太陽のエネルギーと同じフュージョン(核融合)エネルギーの実現に向けた大きな一歩 「JT-60SAの初プラズマ生成に成功」

10月23日(月曜日)
科学技術・学術

  10月23日、茨城県の量子科学技術研究開発機構(QST)那珂研究所にある世界最大のトカマク型※1超伝導核融合実験装置「JT‐60SA」において、初めてプラズマを生成しました。

  「JT-60SA」は、フュージョン(核融合)エネルギーの実用化を目指すITER(イーター)計画※2を支援・補完するために日欧が共同で実施する「幅広いアプローチ(BA)活動」の一環として、日欧が協力して建設してきました。

  フュージョン(核融合)に必要な燃料は、海水から採取することができ、発電の過程で二酸化炭素等を排出することがないといったメリットがあり、エネルギー問題と環境問題を根本的に解決しうる次世代エネルギーと期待されています。
  初プラズマの生成は、複雑な各システムがうまく連携し、装置として運転できたことを意味し、核融合炉にとって大きなマイルストーンを達成したことになります。

  JT-60SAでは、今後、プラズマの性能向上のための実験を進めます。

  盛山大臣は、定例記者会見において、今回の成果を祝福し、装置に関わった皆様に敬意を表しました。その上で、
「文部科学省としては、JT‐60SAを活用し、原型炉※3 開発に繋がる成果をいち早く創出するとともに、将来を担う人材を育成してまいります。」
と述べました。

▶【JT-60SA初のプラズマ生成に成功~日欧で取り組む幅広いアプローチ活動で大きなマイルストーンを達成~(QSTホームページ)】
https://www.qst.go.jp/site/press/20231024-1.html別ウィンドウで開きます

※1 トカマク型
  高温プラズマを磁場により閉じ込める核融合炉の方式の一つ。トロイダル磁場とポロイダル磁場の組み合わせによりドーナツ型の磁場を形成し、その中に高温プラズマを閉じ込めます。ITERもトカマク型の装置です。

※2 ITER(イーター)計画
ITERは、フュージョン(核融合)エネルギーの実現に向け、フランスに建設中の実験炉です。本計画には、日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドが参加しています。
https://www.fusion.qst.go.jp/ITER/別ウィンドウで開きます(日本語)

※3 原型炉
  原型炉とは、JT-60SAやイーターの成果に基づいて建設される次期装置であり、フュージョンエネルギーによる発電と経済性を実証する装置です。現在、世界各国で原型炉の概念設計が進められています。

JT‐60SA

大臣会見