「スポーツ立国戦略」の策定に向けたヒアリング(第2回) 議事録

平成22年4月6日

【布村スポーツ・青少年局長】  

きょうはお忙しいところをご出席いただきまして、ありがとうございます。第2回目になりますが、「スポーツ立国戦略」の策定に向けたヒアリングを開始させていただきたいと思います。
 前回はアスリートご出身の方々にお話を伺いましたが、今回はスポーツ関係の日本の統括団体の方々を中心に5団体の方々にお越しいただいております。本来、鈴木副大臣、高井政務官がお話を伺うべきところでございますが、急な公務が入ってございますので、30分ほどおくれて出席と相なります。日本体育協会の方々には大変申し訳ございませんが、清水文部科学審議官、また、スポーツ・青少年局長の布村、そして、尾﨑審議官がお伺いさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 それでは、ご説明をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。

【財団法人日本体育協会(岡崎専務理事)】  

 本日はヒアリングの機会を与えていただきまして、ありがとうございます。 
 本日は資料1と、私どもで作成しております「21世紀の国民スポーツ振興方策」の冊子、この2点を準備させていただいております。よろしくお願いします。
 「スポーツ立国戦略」策定に向けたヒアリングということで、今後のスポーツ政策のあり方について、きょうは日本体育協会の立場から意見を述べさせていただければと思います。よろしくお願いします。
 まず、資料の1ページでございます。日本体育協会は設立当初から国民スポーツの振興、国際競技力の向上の二本柱で各種の事業を展開してまいりました。しかし、平成元年にJOCが分離・独立した以降、一方は柱である国民スポーツの振興に携わる形になっております。国民スポーツの振興といったときに、具体的に何をやるのかということになりますが、国の政策にのっとりまして、生涯スポーツ社会の実現を目指したスポーツの振興に目標を定めて各種の事業を展開しているところでございます。生涯スポーツ社会の実現ということになりますと、国民各層の方々が生活の中でスポーツに親しむということが不可欠かと思います。
 従前、競技スポーツ、生涯スポーツという大きなくくりの中で、競技は選手の育成、生涯スポーツは生活の中でスポーツを楽しむものであるという考え方があったと思いますが、よくよく生涯スポーツの分野を見てみますと、そこにお示しのように、幾つかの層に分かれます。スポーツを楽しむんだが、競い合いながら楽しんでいく層があります。そして、スポーツを楽しむ日常ゲーム型があり、健康・体力つくり志向者がいる。もう一つは、スポーツを行いたいんだが、なかなか実施することができないという潜在的なスポーツ愛好者の6層ぐらいを考えていく必要があるのではないかと思っております。
 2ページでございます。その6層を念頭に置いたときに、本会としては、マル1の国際レベルアスリートは別にして、マル2からマル6を対象にした事業を関係団体と連携、協力しながら推進していく必要があるという認識でおります。
 本日の議題の「スポーツ立国戦略」でございますが、スポーツ立国のイメージにつきましては、一方は国際競技力の向上、こちらは大変重要な施策だと考えております。一方は、生涯スポーツ社会の実現。この二本柱がスポーツ立国を実現していく上で非常に重要な柱になるのではないかと考えているところでございます。そういうことを目指したときに、スポーツ実践者の目標値を少し考え直すことが必要ではないかと思っております。
 今、「スポーツ振興基本計画」では、「国民の週1回以上のスポーツ実施率50%を目指す」という政策目標を掲げていらっしゃいます。私どもも国の政策に倣いまして、それを目標にしているわけでございますが、先般の内閣府の調査によりますと、週1回以上の実施者が45.3%強となっております。そして、年に1回以上は77.7%ということで、ほぼ8割近い方が年1回以上となっております。このような状況を踏まえた場合、将来的、あるいは近未来的には週1回以上の実践者の率を70%程度に目標値を上げて、そこを目指していくという数値的な目標が必要ではないかと思います。それを実現するために、(2)でございます。
 先ほど見ていただきました図の中で、潜在的スポーツ愛好者、あるいは年に一、二回のスポーツ実践者の方々に対して、週1回以上の定期的スポーツ実践を促していくことが当面の課題であると考えています。とりわけ行いたいが行っていない層の方々が全体の12%弱、1,200万人程度いらっしゃるという調査の結果が出ておりますが、これらの方々につきまして、スポーツを実施する方向に導いていくことが重要です。そのためには、地域レベルの大会、あるいはスポーツ教室等をもう少しきめ細かく振興事業として推進していく必要があると思っております。地域の概念は、従前、市町村単位ぐらいを考えておりましたが、現在、総合型地域スポーツクラブの設置のエリアとして中学校区程度が設定されておりますが、今後、地域の概念も中学校区程度のエリアを中心にしたきめ細かな各種大会の開催、あるいは教室の開設を行っていく必要があると思っております。
 2つ目は、身近なスポーツ施設の整備でございます。これは現在、地方の公共スポーツ施設、あるいは学校体育施設が整備されている状況下にありますが、クラブが非常に多く設立されている現状の中で、クラブ等からの意見からは、拠点とする施設が十分でないという声を聞いております。したがいまして、身近なスポーツ施設の整備を一層推進していただければと思っております。
 4ページです。スポーツ振興体制の充実・強化についてです。これはスポーツ基本法を念頭に置いた今回のヒアリングということを伺っておりますが、ぜひ、計画的、総合的なスポーツ振興の観点からスポーツ基本法の制定についてご尽力を賜れればと思っております。そして、それに基づくスポーツ庁、あるいはスポーツ省の設置についても、スポーツ振興の一元的な推進という観点から不可欠であると考えております。
 それから、それらと関連しまして、官から民へといいますか、民の力を活用したスポーツ振興を一層充実していく必要があると考えております。そのためには、各スポーツ団体の充実、活性化が必要不可欠であると思っております。
 さらに、振興事業の充実、活性化です。本会としましては、国民体育大会をはじめとして、地域スポーツクラブの育成、あるいはスポーツ指導者の養成、スポーツ少年団の育成等々を推進しておりますが、これらの事業につきまして、安定的財源のもとで拡充、充実を図ることが一層のスポーツの振興を図る上では非常に重要ではないかと考えております。
 5ページです。これはご参考までに、来年の7月、本会は100周年を迎えます。今、記念イベント等を企画しておりますので、ご参考までに添付させていただきました。
 以上でございます。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 ありがとうございました。
 それでは、意見交換をさせていただきたいと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 最初に3ページの関係で質問ですが、スポーツ実施率の目標値を70%というのは、どれぐらいの年数というか、何年先ぐらいを目標に位置づけておられますかというのが一つです。

【財団法人日本体育協会】

 おおむね10年見当でどうかなと思っております。
 それは地域エリア、中学校区エリアのスポーツがやりたくてもできないという層の方々をいかに取り込んでいくかという政策を実現することによって、また、年に一、二回実施する人たちが78%いらっしゃるわけですから、その方々を定期的な実践者に導いていく施策を展開することによりまして、70%という数字を目標にしたらどうかと考えております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 あと、同じ3ページの(2)の1で、地域レベルの大会が中学校区単位の総合型スポーツクラブも一つの場としてというお話ですが、この大会の実質的な担い手というか、主催者はスポーツクラブ、あるいは地域体協、その辺はどういう方々を想定されていますか。

【財団法人日本体育協会】  

 第一義的には、私どもとしては、市町村に体育協会が90%弱の設置がされておりますので、そこを念頭に置いています。しかし、総合型地域スポーツクラブの市町村の設置率は70%弱とお伺いしています。したがいまして、現状では、体育協会組織を中心にしながら、国からの委託事業で総合型クラブの育成を推進しておりますので、総合型クラブのできていない市町村については体協組織が主体となって実施する。総合型のできているところは体育協会組織と連携しながら、総合型のクラブ自体が教室とか大会の開催を行っていくことを想定しています。主体としてはその2つぐらいが念頭にございます。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 あと、総合型スポーツクラブの方々にお伺いしても、こういう競い合う場がないと、自分たちの地域だけに限られるとどうしても長続きしないので、こういう大会は非常に重要な役割を果たしてくれそうなのですが、こういう大会を位置づけた上で、上はスポレク祭のほうなのか、国民体育大会なのか、国民体育大会のあり方にもつながる話かもしれないのですが、国体へつながっていくようなイメージでよろしいのでしょうか。

