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平成15年11月14日大臣会見の概要

平成15年11月14日
10時47分〜11時10分
文部科学省記者会見室

◎一般案件
投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の協定の署名等について(決定)
(外務省)
モンゴル国大統領ナツァギーン・バガバンディ閣下及び同令夫人の公式実務訪問賓客待遇について(了解)
(同上)
グレナダ国駐箚特命全権大使加藤重信外1名に交付すべき信任状及び前任特命全権大使高木 量外1名の解任状につき認証を仰ぐことについて(決定)
(同上)

◎国会提出案件
参議院議員櫻井充(民主)提出国立大学法人化に関する質問に対する答弁書について
(文部科学省・内閣府本府・総務省)
参議院議員井上美代(共)提出遺伝子組換え作物の食品への混入表示に関する質問に対する答弁書について
(厚生労働・農林水産省)
参議院議員井上美代(共)提出公的年金改正における女性の労働力率見直しに関する質問に対する答弁書について
(厚生労働省)


◎人事


大臣)
 本日の閣議では、当省の所管事項の関係案件はございませんでした。閣僚懇談会では、農林水産大臣から、農林水産省の食堂における「とうもろこし」や「おがくず」などのバイオマスから作られた食器の試験的な利用開始についてのお話がありました。この食器は、使用後にたい肥化することによりリサイクルが可能という大変すばらしいもので、総理からも愛知万博で使用したらどうかというお話がありました。学校給食等の食器として使用することについては、レンジで使用した時に持つと熱いということはないか、その点がクリアされているのであれば学校給食でも使用できるのではないかと農林水産大臣には言いました。

記者)
 法人化後の国立大学の運営費交付金について、財務省との協議がどのような方向で進んでいて、文部科学省としてはどのようにお考えになっているのかをお聞かせください。

大臣)

 12日の国立大学協会総会におきまして、平成16年度の国立大学法人の予算については平成15年度の公費投入額を前提として法人化するということで、参議院の文教科学委員会でも議論し、また法案の付帯決議もしていただいており、それを踏まえて努力しておりますのでその点は御心配なくということを申し上げました。経費としての扱いについては、当省としては国立大学法人の運営費交付金について義務的経費としての取り扱いで要求をしましたが、財政当局の言い分は、運営費交付金は使途を明確にしない渡しきりの交付金ですので裁量的経費だということです。しかし、大学の経費は人件費の占める割合が高く、あまり裁量的な扱いをできない義務的経費に近いものであると思っております。平成17年度以降については、シーリングがどうなるかはわかりませんが、16年度の概算要求において人件費は義務的経費として取り扱われておりますし、科学研究費補助金のようにマイナスのシーリングをしない経費もあります。平成17年度以降の対応をどのようにしていったらいいか、大学等からの意見を十分に聞きながら方針を出さなければいけませんが、今までどおり所要額を必ず認めていただく方針でいきたいと考えております。国立大学協会の皆様にも、その点については私が責任を持って対応すると申し上げました。

記者)
 延期されていた情報収集衛星の打上げが29日に決まったと言うことで、当初の予定から随分遅れているようですけれども、ようやく打上げが決定したことの御感想と期待をお聞かせください。

大臣)

 昨日、総理に、29日に打ち上げをさせていただくということを御報告いたしました。情報収集衛星は、外交・防衛等の安全保障や大規模災害等への対応等、危機管理に必要な情報収集を主な目的とする極めて重要な衛星です。平成10年の閣議決定に基づき、内閣官房の取りまとめの下、文部科学省、総務省、経済産業省が分担をして開発を行ってきました。今年の3月28日に1号機が打ち上げられて順調に動いておりまして、今回打ち上げられるのはそれと同じ2号機ということです。総理には、9月27日の打上げを延期したのはロケットの姿勢を制御するための装置に不具合があったためであることも御説明いたしました。ロケットを制御するための装置の電源を入れた時に誤作動が生じる場合があることが判明しましたので、誤作動を防ぐための部品を追加する改修を行い、いろいろ実験してみた結果、正常に動くことが確認されましたので打ち上げすることになりました。地元の漁業組合の皆さまとの約束がありまして、11月29日を打上げ予定日とし、気象等の関係もありますから、打上げ予備期間を11月30日から12月28日までとさせていただきました。万全を期して、確実に打ち上げてまいりたいと思ってます。

記者)

 国立大学の運営費交付金が、いわゆる裁量的経費に分類されることについては、しかたないというお考えなのかお聞かせください。

大臣)

 我々の気持ちとしては、教育費を裁量的経費として取り扱うことやシーリングをかけることについて、もし実際にそうなるとしたら、きわめて遺憾なことだと考えております。財政当局として、国全体の予算の区分があるのはわかりますが、現実の経費の内容は削減できる予算ではないと思えるのです。税金を使うわけですから、できるだけ効率的に事業を実施し無駄ないようにする、その辺は配慮をいたします。しかし、我々としては、教育費を義務的経費として要求する姿勢は、これからも貫いていきたいと思います。国立大学にあっては、今までのように国の会計制度の仕組みの中にあった予算とは違って自由度が高くなるわけですから、今後の大学運営においては効率的かつ有効に経費を使っていただくということは必要ではないかと受け止めています。国全体の財政の取り扱いの中で、使途が自由になるのだから裁量的経費として取り扱われるという財務省の主張もわかりますが、特に教育には人件費が必要であり、実態としても人件費の占める割合が高いのですから、我々としては義務的経費だという思いがあるわけで、これからもその方針で折衝していかなければと思っております。

