「スポーツ立国戦略」の策定に向けたヒアリング(第3回) 議事録

平成22年4月9日

【布村スポーツ・青少年局長】  

 こんにちは。今日は第3回目の「スポーツ立国戦略」の策定に向けてヒアリングとして、日本中学校体育連盟の専務理事の三辻様にお越しいただいております。時間になりましたので、ヒアリングを進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【財団法人日本中学校体育連盟(三辻専務理事)】  

 私どもの組織、日本中体連は、昭和30年に全国中学校体育連盟として発足し、平成元年7月17日に財団法人として文部大臣より設立認可を受けている組織です。以来、約50年以上にわたって子供たちの体力の向上、あるいはスポーツ振興等の中心となって活動してきております。ご理解いただければと思います。
 前段関係に取り組みの状況ですとか、本年の諸活動について書いてありますので、ご覧になっていただきければと存じます。その原点というのは、全て私どもは保健体育の授業、あるいは学校教育活動の一環として行ってきた運動部活動の基盤の下に実践してきているということをぜひご理解いただければと思います。
 今回、意見を大きく4つに分けて持ってきていますが、後段の方をご覧下さい。まずは学習指導要領が20年3月に告示されまして、その中の総則に部活動のことが明記されました。私どもは運動部活動もその1つとして考えております。ということは、それだけ重要だと位置づけております。ここに載せていただくまでも時間はかかりましたが、今度は定着の問題があるだろうと思います。24年の完全実施に向けて、さらにご指導いただければと思います。私たちの主な仕事である、1つの大きな全国大会の開催ということを考えてみれば、この辺が全て原点になってきているという形で、子供たちのスポーツ人口、中学生のスポーツ人口の底辺拡大の意味からも、運動部活動の重視というのは非常に大きなウエートを占めていると思います。ぜひご理解いただいて、ご配慮とご指導もお願いしたいと思います。
 続いて、運動部活動の大会の運営にかかわる教員の服務、あるいは職務等の問題ですが、まだ完全にこれは公務としての位置づけがないということの現状が多々あります。これは47都道府県の現状によりまして大分温度差はあるわけですが、したがいまして、先生方は子供たちを引率して大会に出てくるということならば公務扱いになりますが、大会の運営ですとか、審判ということに関して言えば、ほとんど公務ということではなくて、休暇で来るか、あるいは職免という状況で出てきているという状況でして、もしそこで事故等がありましても公務災害の適用がないのが現状ですので、保険等の適用をしながら現在進めているところですが、その辺につきましても、ぜひ公務扱いとしていただくことが必要と思います。特に、先ほど言いました運動部活動関係の、あるいは学校の体育授業の総決算の場として全国大会があるというふうに捉え、そしてアスリートの育成、特に中学生のアスリートの育成ということも踏まえて考えるならば、大会の運営というのは大きな必要性があると思いますので、ご理解いただければと思います。
 続きまして、教育条件の整備ということで、それにかかわる私たちの組織ですが、私たちは財団法人ですが、以下、全国9つのブロックの中学校体育連盟、そして47都道府県の中学校体育連盟とそれぞれありますが、全て任意団体です。そこに対する人的な配置というのはほとんどないのが現状です。あっても、最近は財政的に厳しい状況がありますので、吸い上げられてしまうというような状況もありますので、この辺につきましても、結局、全国大会その他、その準備をしていくという状況ですから、その人たちの、先生方に対しても、ぜひ人的な配置、加配、あるいは時間講師の配分等々をしていただければと思います。お金のかかることですので、あまり強くは言えませんが、ぜひそういうこともご理解していただいて、対応していただければと思います。スポーツや運動の充実、発展のためには、この辺の組織の活動というのは不可欠な要素であると私どもは思います。
 終わりになりますが、大会経費の捻出の問題が非常に大きくなってきております。私どもはブロック開催として9つのブロックで大会を回していますが、自治体の開催地の方、開催都道府県の財政的な厳しさがあるものですから、義務教育の範疇での全国大会でありながら、私どもは協賛をしていただく業者を集めまして、お金を集め、そして大会運営ができる状況をつくってきております。国庫の補助金等についてもご協力いただいておりますし、さらにそういう面での補助ということでしょうか、こういうものに対してもぜひお考えいただいて、この厳しい財政状況の中ですが、ぜひご支援とご協力を賜りますようによろしくお願いしたいと思います。最終的には生涯スポーツや、生涯体育の基盤づくり、あるいは中学生のアスリート等の養成に資すべく、中学生の大きく生きる力をはぐくむべく私どもは取り組んでおりますので、活動が財政的にも、人的にも活発にできますように、ぜひご協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 ありがとうございました。
 それでは、意見交換をさせていただければと思います。

【鈴木副大臣】  

 すみません、遅くなりまして。今日はありがとうございます。
 私から、総合型スポーツクラブとの連携というのでしょうか、協力、協働のあり方というのはどういった現状で、これからどういう方向を考えていったらよいのか教えていただきたいと思います。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 私どもは特に総合型のスポーツクラブとの具体的な連携ということは考えておりませんが、都道府県の関係、あるいは市区町村の関係でいきますと、学校の部活動がその原点になってきておりますので、その辺の協力体制というのはあると思います。ですから、私どもは総合型スポーツクラブそのものよりも、学校の部活動を何とかしようと、それが少し停滞ぎみなものですから、そちらの方に力を入れているというのが現状です。連携の必要性からいきますと、私どもはそれぞれ部活動をやっている先生方に対して言えば、ぜひ総合型の方にも協力できるような体制づくりを今後はしっかりとさせていかなければいけないと思います。

【鈴木副大臣】  

 よく言われるのは、少子化に伴って、サッカー部があるところは野球部が作れないとか、ラグビー部が作れないとかいうことがあります。団体スポーツのクラブが中々集まりづらい中で、中学生にぜひいろいろなスポーツをやらせたい、クラブに専念させてあげたい、それが少なくなっているのは残念だと思うのですが、そこに対してはどのように考えておられますか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 少子化に伴って学校の小規模化の関係が出てきます。そうなりますと、先生の数も少なくなるという状況になってきますので、影響は多分に部活動関係には出てくるだろうと思っています。ただ、お手元の資料の中にもありますが、私どもの組織に加盟している子供たち、学校からいきますと、相当数の生徒、あるいは相当の学校が加盟しているという現実があります。ですから、調査をしますと、少子化の関係で部活動をやる子供たちが少なくなってきているということにまでは行っておらず、横ばいか、逆に上向いてきているという現状はあると思います。ただ、そういうものに対しては合同部活動の問題ですとか、指導者がいなければ外部指導員の導入ですとか、全て大会そのものにも影響が出てきますので、そういうことも含めて、大会参加もできるような体制づくりをしております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今のことに関連して、総合型スポーツクラブもこれから定着し、さらに活動範囲を広げていく際に、中学校の部活動の指導者をたまにクラブから派遣させていただいたり、トレーナーを派遣させていただいたり、そうしたことについては、おそらく中学校側としてもそんなに大きな抵抗感はないというか、受け入れていただける流れでしょうか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 意外と私も自分の地元のスポーツクラブの立ち上げの関係者の一員として、地元の方のですが、組織の中では、役所、教育委員会等が主体になってやっていますので、そこに現場の部活動の先生方が入ってきていることが少ないです。私は逆に、入れてくださいと、それで総合型ですから、大人から、要するに子供までという、層は広いです。これは中学生ですから、中学生の部活動をやっている子供たちをうまく使っていただければ、指導の助手もできるんだろうと私は思っていますが、中々そこまで踏み込んで私たちの方に、ただ逆なことを言えば、一生懸命部活をやっている先生方はそこに時間をとられてしまうのは嫌だということも現実には出てくるわけです。ただ、いろいろ状況を考えてみますと、その辺の連携は今後はきちっとしていく、担う役割というのは、中学生といえども、顧問といえどもたくさん出てくるだろうと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 そういった良いモデルケースをやっていただいて、そういう例を広めていくような取り組みが必要なのでしょうか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 そうですね。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 それから、大会への参加について、よく1つの学校単位の部活、クラブでないと参加を認められなくて、地域のクラブで育ったところは中々大会への参加を認められないという話を聞きますが、現実にそういう制約というのは取り払われる方向になるのでしょうか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 今の状況ですと、それぞれ所属している子供たちの学校長の責任のもとに大会の参加ということを現実にはやっているんです。ですから、例えば学校に部活動がなくてクラブチームあたりで活動をしていると、チームの子供たちは、このクラブチームの参加というのはできませんので、どこかの学校、例えばほかの学校にそのクラブがある場合にそこに合流するとか、要するに合同部活みたいな形式で大会に参加ということはできるんですが、今後はそのクラブチーム等の参加についてもやはり間口を広げていかなくてはいけないだろうと思いますが、まだ責任の所在その他を考えますと、心配な面があるということです。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 実際、教育的な活動として非常に意義が大きいというので学校としてしっかり育てられている面と、例えば競技力向上を目指す子供からすれば、一定の流れの中の3年間という位置づけなので、できるだけそういう大会も、クラブの所属員として学校の大会に出させてほしいという気持ちは持っているのではないかと思うのですが。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 それは多分にあると思います。ですから、生かせるものはどんどん生かすような形にして、私たちの大会参加のあり方もいろいろと広げていかなければならないと思っています。ですから、合同部活という形で参加を認めています。ただその合同部活のあり方が、全国の都道府県の状況からいきますと、それぞれまた違うところがあるんです。ですから、例えば条件的に、隣の学校と最低人員が、そういう条件をつけますと、これだけでは全国は届かなくなって、3つぐらいでしないと1つのチームが編成できないなんていう学校も出てくるわけです。先ほどから言っている少子化の問題ですと、学校の中で2つのクラブ、個人の種目と団体の種目をやっている子供がいるとすれば、夏の大会なんかは1種目しか出られませんので、そうすると、この1種目の子供がどちらに出るかによって、例えば個人種目で出ると、団体種目は出場できないという状況もあるわけです。ですから、そういうことの細かい条件というのは都道府県によって大分差があるということで、都道府県で認めた合同部活については私たちも参加を認めようという形で現実には進めてきております。