【財団法人日本体育協会】  

 1ページにお戻りいただきたいんですが、総合型クラブの会員の方も、競技志向の方もいらっしゃれば、楽しむだけでいいんだという方々もいらっしゃいます。したがいまして、地域スポーツクラブの形態もいろいろあると思うんです。企業が倒産している中では、国際レベルアスリートを育成するクラブがあってもよろしいのではないかと思います。そのように技術レベル、あるいは志向レベル、年齢レベルが多種多様を目指す総合型スポーツクラブでございますので、レベル層に応じたイベント、あるいは教室の開催について、企画・立案をしていく必要があるのかなと考えております。国体を目指す層もおりますし、オリンピックを目指す層もおりますし、既存のスポーツ・レクリエーション祭を目指す人もいらっしゃるということになると思います。
 私どもは生涯スポーツの中で競技志向者を対象にした日本スポーツマスターズ大会というイベントを開催しております。これは競い合うことを主眼としつつ、それを楽しみにする。つまり、アスリートのネクストステージ、あるいは日ごろ練習を重ねて、技量を試してみたいという層の方を競技志向者と暫定的に名づけさせていただいておりますが、そういう層を対象にしたイベントとして、今はまだ財源的に余裕がないものですから、13競技で実施しております。できればこれを国体規模ぐらいの30から40競技までに拡充したいんですが、財源的に、企業協賛を主にしながら、公営競技団体等の助成を受けてやっておりますので、今は13競技が精いっぱいでございます。
 このような全国イベントを適切に企画すれば、現行の、スポーツ・レクリエーション祭などとともに、自分たちのニーズ、あるいは、技量の差がある方々をフォローアップできるのではないかと考えております。つまり、幾つかの層の人たちのニーズとか志向に合った全国イベントについても、もう少し工夫していく必要があると思っております。

【清水文部科学審議官】  

 同じく、総合型クラブの活動の拠点が不十分だというご指摘ですよね。この拠点が不十分だというのは何か定量的に、つまり、どう不十分だというのはなかなか難しいと思うのですが、何か数字的に言えるものはあるんですか。

【財団法人日本体育協会】 

 数字的には、ちょっと統計資料を持っておりませんが、総合型スポーツクラブの方々へのアンケート調査を行いました中に、かなりの部分で拠点となる施設がないんだという意見が出てきております。
 ですから、今まで、学校開放等で地域住民に開放しながら、そこが学校教育以外の子供たちのスポーツの活動拠点、あるいはクラブの活動拠点として、既に、ある意味では満杯の状況が呈されてきたのかなと考えています。したがって、新しいクラブを全国市町村全部に設立していくという方向を目指すのであれば、地域の活動状況に応じた身近なスポーツ施設の整備を計画していただく必要があるのと考えております。

【清水文部科学審議官】  

 例えば、総合型クラブのありようと拠点との関係で、ほかの国、ドイツならドイツでもいいんですが、イメージ的なものは何かありますか。

【財団法人日本体育協会(岡崎)】  

 クラブのイメージといいますと、どういう観点のイメージでしょうか。

【清水文部科学審議官】  

 皆さん、例えば、学校の体育施設、あるいは社会体育施設等で整備をされていますが、その足りなさという感覚がどのような形になるのかイメージがつかめない。

【財団法人日本体育協会】  

 もう少し細かく総合型クラブの方々に調査をしてみる必要はあるかと思いますが、意見としてかなり多い状況であるということしか把握しておりませんので、現段階では具体的な数字の中ではとらえていない状況です。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今、ご説明いただいた1ページ、2ページで、特に競技スポーツと生涯スポーツの二本柱が重要な課題という形でご意見いただいて、あとは、それをいかにいい形のリンクができるのかという面では、日本体育協会さんの果たしていただく役割は非常に大きいと思いますが、循環するにはどういう工夫が今後、必要なのかというのは、何かご意見はありますでしょうか。

【財団法人日本体育協会】

 1ページの図にお示ししていたように、左端の競技スポーツ、生涯スポーツ分野は、いわゆる従前呼んでいた、現在も競技スポーツ課、生涯スポーツ課と分かれておりますが、そういうことだと思います。
 私どものほうでは、例えば、国際レベルのオリンピックアスリートであろうと、国体のアスリートであろうと、ある一定の年齢がくれば一線を退かれる。その方々は、あと、どうするかというと、その方々が競技志向者としてマスターズ、あるいは楽しむスポーツ・レクリエーション祭という全国イベント、地域のイベント等に参画していただくことを可能としていく仕組みを作ることが重要であると思います。
 また、アスリートは、今も子供たちの体力向上で大変活躍いただいておりますが、これから、総合型地域スポーツクラブを全市町村に1つはということを実現していくためには、クラブの活性化、あるいは安定的な活動を維持していく観点で、アスリートの方々がクラブ員あるいは、クラブの指導者になられて、一般のスポーツ愛好者の方を指導する場面も、これから必要になってくるのかなと考えております。つまり、総合型クラブの活動を一層充実させていくための財源的な措置を講じていくことができれば、アスリートの方々を再雇用できる状況になるのではないかと思っております。そういうアスリートの方々の活躍の場をクラブで見出すことができれば大変よいのではないかと考えております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 4ページでスポーツ基本法の制定、スポーツ庁の設置のご意見をいただいたのですが、何か具体的に、基本法でこういうテーマをぜひ記述してほしい、あるいはスポーツ庁に期待されることはありますか。

【財団法人日本体育協会】

 ぜひ、基本法の中でご検討いただきたいのは、まず、スポーツ施設の整備だと思います。もちろん、これから大規模イベント等が我が国で開催されますから、それへの整備必要かと思います。しかし、中・小規模の身近なスポーツ施設の整備という観点も、ぜひ、視野に入れていただければありがたいと思います。
 スポーツの振興には、施設と指導者、事業の3つが三点セットとして重要だと思います。
 1つ目が施設とすれば、2つ目はスポーツ指導者の育成と活動の場の確保です。この点についてご検討いただければ大変ありがたい。
 もう一つは、スポーツ事業でございます。私どもの立場からいえば、競技スポーツと地域スポーツといいますか、生涯スポーツの橋渡しの役割をしている国民体育大会について、ぜひ、言及にいただきたいと考えています。
 それから、地域の総合型地域スポーツクラブの育成の支援、あるいは安定的な活動のための支援についても触れていただければありがたいと思います。さらにいえば、青少年のスポーツ振興という観点でスポーツ少年団の育成、あるいは国体とともに今後、期待できるのは中高年齢層を対象とした日本スポーツマスターズではないかと思っております。当面、国体とマスターズとスポーツ・レクリエーション祭、これらの全国イベントを国民のニーズと技量に応じた全国的イベントとして構築・拡充されれば、非常によろしいのかなと考えておりますので、対応方よろしくお願いします。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 そろそろ予定の時間になっておりますが、副大臣、何かございますか。

【鈴木副大臣】  

 遅れて参りまして、申し訳ございません。

【財団法人日本体育協会】  

 よろしくお願いします。いつも大変お世話になっており、ありがとうございます。

【鈴木副大臣】  

 今、マニフェストのほうでもスポーツ基本法の話題が出ておりました。また、よろしくお願いします。

【財団法人日本体育協会】 

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 よろしいですか。では、ありがとうございました。

【財団法人日本体育協会】  

 どうもありがとうございました。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 どうもありがとうございました。

 

( 団体入替 )

 

【尾﨑大臣官房審議官】  

 では、副大臣、お願いいたします。

【鈴木副大臣】  

 きょうはお忙しいところをありがとうございました。短時間でございますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

