題もありますし、まだ引き続き取り組んでいることもありますので、その推移はしっかり見守ってまいりたいと思います。いずれにしましても、課題解消に向けた努力を続けていますが、受験生のことを考えますと、できるだけ早く不安を払拭できるようにするべきであり、大学入学の共通テストの1年前には課題への対応策が決まっていなければ、不安に感じると考えますので、年内には方針を固めていきたいと思っています。

記者)
 今、年内には方針を固めたいということですが、自己採点の改善については、今後、それによって成果が出たかどうかが分からない状況の中で判断することになります。その点についてはどのように判断するんでしょうか。

大臣)
 いろんな判断基準がありまして、今申し上げたように、国会の衆参の委員会などで様々な指摘をいただき、それについて、今、センターと採点業者の間で協議をしています。例えば、その採点の質の向上につきましては、契約どおり最終的にきちんと採点をし、納期内に収めていただければそれで契約が履行されるわけですから、現段階で採点事業者、採点者がどういう属性の人なのかなどの質問がありましたけれども、これは契約に則って業者の方がその時期までにきちんと対応する、できるということを聞いておりますので、それはもう入札によって決められた公の結果でありますから、それは受け止めていかなければいけないと思います。他方ですね、自己採点については、業者は関係ないわけでありまして、大学入試センターが自らこの制度を導入したときに自己採点の質をあげていくという努力をしなくてはなりません。委員会の中でも度々答弁しましたけれども、AIを使ったシミュレーターなどの導入を、今検討しているところでございますが、他方、過去2回のプレテストの結果を何らかの形でスクリーニングをして、改善が図れるということの確認をしなければならないと思います。そういった作業も含めて、今、センターの方で引き続きの対応をしていると承知しています。

記者)
 業者の採点については、現在の準備事業でできると思いますが、自己採点については、今後、プレテストを今のところは予定されていない中、どうやって年内に改善できるかどうかというのを判断するんでしょうか。

大臣)
 今までのプレテストの結果はいかようにも使うことができます。今申し上げたのは、新たな手法としてAIを活用したシミュレーターという一つの手法を取り入れることを検討しておりますので、こういったものをもう一度スクリーニングをかけるということで一定の評価というのはできると思っています。

記者)
 仮にAIを導入したとしても、それを高校生が実際にやってみて自己採点と合うかどうか、その改善ができたかどうかを判定しない限りは判断できないと思うんですけれども。

大臣)
 今まで機会があるごとに申し上げてきましたが、何らかの形でもう1回調査をしなければ、なかなか最終的な判断はできないと思います。

記者)
 記述式問題について関連して伺うんですが、先ほどおっしゃったもう1回調査をしなければ最終的な判断はできないということと、年内についての方向性との整合性というか関連なんですけども、もう1回調査するというのは、最終判断の前に、年内の判断の前にやるということでしょうか。

大臣)
 私、国会で申し上げてきたのは、何らかの仕組みを通じて、もう一度判断をするということを申し上げてますから、もう一度プレテストをやるということを前提で考えてません。

記者)
 何らかの仕組みでというのでは年内にやった上で判断すると。

大臣)
 年内は、受験生のことを考えるといろんな意味でこの状況を一度整理をしなければならないタイムリミットだと思ってますから、もちろんそれまでにいろんなことが全てクリアになれば一番いいと思いますけれども、そこは見極めが必要なんだと思います。

記者)
 年内のタイミングの関係で、新年度予算にもですね、関連する経費が計上されている、概算要求されていると思うんですけども、そことの関連というのはどうお考えでしょうか。

大臣)
 昨日、初めて与党からこういう申し入れがありましたので、重く受け止めて、今後検討していきたいと思っています。

記者)
 今、ちょっと聞いていてもどういうことをお考えなのか理解できない、で、ということは国民の人が、高校生の皆さんにも多分分からないと思うので、年内の判断というのは、今伺ったところを整理すると、自己採点についての改善が何らかできるかどうかということを判断できるかどうかという基準でよろしいんでしょうか。

大臣)
 国会の質疑などを通じて、今大きく指摘されているのは、採点の質の担保ができるのかということと、それから志望校を決定するにあたっての自己採点が、できるだけそれぞれの学生さんがきちんとできる仕組みができあがるかどうかということがございまして、これについては指摘を受けた段階からセンターと、また様々な関係機関と、今協議をしているところでございますので、一つの大きな目安としては、自己採点の向上ということがポイントになると思います。

記者)
 その自己採点の向上ということで言うと、AIの導入がうまくいくかどうかというところが判断のポイントになるということでよろしいんでしょうか。

大臣)
 それだけではなくて、様々なことを今取組みをしていますので。

記者)
 様々というと、例えば他にどんなことがあるんでしょうか。

大臣)
 出題の形ですとか、それから採点のポイントですとか、こういったものをもう少し分かりやすく高校現場で教えるということも繰り返し国会で申し上げてきたところでございまして、果たして自己採点がしやすい出題というのはどういうものなのかというのをセンターの方で検討を今続けています。

記者)
 それが実際に自己採点の改善につながるかどうかという何らかの調査というのは、タイミングとしてはいつやる予定でしょうか。

大臣)
 それは試験の確認は、年内が一つのポイントだと思いますけれども、引き続き自己採点が向上できたかどうかは何度も確認をしていきたいと思ってまして、年内にも一つのポイントはやらなきゃならないと思っています。