【鈴木副大臣】  

 今の個人種目と団体種目の話ですが、制度上、これを禁止しているわけですか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 そうですね、組織として禁止しています。

【鈴木副大臣】  

 それは解禁するということはないんですか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 2種目出ると。

【鈴木副大臣】  

 2種目出るという。例えば陸上競技とラグビーとかサッカーとか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 子供の健康管理上の問題等もありまして。子供たちは私たちの大会だけではないんです。競技団体のやっている大会にも結構出てきますので、そうなると、それこそ四六時中大会という状況にもなってくる可能性もありますので、子供たちのまずは健康管理、安全を考えると、無理はさせられないという状況があるだろうと思っています。

【鈴木副大臣】  

 例えば夏と冬の種目でもだめですか。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 夏と冬は間がありますのでいいんです。ですから夏は野球で出て、冬はスキーで出るというのは、それは構わないと。そういう形になっています。

【鈴木副大臣】  

 それはもう認められていると。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 そうです、認めています。

【鈴木副大臣】  

 高木美帆さんというのはスケートでオリンピックに行きましたが、サッカーも北海道の代表か何かで。

【財団法人日本中学校体育連盟(三辻)】  

 そうですね。ですから、オリンピック関係につきましても、中学生の参加というのはやはりこれから先は出てくるでしょうし、フィギュアスケートの浅田真央選手の後の中学生というのも、もうすぐ出てくるでしょうし、高橋大輔君の後の若手も育ってきておりますので、なるべくそういう子供たちについては、それこそ先ほどお話がありましたが、学校に部活はありませんが、クラブその他で練習している子供たちについてはなるべく生かしてあげるような体制づくりをしていこうという形で努力はしているところです。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 さきほどお尋ねがあった、生徒を引率されない教員の方々の公務扱いや公務災害については、おっしゃったとおり都道府県ごと、大会ごとに性格が違うので、現段階で国で何か基準を示すとか制度を作るというのは中々難しいのが実態です。任命権者である都道府県で勤務実態を踏まえた対応をしていただくということにならざるを得ないというのが今の実態かと思います。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 はい。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 どうもありがとうございました。

【鈴木副大臣】  

 ありがとうございました。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 貴重なコメントをありがとうございました。

【財団法人日本中学校体育連盟】  

 ありがとうございました。失礼します。

 

(団体入替)

 

【尾﨑大臣官房審議官】  

 夜遅い時間にどうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【財団法人全国高等学校体育連盟(梅村専務理事)】  

 財団法人全国高等学校体育連盟の専務理事をしております梅村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 全国の高校生のアスリートにとってあこがれの大会ですインターハイを主催しております全国高体連の立場から、「日本のトップアスリート育成」と「スポーツ愛好者を増やすために」の2つのテーマについて具体的にご提案申し上げたいと思います。
 最初に、日本のトップアスリート育成について申し上げます。
 第1に、国として、国内外のさまざまな大会の格付を行って、アスリートが目標とする上位大会に対して、また、その上位大会に優れたアスリートを多く輩出している大会に予算等の優遇措置を講ずるべきであると考えます。その際、次世代を担うジュニアのアスリート育成を重視して、その役割を果たしている大会には特別な配慮をすべきであると考えます。また、重視する大会については、その位置づけ等について法的な保証を行うべきであると考えます。
 第2は、アスリート育成については国、地域、競技団体、企業等が一体となって総合的な支援制度、特に育成ファンドを立ち上げ、安定した環境の中で計画的に選手を育成すべきであると考えます。
 第3は、アスリートの育成拠点を競技種目ごとに全国に配置し、その最上位に国のナショナルトレーニングセンターを位置づける構図をつくり上げていくことが望ましいと考えます。
 第4は、優れた成績を残した選手、コーチに対する奨励制度を設けるということです。また、それらの選手を雇用する企業に対して金銭的な支援策を講ずることを考えていただきたいと考えます。
 第5は、トップアスリート育成は国民の関心のもとで開かれた形で行われることが望ましいと考えます。そのためには、マスメディアの情報発信力を有効に活用することが重要です。特に全国に情報を発信するNHKは情報発信対象とする種目に著しい偏りを設けず、広くトップアスリートが育つ姿、また活躍している様子を全国に向けてむらなく発信するよう国が指導することが大切だと考えます。
 次に、スポーツ愛好者を増やすための方策について申し上げます。
 生涯にわたってスポーツを愛好し、実践できる国民を一人でも多く育成することは、国民の健康にとってはもとより、ひいては国力の維持向上を図る上で極めて重要なことです。そしてそれらの力をはぐくむ上で、学校教育の教科体育・保健体育及び運動部活動や地域での日常の活動が果たしている役割は大きく、それらの内容をより一層充実させることは重要なことであると考え、以下、その内容について提案をさせていただきます。
 第1に、学校における教科体育・保健体育についてですが、小・中・高一貫した教科体育・保健体育プログラムを作成し、そのもとで途切れることなく12年間の一貫した教育を行うことが大切であると考えます。その中で小学校の体育は専科教員が指導することとし、小・中では運動に親しむ心、高校では生涯スポーツを実践できる具体的な力を育てることに力点を置くべきであると考えます。
 第2に、運動部活動についてですが、まず、中・高校の運動部活動を学習指導要領の特別活動の中で明確に位置づけることが大切であると考えます。次に、学校外から優れた指導力を有する指導者を招き指導をお願いする、いわゆる外部指導者制度を一層充実させて、その際、特に指導者への待遇改善を図る必要があると考えます。また、運動部活動の発表の場です、多くのトップアスリートを輩出するとともに多くのスポーツ愛好者を育てております、高校で言えば、その頂点にありますインターハイ等への支援をいただくことが、インターハイはもとより、それを支えるローカルの大会や日常の運動部活動の充実が図られ、そのことが生涯スポーツ実践の基礎づくりにつながると考えます。
 第3に、地域のスポーツ振興についてです。この問題についてはさまざまな指摘が今までなされてきたところですが、地域のスポーツ拠点として、改めて小学校の体育施設の整備とその有効活用を考えることが大切だと考えます。その際、地域のスポーツ状況に精通している地域の教育委員会との連携のもとで、多くの市民の運動参加を得ていくことが大切だと考えます。
 次に、健康増進につながるさまざまな企画への参加や物品の購入等に関して、財政的な支援や特典を与えること、すなわちエコポイント的な発想を導入、活用することが運動実践の活性化につながると考えます。
 以上でございます。失礼いたしました。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 ありがとうございました。では、引き続いて意見交換をさせていただきたいと思います。

