萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月4日)

令和元年10月4日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

「大学入試英語成績提供システム」運営に係る今後の方針、第16回STSフォーラム年次総会への参加、子供たちのゲーム依存が指摘される中でのeスポーツの盛り上がり、給特法の改正案に関する件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年10月4日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月4日)

令和元年10月4日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2点報告をさせていただきます。大学入試において英語の民間試験の活用を支援し、4技能評価を促進する「大学入試英語成績提供システム」については、高等学校・大学関係者の合意に基づいた方針により実施をするものです。これまで、高等学校関係者から懸念や課題を指摘いただき、大臣就任後、様々な検討を進めてまいりましたが、多くの受験生はシステムの実施を念頭に既に準備を進めてきていることから、当初の予定通り2020年度から導入することといたします。ただし、受験生や高校関係者の不安を解消し、システムをより円滑に稼働させることが極めて重要であり、初年度に限り、いくつかの特例措置を設けることとしたいと思います。具体的には、試験活用方法を明らかにしていない大学・学部が依然としてあることから、各大学・学部の試験活用方法を確定し、受験生等の不安解消を図るため、一定の猶予期間を設けつつ、9月中に活用方法を公表した大学・学部を対象としてシステムを運営することとします。これについては、本日付で各大学に通知をいたします。また、各民間試験団体に対し、具体的な試験会場・日程等の早期公表及び、トラブル等発生時における無償による再試験の実施を改めて求めるとともに、各大学に対しては、セーフティネットとして、やむを得ない事情により試験が受けられなかった場合の救済処置を講じることを要請してまいりたいと思います。更に2011年度以降の更なる万全の体制での運営に向け、より多くの大学がシステムを利用するとともに、受験生がより安心して受験することができるよう、高校・大学関係団体、試験実施団体の代表者らによる協議の場において、受験者保護の観点に立った共通ルールの策定、公平性・公正性の一層の確保、経済格差・地域格差の更なる是正などについて協議をしてまいりたいと思います。なお、9月末時点において、システムの利用の有無や利用方法を決定しており、システムを利用する予定の大学は、559大学であり、各大学の利用方法等の詳細については、週明けにも「大学入試英語ポータルサイト」に速報を掲載することにしました。その上で、最終的な利用大学については、10月11日(金曜日)までの猶予期間終了後に速やかに公表してまいります。また、ポータルサイトについては、スマートフォン向けのサイトを大至急開設するなど、受験生目線に立った見直しを同時に進めてまいります。
 もう1点、10月6日(日曜日)に京都府でNPO法人STSフォーラムが主催する第16回STSフォーラム年次総会に参加をいたします。6日の午後に予定されている「社会のための科学技術教育」をテーマとするセッションにおいて、講演をし意見交換を行いたいと考えております。加えて、この期間に各国を代表する参加者の方々と科学技術分野での協力等について会談を行う予定です。本イベントが実り多いものになるように期待をしております。私からは以上です。

記者)
 今、大臣がおっしゃったように、およそ5割の大学がシステムを利用するということですけれども、システムを構築して、結果5割しかある意味利用しないということで、その受け止めをお伺いしたいのと、各民間試験の実施主体に日程の公表などを求めていくということですけれども、具体的に期限等を定められているのかということについてお伺いできればと思います。

大臣)
 9月末時点において、システムを利用する大学の予定大学は、559大学で、全体の52.3パーセント、四年制大学では63.3パーセントとなっていますが、最終的な利用大学については、10月11日までもうしばらく猶予期間を設けて確定をしたいと思っています。その上で、文科省の調べでは、平成27年度の大学入学者選抜においてこの民間英語資格、あるいは検定試験を活用している大学が、当時、36.3パーセントであったことを考慮すれば、「大学入試英語成績提供システム」の導入により、大学入試における英語4技能評価の推進は図られたものと考えております。試験団体の、「大学入試英語成績提供システム」に参加する資格・検定試験の日程や会場等の情報については未確定な部分があるため、従前から各民間試験実施団体に対して情報の公表を要請してまいりましたが、受験者が安心してシステムを利用できるよう、改めて遅くとも共通のID発行の申込開始日、11月1日までに、日程及び会場の情報を公表するように要請をしているところです。

