平成20年2月22日大臣会見概要

平成20年2月22日
8時36分〜8時52分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議は、通常のご報告がありました。文部科学省関係では、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案につきまして閣議決定を頂きました。閣議後の閣僚懇談会で、防衛大臣からイージス艦事故に関して報告がございました。要点だけ簡単に申し上げますが、あってはならない事故が起こって大変遺憾に思っている。海上保安庁や現地の方々と今捜査活動に当たっている。事故の原因究明は海上保安庁が行っている。情報については、多少不確定であってもそれを前提としてできるだけ出さないとかえって不信感が生まれるので、お知らせをしていきたい。原因究明と対策防止が今の一番の仕事だ。体制の問題もしっかりやる。現地で色々な方々にお会いしてご要望を聞いてきたが、とにかくこういうことは二度と起きないようにして欲しいということと、これは千葉県知事からも要望があったそうですが、連絡網をしっかりとして欲しい、そういったことが報告されました。総理からは、何よりも行方不明の方の捜査、また原因究明、そして防衛省の根底からの改革、また危機管理、これは防衛省だけではないと思いますが、そういった発言がございました。

記者)

 中央教育審議会(以下「中教審」)が19日に生涯学習の振興方策について答申しましたが、この答申を受けて文部科学省は具体的にどういったことに取り組んでいくのか、大臣のお考えをお聞かせ下さい。

大臣)

 答申では、国民一人一人の生涯を通じた学習の支援のための方策、社会全体の教育力向上のための方策、また、これらの取り組みを進めるための関係法令の見直し等について提言を頂きました。文部科学省としては、この答申を受けまして、まず、放課後子どもプランや、平成20年度予算で初めて出しました学校支援地域本部事業といった、地域ぐるみの子ども教育を行う環境づくり、そして、きめ細かな家庭教育の支援、それから、民間事業者が行う検定試験等の質を担保するための新たな学習成果の評価の仕組みづくりの検討、こういったことを実施すると決めております。同時に、今国会に社会教育関係三法(社会教育法、図書館法、博物館法)の改正を提出するための準備を進めております。教育というのは、もちろん学校、これは各段階における教育があるわけですが、地域、そして家庭、また一人の人間を考えますと、幼児期から、また社会人になってからも人生全体を通じて教育の場が提供される必要があると思いますので、今回の答申を受けまして、そういった社会教育の推進に今後とも力を注いでいきたいと考えております。

記者)

 28日開催予定の教科用図書検定調査審議会総括部会で審議される教科書検定の改善について、検討課題としてはどのようなことが考えられるのか、大臣のお考えをお願いします。

大臣)

 これは、昨年の沖縄の教科書検定の問題の時の談話でも、やはり検定の方法を検討をしなければいけないと申し上げておりました。そのことを実践すべく、まず一点は、当時も議論にありました、検定制度の透明性をどうやって上げていくかと。昨年の訂正申請に伴う検定の作業というのは、ある意味、あの時期にあれだけということで出来たわけですが、通常の検定で同じことをするのは、量的にもなかなか難しいだろうと。そうなりますと、通常の検定の透明度をどうやって上げていくかということを、一度審議会でご議論を頂きたい。また、当時も話題になりました、専門的見地からの検定のあり方についてもご議論を頂きたいと思っております。加えて、今回学習指導要領が改訂をされます。今パブリックコメントにかけていますが、これは従来もそうですが、今回の改訂を受けての検定がどういうふうに行われたらいいか、また、内容・記述・体裁等のあり方についてご意見をまとめて頂きたいということで、一つ例を挙げますと、基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得について、検定においてどう活かしていくか、どういうふうにやって頂くかについてもご議論をお願いしようと思っております。

記者)

 昨日発表されました、イージス艦と漁船の衝突した海域における捜索活動に独立行政法人海洋研究開発機構(以下「海洋機構」)の海洋調査船「かいよう」を派遣する件ですが、その後、具体的にどういうことをするかという指示は何か来たのでしょうか。

大臣)

 今、やり方等は検討しているところですが、防衛省からは、海洋機構が保有する船舶および探査機を平成20年2月23日までに護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突した海域に派遣し、漁船「清徳丸」のまだ発見されていない船体部分の捜索を行うこと、という依頼文書が来ております。今横須賀で徹夜で準備作業をやっております。まず深海曳航体「ディープ・トウ」を積み込み、また「ディープ・トウ」の性能がきちんと担保されているか等の試験を行い、また航海が長くなる可能性もありますから食料や燃料を積むことも含めて、調査がうまく行えるように準備を進めております。現在まで分かっているところでは、今夕には出航できると。時間的には、潮流にもよりますが、3時間程度で現地に着けるのではないかと聞いております。確かな情報が入りましたら、またお知らせ致します。

記者)

 先日、アメリカの写真家の男性器が写った写真集について、最高裁がこれは全体として見ると芸術性が高いということで、輸入を認めました。芸術を所管する立場として、わいせつと芸術の境目はどこにあるとお考えですか。

大臣)

 そのことについて、私は正直、それほど情報を持っておりません。これは多分に主観的な部分もあると思うのです。というのは、そういうことであっても芸術性が高いと判断をされたということになりますと、ある意味での外形的な基準をしっかり設けるのは、多分難しいのだろうと正直思います。例えば、ローマなどへ行っても昔の色々な彫刻がわいせつだから駄目だとはなっていないわけです。私自身はそれを判断する基準は持ち得ないなと。やはり時の司法なりが判断をするのも一つでありましょうし、また、芸術性ということになりますと、多分表現の自由ということと絡んでくると思います。そういった意味において、司法が判断をされたのだろうと。時代に応じても変わってくるものでしょうし、もし法律で明快な基準があったとしたら非常にクリアに申し上げられることなのでしょうが、なかなか難しいですね。

記者)

 昨日の中教審の大学院部会で、博士課程を修了した後になかなか就職できないという問題が初めて取り上げられ、中には、文部科学省の新規採用を博士号取得者にしろとか、あるいは定員をどうするべきかとか、そういう議論もあったのですが、大臣は何かアイデアといいますか、解決策として、こんな方法が良いのではないかということはありますか。

大臣)

 今は闊達なご議論を頂きたい。もう少し様子を見てみたいというのが、正直な気持ちです。ただ従来から、これは委員会でも質問がございまして、一つ言えることは、幅広い選択肢をどう用意していくかということがあると思います。これは総合科学技術会議でも、相澤議員だったと思いますが、例えばポスドクへのフェローシップ等の支給対象を博士号取得後5年間くらいまでに制限して、大学院やポスドクの方々が、自分の将来の進路についてもっと早期に幅広い選択肢に接する機会を作る、マッチングをするということをやった方が良いのではないかという提案が出ております。私はまったく賛成でございます。日本は日本の形があって良いとは思いますが、日本の場合、どう見ても研究者とか教育者が大学に残るという志向が強いようでして、アメリカの例を見ますと、民間企業の中で活躍されている方がかなりいらっしゃる、また、途中で進路を変えておられる方がたくさんいらっしゃるわけでして、そういう意味でも、どうも我が国の研究者の社会というのは、少し閉鎖性が強いのではないのかなと。もっと自由に色々な進路を選べるような環境を作り上げていく必要があると思います。大学院やドクターへ行ったからといって、将来の道が必ず用意をされているという形ではありませんし、また、そういうふうに硬直化してしまうというのも問題だと思いますから、大いにご議論を頂いて、色々な選択肢が得られるような環境を作っていきたい、これが私の率直な意見でございます。

(了)

(大臣官房総務課広報室)