【鈴木副大臣】  

 今日はありがとうございます。NHKの話は本当にそうだなと思いましたが、放映の状況は、今はどういう感じなんですか。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 うちでいいますと、インターハイは1週間にわたって行われますが、1日1時間という競技放映ということになります。ですから非常に限られたところしか放映していただけていないというのが状況です。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 2枚目のところで、例えば小学校を拠点とした地域のスポーツクラブ的な面を語っていただきましたが、現実には高校では中々難しいんですか。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 そうですね、高校となりますとかなり点在しておりますので、その地域の方や地域の子供たちが気軽にぱっと行けるところはやはり小学校だと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 そういう身近なイメージで。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 はい。小学校の施設も大分よくなってまいりましたので、大人もかなり使えるような状況になっております。そういったところを活用しながら、最後にはスポーツクラブといったところにつなげていくのはどうかなと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今、地域の総合型のスポーツクラブを全市町村にということで国としても取り組んでいますが、それの高校の部活動と連携というのは、実態はまだそんなにないのではないかと思いますが。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 ないと思いますね。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今後の可能性というのはどう見ていますか。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 私は十分にあると思います。そこに行けば指導者がきちっとそろっておられますし、施設が立派なものがありますから、そこに子供たちが行って部活動をして、そうすると、またそこにいろいろな学校の子供たちが集まってきますから、そこでまたいろいろな交流ができるとか、教育効果は抜群だと私は思っています。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 さきほど中体連さんにも聞きましたが、学校単位ではない、どちらかというとスポーツクラブに所属している高校生のインターハイへの参加というのは、現在は認められていないんですよね。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 いないんです。そういう要望もかなり聞こえておりますので、そういったところからも、組織として参加できるような形を今後検討していこうということは考えております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 一番下のエコポイント的発想というのは何か、具体的に教えていただければと。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 どんなジムでも、行きますと、入会金などがかなり高いんです。でも、ああいったところは非常に有効活用ができるすばらしいところなんです。そういったところにもできるだけ多くの方が参加することが、またそれなりに意味があることだろうと、そういったときに、財政的な援助を少ししていただくと、かなり私は助かるところがあるのではないかと思います。そのようなポイントをまた合わせて、また何か物品を購入したりすることもできるかなと思っていました。そんな発想です。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 少し話は飛ぶかもしれませんが、今、中・高校生で、例えば女子生徒の人たちで体育の授業以外には体を動かさないという人が3分の1近いという実態があって、そういうことについて何か高体連として取り組まれていることはありますか。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 我々としては、特に全国高体連としては取り組めていないんですが、地域のローカルの都道府県の高体連としては、かなりいろいろ自由にできるところがありますので、運動にほとんど参加していない子供たちも参加できるような、そういうスポーツ大会とかを考えていただけませんかというお願いはしております。
 ただ、ご指摘のように女子は30%も(入部率は)軽く行きませんので、そういったところは非常に危惧しているところです。特に、大都市は非常にそのパーセンテージが低いものですから、そういったところも考えております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 中々いい手立てが見出せないのが悩みですので。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 そうですね。ただ、やはり既存のこういうスポーツしかないんだという発想ではなくて、いろいろなスポーツゲームがあるんです。そういったものも学校教育に取り入れてやるということによって参加者を増やしていくということは大いに考えられることだと思います。

【鈴木副大臣】  

 体育の授業について、私は体育の授業は大好きだったんですが、体育が好きでない子供たちが増えているということに対して、体育好きにするために、もちろんこれは教育でやっているわけですからということは分かった上で、今後工夫していく余地といいますか、指導要領的な、あるいはカリキュラム的なところで、本当はこうした方がよいと思っておられることがあればお願いします。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 現場ではかなりいろいろな研究をされて、実践をされていらっしゃるんです。例えばまだまだ非常に多いのは、積み上げて、最後に試合だと。そこまでにものすごく時間がかかるわけです。それで、例えばバレーボールの試合だったら、数時間でぱっと終わってしまうというような発想でやられているところが残念ながらまだまだ非常に多いんです。が、スポーツを教材として扱うということであるならば、スポーツの持っているその魅力を存分に生かせるようなカリキュラムをきちっとつくるということが私は大切じゃないかなと思います。端的に申し上げますと、ゲームを前へ持ってきて、真ん中へ持ってきて、後ろへ持ってきて、そのゲームを楽しくするためにはどうしたらいいのかというようなことを高校生ですと考えられますので、そういったような学習課程を組んでいくということになると、かなり違ってくるのではないかなと。

【鈴木副大臣】  

 今でもそれは教員の判断でできると。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 できます。

【鈴木副大臣】  

 では、比較的教員次第ということですか。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 ええ、それはあります。その学校の取り組み方にもかかわってきます。それから、授業の中でビジュアルなものを取り入れながら、ただ先生がホイッスルを吹くのではなくて、ビジュアルなものを子供たちに見せながら、興味を持たせながら授業を展開するということもかなり有効な工夫の方法じゃないかなと思っています。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 指導要領に関連して、運動部活動を特別活動に位置づけるというのは、ある程度義務づけたいということにつながるお考えですか。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 いえ、ただ、昭和45年からずっと始まって、平成11年で終わりましたが、あそこで取り上げたのは全員参加クラブですね。ああいう発想でなくて私はいいと思うのですが、運動部活動的なものが、教育的にこれだけの配慮をすれば、こういう価値があるんだということを位置づけていただくことだけでも随分違うと思います。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 よろしいですか。貴重な意見をありがとうございました。

【財団法人全国高等学校体育連盟】  

 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【鈴木副大臣】  

 どうもありがとうございました。


(団体入替)

 

【尾﨑大臣官房審議官】  

 お忙しい中、夜遅い時間に恐縮でございます。ありがとうございます。

【全国体育系大学学長・学部長会(飯田会長)】  

 早速よろしいですか。

【鈴木副大臣】  

 はい、よろしくお願いします。

【全国体育系大学学長・学部長会(飯田)】  

 それでは、体育系の大学の現状ということで1分ほど。
 全国の大学、体育系の学長・学部長会というものがございます。これは学部以上を持っているところが所属していますが、現在24大学、2つの国立大学と、あとは私立大学です。そのうち9の大学、ほぼ3分の1以上が平成15年以降、今から8年前以降に設置され、急増しているということです。そしてこの24大学で学ぶ学生がもう3万人を超えております。そのほかの特徴としてはスポーツマネジメントとか、スポーツビジネスという学科とかコースがこの10年間ぐらいで急激に新設され、全国でおそらく、50近くの大学にできているのではないかと思われます。
 それから、次の4点は体育系大学の社会的な貢献というようなことで、1つは体育・スポーツの指導者養成機関としての機能がある。2つ目には優秀なスポーツ選手の育成をしている。3つ目には地域とか社会貢献ということです。特に大学の施設開放とか、公開講座その他をどこの大学でも今では行っています。そして、4つ目はスポーツ関連研究の促進ということで、スポーツの発展に寄与しております。
 次に、体育系大学の課題と要望と言ってもいいかもしれませんが、それについて説明させていただきます。
 子供の体力・運動能力の低下がいろいろな調査研究から明らかになって、小学校体育のあり方が今、問題になっております。本日のヒアリング前に学長・学部長会の意見聴取を行ったところ、ほとんどの大学が、まずこの問題を第一に取り上げてヒアリングで述べてほしいという要望がございました。体育指導者の配置によって子供の体力・運動能力の向上を図るのみならず、同時に体育系大学の就職の受け皿となることも期待されることから、これは長年の懸案ですので、ぜひ文部科学省の高等教育局とか、初等中等教育局も連携してその実現を図っていただきたいという要望です。
 2つ目としまして、科学的研究に基づいたタレント発掘と、それから早期の一貫指導システムの構築がこれから大切になるのではないかと考えます。
 3つ目には、優れた選手が所属するような大学等への育成支援をお願いしたい。オリンピック等の国際試合で多くの優れた選手を大学からは送り出しております。個人的にはいろいろな顕彰制度がございますが、その基盤となっている大学等についてはこういうような支援策というのはほとんどありません。例えばJリーグでは、1部、2部に選手が入りますと、1人当たり、通称育成金と呼びますが、トレーニング費として30万円が大学に入ってくるというようなことで、これはサッカーが進んでいますが、ほかの競技団体等でもぜひそのような、個人的なことだけではなくて、大学への支援をしていただくと大変財政的に助かるということでございます。
 4つ目にはスポーツ選手のセカンドキャリアのことです。生涯にわたってその能力を幅広く社会に生かす、その1つとして、大学では再教育とか資格付与ということが1つの大きな役割になるのではないかと考えております。そこで競技とか指導実績、あるいは経験年数などを考慮して、大学の入学資格や要件、それから修業期間の見直し等、柔軟な教育制度を整備していただきたい。これは先ほど早稲田大学で桑田真澄さんが修士を取って出たこととか、あるいはサッカーでは平均26歳で引退するというようなこともありまして、セカンドキャリアについてお願いしたいと思います。
 最後にスポーツ基本計画の名称についてで、これは大学の体育教員の中には体育という用語にノスタルジアもあるのかもしれませんし、あるいは今までの日本の歴史を見てきますと体育ということが非常に浸透しているので、「体育・スポーツ基本計画」という案はどうかというようなものも多くの大学関係者から出されています。
 最後、個人的になりますが、自然の中での遊びと教育を私は専門にしていますので、基本計画の施策の1つとして、野外活動の普及奨励と提言されております。子供たちにとって運動の基本である自然の中で歩くことはそれが体力づくりにつながり、あるいは心の教育にも効果的で、それから、これからは環境的な視点からもこうした教育を行う必要があるので、高く評価しております。
 以上です。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 どうもありがとうございました。

