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平成14年1月8日大臣会見の概要

平成14年1月8日
11時21分〜11時42分
文部科学省記者会見室

人事
   
大臣)
   明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
 今日は年の初めの最初の閣議でした。閣議案件では特に御報告することはございません。副大臣が決まったという一覧表を頂いたくらいでしょうか。
 今日はたまたま総理の御誕生日でございましたが、私どもが何かするのではなくて、総理からお昼を御馳走してくださるそうでございまして、そう自分はやってきたとのことでした。
 閣議の中で、総理からは年の初めということで、今年は本格的に構造改革を進めるという強い決意表明がありました。構造改革について、中身は御存知のように特殊法人の問題や不良債権の問題などの様々な改革を進めている問題をさらに今年はきちんとやっていくという決意表明がありまして、それぞれ閣僚自身もきちんとリーダーシップを持ってやってほしいということが結びでございました。
 私自身、明日からヨーロッパの4カ国を訪問して参ります。9日から16日までと短い期間でございますが、ヨーロッパの各国の関係大臣、EUの閣僚級、欧州委員というのですがEUの責任者である欧州委員の方々にもお会いしたいと思っています。学長クラスにもお会いしまして、6泊の間にお会いするのが9人になります。その他、マックスプランクの研究所を始めとする研究機関、博物館もできればと思っております。寒いところでそれだけ身動きできるのかと思いますが、閉じこめられないように願いながら行って参ろうと思っております。私が不在の間は扇国土交通大臣が臨時大臣でございます。
 私からひとことお話ししたいと思いますが、原子力関係の2つの特殊法人について整理・統合するという話が出ておりますけれども、この問題につきまして、これから新たに原子力2法人統合準備会議を省内に設けたいと思っております。幸いと言いますか、我が省では副大臣、政務官はそのままと今日の閣議で決まりました。そういうこともございまして、原子力2法人統合準備会議は青山副大臣を座長にいたしまして、加納大臣政務官を副座長として、早急に立ち上げることといたしております。原子力2法人の統合と新しい独立行政法人の設立に関わる検討をしていただくということでございまして、平成16年度までに法案を提出することを前提として議論をしてもらおうと思っております。これからメンバーを確定して参るわけでございますけれども、メンバーの御都合にもよりますけれども、今月中を目途に初回の会議を開きたいと思っております。非常に大きな法人でありますし、また日本のエネルギーの重要部分を担う原子力に関わる2つの特殊法人の統合・再編は大変難しい課題もはらんでいるわけでございますので、相当知恵を絞って対処していかなくてはならないと思っております。少し時間をかけて、しかし改革の狙いであります2つの法人の業務の見直し、評価、社会的な要請を踏まえた新しい独立行政法人の果たすべき役割・機能は何かという角度からきちんと議論していただきたいと思っております。そして原子力についての安全性の確保への対策をどう取っていくか、原子力に関する人材の養成をどう行っていくか、産業界等の関連機関との連携をどう取っていくか等の諸課題があると思いますけれども、そういうことについて十分議論していただいて日本の原子力を原子力産業開発を担って行く研究開発が十分な体制で今後、進捗できるように制度設計をしてもらおうと思っているところであります。
記者)
   今の原子力2法人の統合準備会議のメンバーはどういった方をターゲットとしていらっしゃって、どの位の人数にする予定ですか。
大臣)
   今、考えているところでございまして、自然科学関係の有識者を中心にしまして、文科系の学識経験者もお願いしようかと思っておりますし、経理関係の専門家、企業経営関係、関係団体、原子力関係の学識経験者等、これから決めていこうとしているところでございます。
記者)
   今日、初閣議の後、野依教授が官邸に来られて、立ち合われていたと思いますが、どのようなお話をされて、総理からもお話があったのでしょうか。
大臣)
   野依先生は昨年の12月にスウェーデンのノーベル賞授賞式においでになり、その時の御報告をされたわけでございます。ノーベル賞の証書と言いますか、それをお見せになり、それからノーベル財団から貰われた金のメダル、私も触らせていただいたのですが重いです。本当の金だそうでございまして、大変重いものでございます。そういうものをお見せになりながら、昨年は特にノーベル賞発足以来、100年であったことから大変盛大な授賞式だったこともあり、それを発端にしまして、日本の科学研究、科学技術をこれからやっていかなくてはいけないということも話題になりました。野依先生からは、これからは経済や科学技術という角度だけではなくて、文化は非常に大事なのでそういうものを加味したかたちで日本から発信する研究成果を世界に出していく必要があるのではないか、とお話になりまして、総理も私も同感を覚えたところです。例えば、伊勢神宮の簡素なたたずまいのようなものが日本独自の文化であり、そういったものが研究の中身にも反映されていくような、日本から発信する優れた研究成果を出していきたい、ということです。もともと、野依先生の研究の姿勢は簡素で簡明をモットーにしていらっしゃいますことから出たお話だと思いますが、大変示唆に富んだお話だったと思います。私からは名古屋大学に野依先生の記念の国際的な施設を作ることで、今後ますます日本からの研究等の発信拠点となるのではないかと申し上げたわけでございます。
記者)
   今日、初閣議で各省副大臣、政務官の人事内定の決定をいたしましたが、文部科学省では全く変化なしとなっていますが、これについて御感想等があればお聞かせいただきたいのですが。
大臣)
   継続的に今までの蓄積されたいろいろな知識をまた活用していただけるわけでありますし、事務当局としても今も非常に順調に副大臣、大臣政務官との連携を取っておりますので、大変ありがたいと思っております。特に今年は改革について本格的に取り組む時期でありますので、今の体制で順調に滑り出すことができるわけでございまして、私としては大変ありがたいと思っています。