【財団法人日本オリンピック委員会(市原専務理事)】  

 日本オリンピック委員会の市原でございます。よろしくお願いいたします。
 今日は選手強化本部長の上村、JOCゴールドプランの副委員長の勝田ともども参っております。よろしくお願いします。
 まずは、今般、カナダで開催されました第21回のオリンピック冬季競技大会の日本選手団の派遣に際しまして、多大なるご支援をいただきましたこと、心から厚く御礼を申し上げます。本大会には、今、IOC加盟が205のNOCがあるわけですが、冬季大会では過去最高の82の国と地域が参加いたしました。ご承知のとおり実施競技は7競技86種目、そのうち、日本からは6競技61種目に出場いたしました。日本代表選手団は選手94名、役員111名、計205名で編成して大会に臨みました。おかげさまで成績は銀メダル3個、銅メダル2個、入賞総数では前回のトリノより5種目増の26種目となっております。チームジャパン一丸となり、競技に挑んでくれた成果だと喜んでおります。
 また、競技以外での対応で大変世間をお騒がせいたしましたこと、まことに申し訳なく、心からおわびを申し上げる次第でございます。今、行動規範の遵守の具体的な方法等につきまして、競技団体に徹底をしているところでございますが、今後はオリンピックの事前研修会等を重ねて、しっかりとした研修をいたしたいと思っております。
 さて、JOCはスポーツ振興基本計画に基づきまして、2001年4月に「JOC GOLD PLAN」を策定し、国際競技力向上と基礎基盤のためのシステムづくり、あるいは競技間連携の促進、オリンピック・ムーブメントの推進を掲げ、その実現に向け、具体的な施策に取り組んでおります。そして、2004年、アテネのオリンピックでの成果を踏まえて、「JOC GOLD PLAN Stage Ⅱ」として、「金メダル獲得数を世界トップ3を目指す」ことを目標に掲げております。その目標達成のために、他国の情報を分析するとともに、選手・コーチ、そして、さまざまな分野の専門家が一丸となった「チームジャパン」のもと、日々、選手強化活動を行っております。
 しかし、これらの諸施策を展開するに当たりましては、現行の法律、制度、組織及び限られた財源等、スポーツ界の努力だけでは解決できない課題も多く、政府、地方自治体、企業、大学等と連携した国を挙げた取り組みが必要かと思います。国際競争力向上のための諸施策を国策として取り組んでいただきたくお願い申し上げる次第でございます。
 引き続き、具体的にはゴールドプラン委員会副委員長の勝田から報告申し上げたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

【財団法人日本オリンピック委員会(勝田JOCゴールドプラン委員会副委員長)】  

 勝田です。よろしくお願いします。
 今、専務理事から話がありましたように、オリンピックの舞台、北京オリンピックに204の国と地域が参加しました。これは国連の加盟国数よりも多い、そういう舞台に国を代表するアスリートと選手団を送るということは国として大変大きなことだと思っております。
 また、昨今のIOCの活動、オリンピック・ムーブメントに通じるわけですが、国際パラリンピック委員会との連携、あるいはユースオリンピックの開催、これは青少年にいわゆるバーチャルな世界というか、「スクリーン病」とジャックロゲは呼んでいるんですが、そういったところから子供たちが実際にスポーツを通して成長していく、世界の課題に目を向けていく、そういった趣旨を持っております。
 それから、昨年IOCは、国連のオブザーバーの資格を得ましたが、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットでは、国連ミレニアム宣言、世界の課題、貧困と飢餓、普遍的初頭教育、女性問題、環境問題等、8つの課題が採決された。そういった問題にたいしても、IOCはスポーツを通して貢献していこうということです。あるいはアンチ・ドーピングの問題、女性とスポーツのブライトン宣言に署名するとか、IOCはさまざまなところでスポーツを通じた国際協調、国際連携、国際平和の活動を展開しています。日本オリンピック委員会もそういった場面に、国を代表する選手を教育して派遣する。これは大変長い営みでありますし、国家レベルの営みだと。国を挙げた営みですから、当然、国民の支援が必要になります。そういった取り組みの中心的な、シンボリックな存在としてオリンピアン、あるいはチームジャパンと呼ばれるものがある。こういったオリンピアンやチームジャパンとはどういう団体、どういう選手であるべきか、どういう活動を展開していくべきかをしっかりと定義化し、まとめて、国民の理解が得られるような活動を展開すべきだということで、今、お手元にあります「ポリシー・ステートメント」をまとめたところであります。ごらんになっていただいて、特に、国を挙げての取り組みということでチームジャパンの活動を推進するために必要となる取り組み、スポーツ基本法の制定から成果を公表し、評価を受けるための10の項目を挙げさせていただきました。
 JOCといたししましては、こういった取り組みを積極的に進めて、スポーツ化、特にトップスポーツが社会的な公共資源として、この国にしっかりと根づくような取り組みを、社会に、国に根づいていくという取り組みが必要だというふうに考えております。
 以上です。ありがとうございました。

【尾﨑大臣官房審議官】 

 ありがとうございました。
 では、意見交換をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 最初に、スポーツ振興基本計画でメダルの獲得数が夏のオリンピックで3.5%という数値が上がっていて、先ほど、市原専務は金メダルのナンバー3の国を目指すということですが、今後、10年後ぐらいを目指して、3.5%という数値目標だとなかなか国民の方にわかりにくいので、何か具体的な目標値というと、世界第3位の金メダルという目標を掲げることについては、国民が素直に納得されるかどうか。ちょっと聞きにくい話ですが。

【財団法人日本オリンピック委員会(市原)】  

 今、ゴールドプラン委員会でそこらあたりを具体的に、わかりやすくディスクローズしていかなければいけないということで、研究しているところです。

【財団法人日本オリンピック委員会(勝田)】  

 2016年東京オリンピック招致、そして世界第3位を目指すということで、そのためにロンドンオリンピックは第5位を目指すということで推進しております。これは上村本部長がおられるので、具体的にフォローしていただければと思いますが、JOCとしてはこういった初期に掲げた目標はしっかりと維持していくべきだと、それは「ポリシー・ステートメント」の最初にも書いたように、世界中の人たちの注目が集まる場所で尊敬されるというのは、パフォーマンスのきわめてしっかりとした、成績、成果、メダルの獲得数も含めてですが、それが中心だと思います。競い合いの中からいろいろなものを学んでいく。しかし、それだけではなくて、コートの外でも、あるいは中でも、いろいろな人たちからリスペクトされるような、そういう人材を輩出していくこと、そういったことを目指しているわけで、一つの成績目標として世界第5位のメダル獲得数を目指すというのは堅持されるべきだと思います。

【財団法人日本オリンピック委員会(上村選手強化本部長)】  

 具体的な数字を挙げたほうが非常にわかりやすいと思います。3.5%というのはかなり厳しい、ハードルの高い数字でありまして、2016年に3位になるということは、23から25個ぐらいの金メダルをとらなければなりません。そして、次のロンドンで私どもは金メダルの獲得数の順位を5位にしなければならないということで、今、強化に励んでいます。16から18個ぐらいの金メダルをとる必要があります。前回が9個ですので、それからかなりかさ上げをして、強化に取り組まなければいけないということで、現在、進めているところです。

【鈴木副大臣】  

 関連で、今回のバンクーバーは61種目に出て26種目で入賞されているというお話がありました。 
 例えば、韓国は何種目に出て結果はどうだったのか、大体のイメージでいいので教えていただけますか。要は、かなり絞って選択と集中をやっているという話を聞くのですが。

【財団法人日本オリンピック委員会(市原)】  

 確かに韓国はおっしゃるように、雪を捨てて氷に集中したということがあったり、韓国の競技団体そのものがオーナー経営者なんです。オーナー経営者というのは資本の投下を少なくして、効果を上げたいとするわけですから、極力少ない人数でということを考えるわけです。そこで成果を割ったら、金の切れ目は縁の切れ目で次のオーナーにかわってくるという、日本の体制とはちょっと違うと思います。