【鈴木副大臣】  

 ありがとうございました。セカンドキャリアは本当に大事だと思っています。スポーツマネジメントとか、スポーツビジネスとか、そういうこともトップアスリートであってもある程度の基礎は、将来のことを考えると必ず引退という日が来るわけですから、そういう人たちに我々は地域のスポーツクラブのマネジャーなんかもやってもらいたいと思っているので、教育でそういうものを追加していくことがあり得るのか。あるいは逆に、今どれぐらい進んでいるのか。それから再教育といったときに、どういう教育をイメージしておられて、それが本当にセカンドキャリアを支える上で有効な教育、あるいは資格というのはどういう資格かということをもう少し具体的に教えていただけますか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 例えば、ある人は、その基礎的な知識だけで実践的なプレイヤーとしてではやってきたが、その原理とか高度な知識について学び直し、コーチとして指導者になるという点もございます。それから、あとはそれに付随して身体のこと、あるいは技術のことを含めたトレーナーとか、サッカーなんかは専門的に随分分かれていますが、マネジメントの方とか、大学はカリキュラムにいろいろな面がありますので、その中で自分が伸ばしたいものを伸ばすだけの準備はできていると思います。特に、大学院は比較的入りやすいのですが、4年制の大学というのは中々難しいですよね。高等学校を出て、例えばサッカーの選手になって二十五、六でやめたとすると、もう一回大学に入りたいといっても、それはとても猛勉強して入って、時間やお金を費やしてということは難しいので、何年か、5年とか6年の選手活動を2年分の教育経験に見てあげて、3年生からの編入のような形で2年間教育をやることによって大学での学士の資格を与えて、その間に自分が進む道をどうするのかという勉強もしてもらうことができるのではないかというようなことを考えて要望しているわけです。

【鈴木副大臣】  

 なるほど。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今、副大臣も少し聞かれた関係で、スポーツ関係の資格制度は、大学のレベルから見ておられて、今の資格制度では不十分であるとか、もう少しレベルがとか、何かそういう面はあるのでしょうか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 今、体協なんかが競技団体としては個別に随分出していますよね。やはり最低限、大学を出て、できたらトップのコーチ連中とかはもっと高いレベルの、大学院レベルぐらいはせめて知識とか技能の面でマスターしてもらって、なおかつ共通の、お医者さんほどじゃないにしても、そういう共通のテストとかライセンスみたいなものをこれからやっていかないと、いつまでも高いレベルの競技力とか、あるいは広く生涯スポーツを振興していくのが難しいのではないかと、そういう点では専門性ということがもう少し問われるべきであると考えております。

【鈴木副大臣】  

 とすると、新たにそういう資格を大学共通でつくるということですか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 そういう案も出ています。今、教育の質保証ということで学術会議がやっておりますが、既に体育の方では、その特別の委員会をつくりまして、何を学生が学び身につけるべきかというようなことで、外国の文献等も収集しておりまして、それからアンケートも来週から実施します。そういう中で、もし最終的にできるならば、もちろん大学の自主性、自立性ということはありますが、そういう共通のものでやることができないかと、国際的にはそういう流れになっているので、何か日本でもそういうものを模索していきたいと、委員会で検討しております。

【鈴木副大臣】  

 体育の教員の話ですが、養成で今、修士、要するに実務を1年きちっとやるという意味でのプラスアルファということを考えています。逆にそういうことになれば、体育教員がきちんと修士を持てば、もっと学校コミュニティーの中で、教員集団の中で、今でも非常に大事な役割を果たしていると思いますが、さらに心のケアも含めて、あるいは集団活動とか、もっと活躍していただけるのではないか。何か体育教員の修士化ということについてご意見はありますか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 質の向上にはすごくプラスになると思います。ただ、現状の教員志望の学生たちがそれだけ年月とお金をかけて待てるかどうかと、しかも入っても、それは必ずしも教員になれるという保証はないわけですから、その点を考えると、必ずしも全てうまくいくかどうかはこれからの動向を見ないとわからないと思いますが、個人的には6年やった方がいいと、もう少しその中で実習を主にした勉強ができればと思います。

【鈴木副大臣】  

 保証があればいいわけですね。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 保証があれば、もう間違いないと思います。

【鈴木副大臣】  

 修士をきちんと終えれば、ほぼ七、八割、教壇に立てると。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 はい、その保証があれば志願者は高いと思います。

【鈴木副大臣】  

 さきほど先生は野外活動のことをおっしゃったんですが、私も野外活動、体験活動はすごく大事だと思っています。さきほどの再教育の話に戻りますが、最初は別の種目をやっていた人でも、学び直しのときに、野外活動指導とか、そういうものの専門になるということは十分あり得るのでしょうか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 あり得ます。

【鈴木副大臣】  

 かつ、またいいことではないかと思うのですが。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 例えば今、サッカー界でも、Jリーグの監督になるS級のライセンスをもらうには40日間ぐらいの研修がありますが、その一部、一番最初に野外活動を取り入れているんです。それはチームづくりということで、これは専門的にいうとASEといっていますが、アクション・ソーシャライゼーション・エクスペリエンスで、実際行動を通して社会性を養うということで、チームづくりのために必ずそれを一日中かけてやっているんです。そういうものも非常にサッカーでは役に立っているということで、岡田監督とか、多くのチームが取り入れてやっています。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 2番目の早期の一貫指導システムの構築というのは、大学ではどういうかかわりがあるのでしょうか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 やはり研究面です。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 競技団体をサポートするような位置づけということですか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 そうですね、どうしてもまだ個人的な経験知から出てくるだけの指導というのが多く見られ、それも大事ですが、そういうのをもう少し一般的に、だれもが納得できて、特にタレントの発掘や縦断的・発達的研究の成果みたいなものがもとになれば、よりいい成果が上がるのではないかと考えています。そういう面で大学は協力できると思います。

【鈴木副大臣】  

 総合型スポーツクラブが各地域にありますが、そういうところにマネジメントとコーチングと、それからそういう野外活動みたいなことがかなりきちんと教えられる人を送り込みたいと思っていますが、そうすると、最大期待される供給源は皆さん方のところだと思うのです。そうすると各地域でかなり分かった人たちがきちんといて、中学生や小学生で才能のある人を比較的早期に見つけて、その子に合った指導が科学的に、かつ系統的に行われるのではないでしょうか。いろいろ聞いてみると、中学校での指導法と高校になって指導法や指導者が変わることで少し方針が変わったりして、そこで少しつまずいてしまうみたいなことを聞いたりもするのですが。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 やはり指導者の質というんですか、それがなくて、安易にボランティアだけに頼っていたら、地域の総合型スポーツも結局は、あるよという存在感だけで、本当の成果というのが中々上がりにくいのではないかなと、現在もその傾向があるのではないかなという気はしております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 何か総合型スポーツクラブに対して体育系の大学の方々がアドバイザーというか、そういう連携というのはお願いすると可能なものですか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 連携もありますが、それ以上に大学自体がもう総合型スポーツの……。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 担い手になっていただく。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 施設として機能している。うちのびわこ成蹊スポーツ大学なんかはそうですが、筑波大学や福島大学もそうですし、大学自体がその中心になって、NPO法人でもやっているというような形もあります。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 もうそういう実践をやっていると。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 自治体がやるのも、国がやるのも大事ですが、大学もそのうちの1つの拠点として利用なされたら、両方にとっていいのではないかなと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 そうですね。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 冒頭の現状のところで、スポーツマネジメント、スポーツビジネス関係の学科コースが急増しているという話でしたが、これは時代背景といいますか、受け皿的にきちんと展望が開けているのでしょうか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 スポーツが盛んになって、それだけ観客も増えれば、それから支え役ですね、運営役だとか、そういうことがどんどん広がってきています。それからウェアやウオーキングシューズがいいのがどんどん出てきたり、着るものも全部そうですし、それによって筋肉の働きが違ってくるとか、ものすごい勢いでスポーツ産業そのものが大きく広がっているわけです。それに対して、もちろん技術者も必要ですが、運動をやった経験のある連中がそういう中で働いているということで、たとえばモンベルという野外活動の関係の会社がありますが、そういうところへも、昔は技術者だけだったんですが、今は体育系大学を出た連中をだんだん採用するようになっています。そういうスポーツの実践を生かした産業がだんだん重視されてきております。

