萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年9月11日)

令和元年9月11日(水曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

キーワード

大臣就任に際しての抱負・意気込み、加計学園獣医学部新設に関する問題の件、地方創生・農山村振興、教育勅語、教科書検定、幼児教育・保育の無償化の対象外となっている類似施設に関する件、北海道大学総長選考会議から名和総長の解任の申出があった件、日本の科学技術の現状・課題とその取組、主権者教育、「大学入試英語成績提供システム」の2020年度からの導入に関する件、学校における働き方改革、教員採用試験の競争倍率低下

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年9月11日(水曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年9月11日)

令和元年9月11日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 遅くまでは大変ご苦労様です。改めまして、文部科学大臣・教育再生担当大臣を仰せつかりました萩生田光一です。どうぞよろしくお願いいたします。

記者)
 文科大臣に就任されまして、抱負、意気込みをお聞かせください。

大臣)
 先ほど官邸でも申し上げましたけれども、令和という新しい時代を迎えて、改めて、これから国家百年の計、しっかりと打ち立てていきたいと思っています。特に様々な価値観が変わってきた子供たちを巡る環境にしっかりと対応できる多様性のある教育、一本道ではなくて、複数の道を作っていきたいなというふうに思っております。また、所管をする科学技術の分野では、毎年のようにノーベル賞を排出をする国であることを誇りに思いますけれども、他方、研究者の今後、研究費も含めて十分な確保ですとか、あるいは研究者を目指す人たちが減っている、こういう実態も踏まえて、是非、科学技術分野で国を興していくということに力を注いでいきたいと思っています。いよいよ来週からラグビーワールドカップが始まりますので、今年から来年にかけては、オリンピック・パラリンピックを含めて、まさに本物のスポーツを国民の皆さんが身近で見る、感じていただける大切な1年になろうと思います。スポーツの持つ魅力、様々な可能性というものをしっかりと再確認して、もちろん大会の成功を導くことができるようにオリパラ大臣等とも連携をしていきたいと思いますけれども、それよりその後のレガシーをですね、どう国民の皆さんに残していくか、ラグビーのワールドカップや、あるいはオリンピックを開催した都市、国としてのレガシーとして、どんなものを次世代に残すことができるか、そのことをこの1年間しっかりやっていきたいなと思います。最後に、日本の誇る文化、外務大臣とも連携をしながら世界にどんどん発信していくことができるようにしていきたいと思っております。とりわけ、私、党の方でも、その前、官房副長官の時代も日本の映画、あるいは日本のアニメを海外の皆さんとの合作協定を結ぶ様々なプロジェクトを取り組んでまいりました。日本のコンテンツの持っている魅力というものを世界に発信して、改めて日本ファン、日本の理解者を増やしていくことができるような、そういう文化行政も力を入れていきたい、こんなふうに思っております。

記者)
 加計学園の獣医学部新設問題についてお伺いします。先ほどの官邸の会見では、疑念が残っているとすればいつでも説明をされるという御発言がありましたけれども、ご自身としては、現状、広く国民の間で疑念が払拭された状態に来ているのかどうか、その点をどうお感じでしょうか。