【鈴木副大臣】  

 報道はどうしてもメダルという話になってしまいがちなのですが、61種目に出て26種目で入賞しているというのは頑張っていると思うのです。入賞するということだって大変なことだし、まさに世界の水準に。そこから先はその日のいろいろな、紙一重の中での、皆さん全力は尽くした中での結果みたいなところなので、これはこれで一つ、いろいろと短絡的批判はありますが、日本ならではの考え方があっていいんじゃないかなということも一方であります。また、種目にもいろいろ栄枯盛衰がありますよね。だから、それをどう整理するのか。もちろん、出る以上は勝つ。まず、勝つ結果が入賞の26種目につながっていると思うし、入賞が増えてくれば、当然メダルも増えてくるということは一向に矛盾する話ではないと思うのですが、いわゆるポートフォリオをどう組むかという話だと思っています。

【財団法人日本オリンピック委員会(市原)】  

 今後、ゴールドプラン委員会でもいろいろな考え方を持つと思うんですが、韓国と日本の社会的背景が違いますから。特に、日本がメダル至上主義になれば、すべて個人競技に偏って、メダルの数さえ増やせばいいんだということになると、スポーツがちょっと教育的見地から離れていくんじゃないかと。
 例えば、団体ゲームあたりはサポートしたり、アシストしたりすることが非常に必要でもあります。ただ、今の状況では団体ゲームはなかなか勝てない。オリンピックに出るのが大変だと。では、団体ゲームを切り捨てるのかというと、これは大変な問題になります。だから、育てる部分とメダルをとっていく部分ということを、団体ゲームのすべて万事をではなくて、その中でも、これは育てていかなければいけないということも、ちゃんと仕分けしていかなければいけないかなと感じるわけです。

【財団法人日本オリンピック委員会(上村)】  

 ただ、韓国や中国ができるんですから、同じ東洋民族の我々、日本人ができないわけはないんです。だから、日本の特性を生かした強化とか、そういう枠組みできちんとつくらない限りは、ずっと後塵を拝することになると思います。
 中国、韓国でショートトラックで世界の半分のメダルをとっています。そして、スケート全体で韓国、中国、日本で半分のメダルをとっています。スキーでとったのは中国のエアリアルの2つだけです。スキーを捨てるわけにはいきませんので、日本人が勝てそうな競技に特化もできませんが、ただ、私は強化のやりようによっては、これはできると思っています。

【財団法人日本オリンピック委員会(勝田)】  

 先ほどのご質問。韓国は45人の選手がいて、金が6、銀が6、銅が2つ。詳しい数字はまた調べてご報告いたします。日本は94人の選手が出て、金がゼロ、銀が3、銅が2つ。
 今、本部長からお話がありましたように、社会的な背景。例えば、メダルをとるためにはかなり質の高い練習を長時間やれる人間性と、そういう環境が必要だと思います。長くやれるためには、当然、トップアスリートを目指すためには危険なこともいっぱいあります。トップアスリートになれる人は一握りですし、トップでいられる時間も限られていますし、周りの期待とか、いろいろな教育をしていかなければいけない。
 それから、日本は学校へ行かなくてもいいというわけにいきませんので、しっかりと就学もさせる、進学の問題、親の不安もしっかりと解消していくような長期的な取り組みをしっかりとつくっていく、そういう時代に来ていると思います。
 それから、環境については、今回、カナダは「Own the Podium」という強化策の中で推進してきたわけですが、これはまだ精査しないといけないのですが、メダルをとったうちの十数名が種目転向をしているんです。そういう国の、いわゆるタレント発掘とかタレント・トランスファーというプログラムですが、こういうのも長期的に考えていかないと、ほんとうの意味で強化できない。そういうプロセスの中で大人も一緒に学んでいったり、保護者も一緒に学んでいったりした機能を附帯させていく。そのような大きな営みが一貫指導のあり方だというふうに考えております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 ちょうど、今おっしゃられた長期的な視野に立って競技力向上というか、選手の育成をしていくとなると、競技団体としてもしっかりとした組織、ガバナンスが非常に重要だと思うのですが、現実には競技団体、JOCの方々でも本業があった上でJOCの仕事をされている。そういう面で、JOCなり、各競技団体のガバナンスを高めるには一番何が必要なのでしょうか。

【財団法人日本オリンピック委員会(市原)】  

 やはり専従者でしょうね。ボランティアというのは、適当な言葉ではないかもしれませんが、無責任なところもありますから、専従でしっかりと責任を持って仕事をやってもらうというめり張りが必要であると思います。

【財団法人日本オリンピック委員会(上村)】  

 今、ナショナルコーチをやっていただいている事は、これから先、必ずプラスになってくると思います。ただ、それでも、まだまだ各競技団体は1人か2人ぐらいしか枠がありませんので、そのほかはほとんどがJOC専任コーチ制度からなる謝金対応になっています。フランスは、柔道の指導者はほとんどが国家公務員か中央公務員だというんです。日本では、そこまでしていただかなくても結構ですので、ある程度、専任コーチをやっているときには、専念してやれるような環境づくりが必要だと思います。片手間でやって勝てるほど甘くありません。

【財団法人日本オリンピック委員会(市原)】  

 今、局長がおっしゃるように、各協会、連盟のガバナンス、そこの責任者が責任を持ってできるような専従でないと、今からガバナンスはなかなか徹底しないと思います。

【財団法人日本オリンピック委員会(上村)】  

 それと、強化予算につきましても、4年ごとの見直しをぜひやっていただくとありがたいなと思います。毎年毎年だと、今年できて来年できなかったりするのは、これから先も弊害になりますので、ぜひ、オリンピック単位でシステムをつくっていただくと、非常にありがたいと思います。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 そろそろお時間ですが、よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。

【財団法人日本オリンピック委員会(市原)】  

 どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

 

( 団体入替 )

 

【尾﨑大臣官房審議官】  

 よろしゅうございましょうか。それでは、副大臣、一言、よろしくお願いします。

【鈴木副大臣】  

 きょうはお忙しいところ、ありがとうございます。それでは、早速ですが、日本レクリエーション協会の皆さんからヒアリングをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野常務理事)】  