記者)
 年内にも何らかの形で。

大臣)
 年内というか毎日やっています。いろんな形で。

記者)
 いや違います。私が言っているのは、高校生とかそういう実際に自己採点をする人にとって、それが使いやすいことになったかどうかということのテストです。

大臣)
 何らかの検証をしなきゃいけないと思っています。

記者)
 それは年内にやると。

大臣)
 年内にもやると思います。

記者)
 話変わりますが、千葉県流山市のいじめ問題についてお尋ねします。流山市では、いじめが3年間放置されていた問題や、児童への行き過ぎた指導が意図的に学校から報告されていなかったことが議会でも問題になっています。これらについては処分者は一切出ていません。流山市教育委員会に対して、県教委を通して何か状況確認や指導を文科省として行う予定はありますでしょうか。また、相次ぐこういった問題がある中で、処分者なしという状況についての受け止めを教えてください。

大臣)
 千葉県の流山市におけるいじめ問題については、10月に流山市の教育委員会の担当者を文科省に呼び、事実関係の確認を行うとともに、重大事態の認定が遅れたことについての指摘の上、いじめ防止対策推進法等に則り適切な対応をするよう指導をしたところです。また、教職員による不適切な指導については、事実関係の把握に努めるとともに、引き続き、千葉県教育委員会から適時報告を受けつつ、必要に応じて指導・助言を行ってまいりました。流山市におけるいじめ問題や、教職員による不適切な指導については、文部科学省としては極めて遺憾だと思っております。懲戒処分等についてはですね、やっぱり各自治体の権限に、責任と権限において行うべきものであり、これは国としてコメントは差し控えたいと思いますけれども、しかし、今後も適切な対応が取られるかについては注視をし、必要に応じて指導や助言を行ってまいりたいと思います。

記者)
 話題は記述式に戻りますが、国会審議でもですね、センター試験ではですね、採点ミスは30年間ゼロだと、それに対して共通テストというのは、採点ミスが懸念されるんだというのは度々言われているかと思います。大臣はですね、共通テストの記述式においても採点ミスというのはゼロでないとならないというふうにお考えでしょうか。それともある程度はやむをえないとお考えでしょうか。

大臣)
 これは質疑の中でもいろいろ感じることがあったんですけれど、やっぱり記述を第三者が採点をするということになった時に、いろんな仕組みについては答弁の中でも申し上げてきましたけれども、採点ミスがゼロで実施できるかと言われればですね、これは非常に難しい判断だと思います。他方、大学関係者ですとか、この導入にあたって様々な議論をしてきた人たちからの意見を聞くとですね、すなわち1点ごとの刻みじゃなくても、やっぱり記述を試験に入れることの効果というものを必要性というものをおっしゃっています。ですからある程度、採点がぶれがあったとしても、それを影響なく次の段階に進めるような仕組みというものも、実は検討の一つに加えているところでありまして、いずれにしても精度を上げていかなきゃならないんですけれども、絶対、採点ミスがなければこの試験ができないかと言われると、これは非常に難しい結論になると思いますので、その範囲で今様々な取組みをしています。

記者)
 そうすると、そのプレテストではですね、国語でいうと0.3パーセントほどの補正が必要なミスがあったと思います。大臣はどの程度のミスであれば許容されると思われるでしょうか。

大臣)
 ミスはない方がいいと思いますよね。だからそれを数値で表すというのは、私が許容範囲を決めるという性格のものではないと思いますので、そういったことも含めて、今慎重な対応をいろいろ考えています。

記者)
 ただそれによる受験生の影響はかなり大きいと思います。大臣としてどの程度のミスだったら許容できるのかできないのか、そういう判断をしなければ実施するかどうかという判断は難しいんじゃないんでしょうか。

大臣)
 もちろんそういうことも考えなきゃなりませんけれど、先ほど申し上げたように、総合評価を含めた入札によって採点がきちんとできるという判断をした業者をセンターが採用しているわけですよね。契約しているわけですよね。その企業の皆さんも採点者も含めて、人員の確保や質の確保はきちんとできるということを現段階ではきちんと約束をし、また、今その作業を続けているといっているという最中にですね、あらかじめ採点ミスは起こるんでしょうというような制度設計であることを、私が公の場で申し上げるわけにはいかないと思いますので、そこはしっかり採点業者の皆さんとも更に詰めていきたいと思っています。

記者)
 先ほど記述式で、先ほどおっしゃった年内に判断ということですけれども、年内に判断というと記述式の制度を継続する方針でその改善していくという判断、あるいはもう中止する、延期するという判断があるかと思うんですけども、先ほど東京新聞さんからも質問がありましたが、自己採点に関して何か出題方法の改善等、いろんな方策を考えていくということですけど、一方で、実際に採点行為をしてみるということをしなければ、それが本当に自己採点にしやすくなったのか分からない。その調査をするには、例えば採点事業者に協力をあおぐなり、かなり大規模でそういう調査をしなきゃいけないと思うんですが、それをちょっと年内にできるのかなというのと、疑問があります。実際に自己採点行為をしてみるということをしないで、年内に継続なり中止なりの判断をするということもあり得るんですかね。

大臣)
 まず第一にですね、年内にというのは、たまたま今朝の報道で公明党の方から発言が出て、それをリリースをしているので、私としてもやっぱり確かに年内が一つの受験生のことを考えると、一つの大きなリミットだなと思っています。自己採点の精度向上については、今までも指摘をされて、センターで様々な取組みをですね、日々行っております。一番いいのはもう一度プレテストをやって、そして大きな範囲でもう一度検証することが最も望ましいと私も思うんですけれど、それを年内にやるというのはちょっと時間的にも難しいと思います。ですからこういった仕組みでやることによって、明らかに3割の人たちが自己採点できなかったという試験よりは大きく変わったということが、専門家も含めて検証できるような、その見通しというものをですね、そこは年内までにしっかり確認したいなとそう思っています。

(了)

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