記者)
 1点関連してなんですけれども、前回の会見でですね、初年度は精度向上期間という発言がございましたけれども、受験生からは実験台にしないでほしいというような反響もあるようですが、見解をお伺いできますでしょうか。

大臣)
 もちろん実験台になってはならないと思います。ですから9月末までで実施をするという大学、あるいは大学の中の学部をですね、明らかにすればですね、自ずと自分が望む学校については、その試験の必要性があるかないかが、まず第一義的には判断できると思います。その上で準備をしてきた皆さんは、試験そのものは、今回初めてではなくて既に民間団体が行ってきたものでありますので、それは中身については、今後ですね、更に精度を上げていくということは、この前もお約束したんですけれども、ここは受けれる人はしっかり受けてもらう、受ける必要のない人は受けないで結構ですという、第一段階でまずこの取り組みをしてみたいと思います。受けたくない人が、不安の中で受けなければならない人がどのくらいでるのか、そこをよく見てですね、できるだけその不安を取り除くために会場の確保ですとかこういったこと、あるいは様々な告知についても早め早めにしていきたいと思っています。

記者)
 ちょっと話題が変わりまして、eスポーツについてなんですが、今週末、茨城国体の文化プログラムとしてeスポーツの全国都道府県対抗のeスポーツ選手権というのが行われます。子どもたちのゲーム依存というものが指摘されている中でeスポーツの盛り上がりをどう捉え、またどのような対策が考えられるか大臣のお考えをお願いします。

大臣)
 74回の国民体育大会、いきいき茨城ゆめ国体が現在開催をされておりますが、私も28日に開会式に出席し、選手の皆さんに激励をしてまいりました。選手をはじめ、関係者がみな、大変目を輝かせていたのを大変嬉しく思ったところです。そのような中でですね、開催の機運醸成等を目的に、大会の文化プログラムとして、「都道府県対抗で行うeスポーツ大会」が開催をされるということです。多くの参加者がその能力をいかんなく発揮をし、活躍されることを期待しております。eスポーツを巡っては、例えば、国際オリンピック委員会の役員らが参加して開催された「オリンピック・サミット」において、「スポーツという言葉を使うことについて更なる対話と研究が必要」という声明が出されるなど、様々な視点から、様々な場所において、その意義や在り方についての検討が進められているところです。文科省としては、現在、各地において様々な取組や検討が進められていることも踏まえ、引き続き、関係府省と連携し、政府としての取組を研究してまいりたいと思っております。

記者)
 臨時国会絡みで質問させていただきます。給特法の改正案が、今国会、臨時国会の方に提出されることになりました。変形労働時間制も審議されることになると思うんですけれども、弊社の方でアンケートをしてみるとですね、やはり91パーセントほどの方がですね、導入には反対だという声が、大半が反対だという意見が多くてですね、先日、大臣が会見の方で変形労働時間制の導入そのものが勤務時間の削減につながるわけではないということですとか、署名活動をされている先生などがいるということで、現場の不安を払拭するといったことをおっしゃっていたかと思うんですけれども、そうであるならばですね、なぜこのタイミングで急いで議論を進める必要があるのかというところを教えていただけますでしょうか。