 よろしくお願いいたします。
 私ども財団法人日本レクリエーション協会と申します。昭和23年に設立されて、今日まで六十数年、レクリエーション活動を通じて、子供から高齢者、障害者に至るまで、豊かな生活づくりの応援をしてきたわけです。
 私どもの団体は、102団体加盟しております。47の都道府県のレクリエーション協会、ニュースポーツとか野外活動の団体が41、子供会連合とかYMCAとか、そういった団体が領域団体が14ほど、ということで位置づけております。そしてもう一つの特徴は、私どもは民間の財団法人として、レクリエーションの公認の指導者の資格制度を持っておりまして、現在、約10万人ぐらい登録しております。
 本日は「スポーツ立国戦略」ということで、この会にお招きいただきまして、本当にありがとうございます。私どもなりの考え方としましては、日本がスポーツ立国であるというふうに、国民の方々が違和感なく受け入れられるということは、おそらく、子供から高齢者、障害者だれもが、生涯にわたって、それぞれの年代で、日常生活の中でスポーツを楽しんでいる、そういうシーンが、日々、当たり前のように見られる、そういう状況が生まれて、初めてスポーツ立国というふうに見られるのかなと思うのです。私どもは、レクリエーション活動というものを通じて、いろいろレクリエーションとしてのスポーツを振興しているわけですが、スポーツ立国の実現というものに必要なこととしまして、今、お手元に、ちょっと見にくいかと思いますが、三角形の資料、図式を用意させていただきました。目指すところは、スポーツ文化をいかに定着していくかということで、そのためには、国民の健康で豊かな暮らしに寄与するスポーツの充実、これが生涯スポーツ、そして競技力向上等のスポーツ、さらに、生涯スポーツと競技力向上をうまく連動させていく、つなげていくという、そういう視点が必要ではないかということで考えております。
 スポーツにおいてのレクリエーションの重要性については、資料の2ページ目に、平成18年の体力・スポーツに関する世論調査をあげさせていただきました。実際に運動やスポーツを行った理由、あるいは、1年間に行った運動とかスポーツということが挙げられておりますが、こういったアンケートを見ますと、いずれもレクリエーション的な楽しみ方であります。レクリエーションは、まさに楽しみ、健康、交流を求めて、主として自由時間に行う諸活動であり、特に社会的活力を生む。これはやはり、レクリエーションを通じて、単に楽しむということだけではなくて、高齢社会において最も重要な課題である健康づくりにも、当然役立つし、また、今は非常に不足している交流という部分、コミュニケーションを図ること、こういったことに対して、レクリエーションというものが非常に効果があると考えているわけです。レクリエーションとスポーツというのは、ほぼ同義語と言ってもいいぐらい活動は重なるわけで、そういう中で、レクリエーションと同様、スポーツも、これからはもっと公益性を高めていく。単にスポーツを楽しむということだけではなく、楽しむことによって、幼児・児童・生徒の健全育成とか、あるいは高齢者の健康づくり、介護予防、そういったこと、つまり、国民一人一人の幸せや、社会のよりよい姿の実現といった目的に向けて、スポーツ、レクリエーションを積極的に活用していく、これが大変重要なのではないかという視点を持っております。そういう意味で、レクリエーション協会では、日々、さまざまな事業をしておりまして、特にニュースポーツ、高齢者、子供向けのスポーツと思われがちですが、決してそうではなく、お手元のパンフレットにありますような、スポーツ・レクリエーション、ここにありますように、新しいコンセプトのスポーツと考えていただければと思いますが、これは特に、スポーツぎらいの方々にも、気軽に楽しめる、また、親子で一緒に楽しめる、そういう視点で、交流を大事にするスポーツということで、私どもと一緒に、このニュースポーツの普及・振興をしているわけです。そして、そういうスポーツの大会でもあります全国のレクリエーション大会、お手元に、昨年の長崎大会の報告書などもあるかと思います。これは、参加費を自分で払って、そして全国の方と、先ほどのニュースポーツで交流をしたり、あるいは研究協議的なことで、それぞれ意見交換をするなどのフォーラム的な内容、また、開催地の県民の方々に、スポーツ・レクリエーションを楽しんでいただくフェスティバル、そんな行事として進めているわけです。こういう事業と、現在は文科省さんからの委託で、子ども体力の向上推進事業というのを行っています。これは、細かいパンフレット等を、今日は用意させていただきました。こういったこと、さらに、総合型の地域スポーツクラブの育成は、毎年、わずかではありますが、育成、創設支援、それから自立支援、そういったことにも携わっております。
 こういう生涯スポーツの充実に向けては、やはり何といっても、全国的にキャンペーン的なことを、もう少し力を入れる必要があるのではないかということ、それから当初申し上げました、日常的にスポーツ・レクリエーションを身近に楽しめる、体験できる、そういう場を充実させていく、それから大変大事なのは、運動嫌いの方をいかに引き入れていくかということで、そういった意味でのプログラムとか、あるいはスポーツ種目の指導者の育成というものが、今後は大変重要な視点になるのではないかなと思います。
 お時間のようですので、これぐらいで。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 それでは、意見交換をさせていただきたいと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 最初、3ページ目のところで、高齢者、障害者へのスポーツ機会の提供とあるのですが、レクリエーションの分野では、障害者の方のレクリエーション協会というのは別にあるのか、レクリエーション協会が、障害者の方へのレクリエーションもあわせてやっていらっしゃるのかという、事実関係を教えていただければ。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 障害者のスポーツの協会も、別にあるかと思います。ただ、私どもは先ほどのニュースポーツの種目団体が加盟してくださっていますので、そういう団体の中に、例えば車いすでできるダンスとか、車いすで楽しむスポーツとか、そういう分野も一緒にやっておりますので、そういう形で、一緒に連携して進めております。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚生涯スポーツ推進部長)】  

 障害者を対象にしたレクリエーションの団体というのは、別にあるわけではございません。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 両方、レク協でやっておられると。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚)】  

 そうです。福祉レクリエーションという言い方で、私どもが障害を持っている方にも展開をしていると。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 もう一点、学校とレクリエーション協会の連携というものは、何かあるんですか。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 かつては、学校の先生方を対象とした学校の分野、領域の中でのレクリエーションの普及というものも、課題として持っていましたが、おそらく10年ぐらい前までは、そういう全国的な講習会もやっていましたが、学校の先生方もお忙しくて、なかなか出席ができないということで、一応、今のところは中止しております。学校の先生方が、やはりレクリエーションに関して非常に関心をお持ちなのと、そういう現場でも必要だということは認識しております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 変な質問になるかもしれませんが、レクリエーション大会の参加者数は、少し減る傾向が見られるんですが、スポレク祭は、そんなに減ったり増えたりしていないという、この辺の差は。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 失礼しました。実は青森大会までは、協賛行事の参加者数が入っております。神奈川以降の1人台というのが、ほぼ参加費を払って、小学生以下は無料ですから、きちっと参加登録をして参加された数が、神奈川以降、1万8,000、1万ということの数だと考えていただければと思います。ちょっと、上のほうの数字と根拠が違うというところは、大変失礼いたしました。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 比べられるのかわからないのですが、国民体育大会が、2巡目の、いろいろな壁に当たったりするのですが、レクリエーション大会というのは、そういうことで減っているものではないんですか。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 2巡目という理由ではないと思います。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚)】  

 すべて、参加者は参加費を払い、交通費も自腹で来られていますので。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 そういう意味では、ニーズがしっかりある……。それから4ページ目のご提案の中で、あそびの城事業というのがあるんですが、これを具体的に教えていただきたいのですが。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 これは平成16年度からスタートした、文科省さんの子供の居場所づくり推進事業を、私ども委託を受けて、3年間ほど進めさせていただきました。子供の居場所というのを、日本レクリエーション協会で「あそびの城」という名称で、全国で展開しており、平成19年以降は独自で、それぞれ継続し、地区数は減りましたが、21年度も83カ所ほど、継続して実施しているということです。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 具体的にはどういう場所に設定されているんですか。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 これは学校の空き教室とか、公民館のような地域の公共の施設、それからあとは児童館なんかをお借りしたり、というように、ある時間だけ、そこでやっている事業です。やはり学校が多いですが、お借りして、2時間、あるいは3時間、指導者が行って、そこで、来られた子供たちと一緒に遊んだり、あるいは勉強を教えたり、そういうさまざまな活動を、そこで展開しているということです。

【鈴木副大臣】  

 総合型地域スポーツクラブのご支援をやっておられますよね。それとご提案の中で、クラブマネジャー企画力アップ研修会というご提案が非常に魅力的なのですが、私たちも総合型スポーツクラブを充実していきたいと、その中で皆さん方の支援力に期待をしています。また、11万人の指導者が既にいらっしゃるということも、非常にポテンシャルだと思うのですが、いわゆる地域の体協とレクリエーション協会と、どういう形で、これは補完的にということだと思うのですが、総合型地域スポーツクラブ、数はかなりできましたが、まだまだ、中身を相当充実させていく必要はあると思っているのですが、そのあたりでのお考えがあれば、教えていただきたいのですが。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 例えば、何々市のレクリエーション協会が旗を振って、地域住民の方、PTAとか体協さん、あるいは行政の方を集めて、クラブをつくりましょうよと言って立ち上げたところもございます。そういうケースもありますし、逆に、体協さんで設置したところに、一メンバーとして、いろいろな技術を持っている方もいらっしゃいますので、そこにかかわって、一緒に立ち上げたという方もいらっしゃいます。さまざまなケースが、地域ごとの特性によってあるかと思いますが、私どもは、特にこれでなければいけないということではなくて、まずはやはり、いろいろな、地域住民が主体的にそこにかかわるということが大変重要でしょうから、そこに住んでいる方の中で、私どもは、レクリエーションの知識・技能を持っている方にも呼びかけて、そういうクラブのメンバーとして一緒にやりましょうという呼びかけをずっとしてきました。なかなか数にはなりませんが、ただ、私どもがかかわった総合型のクラブ、立ち上げのクラブとかはこの数ですが、おそらく、体協さんとか地域行政のほうで立ち上げた中に、レクリエーションの関係者の中で多数、かかわっている方はいらっしゃるかなと思います。いろいろな形があっていいと思います。

