平成22年4月9日
財団法人全国高等学校体育連盟
専務理事 梅村 和伸
全国の高校生アスリートにとって夢のスポーツ祭典である「インターハイ」を主催する財団法人全国高等学校体育連盟の立場から、日本のスポーツ立国を目指した戦略構築に向けての提案を、「日本のトップ・アスリート育成」と「スポーツ愛好者を増やすために」という二つの観点から申し述べます。
トップ・アスリートの存在と活躍は常に国民へ勇気と感動そして旺盛な意欲を与えてくれます。しかし、予算はじめ限られた条件の中でトップ・アスリートの育成を図っていかなければならない現実があります。これらの視点を踏まえて提案いたします。
(1) 国家予算で国を代表するアスリートを育成し、そのアスリートを送り出す国が目指す大会はどこかを示す必要があります。言ってみれば、インターナショナルな観点から大会の格付けを行うと言うことです。
その順序性の上位の大会に、また優れたアスリートを多く輩出している大会に予算等の優遇措置を与えるべきであると考えます。
なお、その際、今後さらに充実・発展させたい大会や次世代を担うジュニア・アスリート育成に貢献している大会に対しては特に配慮すべきであると考えます。
また、これらの大会への支援等に関して法的に整備していく(現行の「スポーツ振興法」での国体の位置づけのように)事が大切です。
(2) アスリートの育成や支援を企業に過度に期待することは避け、国、地域、企業、競技団体等が一体となって支えていく総合的なシステムを構築する必要があります。そのことによって経済的要因等の不安定要因に左右されることなく、計画的に選手を育成し、またアスリートも安心して競技に打ち込める事となります。
(3) 各競技のアスリート育成拠点を設置する。それを一極集中主義ではなく全国に設置し(現行の「スポーツ拠点事業」を一層拡充する)、そこで、トップ・アスリートの育成を中・長期的なプログラムの元で行う。そして、その総括的な最上位の拠点として「ナショナル・トレーニング・センター」を位置づける。
(4) 指定された大会で優れた成績を残したアスリート・コーチ等に対して相応の報償を付与する。また、それらのアスリートを採用した企業には活動資金の援助を行う。
(5) 国民の受信料で経営されているNHKは国民に対して特定の種目に偏することなく、トップ・アスリートが活躍している大会の情報を積極的に発信するよう指導する。
国民が自己の健康と文化的な生活を求めていく上で、日々のスポーツ実践を愛好する国民を育成することは国家的な観点からも大変重要な事と考えます。そのための方策として以下の事を提案いたします。
(ここで、教科体育・保健体育、さらに運動部活動をあげた理由は、スポーツを愛好する心は運動部活動で、次いで教科指導の中で培われている事は様々な研究等で明らかにされているからです)
1)教科体育・保健体育に関連して
ア. 小学校教育の教科体育を指導する教員を専科とする。
イ. 教科体育の時間数と保健体育の増単位。
ウ. 小・中・高校一貫した教科体育・保健体育プログラムの作成。
2)運動部活動に関して
スポーツ・青少年局企画・体育課
-- 登録:平成22年05月 --