【鈴木副大臣】  

 そうすると、スポーツビジネスの中では、少し経営の基本みたいなこともカリキュラムにきちんと入れてやっていくということになっているわけですね。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 はい、なっています。特にアメリカはすごく進んでいて、そのためのライセンスを取るために4年間何をしなきゃいけないという、目標があって、それからそれに対して毎時間何をやらなくてはいけないか、評価はどうするか、全部できていて、今、これは大学教育の質保証の一環として注目しています。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 あと、これはお願いですが、スポーツ局の方がどうしても学校体育というと小・中・高を中心に考えてしまっていて、大学の関係の学長さん方、学部長さん方との連携は十分とれていないような状態でありまして。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 我々もそれは努力不足ですので。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今後、いろいろな形で連携を図らせていただければと思います。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 はい。

【鈴木副大臣】  

 あと、体育系でない私立大学、私立だけではないですが、大学は、施設はきちんと持っていますが、稼働率がまだまだ低いような気がするんです。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 今言われているのはどういう大学ですか。

【鈴木副大臣】  

 要するに、国公立、私立で、体育系でない一般の大学の。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 共通体育で使われているような。

【鈴木副大臣】  

 ええ、そうです。要するに昼間や、大規模校であれば部活で使っていますが、比較的小規模校になると、体育館やグラウンドがあまり活用されていない。例えばそこにスポーツ系大学の人が……。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 乗り入れ。

【鈴木副大臣】  

 ええ、乗り入れたり、あるいは応援に行ったりできないかと。スポーツ大学自体はもうスポーツをやっていますよね。それはもうやり切っていると思うので、それ以外に大学はファシリティーは良いものを持っているのですから、大学がもっと地域住民とか、地域の子供たちに開放するのはどうでしょうか。地域の、例えば比較的小学校でも、中学校でも、高校でも、かなり可能性のある人たちに練習場所として、まさに総合型スポーツクラブなどを対象として開放し、ただ、そこに人がいないと意味がないので、そういうところにスポーツ系大学の人が協力するような連携は机上の空論なのでしょうか。

【全国体育系大学学長・学部長会】  

 いや、そんなことはないと思います。ただ問題は地理的なことですよね。どのくらい離れているかということはあるかもしれませんが、それは大変いい視点だと思いますし、やってみる必要があると思います。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 よろしいですか。どうも貴重なご意見をありがとうございました。

【鈴木副大臣】  

 またよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

(団体入替)

 

【鈴木副大臣】  

 夜分に申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 どうぞよろしくお願いいたします。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 障害者スポーツ協会の副会長の伍藤でございます。よろしくお願いします。
 それから、常務理事の吉田でございます。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(吉田)】  

 吉田でございます。よろしくお願いいたします。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 それから、パラリンピック委員会の事務局長の中森です。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(中森)】  

 よろしくお願いします。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 簡潔に、私から概要をかいつまんでお話をさせていただきたいと思います。
 紙の資料とパンフレットをお配りしておりますが、パンフレットは参考までに。1枚目、私どもの協会のいろいろ概要を紹介しておりますが、障害者スポーツの歴史・沿革ということで、左下にオリンピックの東京大会、東京オリンピックの写真が出ておりますが、そのときパラリンピックが東京で開催されまして、それが事実上、日本の障害者スポーツの発展の最初の段階だということです。そのときに、パラリンピック東京大会を運営するために協会、組織ができまして、大会終了後それが発展的に解消して、今、私どもの障害者スポーツ協会の設立となりました。
 それから、書いてありませんが、障害者スポーツ、歴史的にはそんなことですが、世界的にも日本の中でも、病院の整形外科を中心に、整形外科のリハビリ、社会復帰というようなことのところから、病院の先生が、特に最初の草創期には病院から社会に復帰して、あるいは社会参加すると、そういう1つのツールとしてスポーツを取り入れるというようなことから発展をしてきたということで、私どもの団体は厚生労働省の所管ということになっています。沿革的にそういうところから、医療、福祉の関連で発展してきたと、それが今、パラリンピックがだんだん盛んになって、競技スポーツというような色彩が随分強まってきましたから、そういういわゆる社会参加と競技スポーツ、これは非常に幅が広がってきたというのが現在の状況でございます。
 それで、パンフレットの9ページ、10ページをお開きいただきますと、左に、大体各都道府県に、これは一般スポーツも同じだと思いますが、協会があって、草の根の障害者スポーツを支えておると、それから10ページの一番上に、特に都道府県によっては障害者独自の何かスポーツセンターを持っているところが23カ所あるということですが、その名前を見ておわかりのとおり、スポーツセンターと名乗っているところもありますし、自立交流センターとか、福祉センターとか、今言いましたような福祉とか、社会参加とか、そういった趣旨の名称を冠しているところもございますが、そういう障害者スポーツの特性からそんなことになっております。
 そんなところで、あとは用意いたしました、これは今年のバンクーバーのパラリンピックの模様を参考までにご紹介しておりますが、金銀3個ずつ、それから銅が5つ、11個のメダルということになっています。
 それから1枚紙を用意しておりますが、障害者スポーツ施策の現況と課題についてということで、どういうふうに全体のスケールとか、規模をご紹介したらいいかと、中々あれは難しいんですが、オリンピックと比較しながら少しデータをつけてご紹介させていただきますが、1は省略いたしまして、2番目の障害者スポーツの現状ということで、主な競技会は国際大会、国内大会、こういった大会で、国際大会では夏冬のパラリンピック、それからそれぞれ競技別の大会、それから国内では全国障害者スポーツ大会、これは国体の後に実施しておるものです。それからジャパンパラリンピック大会、全国障害者スポーツ大会というのはどちらかといえば社会参加型で、ジャパンパラリンピックとか日本選手権、これは競技別、あるいはかなり競技性の高い大会と、こんな形になっております。
 2の(3)で全体の財政の大きさということで、主な収入と、JOCと我々のJPCといいますが、日本パラリンピック委員会、この資金規模を比較したものです。大体健常者の大会の財政力の10分の1以下というぐらいの規模でございます。パラリンピックへの参加選手はここに書いてありませんが、北京、バンクーバー、最近の大会ではオリンピックの大体半分、役職員含めて、参加が大体ちょうど半分ぐらいの人数を派遣しておるということです。
 解決を要する問題として3番、幾つかの課題を列挙しておりますが、選手の自己負担がいろいろ海外遠征ですとか、あるいは企業の支援が中々普通の選手に比べて得られにくいので、中々自分で自前で負担をしながら行っておるというようなことですとか、競技団体も、これは弱小の団体が多くて中々職員が置けないとか、拠点がないとか、自宅を拠点にしているとか、そういうような形でやっております。
 3番目に国庫補助金や公的補助金の補助率の引き上げと書いてありますが、そこに書いているようないろいろな種類の援助、支援をいただいておりますが、そういった所得状況とか、障害者の現実の状況からいいますと、自己資金、補助率によっては自己資金が中々競技団体で負担できなくて、受けたくても中々受けられないというケースが多くて、そのあたりを何とかできないかと思います。今、障害者福祉の方では自立支援法を廃止して、いわゆる応益負担から応能負担へと民主党政権がやって、そういう大きな転換が図られていますが、スポーツの世界でも中々障害者の団体、あるいは障害者の競技団体も率直に言って弱小なところが多いものですから、そういう、何とか、自己資金なしでとは中々申し上げられませんが、ある程度の負担能力で支援をしていただけるような方法はないだろうかというのが3番でございます。
 課題はそんなところで、残りはここに書いてありませんが、4番目に、オリンピックなんかに比べて露出度といいますか、報道が中々取り上げてくれないという課題もありましたが、長野のパラリンピック以来、随分これも少しずつ改善されて、昨今は随分民放なんかも取り上げていただけるようになりました。この点は随分改善してきたなと思っています。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 ありがとうございました。引き続き意見交換ということでよろしくお願いします。