大臣)
 加計学園の獣医学部の新設については、これは国の国家戦略特区の所管する内閣府を中心に、段階的にプロセスが進められてきたものだと思っています。疑念ということであれば、私との関係が当時国会でも取り上げられました。私機会があるごとに申し上げてきましたけれども、たまたま浪人中、浪人中というのは落選して次を目指していたときに、その法人の系列の大学で客員教授として仕事をしていた時代があったということを明らかにしてきました。が故に何か関係があるんだろうということを思われて、そしてたまたま官房副長官ですから国家戦略特区の様々な動きについては承知をしておりますけれども、私自身はですね、私の方からその計画があることを承知をして、文科省に働きかけをしたり、相談をしたりしたことはただの一度もございません。せっかくご質問をいただきましたのであえて申し上げますけれども、私は文科政務官をやった時代の課長クラスの皆さんが、ちょうど局長級の年次になっていました。個人的に携帯番号をやり取りするような間柄でありましたので、本来でしたら官房副長官は特定の役所の皆さんのお話しを聞く立場ではなくて、政府全体を俯瞰して仕事をしなければならないんですけれども、文科省だけはですね、うちの官房副長官室では特別な省庁になってしまって、直接局長たちが私にダイレクトに電話をして、官邸で面談するのではなくて会館だとか、ほんのちょっとの時間でもいいから時間を作ってくれというやり取りがございました。私も今から思えば、それはバランスを欠いた対応だったなと思うんですが、自分が文科省に対してのシンパシーを持っていたものですから、皆さんも信頼してくれてなんでも相談してくれることに対して、ある意味自分自身の満足感もあってそういう求めに応じてきてしまいました。従って、官邸で各省からのヒアリングを受けていれば、うちの当時の官房副長官秘書官も同席してましたから、いくらでも客観的な説明ができるんですけれども、どちらかと言えば私の会館に朝一番、ほんの10分でいいから時間を作ってくれと局長に相談をされて、向こうからその説明や意見を求められたということに対して私がお答えをしたことがございました。省内から出てきたメモというのは、確かに私が発言したセリフというのも中にはありました。しかし、全体的にはこれは何なんだろうかと逆に聞いてですね、なぜこういう文書ができたのかということを逆に私は不思議でしょうがないと、こういうお話を申し上げたんですけれども、当時、松野大臣からも不適切な文書で私に対して非常に迷惑をかけたというお詫びがあったんですけれども、さっきもお話ししたように私が一議員でしたら文科省に何なんだこれはともう少し怒りたいところもあったんですけれども、文科省で仕事をしたことがある官房副長官、政府全体を見なければならないということと、今申し上げたような私のバランスを欠いた対応から招いたことなので、強く批判はできませんでしたけれども、私自身はなぜこんなことに巻き込まれてしまったのかというのが終始正直なところでした。私はあえてあの時もはっきりと申し上げていましたけれども、事を進めたいと思っている人たちと、できればもう少しゆっくりやりたいと思っている人たちの間で意見が対立をしていて、それを結果的には政府が方針を決めましたので、やらざる得なくなったときに萩生田副長官だったらきっと我々の側に立ってもう少しスローダウンしてくれるのではないかと期待をしていただいた文科省の人たちからすれば裏切られた感があって、あるいは私が最後の砦で、私がもうこれは無理だよと言えば、やらざる得ないんだろうと、こういうようなことをいろいろ考えた中で、その文章の中に私の名前を使って省内の調整を図った人たちがたぶんいたんだろうというのが、当時の副大臣たちからの報告でありました。そのことをつまびらかに言うのは、これは古巣の文科省に対しても非常に私自身も心苦しくもありましたから、国会での答弁はそこまで詳しいことは言ったことはございませんけれども、繰り返しになりますけれども、私自身がこの関係に関与して獣医学部の開設を後押しをしたり、あるいは文科省に何かを指示をしたりというようなことの事実は一切ございませんでした。まだ喋れと言われればいくらでも喋れるくらいあるんですけれども、何となくそういうことで、ああいうときというのは、こういうことが起こるんだなと思ったのはたぶんですね、ワイドショーなどで、私と加計理事長と総理が、3人が写っている写真をよく使うテレビ局がよくあるんですけれども、萩生田さんは加計さんと親しく話したことがないと言ったのに親しいじゃないかという印象を示されているんですけれども、あれはもう一回確認してもらいたいんですけれども、私は民主党の桜井さんから尋ねられたのは大学で授業をしていたときにこのことについて話を聞いたことはないか、そしていろんな学校経営で頼まれることがあったのではないかという質問をされたので、入学式や卒業式に控室で会う程度でしたと言ったのは、要するにその期間のことを聞かれたので、その時代はそういう関係でしたということしか答えてなくて、あの写真はその3年半後の写真なんですね。3年半後、たまたま総理の別荘でお会いしたときの写真でありまして、私は桜井さんの質問には正しく答えているつもりでおりますので、そんな点もせっかくの機会ですから、もし確認していただけたらありがたいなと思います。

