大臣会見概要

平成19年9月4日
9時53分〜10時12分
文部科学省記者会見室

大臣)

 今日の閣議は特段のことはございません。閣議終了後の閣僚懇談会において総理から、所管の仕事については、公平、公正、厳正に処理しなければならないので、国民に不公正な感じをもたれないように、各閣僚は所管の仕事についてしっかりやって下さいというお話がありました。

記者)

 昨日、遠藤前農林水産大臣が就任早々一週間で、ご自身が理事長を務める団体の補助金の不正受給の責任を取って、結局辞めるという事態になったのですが、それについてはどのように受け止められていますか。

大臣)

 総理のお話にもありましたように、自分が所管をしている仕事については、自分が大臣であるから、自分の関係している団体とか、後援者とか、知人とか、そういう人に対して有利になったという印象を国民に与えることは、行政を預かっている者として、一番心しなければならないことであるだけに、今回、遠藤前大臣ご自身が理事長として、どこまでご存知であったかは、私は当事者でありませんので軽々にコメントをするのは差し控えたいと思いますが、トップとしての責任を痛感されて、ご自身のご判断で辞職をされたということでしょうから、政治家の決断としてこれを受け入れて、私たち一人一人も、各々の行政について、また政治家としての所作、立ち居振る舞いについて、遺憾なきを期さなければならないということだと思います。

記者)

 その問題を受けてですが、大臣ご自身の関係する団体等の関係について、改めて見直されたとか、そういうことはございますか。

大臣)

 いや、そんなことはありません。私の事務所は、京都と東京で活動していますから、経理は二つありますが、各々一ヶ月毎に集計をし、次の月の一週間の間に、必ず私はその集計表に目を通して、私が決裁をしていますから、何か見直すということはありません。遠藤前大臣の話は、むしろ、今あなたがご質問になったような性格のものではなく、国民から預かっている税金の処理の問題だと思います。

記者)

 外務省の坂本大臣政務官も昨日辞任され、内閣改造後一週間で大臣と政務官一人ずつ辞任ということになったのですが、これについて政権運営の影響等お感じになりますでしょうか。

大臣)

 官房長官が言っていましたように、政治資金の問題や、自分の関係している団体が公金、今のように補助金を受給している等について、事前に調べているのでしょうが、100パーセントは分からないです。そして、自分が正しいと思っている事でも、おかしいと言われる事もあるのです。私は今もそういう気持ちでいます。ですからそういう時は、自らが進んで説明をしなければならないのです。政治資金というのはあくまで政治資金であって、選挙のために使う選挙資金ではありませんし、勿論、私的に使うお金でもありません。そのルールさえしっかり守っていれば、あとは解釈の違いや、色々な主張の違いというのはあります。例えば税務調査でも、この経費は販売促進費なのか交際費なのかということはよくあるのです。坂本前政務官の場合は、私は事実関係はよく分からないので報道だけで判断するのは適当ではないとは思いますが、多分、ご本人はご存知なかったのではないかと思います。ひとつの領収証を二度、三度使うということは、その領収証で経費として計上されたお金が何処へいったのかという説明をしない限りは、政治資金として使っていたという説明は非常に難しいのではないかと思います。で、ご自身が監督をしている事務所で起こったということについて、責任をお取りになったということだと思います。官房長官も言っていましたように、内閣官房も100パーセント分かるわけではないので、自分たちでも、常に自分で決裁をして、自分で見ていないと、秘書がやったとかということは基本的に通りませんので、そこは大切にしてやっていかなければいけないと思います。

記者)

 総理の任命責任については、どうお考えでしょうか。

大臣)

 形式的な任命権者は総理ですが、全て総理が見ておられたかどうかについては、むしろ任命責任というよりも、官邸チームの編成とか、危機管理の対応とか、そういうことだと思うのです。ですから、そういう人たちを適所に配して、何か起こった場合には危機管理的に対応すると。今回、結果的にああいうことになったのは、大変残念だったと思いますが、対応は比較的迅速であったのではないかと私は見ています。

記者)

 1円以上の領収証の添付義務については、賛成されますでしょうか。

大臣)

