平成19年9月18日大臣会見概要(閣僚懇談会)

平成19年9月18日
9時31分〜9時51分
文部科学省記者会見室

大臣)

 今日も総理がご入院中ですので、閣僚懇談会という形で開催されました。平成19年秋の全国交通安全運動の実施について、関係大臣からご発言がありました。私からは、既に報道各社にご報告しております、9月14日の月周回衛星「かぐや」の打上げが成功したことを報告しました。
 あと与謝野官房長官から、「総理のお見舞いに伺ってきました。閣僚全員のお見舞いの気持ちをお届けしました。ご本人はできるだけ早く公務につくべきだというお気持ちを持っておられましたが、ご家族や医療関係者とよく相談をしてご判断なさるべきで、お気持ちはお気持ちとして、専門家の意見を聞いて対応して下さいと言って帰ってきました」というお話がありました。

記者)

 金曜日に「かぐや」が無事打ち上がりまして、今回はロケット打上げ事業を民間に移管という形で、三菱重工業に移管して初めて打ち上げられたケースですが、それについてどのような意義というのをお考えでしょうか。

大臣)

 不必要なことは官でやる必要はありませんし、また地方でできることを中央政府が統制する必要もないわけで、民でできることは民、地方でできることは地方ということは、ひとつの大きな流れになっているわけです。今回「かぐや」の打上げが成功したのは、基本的にはH−2Aロケットというものの性能、信頼性の証明だと思います。大きな研究開発というのは、ある程度信頼を勝ち得て、市場原理に乗るまでの間は、国が手を差し伸べて行かなければなりませんが、これからは民間がやれるというのに、引き続き官が既得権のようにその仕事を自分の手元においておくということは、戒めなければなりません。ですから、ひとつのキャッチフレーズで世の中の全てのことを判断してしまうのはなかなか危険ですので、ケースバイケース、そして自分の物事の運びについてしっかりとした信念と自信を持ちながら進めて行くということだと思います。一応民間でもできるレベルまで到達したということですから、今後関係者にも、利潤を上げることのために安全性や技術水準がないがしろにならないようにしてもらいたいですし、同時に、国としても新たな分野で必要なところには、国民の税金を投入していくということではないでしょうか。今回の件は、現時点では官から民へ非常にうまく移管できたひとつの例だと思って、私は喜んでおります。

記者)

 自民党総裁選ですが、先週、志帥会としては福田元官房長官の支持ということを述べたわけですが、なぜ福田元官房長官を支持するという立場になったのかというのと、推薦人を見ますと、志帥会というか、伊吹派と言われるところから5人、麻生幹事長の方に出ているという、これについてはどうお考えなのでしょうか。

大臣)

 まず一番大切なことは、やはり有権者に対して突然の辞任で迷惑をかけないということでしょう。そのために、政治空白を最小限に抑えなければなりません。現在は安倍内閣が続いているわけですから、各々の閣僚は空白感みたいなものに囚われず、自分の職務を毅然として粛々としてやっていくことが、国家を預かる者の基本的な姿勢です。その中で、内閣改造までに色々言われたことは、内閣がチームとして的確に対応できたのかどうかということでした。そして改造後、自民党幹事長に辞意を表明された10日から水曜日までの間を含めて、きちんと危機管理をしておくべきではなかったかなという印象を、私は持っております。そういう観点から言いますと、国会を乗り切って国民の付託に応えていくため、国会の答弁や年末にかけての予算編成を堅実にこなしていけるチームが組めるどうかを、国民的な立場に立って自民党は一番に考えるべきだと思います。そういう観点からしますと、福田元官房長官は、私も色々お付き合いがありますが、政策的な面では人の言うことをしっかりと聞かれますし、周辺の方々を見ましても、この危機に対して対応していけるチームが組めるような感じがします。麻生幹事長は、個人的に非常に親しいし、楽しい人なのですが、いかんせん、スタッフが少ないと思うのです。で、スタッフが少ないことをカバーするような努力も、周辺の方々にどの程度あるのかという気がしまして、国家的な立場から言いますと、今は緊急事態ですから、手堅く、日本の、或いは日本政治の危機管理ができる人が良いのではないかと思っています。
 派閥というのは、中選挙区制のときは親分子分のような関係がありました。ひとつの選挙区で5人区なら5人、自民党が立候補することもあったわけで、党は助けてくれません、一人をえこひいき出来ませんから。当然、派閥の後ろ盾というものが必要だったのです。ですから中選挙区のときは、5人区が最大の選挙区制度でしたから、派閥は5つありました。5つ以上になる必要性もありませんし、以下では困るわけです。しかし今は小選挙区ですから、派閥の力は弱まっています。私の派としては先ほど申し上げたような観点から、今回は、福田元官房長官で緊急避難をした方が国民のために良いのではないかと思いました。しかし、麻生幹事長の推薦人になったり、地元の事情で麻生幹事長の推薦人を頼まれたりした場合は断ることはないと。我々がそれを無理にまとめるということはないと。ただし、色々な事情でやむを得ず名前を貸していますが、投票については会長とご相談をして対応をしたいという人もいます。或いは、名前が出ていない他派の人で、随分とその派の決定と違う人がいると思われる派もあります。最終的には投票をどれだけしっかりと確保していけるか。それから、無派閥ですが一緒に行動したいという人もいるでしょう。ですから、もう少し深呼吸して、一週間ありますから、ゆっくりと状況を見ていたらどうでしょうか。