記者)
 先ほどですね、メモの中にですね、私が発言した内容が中にはあったというふうにお話しになりました。その中でですね、例えば総理は平成30年4月開学とおしりを切っていたというような表記があるんですけれども、こちらの発言というのはなさったかどうかについていかがでしょうか。

大臣)
 国会でも答弁していますけれども、私は総理からこの件に対してですね、指示を受けたことも意見を求められたことも一度もございません。

記者)
 発言をしていないということですか。

大臣)
 はい。私の発言ではないです。

記者)
 文科省は、子ども農山漁村交流プロジェクトなどの都市部と農山村をつなぐ取り組みであったり、高校の魅力化で地域活性化を担う人材の育成など教育面で地域創生に着手されてきました。文科省が取り組む地方創生や農山村振興について、改めてどういったことに力を入れていきたいか、大臣の見解を教えてください。

大臣)
 地方創生のメニューの一つとして、そういう取組みをしてきたことは承知をしています。特に都市部の子どもたちがですね、農業に直接触れるということ、食の大切さを学ぶいい機会だというように思いますので、これは地方創生のメニューだけでやっていくのがいいのかどうかは分かりませんけれど、いずれにしても校外の体験教育の中では、農に触れるということの大切さをこれからも教育の中でしっかりと柱を立てていきたいなと個人的には思っています。

記者)
 2点あるんですが、今、加計学園の関係でですね、バランスを欠いた対応で、官邸以外で文科省の幹部と意見交換をしていたことで誤解を招かれたという話だったんですが、今、文科大臣になられた後ですから、それで国家戦略特区でですね、獣医学部の設置について認可をするときにですね、いわゆる条件がありましてですね、例えば石破4原則とかですね、国家戦略特区としてあの獣医学部がですね、設置されるような十分な条件を満たしていたというふうにですね、今現在お考えですか。つまり、あの加計学園の獣医学部新設については、適正なプロセスを経て問題がなかったというふうな認識でいらっしゃいますか、それが第1点です。第2点はですね、教育勅語の問題です。教育勅語についての文科大臣としての御見解、認識をお伺いしたいと思います。聞くところによりますとね、議員会館の部屋にも3年くらい前にですね、掛け軸で教育勅語を掲げてらっしゃったのを目撃した方もいらっしゃったりしてですね、教育勅語というものについての現時点での文科大臣としてのお考えを。

大臣)
 前段の件ですけれども、これは政府としてきちんと手続きを踏んで、また文部科学省、当時の判断でしょうけれども、私は間違いなくですね、一定の評価をきちんとした上で全ての条件をクリアをして開設の認可をしたというふうに認識をしております。2つ目の教育勅語ですけれど、教育勅語はもう既に日本国憲法及び基本法の制定をもってですね、法制上の効力は喪失をしている、その内容について政府としてコメントするのは差し控えたいなと思っています。私個人がどうかと言えば、今申し上げたように既に効力を失った文章であります。ただ、現代文に直したときに、例えば、親孝行だとか友達を大切にするとか、日々の暮らしの中で一つ参考になることもあるなと個人的には思います。

記者)
 関連なんですが、萩生田さんは教育行政にいろいろな党の役員としても関与されてですね、例えば教育再生会議でしたっけ、本部でしたっけ、そこで例えば教科書問題など積極的な発言をされていたことがございましたですね。その中で私が記憶しているのは、教科書検定のことをずっと調べていて、自虐的な内容が教科書の中にまだ残っているというようなお話をずいぶんされていたと思いますけれども、今現在ですね、教科書問題というのは、改善の方向にみられたというようなお考えですか。私がこういう質問をするのはですね、喫緊の関係で日韓問題が、今非常に悪化していますですね。その中で根底にあるのが歴史認識の齟齬というのが両政府の中にあってですね、これは非常に大きな問題だというふうに思います。例えば具体的に挙げますと、いわゆる従軍慰安婦の問題とかですね、徴用工の問題、韓国と日本の間では全く違う記述があったりするということがございましてですね、今現在の認識として教科書問題のそういう、今大臣がおっしゃるところの、かつておっしゃっていたところの自虐的な内容というような部分、それについては今現在はどういうお考えでしょうか。