【鈴木副大臣】  

 ありがとうございます。バンクーバーでのパラリンピックの選手の皆さんの大活躍は国民の皆さんも非常に感動をいただいきました。このヒアリングでもスポーツ庁をつくれという強いご主張を述べられる方がいらっしゃいました。仮にスポーツ庁ができるといったときに、ずばり伺いますと、障害者スポーツをその新しい組織が担当するということを、よくこれも報道等でパラリンピックは厚労省でオリンピックは文科省だというところをいろいろ指摘する声もあるわけですが、それをスポーツ庁に障害者スポーツも一元化していくということについてのご意見をお聞かせいただけますか。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 よく出る話題でありまして、少し何か問題があると、すぐ所管が違うというところに問題を持っていきがちな面もありますが、しかし基本的にはそういう一元化するというのは、私ども基本的にはスポーツ庁とか、そういう独立した組織ができれば、諸外国の例を見ても、選手の立場から見ても、いいのではないかという、基本的にはそういうふうに思います。それによって、今言いました、いろいろな意味で企業の支援とか、公的な支援というのが中々今、脆弱な状況にありまして、そういう一元化ということによって全体の基盤が拡充されれば、選手や競技団体にとっても非常にいいことではないかなと思います。
 それから、私もまだそんなに日が長いわけではありませんが、何度か接しておりまして、特にアスリートと称したいトップレベルの障害者の選手、特にその人たちは意識として、福祉とか、何か福祉政策のもとで自分たちがやっている、そういうレベルじゃないんだと、こういうふうに思いたい者も多くて、現実にお金の問題とか、そういうことよりも、そういう意識の面での改革といいますか、そういうものでスポーツ選手という位置づけを与えるとういことが、そういったメンタルな面からも少し支援になるのかなという気はいたしております。いずれにしても、そういう新しい組織で一元化して健常者も障害者も一体的にやっていくというのは、大きな流れで障害者のノーマライゼーションといいますか、全体の大きな社会の流れには合致した方向じゃないかなと私どもは思っています。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 少し初歩的な質問になるかもしれませんが、健常者のスポーツですと、オリンピック委員会が国際的な競技力向上担当で、日本体育協会が地域スポーツ、生涯スポーツという担当、大きくそういうことになっていますが、実際に障害者スポーツ協会さんとパラリンピック委員会というのは同じような構造なんですか。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 これは、それは1つの全体が、自分で言うのもあれですが、財政力とか人材面で脆弱なうちの1つの形がそういう、私どもの障害者スポーツ協会の中にパラリンピック委員会というものを置いて、実態的に二枚看板でやっているというのが実情であります。本来、そういった本当の競技スポーツを専門にやるこちらのあれと、広く参加型といいますか、社会参加、そういう草の根のスポーツを振興するといった、体協とJOCのように分けた方が機能的ではありますが、そこまでの余力がないというのが現実でありまして、1つの例というか、規模でいいますと、体協が今、80人の職員でJOCが40人の職員で合わせて120人の組織でこういうものを運営していますが、私どもは1つの組織で今、二十二、三名で全体のスポーツも、それからこういう競技型のスポーツもやっているというような、そういうところからおわかりいただけると思うのですが、とても分けて運営していくほどの余裕がないというのが現実の姿でございます。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 関連して、文部科学省と厚生労働省さんの障害スポーツ担当のところと、今回、パラリンピック、オリンピックがあったので、それからナショナルトレセンの利用状況といったことでようやく話し合う機会が出てきております。これまで定例的な会議は年に一、二度やってきた中で少し深まりつつありますが、障害者スポーツ協会の方々と日本体育協会、JOC、オリンピック委員会等の日常的な連携というものはどれぐらいとられているものなんですか。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 日常的というとあれですが、いろいろな当局のご指導もあり、それから実際の必要性もあって、今、私どもの理事会とか評議委員会には体協やJOCからも入っていただいて、いろいろ貴重なご意見をお聞きしたり、あるいは私どもの理事会の中でそういうナショナルトレセンをもう少し使わせてくれないかというようなざっくばらんな、いろいろな団体が出ていますから、そういう議論をすることもありますし、かなり昔に比べると、多分、議論は深まっているというか、連携は深まっているのではないかなと思います。それから、逆に私どもの団体自身が、一応、体協の1つの組織として参加させていただいておりますが、現実にいろいろ議論する場は、むしろ私どものいろいろなあれをするときに入っていただいて、いろいろな、要するにオリンピックはどういうふうに、例えば選手村をどう使っていくかとか、あるいはトレーニングはどうしてやるとか、どういう条件が整えば障害者が使えるかとか、意見交換しやすい雰囲気には最近はなっておると思います。

【鈴木副大臣】  

 もう1点いいですか。これを見ると、法人格を、これは要するに取得していないということですか。NPOとか、財団とかと書いていない空欄のものは。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(中森)】  

 ないのはないです。

【鈴木副大臣】  

 ないということなんですね。これは今後どういうことになって。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(中森)】  

 先ほど副会長から説明があったように、要はボランティアの団体で、事務所がないとか、あと専従職員がいないとか、そういう中で各団体が運営されています。その中でそれなりに形を整えようということでNPOの法人が増えてきたという状況です。

【鈴木副大臣】  

 今後、大体こういう感じというか、要するに、今、少しずつ増えてきているのでしょうか。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(中森)】  

 増えつつある状況だと思います。それと、あと法人格があれば、直接助成金の申請ができるとか、そういうことがあるので、増えてくるかとは思います。

【鈴木副大臣】  

 統括団体が統括している部分はあるのでしょうか。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(中森)】  

 そうです。障害別にまとまっているところが幾つかありますが、そこはそこでまとめていただいてということになります。特に障害別には、何ていうんですか、歴史的な背景があって一緒にできないとか、知的障害は知的障害でまとまって何かしよう、聴覚は聴覚でという、結構そういう結束力が強いところがあります。

【鈴木副大臣】  

 ありがとうございます。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 余談ですが、知的障害はいろいろ過去にも問題がありましたが、今度、次回のロンドン・パラリンピックからまた知的障害も、今は身体障害者だけですが、パラリンピックに参加するということで仕掛けがされていると。昔も一回やったんですが、少しいろいろ問題があって中断していたんです。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 よろしゅうございますか。どうも貴重な時間をありがとうございました。

【鈴木副大臣】  

 ありがとうございました。

【財団法人日本障害者スポーツ協会(伍藤)】  

 どうもありがとうございました。

 

(団体入替)

 