記者)

 神戸で、いじめと取るのかどうかまだ分かりませんが、高校生の自殺がありました。学校側は事実はつかんでいたようですが、いじめとは取らなかったというような発言をしております。今後の調査次第だと思いますが、現在のところの所感をお願いします。

大臣)

 内容については報道各社の報道でしか知りませんから、それだけで論ずるのはいけないのかも分かりませんが、いじめというよりも、一種の恐喝だと思います。ですから、学校当局も、当事者も、やはり毅然として対応してもらわなくてはいけないと思います。今回も私学です。この前の特待生問題や大学の合格率の水増しというようなことも含めて、建学の精神をしっかりと守っていくと。そのためには、自分たちの自己規律というものがないといけません。どこかで国民からの批判が出てきて、制度が良いのか悪いのかなどという議論にならないようにしてほしいと思います。

記者)

 関連ですが、今回の事件では、メールということが言われていて、報道ではネットいじめということが言われています。学校現場では、ネットいじめや、メールでのいじめ等、いじめの本質というものが非常に水面下になってきて、学校側も把握しにくい現状があるということが、かなり深刻になってきてるようですが、その点について大臣どのようにお考えですか。

大臣)

 いじめられているとか、目に映るという状況を把握できるかどうかというポイントではないと私は思います。メールでこういうことが来てることは一次的には先生の目に触れないかも分かりませんが、それを相談できる先生、相談できるご両親という、これは安倍総理の教育改革の原点であったと思いますが、家族の間の信頼感をどうすればもう一度取り戻せるのか、そして地域社会や、学校の教師と生徒の関係をどうすれば取り戻せるのか。これは学校現場のことだけではできませんし、生活の基本はどこに頼っていくかという、百年仕事の日本の産業構造のあり方のようなことにも関係してくると思います。あまり理屈ばかり言っていても仕方がありませんが、見えにくくなっていることは確かですが、先生が何もしてくれないと言われる親に限って、子どもから相談すら受けておられないというケースは多々あります。ですから、そういうところを地域社会とか、家族のあり方とかを、教育再生会議や中央教育審議会も色々言っている中で、文部科学省も社会教育法等をいずれ改正しなくてはいけないのでしょう。もう少し、手を入れていく分野があるように思います。

記者)

 「かぐや」の打上げに関連してですが、月探査が国際的にも注目されているのですが、日本は今後、限られた予算の中で、どのように月探査を進めていくべきかというスタンスを教えてください。

大臣)

 各国も、これから目白押しで月へ打ち上げるということですが、宇宙空間は人類共通の財産であるべきで、北極や南極の領有権のようなものだと思います。ですから、月並みのことですが、国際協力をしっかりとやっていくということと、そこにできるだけ日本も公的資金を入れなければいけない部分は入れていくということなのではないでしょうか。

記者)

 いじめの件は文部科学省としても調査する方針になりますか。

大臣)

 私学は各都道府県知事部局の所管ですから、まず兵庫県によく状況を聞くと。私の感覚からしますと、いじめというよりも、完全な犯罪だと思いますから、その辺のこともよく実態を伺って、警察とも協議しながら対応するということでしょう。

(了)

(大臣官房総務課広報室)