大臣)
 学校における働き方改革は、すぐに特効薬のない総力戦で臨まなければならないと思っています。大切なことは、「上限ガイドライン」をきちんと策定した上でですね、この法律を是非、御理解をいただきたいと思っています。業務の役割分担・適正化、教職員定数の改善や外部人材の確保などの取組を総合的に進めて、はじめて成果の上がるものと認識をしております。多分、反対をされている方々がですね、いわゆる上限が決まらないのに裁量制だけが導入されれば、結果として労働時間が増えるんじゃないかということを不安に思っていると思いますので、そこはちゃんとピン止めしないと、おっしゃるように不安解消にならないと思っています。以前からお話ししているように、学校の先生方の仕事というのは、なかなかそうタイムカードのみでその仕事量を評価するのは難しいところがあると思います。担任の先生は、自分のクラスの子供たちに何かあればですね、休日でも飛び出して行って対応していただくことも、ある意味では仕事の一つだと思っています。一方、週5日制を導入した時に夏休みの有効利用というのを促して非常に評判がよかったんですけど、これも裁量制を導入しないと、年間を通じてのまとまった休みが取れないことになっています。月ごとでは取れたとしてもですね、年間を通じて取れないことになっています。先日、横浜市を視察しまして、横浜市などは政令市ですから独自にいろんなことができるんですけど、一つはICTを活用して職員の皆さんの事務作業をものすごく圧縮しておりまして、朝の忙しい時間に電話に出ることのないような仕組みが出来上がっていました。あるいはサポートスタッフという方が、一人ずつ配属されて、今まで自分が作らなければならなかった印刷物や資料というものをあらかじめお願いしておけば作っておいていただけるということで、仕事の事務量がすごく減って、子供たちとの時間が増えたという報告を受けました。クラブ活動には、外部の指導員、幸いにして教職のOBの方もいらっしゃいましたけど、そういう方たちがクラブの指導をしてくれていますから、顧問としての仕事はあるけれども、日々の練習は外部の指導員の皆さんに委ねることで時間を自分たちが有効に使えるとかですね、あるいは夏休みについては、学校そのものが休校日を決めて、ここはもう学校を開いていませんという日にちを決めています。今までのルールでいくと、長期休暇が取れることになっていますけど、たまたま日直とかが間に入ってきたらまとめ取りができないような仕組みになっていたのが、横浜市さんなんかでは、先駆的にそういう取組をしていますので、こういった良い事例をどんどんどんどん集めてですね、今回の法律改正を通じて、職員の皆さんの働き方を変える大きな一歩を踏み出していきたいと思っています。いろんな不安の声があるのは承知をしてますので、そこは現場をよく見ながらしっかり対応していきたいなと思っております。失礼、裁量制じゃなくて変形制ね。ごめんなさい。

記者)
 それでですね、例えばそれだったらば上限ガイドラインをきっちり守っている、守ったことがデータなりで示された上で、その制度を導入するという手順もあり得ると思うんですけれども、例えば、なにか変形労働時間制を導入することによる影響だとか、そういったものを文科省さんも例えばエビデンスだったり根拠となるデータみたいなものを持っていらっしゃるのかどうか。

大臣)
 今までの。

記者)
 今までの。

大臣)
 それはないですね。

記者)
 ありがとうございます。

記者)
 先ほどの共通テストの民間試験の件なんですけれども、先ほど、大臣、冒頭発言の中でですね、公平性の一層の確保であったり、より安心して受験できるようにするということをやっていくんだというふうにおっしゃいました。ただ受験生だったり教員から不安の声が出ているというのは、一層確保しなければならない状況であったり、より安心して受験できるようにしないと、そういうふうな更なる改善が必要であるという現状に対して、実験台ではないかというような懸念を示されているんだと思うんですけれども、この点について、大臣、もう少しお話しいただけますか。

