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平成15年12月24日大臣会見の概要

平成15年12月24日
10時41分〜10時58分
文部科学省記者会見室

◎一般案件
平成16年度一般会計歳入歳出概算について(決定)
(財務省)
インド国駐箚特命全権大使榎   秦邦に交付すべき信任状及び前任特命全権大使林   暘の解任状につき認証を仰ぐことについて(決定)
(外務省)

◎国会提出案件
衆議院議員長妻昭(民主)提出懲戒処分の公表指針に関する質問に対する答弁書について
(内閣官房)

◎人事


大臣)
 本日の閣議において、ITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)の閣僚級会合の結果について御報告させていただきました。12月21日未明に細田内閣官房副長官と稲葉文部科学副大臣から電話を受けたのですが、残念ですが閣僚級会合においてはITER(イーター)の建設地について合意を得られなかったということで、再度来年2月頃に閣僚級会合を開催して協議することとなりました。日本への誘致に頑張ってきましたが、さらに積極的にこれからも取り組んでまいりたいという御報告をしました。閣僚懇談会におきましても、誘致の競争相手はフランス一国だけではなくEUであり、我が国をあげての誘致活動がどうしても必要なのでよろしくお願いしたいと申し上げました。外務大臣からも、これまでの外交的努力をこれからも継続して行うというお話がありました。ITER(イーター)計画の参加国である中国と韓国以外のアジアの国々にもアピールしてはどうかという御意見もありました。閣内としての体制も検討する必要があると思っておりますので、官房長官や科学技術担当大臣とも相談をして体制を立て直して、次の閣僚級会合に臨みたいと思っております。

記者)
 予算編成も終了いたしましたが、全般的にはどのような感想をお持ちですか。

大臣)
 文部科学省予算は一般会計で6兆599億円、対前年度比2,621億円の減額で4.1パーセントの減少となっております。国全体で一般会計が0.4パーセント増という予算の中で4.1パーセントの減は、相当減ったようなイメージですけれども、退職手当等の一般財源化や人事院勧告による給与の減額もあり、特に文部科学省の予算は人件費の比率が高いので、こういう数字になったと思っております。義務教育費国庫負担制度の見直しとしては、地方の自由度を拡大するための総額裁量制を導入し、これまでどおり制度の根幹を守っていくという方針について理解を得られたと思っております。それから「子どもの居場所づくり新プラン」の中の「地域子ども教室推進事業」が新規事業として70億円認められました。この事業の重要性が十分に認められたと思っておりましす。全国津々浦々、地域の大人たちの力を結集して子どもたちを守り育てるものにしていかなければいけません。同じ学年の友だちとのふれあいだけでなく、異なる学年の友だちとのチームワークとか人間関係をしっかり持つことも必要だと思います。それから国立大学の法人化に伴う予算についても実質的に従前の公費投入額の予算を確保することができましたので、国会での議論を通じた約束を守れたと思っております。それから私学助成についても増額で決着をみまして、特に法科大学院の経費については、その主旨を御理解いただいて新規として25億円を措置していただきました。それから文化庁予算も増額が認められました。特に今回は、「千と千尋の神隠し」が世界的に評価を受けたことなどもあって、日本映画・映像の振興にもっと力を入れようということで予算措置をしていただいております。それから科学研究費補助金も第二期科学技術基本計画からいうと十分とはいえませんが増額されております。スポーツの振興についても、特にナショナルトレーニングセンターの整備費が認められたということは大きい意味があると思っております。それから、「しらせ」の後継船の件ですが、財務当局はその建造を1年か2年延期できるのではないかという考えですが、18年度に「しらせ」の船体検査を実施しまして、建造を延ばせるのかどうかを確認することとしました。延ばせないとなれば、観測を中断するわけにはいきませんから、予算化して建造を急がなければならないことも出てくるわけです。現時点では建造を延期するかどうか確定したわけでは決してございません。また、ヘリコプターの後継機の製造を開始する予算が確保されたことは大きな意義があったと思います。先般、激励の手紙をいただいた秋田県の金浦町の子どもたちには、校長先生を通じてお返事をしておきました。皆さんのお手紙に感謝するとともに、りっぱな観測船を造るから安心してくださいと申し上げておきました。厳しい財政状況であると思いますが、文部科学行政は国の根幹に関わる重要事項であるということを強く訴えてきたことが、全体として認められたと思っております。これを契機にさらに教育文化立国、科学技術創造立国の実現を推進していかなければいけない思っております。また、教育全般に対する国民の厳しい目と大きな期待がありますから、それにきちんと応えていかなければいけないのではないかと思っております。

記者)
 長野の松本市で9歳の男の子が放火したという事件がありましたが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 放火がどれほどひどい犯罪なのかということを、十分に理解していなかった面もあるだろうと思います。もちろん学校教育の中でも絶えず、やっていいことと悪いことや、どういうことをすれば人に迷惑をかけるのか教えていかなければいけないと思いますし、家庭においてもきちんと躾をしなければいけないと思います。文部科学省では、子どもたちを教育、あるいは躾をする上でヒントとなる手帳を配付しておりますが、もっと保護者と学校とが連携を取りながら、地域が一帯となって防いでいく仕組みを作っていかなければいけないと思います。これは、松本市だけの問題ではなく、学校関係者にとっても大変なショックだったと思います。各学校現場においても、しっかりとした教育的指導が必要ではないかと思っています。

記者)
 ITER(イーター)の件ですが、総理に対して細田内閣官房副長官から改めて報告したということですか。

大臣)
 閣僚級会合での交渉の報告はすでに総理にしておりますが、細田内閣官房副長官から改めて総理に対して詳細に報告したのは、この交渉が極めてハードなものであったことを総理も理解をいただいて、今後の体制をどうするかということだと思います。ITER(イーター)の誘致に対しては、総理も並々ならぬ決意を持っておられると私は理解してます。2月の閣僚級会合まで、もう一ヶ月とちょっとのことですし、それまでに技術的な質問を受けて、それに対して回答をしなければいけません。総力をあげて取り組みたいと思っています。本日は閣議の前に核融合エネルギー議員連盟の総会があり、閣僚級会合の御報告とこれからの取り組みについて検討をいたしました。いわゆる物理・核融合等の専門家でもあります有馬元文部大臣兼科学技術庁長官から、日本一国でEUと対等にやるのは大変なことで、ここまで来たことは評価しながらももう一息頑張るためには総力をあげなければいけないし、また、科学者自身は、この国際熱核融合実験炉についてどう考えているのか知る必要があるという御指摘がありました。同時に、非常に多額の経費を負担するにも関わらず、EUがこれほど誘致に本気になっているということは、将来にとって大きな意味を持つことが明らかになったということであり、大きな課題であることが証明されたと思います。だからこそ日本としてもアジアの各国の協力を得られる体制を作るべきではないかという御指摘をいただきました。もう一度我が国をあげての体制づくりを考えることが必要であろうと思っております。

記者)
 ITER(イーター)の関連でフランスから施設を分離してはどうかという話も出ているようですけども、どのようにお考えですか。

大臣)
 ロシアからも同様の提案があったようです。ITER(イーター)の建設地が、日本とフランスのどちら側になっても、いずれの国からも即時に実験状況を把握できるような施設ができないかということだと思います。遠隔地操作による実験可能な施設ができないだろうかという提案であったように聞いております。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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