大臣)
 私自身は自虐的という判断をして外でそういう発言をしたかどうかはちょっと記憶に定かではないですけれど、教科書の内容についていろいろ疑義を申し立てた時代があったのは事実であります。今、教科書は、非常に中身が変わってきてですね、正しい記述で行われていると思っています。検定制度で選ばれたものだけが子どもたちの教科書になるわけですから、検定そのものは独立した皆さんが判断をするわけで、そこには政治的な関与は全くないわけですから、きちんと検定を経た教科書が専門家の皆さんが判断をして、それを使われているので、それに対して私が検定済みの教科書に対して、大臣になった私がですね、文句を言うというのは不適切だと思いますので、きちんとした検定がなされていると、こう認識しております。
 先ほどの教育勅語のことで私個人のと言ったのは、教育勅語そのものとは離れてですね、友達を大切にするなどの考えは、現在も通用するものであるという、そういう認識を示したところです。

記者)
 教育勅語を離れて。

大臣)
 教育勅語を現代語に直したときにその中には、友達を大切にするとか、親孝行は必要だとかという、私自身はその価値を見出す内容があることはあるけれども、これは大臣としては既に効力を失効したものだということの確認をもう一回させていただきたいと思います。

記者)
 萩生田大臣、以前にですね、国会で幼稚園類似施設についてですね、無償化の対象になっていないものについて、対象とすべきものがあるのではないかというような質問をされていましたけれども、今の認識と今後、無償化に向けた対応をどのように取り組んでいくか、お考えをお聞かせください。

大臣)
 この10月から消費税の財源の一部が、幼児教育・保育、3歳-5歳の無償化に回されます。私はこの政策そのものはですね、非常に的を得たものだと思っているんですが、制度を作る中で全ての子供たちというわけにはいかずにですね、一定の線引きがなされて、一定の要件を満たさない施設については補助対象外だということでスタートするということが見えてきました。どこかで、やっぱり法律ですから、ルールですから、どこかで線を引かないとあらゆる施設を全部入れるというわけにはいかないことは私もよく分かります。ただ、それぞれ園に対して歴史があってですね、例えば私などが現場の声を聞いたのは、当時の公団住宅で下駄ばきの1階に保育園が入る予定が、入る法人が手が上がらなくてですね、しかし入居は始まってしまって、それならば親御さんたちがですね、知り合いの保育士さんを頼んででもとにかくスタートしようといって始めた自分たちの私設保育園が結果として50年も続いているなんていうものもあったり、あるいは教会立で保育園、幼稚園に通えない子供たちを一時的に預かってきたのが、だんだんカリキュラムが充実して、うちもその園に入れてほしいということで、結果として保育園類似施設になっているような施設というものもありまして、こういう施設に通っている子どもたちも私は決して経済的に豊かでいくらでも親の収入で園を選択できるというのではなくて、その施設以外だったらなかなか入るところがないという子どもたちもいますので、そういう子たちは、是非、救済をしていきたいなと今でも思っています。もう10月からスタートしますので、今、文部科学省の方では、全国にこういう類似施設で補助対象になっていないもので、しかし自治体としては、その園の経営を一定程度認めているものはどのくらいあるのだろうかというヒアリングをですね、春先からしていただいて、概ね全国で200数十の施設があがってきたところです。その辺をよく見てですね、できればもう一段階この対象を増やしていくようなことも、是非、検討してみたいな思っております。

記者)
 主権者教育についてお伺いしたいんですけれども、前回、参院選を踏まえて若者の投票率の低下が指摘されていますが、主権者教育の現場では、政治的中立性をある種担保するがゆえに曖昧模糊な教育になっているのではないかという指摘もあります。大臣としてですね、主権者教育における政治的中立どのようにあるべきかお考えをお聞かせください。

大臣)
 主権者教育、より具体的に言うと現存する政党の政策などを比較した方が、きっと子どもたちには分かりやすいと思うんですけれども、それは授業を進める上で誤解を招く可能性もあると思います。ですから、なぜ主権者教育が必要かということを、是非、教育現場の皆さんとも共有をしながらですね、副教材を充実させて若い人たちにきちんとした興味と認識を持ってもらうような仕組み作りというのを早急にスピードアップをして対応していきたいなと思っています。