大臣)
 この制度を導入することを公表して以来、学校現場もまた受験生の皆さんもこれに向かって準備をしてきた方もいます。中身が全体像が見れない中で、どの試験を選んだらいいんだろうか、自分が受ける学校はどうなんだろうかということが分からない中で、でも試験日はどんどん迫っていくわけですから、まずはそういう不安を解消したいというのが私の思いなんです。それで中身についてはですね、就任の時も申し上げましたけど、6社の試験を横串を刺して公表性・公平性を指すのは、今回が初めてですから、これはしっかりやらせていただくことや、あるいは外部の人たちが採点をするというようなことも受験生の不安につながっているんだと思うんですけど、しかし、だからといってですね、これ大学入試センターが実施をする試験だったら文科省としてぐんぐん入っていって、いろんな指導もできますけど、そもそも民間試験を活用すると新しいアイデアの中でスタートした制度なので、この試験そのものは元々あったものであります。それを活用するということなので、私はこれ、民の人たちにも努力をしていただいて、できるだけ採点結果が分かりやすくしていくことですとか、それからどういう評価になったのかということが、なるほどと納得できるようにしていくためには、誤解のないように制度を高めていこうねという意味で謙虚に申し上げているんで、出来上がったものを使うという意味では、既にもう完成形のものがそれぞれの社は持っているわけですから、そこは是非、皆さん方がチャレンジをしていただきたいなと思っています。ただ不安の声があるとすればですね、その声を汲み上げながらより良いものにしていくと、これで申し込みがあった学校だけやって、あとはもう来年以降知りませんという話ではなくてですね、じゃあ参加しなかった大学は何が不安で参加をしなかったのか、あるいは最後まで不安を持って受験に臨んだ人たちは、何が一体一番心配だったのかということは、今後もちゃんと聞きながら、いわゆる制度の中身を上げていくという努力をこれからもしていくということを申し上げています。

記者)
 センター試験というのは、多分、これまでの大学入試センターでやっているような試験というのは、最初から、初年度からもう制度を完璧にしていくんだというところで実施されてきたと思うんですよね。今回については、そのあたりが従来と違うのではないかというのも受験生だったりの不安につながっていると思うですけど、そこは大臣、これまでとは違う試験だという御認識なんでしょうか。

大臣)
 本来、大学入試センター試験が一元的にできた方が、きっと分かりやすいんだと私も思いますよ。思いますけれども、スピーキングという試験の性格を考えた時に、今までのような会場で用意ドンで喋っていただいて、それを正しく判断するのは物理的にできない、さあどうしようという中で出てきたのがこのアイデアだと思うので、そこは私、実績のあるそれぞれの団体、あるいは企業の皆さんが準備をしていただいています。そこはしっかりやっていただけるものだと思っています。またその上で、繰り返しになりますけど、更なる不安があるとすればそれの声を聞いて、改善できる点は大いにしていきたいと思っています。

記者)
 英語の民間試験なんですが、559校で52.3パーセントと。センター試験の英語の利用率と比べてもだいぶ低いんですが、その辺どうして大学側としては利用を避ける判断に至ったとお考えですか。

大臣)
 これは大学に聞いてみないとちょっと分かりません。大学数で500ですけれども、学部数でやるとどうなるのかというのもあると思うので、私、逆にこれ文科省が年末までおたくの学校はどうするんですかとぎりぎりやっていけば、もしかしたら増やすことできると思うんですけれど、そうしますと自分の進路といいますか、受験校の様子というのがどんどんどんどんぼやけていってしまうので、ここで切らせてもらいますけれど、参加を見送った大学の声というのは改めて聞いてみたいと思っています。だからこそ向こう1年間はですね、もう一度皆さんにテーブルに着いてもらって、どうしたら各大学が利用しやすくなるのか、あるいは制度がどう変わろうと利用しないのか、その辺のことは一度確認をしてみたいなと思っています。

記者)
 受験の世界では、2年前ルールという常識的なものがあったかと思うんですけど、今回それがどんどん破られて、直前になってまで決まらない。大学の数が決まったのも試験開始まで半年を切った段階なんですが、その辺についてはどういうふうに改善されるお考えですか。

大臣)
 2年前ルールは、大きな受験の制度を変える時の大枠のルールを発表することであって、この4種目について試験を行うということは、既に2年の前から告知をしていますので、そこはクリアしているんだと思います。ただ私も就任以来ずっと申し上げてますけれど、やっぱり文科省が目指したというか理想とした形になかなか、その全員の皆さんが思いを同じに統合できてなかったという点は、これはもう正直否めないと思うんです。ただ民間ですから、そこは指導に限界があったり、あるいは大学も独自の判断で受験の在り方というのを決めることもありますから、もう少し、多くの大学が参加してもらえる仕組みになってたらよかったなと思いますが、そこは足らざるところがもしあったとすればきちんと皆さんから聞いてみたいと思います。

(了)

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