記者)
   明日からヨーロッパに御訪問ということで、かなりタイトなスケジュールになるようですけれども、今回、具体的にどのような成果をあげたいと考えているのでしょうか。
大臣)
   EUにおける担当の欧州委員の方、責任者と議論を交わすのは、EUが取り組もうとしている教育改革の内容、エラスムス計画でありますとか様々、意欲的に取り組んでおられるわけですが、その方法と我が国でやろうとしている教育改革について議論を交わすこともございますし、また科学技術についてもEUという角度から新たな計画の下で事柄が進んでおりますので、そういうことについて意見交換をしたり、日本とEUとの教育、文化関連での交流の今後の展開についても議論ができればと思っております。ドイツにつきましては、ドイツの教育関係、科学技術関係で日本とは体制は違いますけれども、あの国の国力を反映した良い政策を持っておられますので、そういうことについても意見交換をしたいと思っています。他の国も滞在が短いのですが、それぞれの大臣と意見交換をしながら今後の連携について進めていきたいと思います。
記者)
   原子力法人の統合についてですが、宇宙3機関統合の時は統合のための5原則を示したと思いますが、原子力法人の場合の原則はどのようなヴィジョンを考えておられるのでしょうか。
大臣)
   まだ、そこまで具体的に考えておりませんけれども、宇宙3機関の場合は設置形態も特殊法人、独立行政法人、大学共同利用機関とそれぞれ違っていましたし、性格も非常に違っていましたので、それらをいかにうまく統合して日本の宇宙開発研究の力を高めていくかについて、かなりしっかりした対応をしていただきたいと思って5原則を考えて出したわけでございます。今回の場合は、2つとも特殊法人でありますし、かつて一緒であったということもございますので、今後どういう展開になっていくかについて少し様子を見ながら議論をしていただきたいと思っているところです。したがってまだ明確には言いませんけれども、冒頭からということは、私自身としては考えていません。
記者)
   今年はワールドカップの開催年で、また、日韓国民交流の年でもあるわけですけれども、教科書問題等で日韓関係はギクシャクしていると思いますが、文部科学省としてどのように取り組まれるのでしょうか。
大臣)
   今年は日中、日韓両国の交流にとって非常に記念すべき年になります。中国との関係もさらに前進させたいと思いますし、特に韓国との関係については目前にワールドカップサッカー大会が控えておりますので、順調に連携しながら実現していかなければならないと思います。必然的に人間の交流も非常に盛んになるわけですので、そういうものを契機にして、もともと日本と韓国とのつながりは非常に強くありましたし、またあるべきだと思っておりますので教科書の問題もございましたけれども、そういうこととは別に根底的なところの交流を深めることは非常に大事だと思っております。教科書問題の時にも解決に向けていろいろ努力をしながら、同時に人的な交流を深めようと我が方の考え方を明確に出してきたこともございますし、それを実現に移しながら、今年が両国がさらにタイトな関係を結べるきっかけになればと思っているところであります。
記者)
   文化庁長官人事について、期待するところと、よろしければその経緯を教えていただけますか。
大臣)
   現長官は大変良くやっていただいているわけですけれども、今度、佐々木文化庁長官が勇退されまして、新たに18日付で河合隼雄氏を文化庁長官に内定しているわけでございます。正式にはこれから手続きがあるわけでございます。この時期に民間人、しかも国際的にも日本の文化について発信できる河合先生のような方になっていただくことは大変良いのではないかと思っております。これからは科学技術創造立国とともに文化立国と言いますか、日本の伝統文化なり現代的な芸術文化なりの幅広い文化について日本は発信をし、その角度で独自性を出しながら世界に貢献していくという良い時期、非常に大事な時期に河合先生のような方をお迎えできるとは非常に良いという感想でございます。人事決定までのプロセスについてはお話しないことになっております。結果で見ていただきたいと思ってます。
 河合先生は心理学のユングの専門家であられますけれども、単にそういう分野だけではなくて、幅広い分野で御活動していただいておりますし、「21世紀日本の構想」懇談会のおまとめもおやりになりましたし、マクロの視点から日本の特質なり日本の文化なりを論じて発信できる方だと思います。また、国際日本文化研究センターの所長職を6年間おやりになりまして、組織の長としての御経験もあるので、期待しているところであります。総理も大変喜んでおられました。
記者)
   大臣から直接、お話されたことは。
大臣)
   もちろん、そのプロセスにおいては話をしております。
記者)
   先ほどの日韓関係についてですが、日韓の歴史認識についての共同作業がこれから始まると思いますが、韓国側ではその成果を教科書に反映させるべきだと考えているようですが、一方で日本側には検定制度があると思いますが、これについてどのようなお考えでしょうか。
大臣)
   日本の制度はしっかり確立しておりますので、どういうかたちで今後、韓国との間で共同作業ができるかにつきまして、今、外務省が中心となりまして新たな共同研究の在り方について両国でやってもらっておりますので、その推移を見ていきたいと思っています。
記者)
   いずれにせよ、日本の制度はしっかり確立していると。
大臣)
   御存知のように日本の制度は、国定教科書を作るという制度ではございませんで、歴史教科書につきましても学習指導要領の範囲内でそれぞれ執筆者が工夫をしながら作られているという制度でございます。そういったことも十分に理解されるように、制度の前提の上に立って、しかしこういう関係をできるだけ早期に解決していきたいという気持ちは十分持っておりますので、何が共同作業でできるかという角度で外交ルートを通じて共同作業の在り方について、検討しているところだと思います。(了)

(大臣官房総務課広報室)

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