記者)
 大臣、冒頭おっしゃったように、具体的な政策であったりですね、マニュフェスト等を教材に使った方が分かりやすいのではないかと。

大臣)
 本当はね。

記者)
 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、誤解を招くというのは具体的にどのような懸念なんでしょうか。

大臣)
 例えば特定の政党のですね、マニュフェストを皆さんに示してですね、例えばそれがいいか悪いかみたいなことを子供たち、生徒たちが議論をすればですね、自ずとこれはいいものだと、これはよくないものだということの色付けをしてしまうんじゃないかというのがございます。今まで行ってきた主権者教育の現場の声というのも、私、文科省に戻ってきましたのでしっかり聞いてみて、どういう授業だったら皆さんが興味を持って、そしてまた理解を深めてもらえるかというのは努力をしてみたいと思います。

記者)
 北大のですね、名和学長の件についてお伺いいたします。7月に国立大学法人になってから初めて選考会議の方から解任の申し出が文科省に出ています。ただ実際に今、2か月経ったんですが動きがないと。それからその前からですね、学長不在の状態が続いています。まず大臣には、この学長不在の状態をどのように認識されているか、それから2か月間進んでいない理由と今後の展開についてお伺いしたいと思います。

大臣)
 本年の7月10日に北海道大学の総長選考会議から柴山大臣のもとにですね、総長の解任についての申し出があったことは承知をしております。本件は、人事に関する案件なので、具体的なコメントは差し控えさせていただきますけれども、国立大学法人法及び行政手続法に則って、適切に対応してまいりたいと思います。すなわち、選考会議の申し出と事実関係の確認をしなければならないと思いますので、そういう作業を進めていきたいと思います。

記者)
 学長不在の状態についてはどのように。

大臣)
 学長不在の状態で新学期を迎えることは、決して好ましいと思っていませんので、できるだけ早く事実関係の確認をしたいと思います。

記者)
 加計学園の話で教えてください。今日、冒頭からお話しもされてたのは、おそらく文科省内の文書というのは、2016年の10月21日に当時の副長官と局長が会った時のそのメモのことをお話しされているんだと思うんですけれども、改めて大臣が、当時局長に面会されたこと、つまり2016年の10月21日にお会いされたというのは事実として確認されたんでしょうか。

大臣)
 ちょっと今、手元に当時のあれがないんであれなんですけれど、国会答弁を見るかぎり、高等教育局長が時間を作ってくれということで会いました。高大連結の相談ですとか、まだ成立してなかった給付型の奨学金のことでお話しを聞いたのは記憶しています。

記者)
 加計学園の関係の獣医学部の関係は。

大臣)
 加計学園のことでこの日に何か相談された覚えは全くありません。

記者)
 先ほどの質問でもあったと思うんですが、ただあの文書の中には、かなり具体的にいろんなことが書かれていました。総理の発言、総理がこういうふうに言っているとか、具体的に工期がこうだったと、かなり具体的に書いてあったんですが、先ほども改めて総理からそういった事実とかお話しはされなかったということでしょうか。

大臣)
 メモを私は覚えていますけれど、そもそも学校の開発の規模も存じ上げませんでしたし、工期がどれくらいでできるかというのも全く存じ上げませんし、そのことを総理と会話をしたことも全くございませんので、その部分は私の発言では全くないと思います。

記者)
 ではどうしてそこに書かれているんでしょうか。

大臣)
 だからどうしてなのかなと逆に聞きました。私は。

記者)
 今はどういうふうに。

大臣)
 今も不思議でしょうがないです。ただ当時の文科省の説明はですね、周辺情報も交えたメモを備忘録的に作ったんだけれど、それを表題を萩生田副長官の御発言メモとしたことが自分たちの間違いでしたという説明を受けました。

記者)
 分かりました。ただ私も省を取材していて、役人の方ってやはり記録に間違いがないようにしっかりメモをとられたりとか、記録に残すということをされていらっしゃるところなんだなというふうに思っていたんですが。つまりでも改めてあの時に書かれていた10月21日というところで見ても、あれはつまり、でも、でたらめに書かれているものだという印象だということですか。