【鈴木副大臣】  

 クラブマネジャーというのはどういう人が向いていますか。もちろんこうした様々な研修会もやるのでしょうが。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚)】  

 何といっても、地域住民のニーズ、魅力的なプログラムを提供できる企画力かと思いますし、あわせて、指導者の多様な要望等を取りまとめながら、うまくコーディネートしていく人材という、その両輪が非常に重要かなというふうには考えておりますが、私ども、レクリエーション・コーディネーターという指導者資格の養成をずっとやっておりまして、まさに、コーディネートが中核であるということで、カリキュラム等も整備して、展開してきておるのですが、もちろん、資格を持っている方がすべてその力を持っているかどうかは別の議論となる面もありますが……。

【鈴木副大臣】  

 そういう方というのは、大体どういうことをされているんですか。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚)】  

 コーディネーターの方ですか。

【鈴木副大臣】  

 あるいは、そういう取りまとめ役をされている方というのは。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚)】  

 そうですね、実はコーディネーターという名前で、レクリエーションの、いわゆるコミュニケーションゲーム的な実技をやっている方も結構いらっしゃいますし、実際に、市町村のレクリエーション協会の役員、世話役的なもので、まさにコーディネーターとして活動している方もいらっしゃいますし、今、お手元にとっていただいたチャレンジ・ザ・ゲームという、個別の、これは日本レクリエーション協会が独自に展開している種目に近いものですが、それらを地域で展開する。実際に記録会等々を、全国、いつでも、どこでも記録に挑戦するということなのですが、それらをコーディネートして、実施してというような活動をなさっている方もいらっしゃいます。必ずしも一色ではないので、わかりにくい面はあるかと思いますが。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 やはり、これからのクラブは、そこにおいて、クラブ独自の事業を打っていかなければという意味では、今挙げさせていただいた事業の企画というものを、しっかりできる方が、そういう能力がある方が、やはり必要かなと思います。簡単に言っても、これは非常に難しいことなのですが、マーケティングから何から含めてということになるかと思いますが、企画力というのが、これからはかなり要求されてくるのかなと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 関連して、次に体育指導員連合会の方にお話を伺うのですが、体育指導員の方とレクリエーションの関係の指導者というのは、あまり重なっていないのが実態なのでしょうか。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 いえ、体育指導員になっている方で、レクリエーションの資格をお持ちの方もかなりいらっしゃいます。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 重なりはあるんですね。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 はい、重なりはあります。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚)】  

 レクリエーション・コーディネーターで活動されている方が、体育指導員として、地域でもう、何年も……。

【財団法人日本レクリエーション協会(浅野)】  

 推薦されたりということですね。

【財団法人日本レクリエーション協会(河原塚)】  

 何十年もという方も、多数いらっしゃいます。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 ありがとうございました。そろそろお時間ですので、すみません、短い時間で申し訳ありません。

 

( 団体入替 )

 

【鈴木副大臣】  

 今日はどうもありがとうございます。それでは、全国体育指導委員連合から、お話を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【社団法人全国体育指導委員連合(園山専務理事)】  

 初めに、今日はこのようなヒアリングの場を与えていただきまして、まことにありがとうございました。お手元に資料をお配りしておりますので、これに基づきましてお話しさせていただきます。
 国民の間には認知度の低い、なかなか知られていない体育指導委員でありますが、全国で5万数千名が市町村から任命されております。鈴木副大臣ご出身の区でも、33名の体育指導委員が委嘱されていると思います。
 この体育指導委員制度は、お手許の資料にまとめておりますように、昭和32年からスタートしております。おそらく、さかのぼれば昭和28年に独立後のわが国のスポーツ振興等についての保健体育審議会の答申が出されましたが、その当時すでにスポーツ指導者をきちっと養成すべきという提案がありますので、体育指導委員制度の萌芽はそれぐらいまでさかのぼれるのではないかと思っております。60年近い歴史のある制度でございます。
 この体育指導委員も最近いろいろな意味で役割等が変わってきております。資料にまとめているとおりですが、当初の、スポーツの実技指導や指導・助言といったことから、今では行政と住民とのつなぎ役つまりコーディネーター役といったものに変遷しているというのが特徴ではないかと思っております。
 それから地方分権化の動きの中で、実は、最近大幅に体育指導委員の数が減ってきております。これを我々は非常に心配しております。地域住民の身近で住民に密着してスポーツの指導や助言などに当たる体育指導委員の数が減るということは、非常に由々しきことであり、現に、法律改正によりこの制度が変更されましてから、全国1,727の市町村の中で、7市町村が全く体育指導委員を任命していないといった状況も出てきております。スポーツ振興法の規定が変わったことで、如実にそういったことであらわれておりますので、ぜひとも、そういったことを改善していただきたいという思いを強く持っております。
 それから、国のスポーツ振興基本計画と体育指導委員につきましては、2枚目にまとめさせていただいておりますが、国の主要なスポーツ振興政策であります総合型地域スポーツクラブの育成や子供の体力向上に私どもは貢献させていただいております。私どもは、月刊の機関紙「みんなのスポーツ」を発刊しておりますが、この機関誌でも総合型地域スポーツクラブの特集をしばしば組んでおります。総合型地域スポーツクラブの特集だけでも私の手元にありますように相当の分量になっております。私どもといたしまして、全国的な事業の展開に積極的に取り組んでいるという現実がございます。
 それから、子供の体力向上策につきましても、昨年と一昨年、文部科学省から子供の体力検定に関する事業を受託いたしまして、子供の体力向上のためのハンドブックを作成したり、全国の市町村でモデル的に展開した体力検定事業を取りまとめた報告書を作成したりしております。この事業を通じて国のスポーツ振興基本計画に具体的に貢献するということに、全国体育指導委員連合として努力をさせていただいたところでもございます。
 資料2枚目の(3)の項目は、なかなか難しい問題でありますが、競技スポーツと体育指導委員についてまとめております。地域では、子供から年寄りまでを対象にしたスポーツ指導に体育指導員が当たっておりますが、体育指導委員の中には当然スポーツ技能に優れた者も含まれているわけです。日常的にジュニア競技者層の子供たちに接している体育指導委員が、今後、地域レベルで競技力の向上ということにも貢献できるといったことが可能ではないかと考えております。
 次の項目では、体育指導委員の資質能力の向上の必要性についてまとめております。
 スポーツ振興基本計画で体育指導委員の資質能力に関する指摘をいただきましたが、私どもの方でも、資質能力を高めるためのいろいろな手立てを講じております。持参いたしました書籍や冊子などもその一つでございます。事務局にお渡ししておきますので、もし、興味がおありでしたら、ごらんいただきたいと思っております。
 資料3枚目にまいります。今、文部科学省においてスポーツ立国戦略の策定ということに鋭意取り組んでいただいておりますが、私どもといたしましても、国家レベルでぜひとも強力に推進していただきたいといった気持ちでおります。
 スポーツ立国戦略は、生涯スポーツ社会の実現、国際競技力の向上、あるいはスポーツを通じた国民生活の質的向上を図るうえで絶対に必要なものと思っております。加えて、スポーツ庁の創設等もお考えいただければ、非常に幸いだと思います。
 最後になりますが、スポーツ振興法に代わってスポーツ基本法を制定されるのでしたら、冒頭でも申し上げましたように、体育指導委員制度を堅持していただき、市町村において体育指導委員が任命されないというような状況が出現しないように是非ともしていただきたいと私どもは望んでおります。以上で私からのお話とさせていただきます。

