平成22年4月
昭和50年9月 文部科学省所管の社団法人
理事19名(うち会長1名、副会長3名、専務理事1名) 監事2名
スポーツ振興法(昭和36年)第19条により、全国1,728(平成22年3月31日現 在)の各自治体に設置
53,528人(平成21年6月30日現在) うち女性16,132人で30.1%
平成22年度一般会計予算額 約2,631万円
年2回開催(3月:事業計画・予算等 6月:事業報告・決算等)
1)全国研究協議会 開催地は国体2年前の都道府県 参加者数約4‚000人 22年度は岐阜県
2)地区研修会(9地区) 参加者数:9地区合計約12‚500人
3)生涯スポーツ全国会議 文部科学省、日体協、日レク協等の団体、開催県との共催20年度まではスポーツコンベンションの名称で実施 参加者約1,000名
4)各都道府県研修会 参加者は、都道府県ごと約300名~800名
5)海外視察研修会 21年度はスペイン 参加者22名 22年度はイタリアを予定
6)スポーツ・レクリエーション祭 文部科学省、日体協、日レク、体指連合、開催県の共催 22年度は富山県 23年度は栃木県
1)文部科学大臣表彰……各都道府県からの推薦を受け、文部科学省が決定する(体指数600人に1人)
2)功労者表彰
3)優良団体表彰
4)30年勤続表彰
5)感謝状贈呈
※
2)~4)については、各都道府県からの推薦を受け、連合の表彰審査会で被表彰要件を満たしているかを審査し、決定する。5)については、退任役員及び企業等の特別賛助会員などに贈呈
1)機関誌 月刊「みんなのスポーツ」発行
2)書籍の発行 「改訂・体育指導委員の基礎知識」など
1)女性委員会活動(9地区代表で構成、研修・視察等)
2)体育指導委員手帳の販売
3)体育指導委員用グッズの販売(ジャンパー、ポロシャツ、ネクタイ等)
2010年4月6日
社団法人全国体育指導委員連合
(1)スポーツ振興法と体育指導委員
体育指導委員制度は、昭和32年(1957)の文部事務次官通達に基づいて創設され、東京オリンピックを控えた昭和36年(1962)に制定されたスポーツ振興法によって必置制となりました。制度創設以来、半世紀の歴史を有する世界に類を見ないスポーツ指導者制度といえます。
その任務は、当初は、住民に対するスポーツの実技指導やスポーツに関する指導助言とされていましたが、その後のスポーツを巡る社会情勢の変化を受け、市町村のスポーツ振興事業への参画や推進、スポーツ振興に関する地域住民と行政とのコーデイネータ役などと変遷してきました。さらに、地域住民のスポーツ活動に対するニーズの多様化、高度化に伴い、スポーツ指導の有資格者の優先的任命、女性指導者の積極的登用などが図られてきました。そして、地方分権化の動きの中で、平成11年(1999)にはスポーツ振興法の一部が改正され、体育指導委員の必置規定が弾力化され今日に至っています。
必置規定の弾力化や行財政改革を背景とした平成の大合併により、体育指導委員の数は、最多の62,098人(平成11年)から53,528人(平成21年)へと大幅に減少しております。スポーツ振興の諸事業は、住民の日常生活と直結して行われることで成果を上げることができますが、その役割を果たしてきました体育指導委員の減少は市町村のスポーツ振興に少なからぬ影響を与えているものと考えております。
(2)スポーツ振興基本計画と体育指導委員
平成18年(2006)に見直しが行われましたスポーツ振興基本計画では、体育指導委員に対する期待とともにその任用や職責などに対する多くの指摘もいただきました。
全国体育指導委員連合としましては、体育指導委員の多くは法に定められた職責を果たすべく全国で積極的な活動を展開していると考えております。しかしながら、市区町村によっては行政と地域住民との調整役としての任務を果たす適任者が必ずしも委嘱されていないのではないか、熱意と能力のある有資格者が積極的に委嘱されているか、女性の登用は積極的に図られているのか、などという任用にかかわる指摘、資質能力の高いスポーツ指導者に対する需要が高まっている中で体育指導委員はそれに十分応えているか、総合型地域スポーツクラブの意義や必要性を十分に認識し創設や育成へのかかわりを果たしているか、などという職責にかかわる指摘は真摯に受け止めております。
そのため、全国体育指導委員連合では、体育指導委員の法的な任務を適切に遂行できるよう、文部科学省と共催で開催しております全国体育指導委員研究協議会や全国9地区で開催しております体育指導委員研修会などで研鑽に努めるとともに、お手許に配布いたしました書籍や機関誌などの刊行を通じて資質能力の向上に努めております。
今後とも、体育指導委員の多様な活動が国民の目に見えるような取組みを一層充実させていくことが重要と考えておりますので、文部科学省におかれましても今までに変わらぬご教示、ご支援をお願いいたします。
(1)総合型地域スポーツクラブと体育指導委員
全国の体育指導委員は、地域スポーツの推進役としての任務に基づいて、文部科学省が生涯スポーツ社会の実現に向けた主要政策として全国展開されております総合型地域スポーツクラブの創設や運営にも積極的に関与しております。
全国体育指導委員連合の調査(平成20年)によりますと、総合型地域スポーツクラブにかかわっている体育指導委員は約半数を占めており、地域におけるスポーツ振興の中核的な役割を果たしていることが窺えます。この割合を高めるべく毎年の研修会のテーマに取り上げるなど努力をしておりますが、なお一層各地での取組みを推進していきたいと考えております。全国的な実践事例などはお手元の機関誌などをご覧ください。
(2)子どもの体力向上と体育指導委員