大臣)
 10月21日メモが、メモの中身がですね、私と当時の局長のやりとりではないです。中身がでたらめかどうかは分かりません。

記者)
 でもそれは、その大臣の御記憶の方としては、記憶に基づいてそういうということですか。

大臣)
 今日は記憶に基づいていますけれど、当時はかなりですね、何でこんなことになっちゃったんだろうということで、文科省の皆さんともずいぶんやりとりをしました。お詫びをされたんですけど、お詫びをされても問題の解決にならないから、何故こういうメモを作る必要があったのか、何故その私の発言ではないものも含めてこういうメモになったのかというのはずいぶん問いただしたんですけど、その局長もこのメモを作れと、当時はこのメモを作ったことの了解もしなければ出来上がったものも見てないと。本来、大事なメモだと、メモと言いましたけど大事な資料だとすれば、それは副大臣や大臣にも上げてですね、きちんと確認してもらえばいいわけですよ。要するに誰に見せるためのものだったのか分からない。何のためのものだったのか分からない。そこに人の名前を使われたら正直迷惑だというのが僕の当時の思いだったんですけれど、詳しい何故こういうものを作ったかというのは、残念ながら局の方からは説明はありませんでした。さっき申し上げたのは、副大臣から、結局、省内の意見の対立を収めるために、萩生田副長官の名前を使った人たちがいたと、それで迷惑をかけたということは当時言われました。

記者)
 大臣としては、でもあそこのメモに書かれていたような発言はされた記憶はないということですか。

大臣)
 ないです。私は。

記者)
 通常、一般的に見た時に、以前の過去の記憶であればなおさら、役人の方々もだからこそ記録に残すんだと思うんですが、大臣のお話しを聞いていると、ないと、そういうお話しをされたことはないし、総理からもそういった御指示、お話しをされたことはないとおっしゃるのも根拠として言ってらっしゃるのは、あくまでも御自身の記憶に基づいていらっしゃるという理解でよろしいですか。

大臣)
 当時の私の国会での発言の答弁がございますので、松野大臣がですね、表題は萩生田副長官の御発言ということになっておりますが、中に書かれている内容に関しては主語はそれぞれ異なるものが書いてあると。また、製作者自身から、これはもう副長官が知っている範囲のことではないことも含めて補充して文書を作成しているとのヒアリング結果がございまして、そのことも含めて報告をさせていただきましたというふうに大臣が国会で答弁をしたのを、同じようなことを私にも説明がありました。

記者)
 つまりあのメモは、やはり不正確な内容だったというふうに今も大臣は捉えてらっしゃるんでしょうか。

大臣)
 私にとっては極めて不正確ですよ。

記者)
 そんな不正確なものを残すような省庁だということなんでしょうか。

大臣)
 だから私は、そういう意味では、ある意味では、さっき申し上げたように、副長官としては政府全体を俯瞰しなくてはなりませんから、一議員としては文科省に対して非常に憤りを感じてですね、信頼を失った、そういう時期もございました。いずれにしても何か必要があって作ったものだと思うんで、それを何のために作ったのか、どこに使うのかということが説明ができないということが極めて私はおかしなことじゃないかなと思います。

記者)
 通常は信ぴょう性がでもあるものとして、どこの誰が作ったものか分からないものであれば信ぴょう性はないと思うんですけれども、役所の方が作られて記録されたものであれば、普通に一般的に見て特に過去のことであれば、記録だったり、もしくはその当時のものがないということになれば、残っているものが信ぴょう性があるんじゃないかというふうに捉えるのが通常ではないかなと思うんですが。

大臣)
 私も本来文科省の仕事としては、そうあって願いたいと思いますし、そうあるべきだと思いますけれども、少なくとも私との関わりの中では、何故これが私の発言なんですか、これはいつ私が言ったんですか、という内容でありまして、そういうやりとりは当時ずいぶんしました。当時の皆さんと。