記者)
 文部科学省全体でシーリングをかけられた場合にも、国立大学の予算については所要額を維持して、省内でやりくりするということはできないのですか。

大臣)
 国立大学の運営費交付金も文部科学省の予算の中の一部であり、いろいろなやりくりもあるとは思いますが、今後、国立大学が従来以上に教育研究を確実に実施していくには、これまで以上に経費を確保していかなければいけません。同時に大学側の自助努力も求められるわけで、各大学が自ら資金を調達しようといろいろな努力をしっかりやっていこうとしています。しかし、これまでの所要額の十分な確保は当然のことで、法人化したとたんに経費がどんどん削られていっては、大学運営が成り立っていきません。財政論で法人化したわけではなく、教育論、まさに大学改革の視点で法人化したわけですから、そのことはやはりきちんと筋を通していかなければいけないと思ってます。国の財政が大変厳しいですから、決められた中でやりくりすることはいろいろあるとは思いますけれども、これから国立大学を法人化するのですから最大限努力しなければいけません。

記者)
 南極観測船の「しらせ」の後継船の概算要求について、財務省がかなり厳しい見方をしているようですが、大臣はどのように対応されていこうとお考えですか。

大臣)
 今日の閣議の前に財務大臣と話したのですが、本当は財務大臣に「しらせ」後継船建造の応援団長になってもらおうと思っていたことを伝えました。財務大臣は、応援したい気持ちは十分にあるけども、予算を査定する立場に就いたものだからとおっしゃっていました。査定の考え方も「しらせ」が建造された時代と違うという話もありました。しかし、南極観測では、地球環境に関する重要な研究がたくさんあります。大事な国家プロジェクトだという認識を改めて持っていただくため努力していかなければならないと思っております。研究者の方々は、もうすでにシンポジウムを開催したりして、南極観測の重要性を再認識するための活動をされております。南極観測にゆかりのある研究者やタレントの方々が、「南極観測の将来を考える会」というのを結成し、「新南極観測船の実現を求める宣言」をまとめていただいて、我々としては心強い限りで感謝しております。後継船の建造費とヘリコプター後継機の製造費をあわせると総額で約520億円の経費が必要で、平成16年度は約80億円要求しておりますが、我々としてもきちんと対応していきたいと思っております。日本学術会議会長から総理大臣に対して、後継船等の建造についての要望書も提出されておりますし、総合科学技術会議でも「「しらせ」後継船の建造及びヘリコプター後継機の調達は適正であると判断する」としてA評価にもなっておりますので、そのことを踏まえて予算を獲得すべく努力していきたいと思っています。

記者)
 太陽フレアの影響で、環境観測技術衛星「みどり2(ツー)」が故障したり、衛星「こだま」や火星探査機も太陽フレアの影響で装置の異常が見られたとの報道がありましたけれども、情報収集衛星にも何らかの影響があるのではないでしょうか。

大臣)
 情報収集衛星と「みどり2」とでは太陽電池パドル系の設計や構造等が違うし、国内外に多くの実績がある装置であることから、異常等の発生する可能性は極めて低いと思います。情報収集衛星の1号機も順調に動いておりますので、今回についても心配はしておりません。

記者)
 情報収集衛星は今年3月に打ち上げてから、一度も運用状況について開示されていないのですが、そういった情報を開示する、または内閣官房や総理に求めるお考えはないでしょうか。

大臣)
 内閣官房の方で取りまとめておられることですから、不具合があれば適切な時期に報告はあるだろうと思いますので、私のほうから開示を求めるつもりはありません。それは、情報収集衛星という外交・防衛等安全保障上の問題があるでしょうから、そういった問題を含めて総合的に判断する必要があると思います。

記者)
 道路公団の総裁に、近藤剛(こんどうたけし)参議院議員が議員を辞職して就任するというのは、選挙民から見るといかがなものなのかという考え方もあると思うのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 これは適材適所で考えるべきことですから、国会議員と兼務できないのならばいたしかたないのかなとも思います。私の個人的意見としては、近藤議員は党でもいろいろと活躍をされて、いろいろな識見を持っておられ、経営能力も好感度も高い方ですから、あの方ならやってくれるのではないかと期待を持って受け止めました。近藤議員は参議院の比例代表選出ですので、あとの方とバトンタッチができます。構造改革を進める上で、どうしても必要な人材であると考えられたんだと思います。

記者)
 国際熱核融合実験炉(ITER(イーター))計画の国内誘致の件ですが、いつ頃具体的な計画が示されますでしょうか。

大臣)
 中国も非常に関心を持っておられるようで、同じアジアの日本に誘致することについて御協力をいただくようにお願いしてございます。アメリカもエネルギー省(Department of Energy)が発表した今後20年間の大型研究開発計画で、ITER(イーター)計画を最優先の計画と位置付けたという報告もきております。EUは、27日にもEUとしてのサイト候補地を決めるということになっております。それが万一決められなくても、年内に建設場所を決める見込みと聞いておりますが、最終的な具体的日程等についてはまだ決まっていません。アメリカは、かなり本気で調整に入る意向を強く出しております。我々としても昨年の閣議了解に基づいて、着実にこのプロジェクトを推進し、日本への誘致を実現したいと思っております。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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