平成20年1月15日大臣会見概要

平成20年1月15日
9時46分〜10時1分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日は国会最終日でして、定例の閣議がありました。閣議は一般の報告案件がありまして、その後の閣僚懇談会で、厚生労働大臣から新型インフルエンザ対策の充実強化について報告がありました。この件については我が国も十分な対策をしていて、今までも訓練等もしているようですから、再度そういったことも含めて、より国民に心配を与えないようにやりたいという報告がありました。また、総理から国会が終わるにあたって、大変長い、長い長い国会であったけれどもというお話がありました。テロ法がこの国会の一つの大きな目的であったわけですが、それ以外にも、肝炎の対策等、成立を期すことができたと。臨時国会は終わるが、ゆっくりというわけにはいかず、すぐに通常国会が始まるわけですが、引き続いて緊張感をもってやっていきたいと。これからむしろ前向きに、こちらがやるべきことをしっかりとやっていこうと、こういった発言がありました。また、行政改革について、これまで色々と民営化等をやってきたが、特に道路公団とか郵政といったものについて、民営化後の状況を関係各省は再度検証して、閣僚懇談会でご報告を頂きたいといった発言もありました。

記者)

 臨時国会が終わりますが、そのご感想と、次期国会への抱負を頂けますか。

大臣)

 この国会は臨時国会と言いながら長かったなと。国会が始まってすぐ、安倍前総理の辞任がありまして、福田内閣が発足し、そして私にとりましては初めての入閣ということもあったわけでして、そういった意味では、自分の政治人生にとっても大変思い出の多い国会になったなというのが、正直な実感です。そういう中で、この国会中にも様々な出来事といいますか、案件がありました。一つは年末にもご報告致しました、沖縄の教科書の問題です。また年末には、教育三法を受けての予算編成という問題がありました。この中でも皆さんにご案内のように、先生が子どもたちと向き合う時間を増やすということで、最後まで色々な折衝をしたわけですが、その中で、千人の教員定数増並びに7千人の非常勤講師配置のための事業費といった成果を得ることもできました。その成果を予算案にしっかりと反映していかなければいけないわけですから、新しい国会においては、まず年度内に予算を成立させる。これは政府としての責任でもあるわけですし、私は文部科学省に関するこの予算をしっかりと成立をさせていくことにまず焦点を当てて、新しい国会を頑張っていきたいと思っております。科学技術の分野におきましては、ひとつ明るいニュースとして、山中教授の研究の成果というものが発表をされました。オールジャパンで今後研究を進めたいということで、我々もスピード感をもって体制作りに臨んだわけですが、先日10日のライフサイエンス委員会の下につくりました新たな部会におきまして、オールジャパンの体制の形というものが見えてまいりました。新しい予算も確保したわけですが、これは文部科学省だけの問題ではなくて、オールジャパンですから、今後関係省とも連絡を取りながら、しっかりと研究を進めていきたいと思っております。科学技術予算につきましても、私からすれば十分とはなかなか言い切れないわけですが、非常に厳しい財政状況の中で1.7パーセント増と。これは3年ぶりに少し反転攻勢が実現できたわけですから、よく言われております集中と選択ということをよりしっかりと見守りながら、今後とも科学技術政策を進めていきたいと思っております。加えて今年はオリンピックイヤーです。北京オリンピックがありますから、それに向けて日本の選手が頑張れるように努力していきたいと思います。また、2016年の東京オリンピックの招致活動も本格的にスタートしたわけですから、こういったことについても頑張っていく年になろうと思っております。最後に、私は政治家でありますから、前回の選挙から2年半を経過しようとしている中で、政治の状況というのは複雑に変化すると思いますし、これからどうなるかは今後の動向次第でありますが、そういった意味では、政治の状況もしっかりと見ながら、しかしやるべきことは、この任にある以上、しっかり責任を果たしていきたいというのが、今の率直な私の気持ちです。

記者)

 いわゆる「ゆとり教育世代」と言われる人たちが新成人になったということなのですが、新成人に一言お願いします。

大臣)

 昨日もテレビで色々新成人の言葉というのが報道されておりました。マイクを向けられると、と言うと非常に失礼かもしれませんが、各人それぞれ、自分なりの夢というものを語っておられたような気が致します。新成人になって今彼らが感じておられることを、たまたま成人の日だからということではなくて、今後ともしっかりと、自分の中で忘れないようにして、頑張って頂きたいと思います。私は、我々があの世代であったときに、我々の両親、また祖父母の世代がどう見ていたかということを、いつも思います。私の父親は確か私達のことを、最近の若い者はよく分からんと言っていたと記憶しております。そういうものだと私は思っております。世代が変わり、文化が変わり、また色々な意味での価値観なり、興味も変わっているわけですから、一概に今の若い人の行動を、我々があれはどうだ、これはどうだと見ること自身、私は必ずしも適当でないと常に思っております。しかし、社会人になるわけですから、そういった意味での自覚はしっかりもって頂きたい。あるところで、確か模擬投票をやっていたと思います。ああいう試みはやはり良いなと。彼らがこれから有権者として社会にものを言うようになるわけで、また、日本の社会で活躍する世代になっていくわけですから、彼らの未来に期待をしたいと私は思っております。

記者)

 その関連で、これはあくまでインターネット上の話ですが、インターネット上では、ゆとり世代というとすごく馬鹿にされている表現をされる、要するに学力低下の象徴みたいな感じで言われたりすることがあるのですが、何かそういうことについてお考えがありますでしょうか。

大臣)

 私はそういうふうに見る必要は全然ないと思います。やはり学力だけでものを判断をすることも、ひとつの問題があります。もちろん学力というのは、しっかりとつけてもらわなければいけない。文部科学省としてはそのために、先程申し上げませんでしたが、学習指導要領の改訂ということも近々控えています。良い意味で反省も含めて、新しい学習指導要領を作るという作業もあります。しかし、これから彼らが社会でどう育っていくか、またどう活躍をしていくかというのは、ある意味これからの問題であろうと思いますし、また一つの世代をそういう形で一元的に捉えるのは、なかなかできないことではないかと思います。我々はいつも団塊の世代と言われるわけでして、私も今年還暦で年男でありますが、では我々の世代はどうだったと考えたときに、学生時代には圧倒的にバリケードの中にいたことが多かったわけですが、それをもって学生時代にあまり勉強していないのではないかとも言えないだろうと思いますし、それぞれの時代に応じてやられたことということが、その世代に反映しないとは言いませんが、それだけでものを見るというか、その世代を塊として決めつけることは適当でないと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)