日本の将来を担う子どもたちの体力低下は、活力ある国づくりの観点から蔑ろにできない問題であり、スポーツ立国戦略を策定するうえで緊要な課題であると思います。
全国体育指導委員連合は、文部科学省のご支援とご指導をいただきながら体力検定事業に取り組んでまいりました。その成果として、子どもの体力検定データベースシステムを構築し、全国のどこでも瞬時に本人の体力バランス図や運動実施状況、生活習慣の実態がプリントアウトできるとともに、1~10級までの認定証を交付できる体制を整備いたしました。今後とも、このシステムを活用し、子どもの体力向上を通じて、明るく豊かでたくましい社会づくりに貢献していきたいと考えております。
(3)ジュニア競技者層の発掘・育成と体育指導委員
スポーツ初心者の子どもから中高年までの住民を対象として地域スポーツの振興にその役割を果たしている体育指導委員は、当然ジュニア競技者層の発掘・育成にもかかわっていますが、今後はこれらのジュニア層がトップ選手などとともに学ぶスポーツ環境を整備していくことが重要ではないかと考えます。
トップ選手からスポーツ初心者までがともに学ぶスポーツ環境の提供は、特に子どもの段階では重要であり、日常的に地域の子どもたちとかかわっている体育指導委員がトップ選手と連携して指導に当たったり、トップ選手のセカンドキャリアとしての地域スポーツでの指導活動を支援したりすることも考えられます。しかし、生業として成り立つことの難しさを内包することとなりますのでそこを解決することが大きな課題となります。
(4)地域スポーツを支える体育指導委員の資質能力の向上
地域スポーツの振興役の体育指導委員にとって、スポーツに関する最新の理論や技能を習得していることが何よりも重要でありますので、次の書籍、機関誌、ハンドブックなどの発刊を通じて体育指導委員一人ひとりの資質能力の向上に努めております。
<地域スポーツの振興に資する書籍等>
「体育指導委員の基礎知識」、「みんなのスポーツ」(機関誌:月刊)
<総合型地域スポーツクラブ展開に資する参考資料>
「みんなでつくる地域スポーツクラブ」
<子どもの体力向上に資する書籍等>
「体力検定ハンドブック」、「体力検定制度の創設に向けた調査研究事業報告書」
(1)スポーツ立国戦略策定への期待
スポーツには、多くの人々の生活を豊かにする楽しみ文化としての生涯スポーツと人間の可能性の極限にチャレンジする競技スポーツがありますが、そのいずれもが今後とも一層その振興が図られなければならないといえます。バンクーバーでのオリンピックを例に挙げるまでもなく、トップ選手の活躍は、人々わけても子どもたちに夢や希望や感動を与えるとともにスポーツに対する愛好的な態度を培うものであり、その振興が望まれます。一方、多くの国民のために地域スポーツの振興を図り、生涯スポーツを推進していくことも緊要の課題といえます。昨今、スポーツは行うことにとどまらず、見る、支えるなど参加の態様も多様化しております。さらに、スポーツの価値は、心身の健康増進に止まらず社会的意義が重視され、地域の一体感・連帯感の醸成、子どもたちの基本的な生活習慣の確立、国際交流の促進、スポーツ産業の振興、日常的な身体活動による医療費の削減など多面的な視点からも捉えられております。
このようにスポーツの価値観が転換されつつある現在、国家レベルでスポーツ振興を図っていくことは極めて意義深いことであり、文部科学省においてスポーツ立国戦略の策定に向けてご尽力をいただいておりますことは誠に時宜にかなったことと思っております。
今や我が国のスポーツは振興・発展期から充実・成熟期に入りつつあり、将来を志向したスポーツ政策を確実に推進していく時期といえます。スポーツ立国戦略は生涯スポーツ社会の実現や国際競技力の向上のみならず、スポーツを通じた国民生活の質的向上を図る上からも重要な意味をもつものと大きな期待を寄せるものであります。
さらに、スポーツのもつ今日的意義を踏まえますと、中央省庁のスポーツに関する政策を一元的・総合的に推進していく新たな組織が必要と思われますので、例えばスポーツ庁の創設などをスポーツ立国戦略に盛り込んでいただきますよう熱望いたします。
(2)スポーツ基本法(仮称)制定への要望
体育指導委員は、昭和32年(1957)に文部省の行政指導によって全国に配置されるようになって以来、いつの時代においても国のスポーツ政策を支えその推進役を果たしてまいりました。文部科学省において、スポーツ立国戦略の策定を踏まえた新しいスポーツ基本法(仮称)を制定されるのであれば、これまでと同様、地域スポーツの振興役としての体育指導委員を法律に明確に位置付けていただきたく強く要望いたします。
スポーツが人々の生活に広く浸透してきております現在、地域住民のスポーツ欲求を的確に把握しスポーツ振興の具体策を企画立案できる能力を身に付け、地域住民に対して熱意をもって指導助言のできるスポーツ指導者が一層必要となっております。全国体育指導委員連合におきましては、その役割を体育指導委員が果たしていくべく今後一層の研鑽を積み資質能力の向上に努力いたします。
なお、各市区町村においては適任者が体育指導委員に選任されることが肝要であります。スポーツ振興法において、体育指導委員は「社会的信望」があり「スポーツに関する深い関心と理解」を有し「スポーツの実技指導」や「スポーツに関する指導・助言」を行うのに必要な「熱意と能力」を持つ者の中から選任されることとなっております。現在では、スポーツを巡る社会状況の変化から地域住民と行政との「コーデイネータ役」も求められております。各市区町村が、体育指導委員の設置の趣旨やその任務を正しく理解し、適任者を委嘱できる選任システムづくりの検討も大きな課題と考えております。
スポーツ・青少年局企画・体育課
-- 登録:平成22年05月 --