 賛成・反対ということではなくて、これをまた、話の一部だけ放映されたりしますと、大変な誤解を受けてしまいますが、国会議員が日頃、政治家としてやっている活動というのは、政策活動が半分で、後の半分以上は、選挙の準備活動たる政治活動をしているわけです。その為に地元回りをする秘書の人件費を払ったり、その秘書が動く軽自動車を準備したり、ガレージを準備したり、そして集会のための通信を出したりしているわけですから、このグラウンドは、選挙の準備活動をしている限りは公平でなければならないというのが、私の主張なのです。自民党も民主党も、今、選挙区支部と政治団体と資金管理団体の3つを認めています。しかし、前回の政治資金規正法改正に私は携わったのですが、その時は、政治団体があまりにも多すぎるので、出来るだけ入りと出を資金管理団体に統一するというのが立法趣旨であったはずなのです。ですから、私は京都にあった団体も、資金管理団体に統一したわけです。で、政治家の人たちを見ますと、東京は東京で政治団体を作り、地元は地元で政治団体を作り、資金団体は別に作り、これが3つに分かれて1千万ずつ事務所費を計上してたら3千万ですよね。一つに集中して3千万計上していたら多い少ないという議論、これは少し違うのではないかと私は思いますね。まず、その人が関係している資金団体、政治団体、そして政党支部を全て合算して、多い少ないを論じて、そしてその上で、この経理の適不適を論ずると。これがまず一つでしょう。それからもう一つは、資金管理団体も、政治団体も、政党支部も認めていない政党があります。この人たちは、私たち以上に選挙の準備活動たる日々の政治活動をしておられます。この人たちは何処で経理されているのかということも念頭に置いて、1円にするのが現実的なのか、あるいは1万円にするのが現実的なのかを各政党間で論じられたらいいのではないでしょうか。これは、政党に所属している者の選挙に関わってくることですから、同じリングの上で公開というものはやってもらわないと、何か一部の政党は全く手の内は明かさないが、他の政党に所属している者は明かさなければならない、ということになってしまいます。また、資金管理団体と政党だけですと、そういうことは考えたくありませんが、皆、政党支部に経理を集中してしまうのではないでしょうか。それもあまり現実的な話ではないと私は思います。政党支部というのは基本的に、国民の血税である政党助成費が入っているわけで、政党支部で集めたお金を個人の政治団体に繰り入れるということは、私はあまり感心したことではないと思います。政党助成金は政治家個人助成金ではないのですから、そこのところもよく考えて、政党間の専門家が議論をして、政党間で結論を得たらいいのではないですか。

記者)

 昨日、総理と会われ、学習指導要領について官邸である程度お話になたと思うのですが、具体的に総理から指示等はございましたでしょうか。

大臣)

 いや、指示はありません。昨日会ったのは、各社の報道で、学習指導要領が決まったような報道ぶりが結構多かったので、学習指導要領というのはどういうものかを、ご説明しました。改正した教育基本法等の法律の精神と学校現場で教えることを繋いでいくものが、学習指導要領ですと。そして学習指導要領を直していくには、教育基本法や教育三法の改正を国会で議論した中で、国民の代表である国会でどういう意見が出たかということを、私は一番大切にしたいと。同時に政党政治ですから、安倍内閣が考えていることや教育再生会議が提言されたことも念頭に置かねばならない。それから報道各社の社説等でおっしゃっていることも、ひとつ重要なことだと。こういうことを全て参考にして、素案をまとめて中央教育審議会にお願いをしているのです。中央教育審議会の結論が出れば、予算の裏付けが要りますので、予算案が出来た来年1月にはまとめたいと。そして、3月末までには学習指導要領を告示し、準備期間を経て、実行されていけば、安倍内閣の教育再生は3分の2くらいは終わるのではないかと。あとはこれに携わる人の意識を改革して、税金を使って仕事をしているという気持ちをしっかり持って、そして20年後、50年後の人づくりをすると。これが安倍総理の願いでしたから。今がその中の一つのステップですよということを説明をしておいたということです。

記者)

 夏休みが終わって新学期が始まりましたが、夏休みの宿題を代行している業者がいると。また、卒論を代行する業者がいることも報道されていますが、親が子どものやることを丸投げさせるようなことについて、どうお考えでしょうか。

大臣)

 それは、あってはならないことです。昔は、子どもの宿題が出来ないから親が日記を書いたり、図画工作をしてあげたなんていうこともありましたが、感心したことではありませんね。

(了)

(大臣官房総務課広報室)