記者)
 先ほど大臣は、一番最初に毎年のようにノーベル賞が出ていて、ただ研究費の問題とか、研究者を目指す人が減っているのが結構問題があるんじゃないかということをおっしゃったんですけども、科学技術に関連して、大臣としてのこれが今問題だなということと、それに対してどういうところをどういうふうに解決していきたいのか。大学改革についても御所見があったら教えてください。

大臣)
 若手研究者の育成・確保について、もう少しシステムをきちんと構築して、その道を目指した人たちが、将来に不安なく研究にある意味没頭できるような環境を作っていきたいなと思っています。それから、せっかくいい学校、いい研究機関があるんですけれども、横串を刺すような連携というのはうまくいってないなということを感じていまして、産官学とよく言いますけれども、民間の企業、あるいは研究機関、あるいは大学、こういったところが連携をして更に研究の深堀ができ、新しいそれが産業にも結びつくような、そういった仕組みというのを作っていきたいなと思います。いずれにしても少し環境整備をしないと、私が政務官の頃にもやっぱりポストがなくてですね、途中から研究者が中途半端な年齢で違う業界に行かざるをえなかった、再就職しなきゃいけなかったということが、非常に多く見受けられました。最近は、そこは予算でですね、何とか研究所に残れるようにはなったんですけれど、だからといって生涯、その仕事に就けるかというとまだまだ不安はあるんだと思うんで、こういう人たちをしっかり確保できるようにしていきたいなと思っています。例えば1点だけ例を申し上げますと、私は火山について非常に党の中でですね、火山の観測について力を入れてきまして、実は日本の場合はですね、東大の藤井先生たちの年代にひと塊、火山の専門家と言われる人たちがいるんですけど、このあと60代、50代、40代って全くスケルトンで、火山の研究者がいないんです。それは何故かというと、分かりやすく言えば、地震なら食っていける。地震なら職員もあるけれど、火山じゃ残念ながら仕事はないという時代が続いたものですからこういうことになっちゃったと思いまして、3年前から研究者倍増しろということで文科省にもお願いして、おかげさまでどんどん増えています。今度はその人たちの就職先を見つけなくてはならないので、先日は全国の活火山を持っている自治体の知事さんたちとお話しをして、将来こういう人たちが卒業した時に本人が納得するんだったら県庁職員として雇っていただいて、1人の研究者が1つの活火山をいつも見ることができる。この人に聞けばあの山のことは絶対詳しいという、そういう専門家を育て、そして万が一噴火した時の対応ができるようにしていきたいというようなことを、今取り組んでいまして、こういう受け皿も含めて産業界と一緒に考えていけば道は開けるんじゃないかと思っていまして、努力してみたいなと思っています。

記者)
 教育関係の喫緊の課題ということで2点、ちょっとお伺いしたいんですけれども。1点目は、大学入学共通テストの英語の民間試験の活用、こちら昨日ですね、全校長の先生方が延期の要望を出されたりとかして、現場ではかなり不安がたまっているんですけど、まずそのことについて予定とおり来年4月から実施する方針が変わりないのかということと、あとこの不安解消に向けてどうするのか。それからですね、働き方改革、先生の働き方改革で教員採用試験の倍率が全国的に低下するなどですね、人材確保が今大きな問題になっているかと思います。これについての問題についてどう対応していくかということ、この2点お願いします。

大臣)
 英語の試験につきましては、私も昨日まではテレビの報道を通じて見る立場だったんですが、いずれにしましても初めての試みです。仕組みとしては、できるだけ公平性を保ってですね、そして受験者の皆さんがチャレンジしやすいような環境というのは少しずつ進んでいるんだと思いますが、今日の段階ではまだ不明瞭な点があって、それをもって不安に思っている受験者や校長先生がいらっしゃるということは承知をしています。確かに延期だ、止めてくれという要望があったことも承知してますけれど、やっぱりこれは迫っている話しですから、そのことを止めることによる困難というのも生じることになると思いますので、私の立場からすれば柴山大臣から引き継ぎをした内容でありますので、まずはその何が不安なのか、その不安を解消する手立てとしてどんなものがあるのかというのを早急に精査をしてですね、そしてできるだけ受験生、また学校現場の皆さんの不安を取り除くことができるように全力を尽くして対応していきたいなと思っています。