【尾﨑大臣官房審議官】  

 それでは、意見交換をさせていただきたいと思います。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 最初に、2の(1)のところで、総合型スポーツクラブにかかわっていらっしゃる体育指導委員が約半数というのは、5万人あまりの方のうち、2万5,000人の方がスポーツクラブが活動の場になっているというイメージなのでしょうか。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 最近、総合型地域スポーツクラブの創設や実際の運営に携わっている体育指導委員が増えております。文部科学省の最新の調査では36%という数値ですが、私どもの調査では半数がかかわっているという結果が出ております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 主たる活動の場が、スポーツクラブになっているというとらえ方でよろしいのでしょうか。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 体指の本来の任務は、地域のスポーツ振興ということですから、子供から大人まで非常に幅広い年代を対象に、いろいろな活動を展開しております。また、体育指導委員は市町村から任命された非常勤公務員でありますので、当然のことですが、国、県、市町村のスポーツ行政施策に貢献しないといけませんから、総合型地域スポーツクラブにも深くかかわっているということです。それが中心ということではございません。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 あと、2の(3)のところで、ジュニア競技者の発掘で競技力向上につなげる役割も、現実に相当果たしていただいているということについてですが。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 私どもの機関誌の中に事例を取り上げておりますが、まだ、このあたりの取り組みが弱いものですから、今後、私どもでも一層目を向けて取り組んでいくべき分野であろうと思っております。具体的な事例として足利の取組みなどを見ることができますが、私どもの組織的な取り組みとしては決して十分ではありません。これからの大きな課題だと思っております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 それから、スポーツ基本法の制定の関係で、今、体育指導員についての規定が、引き続きというお話と、一番最後に、適任者を委嘱できる選任システムづくりの検討ということが書いてあるのですか、これは具体的にはどういうことでしょうか。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 これはちょっと言葉が足りなかったのですが、体育指導委員を委嘱する場合に、市町村によっては、自治会などでの持ち回りとか、私のあとはあなたがやりなさいとか、そういった現実があるようです。資料にもまとめておりますように、社会的信望があり、スポーツに対する関心と理解を有し、スポーツの実技指導やスポーツに関する指導・助言を行うのに熱意と能力を持つ者が、必ずしも体育指導委員に選ばれていない事例も見受けられます。それは、行政つまり市町村の責任なのですが、体育指導委員にふさわしい方をきちんと選任できるようなシステムができれば、体育指導委員の活動がもっとすばらしいものになり、国民の目に見える体育指導委員になるのではないかと思っております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 市町村のレベルのスポーツ行政だと、首長部局に移されたり、教育委員会だって、そんなにスタッフはいらっしゃらないのが現実だと思うのですが、そういう面で、体育指導委員の方が中核となって動いていらっしゃるというのが実態ですか。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 多くの者がそうでありたいと願いたいのですが、結構、体育指導委員の活動も二極化の傾向がみられるようです。地域で非常に積極的に活動している方と、任命は受けているが、活動の姿が見えてこないという方がいるということは耳に届いております。スポーツ振興基本計画の指摘を甘んじて受けざるを得ないような状況もございますが、私は、ほとんどの体育指導委員は、熱意をもって一生懸命やってくれていると信頼しております。

【鈴木副大臣】  

 これから、総合型スポーツクラブをどうやって充実していくかということになるのですが、その中で体育指導委員の役割は大きいと思うのです。最後にも書いてありますが、スポーツの指導については大丈夫なのですが、ここにもあるように、コーディネーターとか、あるいはクラブマネジメントとか、こういうこともあわせてやっていただきたいという、あるいはそういう存在になるのであれば、体育指導委員というもの、場合によれば、それをあわせて持つと、名前も新しいものを考え得るのかも、それは発展的な意味でということだと思うのですが、そこは何かお考えというか、せっかく、コーディネーター役も求められておりますというご指摘は、我々の期待に全く沿うものなのですが。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 体育指導委員の活動に関する文部科学省の全国調査では、コーディネーター役としての機能を果たしている体育指導委員は30%程度となっております。この比率をまだまだ高めていく努力が我々には求められていると認識いたしております。

 そのため、私は、体育指導委員がコーディネーター役の任務は何なのかということが具体的に理解できるように、研修の機会を一層充実したり、啓蒙のための資料を作成するなどしていかなければならないと思っております。例えば、日本体育協会の公認スポーツ指導員養成カリキュラムのようなものを、我が体育指導委員連合も策定し、法律で定められている任務にふさわしい活動を展開していくことができるようにすることも検討する必要があるのではないかと考えています。只今、鈴木副大臣がおっしゃったようなことが実現できるよう、体育指導委員の資質能力を高めていくことのできるように我々のこれからの取組みのレベルを高めていかないといけないと、そういうふうに感じました。今後の全国体育指導委員連合の大きな課題にしていきたいと思っております。

【鈴木副大臣】  

 わかりました。短時間で恐縮でございますが、今後ともよろしくお願いいたします。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 とんでもございません。どうも貴重な時間をありがとうございました。
 高井政務官は、体育指導委員のことをご存じでしたでしょうか。

【高井大臣政務官】  

 存じております。

【社団法人全国体育指導委員連合】  

 大変失礼いたしました。高井政務官ご出身の三好市でも45名の体育指導委員が活動しておりますので、ご指導よろしくお願いいたします。

【鈴木副大臣】  

 どうもありがとうございました。

 

( 団体入替 )

 