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 日本スポーツ仲裁機構の機構長をやっております道垣内と申します。本日は私どもの意見陳述を聞いてくださる場を設けていただきまして、ありがとうございます。
 日本スポーツ仲裁機構は設立から既に7年を経ております。その7年間の経験を踏まえて、特に我々の団体はほかのスポーツ団体と違って法律家の集団という色彩が相当強いものですから、ややその観点からの意見を申し上げようというのが今日の意見陳述の趣旨でございます。
 全体的な一番言いたいことは、現在、ドーピングについては極めて厳しい体制がしかれつつありまして、摘発をするための検査とか、制裁が行われておりますが、日本のスポーツ界の現状をよくするためには、そういうところじゃないのではないかという点です。スポーツ界の問題は、むしろガバナンスの問題であり、コンプライアンスの問題であり、具体的な学校スポーツを見ても、セクハラとかパワハラが蔓延していると言われておりまして、私どもから見ても、そういうことは聞こえてくるところでございます。そういう点を直さないと、決して日本国はよくならないと思います。スポーツ界を明るくし、そうすることによってアスリートが伸び伸びスポーツができ、そういう広がりがあれば、トップも高くなるといいますか、金メダルもとれるような体制になり、結局は日本国民みんな日本国に自信を持って生きていけると思います。そういう仕組みを、要するにドーピングで今、考えられているような仕組みを、あるいは既に行われているような仕組みをもっと広くほかの分野にも及ぼしていただきたいと思います。
 今日用意しました紙の2枚目の3のところが申し上げたいことでございまして、3のところだけを中心に順次申し上げたいと思います。
 5点ございます。第1番、aと書いてあるところは、スポーツ界に人の支配ではなくて法の支配を行き渡らせるという点です。これを実現するには、法律上強制するというよりは、スポーツ団体全体の自律的な仕組みとしてそれをやるべきであって、法律はそれを後押しするということでよろしいのではないかと思います。そういう意識がスポーツ界に共有されないと、物事は始まらないと思います。
 そういうガバナンス、コンプライアンスが大切だということをいくら言っても、そうならない人たちがいて、それを摘発するという仕組みが必要なのではないかという点です。ここには「検察官のような」という怖い言葉もありますが、言いたいことは、しかし自主的な仕組みとして第三者機関をつくって、その人たちが立入調査をできるような仕組みにしていただきたいということです。その立入調査を拒否するような場合には、法律上いろいろなやり方があるかと思いますが、間接強制で十分だと思います。補助金をとめるなり、代表選手の選考をさせないとか、いろいろなレベルの制裁があろうかと思いますが、オープンにできないような団体はそれなりの制裁を受けると、それをもとに調査を受け入れるということにならないものかと思います。
 そこに書いておりますように、問題は、先ほど申しましたパワハラとセクハラと両方混然一体におそらくなっているんだと思います。そういうことを完全になくすことは難しいかもしれませんが、第三者の目が入れば、相当になくなってくるのではないか、さらに第三者機関があれば、そこに安心してアスリートが通報できるということにもなろうかと思いますので、その仕組みをつくっていただきたいと思います。
 注のところに書いてありますように、スポーツ界のさまざまな争いごとは法律の外といいますか、裁判にも行けないものでございますので、そこを改めていただきたいということでございます。
 cのところが、現在、我々がやっている自主的な仕組みとしてのスポーツ仲裁でございます。これは待ちの姿勢といいますか、争いが持ち込まれて初めて動くということなので、bの方がよほど大切で、摘発をして、争いになれば、第三者機関であるまたスポーツ仲裁機構なり、その他の仕組みで公平に裁判するということであろうかと思います。
 dですが、このようなことをするには相当お金がかかります。人をとにかく養わなきゃいけませんので、ただでできるものではありません。そのことを十分ご認識いただきたいと思います。下手な紛争解決をすれば、余計物事は悪くなりますので、よい人たちが入ってこられるような仕組みにしていただきたいと思います。
 最後、障害者スポーツも同じことでございまして、そこにも同じような問題があるはずですので、それもカバーできるような仕組みにしていただきたい。
 以上でございます。

【鈴木副大臣】  

 ありがとうございます。我が政権におけるスポーツ基本法の特徴はここの部分になると思っています。まさに法の支配をどのようにこの世界に入れていくか、そのときに法律で後押しをすべきであるということですが、もちろん基本法にどこまで書くのか、それからそれを受けて下位法でどこまで書くのか、そういう設計になろうかと思いますが、どういうイメージで。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 例えば、貸金業者がばらばらに存在している場合、その人たちをうまくコントロールするには法律で直接やる方法もありますが、業界団体をつくるという方法もあります。スポーツ界では統括団体がそれをやるべきだし、それが結局はみんなのためになると思います。きれいにしている団体にとっては、変な団体がいて、それが不祥事を起こすことは自分たちにとってもマイナスに働くということがわかれば、それはみんなでできる話ではないかと思います。私はあまり行政には詳しくないのでわかりませんが、そのような仕組みをつくることがあり得るのではないかと思います。

【鈴木副大臣】  

 統括団体とおっしゃったのは、体協なりJOCなりと。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 はい、そのほか、障害者スポーツ協会もそうです。

【鈴木副大臣】  

 なるということですね。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 はい。

【鈴木副大臣】  

 それともう1つは、今は一般財団法人ですよね。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 我々の団体は、はい、そうです。

【鈴木副大臣】  

 これは、別に一般か公益かということを聞きたいわけではなくて、スポーツ基本法上、あるいはその下位法上、どういう位置づけをするのがいいのかと。例えば、医療評価機構という法人がありますが、それは医療法の省令でその団体を定めています。スポーツについては医療法ほど精緻な法体系を持っているわけではありません。しかし、何らかの公益団体を法律上位置づけるということは別に普通のことなのです。要するに、JSAAみたいなものを、例えば著作権管理団体でも今は複数組織をしているわけですが、位置付けるということと、それから機能をどう付与するかということと、それからそれを1つに限るのか、限らないのかと、事実上はコストが大変ですから当分は1つでしょうが、ただ、リーガルにはいろいろな設計のデザインがありますよね。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 法律上は多分、こういう要件を備えた団体をつくれと定めて、担当する大臣が認証していくのではないかと思いますが、おっしゃっていただいている我々の団体(JSAA)のことはそれはそれで大切ですが、しかしbの検察官的な仕組みの方がよほど私は大切だと思っています。そちらも何か仕組みをつくっていただかないと動かない。立入権のようなものを認めるかどうか、捜査権までは行かないと思いますが、いずれにしてもアスリートでない人が働いてくれないと動きません。アスリートは実際には文句を言えないです。紛争を持ち出すことさえできない人たちがたくさんいるので、第三者が見て、そのような人たちのために働く、そういう仕組みを何とか入れられないかと思うのですが。

【鈴木副大臣】  

 もちろん必要性については200%アグリーした上で、要するに、どうつくるかというヒントを少しでも今日及び今後いただきたいと。サラ金の場合は、そもそも貸金業者というのは、要するに届け出義務がありますよね。従って、規制法上、金融庁はそこで貸金業者であることについては把握できるわけです。あるいは、我々でいうと、学校法人は、私立学校法によってまさに認可していますので把握ができます。スポーツの団体については、要するに補助金の交付とか、そういうことはもちろんしていますけれども、そのベースにレギュレーションがありません。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 そうですね。それを、今度、そのベースをつくっていただきたいということです。

【鈴木副大臣】  

 ですから逆に言うと、立入権限というのは、法律的に言えば、相当なことではないかと思います。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 ええ、相当なものです。

【鈴木副大臣】  

 そうですよね。サンクションの方は、さきほど申し上げた不利益を与えるでいいのかもしれないが、そこの設計というものを…。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 しかし、ドーピングでやっているわけですよね、おしっこまでとっているわけですから。それができるのに、ほかの面について第三者が入ることは困るということは言えないのではないかなと私は思います。ドーピングは制裁を後押し、後ろ盾にして、拒否すれば、2回拒否すれば、もう黒判定だという仕組みなので、同じようなことをガバナンスについて導入することはそれほど難しくはないように思います。別に法律上、何かすごく厳しくする必要はなくて、スポーツ界のルールとしてそれをみんな飲めば、できないわけではないのではないかと思います。

【鈴木副大臣】  

 そのときに、ドーピングの場合は比較的グローバルなスポーツコミュニティーのリーダーシップというのがかなりあって、上位グローバル団体からのほぼ有無を言わさぬ指導という中で、ここまでのデファクトができ上がってきたということですよね。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 そうでないと、多分、できなかったと思います。ええ、日本だけでやろうと思えばできなかったでしょう。

【鈴木副大臣】  

 できなかったですよね。むしろ今、ロンドン・オリンピックに向けて刑罰法規を整備しろというふうなことを後追いで言われている。それはそれで今、研究をしているわけですが、これは逆に、まさにドーピングとのパラレルで考えるということになったとき、当然、各国においても法の支配というのは行われているでしょうが、そこはどういうふうな仕組み方になっているんですか。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 すみません、外国のことについてそれほどわかっているわけではございませんが、例えばアメリカには法律がございます。例えばオリンピックのための選手選考をするための団体であるための、要するに統括団体であるための要件というものがあって、それは法律で定められています。そのような基盤となる法律があって初めて本当の全ての仕組みが結びついてくるんだと思います。日本はそういうものはこれからつくるわけですが、そういう団体であり続けるための要件としてはさまざまなことがありえますが、当然、アスリートに不当な圧力をつけたり、あるいは性的な嫌がらせをするようなことはあってはならないことなので、その種のことも書き連ねれば、全部法律の事項なのか否かわかりませんが、そこに書いてあれば、それをエンフォースするような仕組みはつくれるのではないかと思います。
 JOC、体協、障害者スポーツ協会というところだけではおさまらないところもたくさんあって、学校体育なんかは全然外が入っていないので、そこはまた、よりもう少し大きな枠でカバーしてあげないと、と思います。学校のところで嫌になってやめてしまう人たちもたくさんいると思われますので、もう少し何か大きなアンブレラが必要なのではないかなと思います。