記者)
 スケジュールは4月からというのは、今のところは変わらない。

大臣)
 これは継続をしたばっかりですから、私としてはそれに合わせてやっていきたいと思います。それから教員のですね、倍率が下がっているということはちょっと残念なことだと思います。特に公立学校の先生方についてはですね、学校現場の大変だということが、もう学生時代からかなり先入観として持たれてしまう一面もありますので、やっぱり教員になろうと思って志を持って教育学部で、あるいは教職課程を取っている学生さんは大勢いるわけですから、その教員との出会いがですね、子供たちの人生を変えるくらい大切な価値のある職業だということを改めてそれを目指す皆さんにもう1回魅力を発信をしていきたいと思いますし、また働き方についてはですね、教員の皆さんができるだけ子供たちと向き合って、本来の授業に大きな力を注ぐことができるように、周辺の事務作業ですとか、アンケートですとか、本当に細かいことで多くの時間を取られている一面もありますので、学校にはいろんなスタッフの人たちがいます。あるいはこれからも必要があればそういうマンパワーを投入してもですね、より充実した授業ができるように、しっかり体制を作ってですね、働く皆さんも誇りを持って教員を続けてもらえるような環境というのをしっかり再構築していきたいなと思っています。

記者)
 先ほどの加計のメモの問題ですけれども、先ほどの話だと、メモの中の働きかけと獣医学部新設のための働きかけと取られるような発言は、全て事実ではないと否定されるというようなお考えを言われたと思いますけれども、そうであるとしたらその文書にある発言というのは、文科省の職員がいろんな思惑で事実無根なところから、萩生田さんの名前を使ってでっちあげられたものであると、そのように認識されているということなんでしょうか。

大臣)
 確か2回文書が出てきたと思うんですね、2枚。私、当時の国会で報告していますけれど、四国が養殖を盛んにやっているんで、新しくできる学校では養殖の、要するに魚の病気に対応できることを考えてもらいたいと思っているんだということを局長から説明を受けたので、それに対して私は同意をしたりしたことは確かにあったんです。それと似たようなことが確かに文書に出ていたんですけど、じゃあそれは私の発言かというと私の発言ではなくて局長の発言に私が同意をしたということなので、そういう意味では類似の発言は中にあるんですけど、これは私の発言ではないんです。私はそもそも四国で養殖が盛んだとかいうことを承知してませんし、愛媛県の関係者に会ったこともありませんでしたので、全くそういう事実とは違うんですけれど、そういえばそういう中身の話題をあの人してたよなと後に思ったことはあって、そのことは当時の国会で多分触れたと思います。

記者)
 ということは萩生田さんの発言であるように作り上げられたと。

大臣)
 私、この文書が何の役目を果たすのか今でもよく分からないんですね。この文書を作って、どなたに見せたらどんな効果があるのかというのは私には全く分からなくてですね、そのことは当時、文科省の皆さんに問いかけをしましたけれども、正しい答えはなかったです。

記者)
 憤りという言葉もありましたけれども、これから仕事をされるわけですし、でっちあげであり、捏造だったりですね、そういうことがあれば、この際はっきり言ったほうがいいような気もするんですけど。

大臣)
 だからはっきり申し上げてますけど。私としては、私が発言していないことが私の発言だといって文書で出てきて、そして大変疑念をかけられたわけですから大変迷惑しました。当時もそういうことは申し上げたと思います。ただ関連情報で、例えばさっき申し上げた写真とのことなんかでですね、あたかも私が答弁で虚偽をしたかのようなことを報道されたりして、だんだんだんだんストーリーがある意味では出来上がっていってしまって、私にしてみれば何でこんなことになっちゃったんだろうかというのが当時の印象でした。だからいまだに何故この文書を作る必要があったのか、誰の指示で作ったのか、作った文書を何に使うのか、もう1回聞いてみたいくらいですけど、こういうことがないようにですね、公文書の扱いというのは、その後きちんと文科省もなっていると思いますので、是非、それは確認をしてみたいと思います。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室