【鈴木副大臣】  

逆に、教員であるとやりやすいというか、法体系的には。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 まあ、そうですね。本当に違法行為まで行けば、それは犯罪ですから、検察だってやってくれると思います。しかし、そうでないところ、そこにもう少し事前に入ってあげないと、何か明るくはならないのではないかなと思うのですが。

【鈴木副大臣】  

 少しまたお知恵を、要綱をつくるという話になってきたときに、基本法自体はそれの訓示規定なり、きっかけとなるものを入れればいいということで、それはそれでいいんでしょうが、実際にこれをある程度動くようにしていこうといったときのトータルの。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 そうですね、それは法律の道具を相当知っていないとつくれないと思いますが、それには私では十分ではありませんので。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 1点すみません。我々も時々聞かれるのですが、ガバナンス、ガバニングを考えるときに、選手個人とその所属する団体と、今日、道垣内先生がおっしゃったような観点からの話は極めてわかりやすいのですが、日本の場合にはスポーツ団体のガバナンスの話で連想されるのが、役員間同士の争いだとか、こんな話があったりして、それは仲裁で何とかならないのかという質問を我々は受けることがありますが、でも、選手の個人の権利にかかわる話ではないので、民法なり商法なりそういった組織法の原則の中での地位確認のような、そういう一般司法原則の中で訴訟レベルでこなせば済むのかなと、あるいはそういったところまでガバナンスの範囲に理念として考えていって、仕組みとして整えていく必要があるのか。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 もちろんそれはあると思います。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 ただ、その場合に必要になる仲裁人のクオリティーといいましょうか、その辺はまた少し変わってくるのかなという気もしなくはないんですが、その辺はいかがですか。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

もちろん仲裁人というか、法律家が何でもできるわけでもないので、それなりの知見がある人をきちんと確保し、用意しなきゃいけないと思います。仲裁であるため強制はできないという弱さがあります。仲裁ですから、合意がなければどうしようもないので。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 合意がなければ強制力がない。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 ええ、仲裁に応ずるという合意をしてくれないと入り口にたどり着けません。そこで、合意を強制できるような仕組み、合意しないと何か不利益があるような仕組みはできないものかとおもいます。それはドーピングでは強制仲裁合意ができている以上、同じようなことはできるのではないかと思うものですから。

【鈴木副大臣】  

 要するに、今現在はまだ公益法人なので、役所は認可権限がありますが、一般財団とか一般社団が結果として今、増えていますよね。そうすると、役所は設置法上の、あるいは民法34条上の要するに権限も失うわけですね。
 そうしたときに、要するに望ましい方向とはさらに距離が開かれる中で、これは全くのブレストですが、例えばスポーツ諸団体の届け出みたいなことを別途設けていくと、そうすると、そこにいろいろなオブリゲーションを課すことは、つくることの側からいうとできますね。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 はい。

【鈴木副大臣】  

 そのときの法目的というのは何になるんですか。ドーピングの場合は、比較的、その選手のまさに健康を害するという極めて強烈な法目的がある。もちろん、これも選手の人権と、こういうことになるわけですが、そこは権利侵害があった場合には、それは要するに一般法でいけるわけですね。健康の場合は、それをだから未然に防止するというところでいろいろなものをやってきて、しかしそれとて、別にその届け出をさせているわけではないと、あるいは、逆に言うと、ドーピングとダブルの目的で届け出させるというテクニックはあるのかもしれませんが。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 そういう方法もあろうかと思いますが、その認可とか、そういうことのつながりで制裁を科す必要は必ずしもないように思います。アメリカ的にいうと、そんなのないわけですよね。むしろ抽象的にこうでなくてはいけないというルールをつくっていて、そうでないと、例えば国体に出すのに都道府県ごとにいろいろな競技団体がありますが、なぜその人たちが選べるのかははっきりしていないわけです。それは多分、私も詳しくは知りませんが、日体協が存在して、そこの団体として認められているからだと思いますが、じゃあ、日体協は何者かということ、最後は法律上の根拠がないわけです。

【鈴木副大臣】  

 ないです。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 そこさえはっきりさせれば、その後はつながっていくと思います。

【鈴木副大臣】  

 ただ、そこは結局、国体に出られるとかというところは、要するに便益の提供ですよね。そこに基づくものなんだが、だから、そこをどう構成するかが問題。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 それを法律にどう。

【鈴木副大臣】  

 うん、書くかということを。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 まさにここに書いておられる自主的につくること、法律上により後押しという、後押しの仕方が難しいかなと。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 ええ、確かにそれは難しいです。

【鈴木副大臣】  

 だから、強制権限を、逆に言うと、民間団体に持たせるわけですよね。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 自律的という意味は、そこを工夫してスポーツ界が自立的に動くようにし向けるということです。

【鈴木副大臣】  

 自律的には、それはそれでいいと思うのですが、そうすると、なおのことその法目的がしっかりしていなければいけなくて、そして、ある種、民間であるにもかかわらず強制査察権を持たせるということについて、今度はそのことを国がきちんとコントロールするというか、オーバービューするということになっていく。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 もちろんそうです。もちろん必要です。暴走するかもしれませんから、そこは抑えるような仕組みは必要でしょう。

【鈴木副大臣】  

 ですよね。だから、要するに英米法系は比較的いろいろ判例の積み重ねといろいろなことでやっているのかもしれないが、日本みたいな大陸法系で、特にこの手の、いわゆる強制力を伴うものの根拠づけというのは、この国の法体系は比較的かっちりやる国ですよね。

【日本スポーツ仲裁機構】  

 そうですね。

【鈴木副大臣】  

 それのときの法目的をどうしたらいいのかなと。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 多分、スポーツ基本法の最初の第1条に書かれていることを達成するためというのが一番抽象的なところだと思いますが、要するに、アスリートが安心してスポーツできないような環境、要するに環境整備なので、環境整備をするためにこれが必要だということです。

【鈴木副大臣】  

 一般的スポーツ権侵害は構成できると思います。まず、セクハラ、パワハラ、不当な代表選出、そこは、だからプログラム的に、あるいは訓示的に、あるいはそういうことを例えば補助金交付要綱なんかでそういう精神を受けて、そのように努めなければならないというところまでは書けると、そうすると、補助金を配っているという立場で、これはひどいじゃないか、我々はこういう趣旨で派遣費用を出しているわけじゃないというぐらいのところまでは言えるんだと思うのです。しかし、それをお金の関係も何もないところで、ある団体に対して、JOC、要するにオリンピック派遣とか何とかをしているというところぐらいまでだったら、それはぎりぎりできたとしても、先生がおっしゃる、むしろ問題は、さすがに選手選考のところは引き続き問題はありますよ。だけど、その世界でパワハラ、セクハラというのは、ないとは言わないが、これはかなりいろいろな目があると、オリンピック選手がパワハラされているとか、セクハラをされているということの問題よりも、むしろもっと。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 もっと下の方です。

【鈴木副大臣】  

 ねらいたいところは下の方でしょう。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 そうです。

【鈴木副大臣】  

 その下の方に対して、要するに、県は出しているかもしれないが、下の方に対して文部科学省は出していないわけですよね。だけど、逆に言うと、強制権限を付与する根拠を付与できるというのは文部科学省しかないわけですね。これも釈迦に説法ですが。そのねらいたいところをどうねらうんだろうかという、今日だけで結論は出ないのはよくわかっていますが、悩みはシェアしていただいて、ぜひ。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 ええ、しかし検察的な役割なものは私どもとはインディペンデントじゃなきゃいけないので、私どもがとやかく言うものではなく、我々とは違う仕組みとして考えていただきたいと思います。もちろん協力できるところは協力したいと思いますし、持ち帰って議論をもっとしたいと思います。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 本日は本当にありがとうございました。

【一般財団法人日本スポーツ仲裁機構】  

 どうもありがとうございました。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 ありがとうございました。

【鈴木副大臣】  

 遅くにありがとうございました。

―― 了 ――

 

お問合せ先

スポーツ・青少年局企画・体育課

(スポーツ・青少年局企画・体育課)

-- 登録:平成22年07月 --