【財団法人日本武道館(三藤事務局長)】  

 日本武道館の三藤です。今日はありがとうございます。

【鈴木副大臣】  

 どうも、先日はありがとうございました。

【財団法人日本武道館】  

 こちらこそ、ありがとうございました。

【鈴木副大臣】  

 お待たせをいたしまして、申し訳ありません。

【財団法人日本武道館】  

 ありがとうございます。最後でありますので、楽しくやりたいと思います。

【鈴木副大臣】  

 今日は本当に、お忙しいところ、ありがとうございました。

【財団法人日本武道館】  

 こちらこそ、ありがとうございます。

【鈴木副大臣】  

 では、発表を、よろしくお願い申し上げます。

【財団法人日本武道館】  

 わかりました。
 財団法人日本武道館は、武道によるたくましい青少年の育成を目的に事業運営を行っている公益法人であります。この夢は、だれのためのものか、より多くの国民のためであってほしいと、こういう願いを込めて、武道の総合的な振興・普及をということで、以下、武道の特性、それから国内外の武道の活動状況、まとめと、こういう順で説明してまいりたいと思います。
 最初に、武道は日本の歴史にはぐくまれた伝統的な運動文化であります。武道には相手があるということでありまして、殺傷性のある技法を特徴としております。よって、お互いが、「礼」の精神で自分をコントロールするということを技の中で身につけていかないと成立しない。それを指導するのは指導者の責務でありまして、指導者の質量が武道の質量を決めると、こういうことでありまして、指導力のある指導者、自分の力以上のことは指導できませんので、指導者の充実、養成が大事だと、こういうことであります。
 それから2番目、武道は道場を必要とするということで、柔道場、剣道場、弓道場、相撲場、それぞれ特性があって、違っているということであります。また、道場は「結界」と言われまして、神聖な場所でありまして、場の空気による教育力が求められるわけでありまして、これは、いろいろな各種の調査にもありますとおり、体育館での中学校あるいは高等学校の武道の授業より、道場のほうが事故率が少ないと。これはもちろん正式な畳の設置とかもありますが、道場の持つ場の教育力と、こういうこともある。それから現在は、携帯とかメールとか、社会も個人も孤立化が進んでおりまして、人間の関係性というものが、だんだんなくなりつつありまして、そういう面においても、この道場で、一堂に会して修行するという道場は非常に大事であります。
 「西洋には教会がある、日本には道場がある」。これは新渡戸稲造先生が、『武士道』でもこういうことを言っておられますが、道場は、単なる技の修練ではない、人間を磨く場であるということでありまして、現在、NHKで「龍馬伝」をやっておりますが、明治維新以降の日本の基礎を築いた人たちも、道場での修行をもって、近代国家の建設に尽力をしたと、こういう歴史があるということでありまして、武道場の設置は必要であるということを主張したいと思います。
 3、武道は用具を必要とする。柔道着、剣道防具、弓・矢、まわし、これはそれぞれ、技法に絡んで、日本の文化そのものとして存在をしております。例えば柔道着は、相手を崩して、見事な背負い投げをかけるときに、あの柔道着であればこそ、立派な技が成立すると。また、まわしも、土俵際のうっちゃりは、まわしがあればこそかなう技でありまして、武道の用具は日本の文化そのものでありまして、ぜひ、これの整備もお願いしたいと考えるところであります。
 4、世界に5,000万人を越す武道の愛好者がおりまして、「JAPAN ORIGINの武道」は、世界をつなぐネットワークであります。「武道」も「サムライ」も「柔道」も、世界が認める共通語でありまして、武道は日本の評価を高めておるということで、これを奨励していただきたい。
 最後に、武道の総合的な普及振興を図り、国民皆武道をということでありまして、国内には300万人、また、武道は知恵の宝庫でありまして、人生に応用がききます。富士山はすそ野が広いから、高くて美しいと、底辺が大事であります。
 時間がありませんので、最後、結びであります。武道は人間を強くする。それから日本のスポーツはすべて「道」から始まると。例えば、野球場に入るときに礼をする。これは武道の「礼」の精神のあらわれであろうと考えるところであります。トップアスリートの養成も大事でありますが、国民皆武道こそが、日本再生の道であると、武道の総合的な振興普及を図り、国民に元気を、青少年に活力をということで、よろしくお願いをしたいと思います。
 以上で、説明を終わります。

【鈴木副大臣】  

 ありがとうございました。
 今、武道の必修化をきちっと、着々とやっていくということが、武道振興政策としては柱になるわけですが、今後、私たちがスポーツ政策、武道はスポーツかという議論はありますが、武道振興施策をやる上で、指導者は大事だということはわかりましたが、国の施策として、そうしたものの良さをきちっと確保していくということはもとよりですが、特に我々が留意しておくことがあれば、教えていただければと思います。

【財団法人日本武道館】  

 中学校の必修化に関して言いますと、文部科学省さんでいろいろと、施策と予算を計上いただいて、やっておられますが、各都道府県、あるいは市区町村、学校現場、そういうところの連絡調整といいますか、その辺のお互いの協力のネットワーク、これはすべてに言えると思うのですが、協力をしないと力が発揮できませんので、そういった意味のネットワークの構築、これを、スポーツ基本法ということでやる場合は、どういう形で、お互いの協力を、より強化するかと、この辺についていろいろと、ご配慮をいただければありがたいと思います。我々のほうには協力をする用意があります。

【鈴木副大臣】  

 指導者のところで、実は僕、柔道と剣道と弓道とやったことがあるんですが、柔道は学校の必修で、私立の学校でした。剣道は警察署の道場でやって、弓道は神社の。

【財団法人日本武道館】  

 そうですね。

【鈴木副大臣】  

 おそらく、指導者というのは必ずしも学校にだけいるわけではなくて、警察署とか、神社の関係者とか、いろいろなところにいらっしゃるんだと思うのです。あるいは柔道なんかは、独自の道場などもあるでしょうが、よりよい指導者を求めるということになってくると、学校以外の人たちにもかなり応援をしていただくというか、手伝っていただくということが必要なのではないかなと。その上での、何か障害なり、あるいはさらなる促進策、支援策、調整というのはございますでしょうか。

【財団法人日本武道館】  

 外部指導者は、ぜひ、お願いをしたいと思います。といいますのは、武道は2人でやりますので、1人だけでは技の示範ができないのです。2人でやる。そうすると、例えば投げ技でも、上手に投げる、しっかり受け身をとってくれる相手がいて、つまり相手があって初めて立つんです。剣道もそうです、2人がいて、こっちが打つと、だけど、こっちはただ打たれるんではないわけです。引き立てて、示範をして打つと。だから二人一組の指導が理想でありますので、ぜひ、学校現場の先生方とともに、1名、この道に通じた、教育力のある外部指導者を配置できるように、いろいろと尽力をいただければ、それの協力は可能だと思います。立派な指導者が外部にたくさんいると、そう確信をしております。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今、副大臣から申し上げたとおり、中学校の武道の必修化については、各武道競技団体で、非常に積極的にご協力をいただいておりまして、ありがとうございます。そういう、日本人の子供にしっかりと武道の体験を積んだ上の話になるのですが、例えば外国の方々にも、やはり日本の武道にしっかり触れていただくと、例えば武道館で、10日間なり1カ月、ずっと、外国の方が来て、体験的に、日本の武道にしっかり浸れると、そういう場を、例えば観光の1つの手立てとして考えるというのは、武道に対して失礼に当たるような話になるのでしょうか。

【財団法人日本武道館】  

 いえ、武道は心が広いです。ウエルカムです。その場合も可能だと思います。いろいろなケースがあると思いますが、ジャパンオリジンというようなことで、武道だけでなしに、ほかの何か、生け花とか、お茶とかも、やれるかどうかはわかりませんが、もし、そういう要請がありましたら、真剣に検討して、ほかの日本の、ここは運動の世界でありますが、文化の共有できるような場を設けてやれば、これは大きな成果といいますか、日本を体験できるということで。ただ、たくさん来過ぎると、日本武道館は催し物の収益で運営をしていまして、あれは、世を忍ぶ仮の姿でありまして、本来は武道の振興が創建の精神でありますが、協力は大丈夫だと思います。ぜひ、そのときはまた相談をいただきたいと思います。

【高井大臣政務官】  

 私のほうから一つ。私は、道は道でも、茶道と華道と書道しかやったことがないのですが、多分、共通はしているのではないかと思います。それで、必修化されるに当たり、最近、子供たちの中でも、本当にスポーツ格差といいますか、体を全く動かさない子供と、常に動かしている子供と、差があると思うのですが、子供たちの状況によって、けがなど、体力の差によって、すごくいろいろな心配も考えられるのではないかと思います。良い指導者をまさに育てていただいておりますが、一緒に協力もしていきたいと思いますし、そうした面でいろいろ懸念があれば、教えていただければと思うのですが。

【財団法人日本武道館】  

 今、各武道団体と一緒に、中学校の必修化に向けた研究事業をやっています。大体、1年間10時間ぐらいで、どういう指導をしたらいいのか、それで、例えばサッカーであれば、ボールをけるということで、すぐに楽しさがわかるのですが、武道は非常に仕込みが長いんです。例えば受け身をしっかりできないと、次にいけないと、危険の防止もあるわけです。ですから、短い時間でどのように指導したらいいかということで、いろいろ、導入の動機づけ、楽しい導入から始まって、最後、見事なゴールにいけるようにということでやるわけですが、特に事故については配慮しながら、ここは、今までのいろいろな長い歴史の知恵でやると。こういうことでありますが、そこもやはり、いい指導者がいないと、立つこと、あるいは走ることは人間の自然ですが、武道の技はかなり専門的なのです。しかも、間違うとけがの危険性がありますので、しっかりそこを立ててやるということで、いろいろ準備をして、臨む必要があると考えます。

【高井大臣政務官】  

 かなり、そのノウハウが蓄積されていらっしゃるのでしょうか。

【財団法人日本武道館】  

 それは大丈夫だと思っています。

【高井大臣政務官】  

 ありがとうございます。そろそろお時間が来ましたが、どうですか。

【布村スポーツ・青少年局長】  

 今回、ヒアリングの際に、スポーツ基本法に何か位置づける必要があるのかとか、スポーツ振興基本計画で、ある程度目標を立てて、施策を展開すると、そういう観点から、武道については何かお考えはありましょうか。

【財団法人日本武道館】  

 日本武道館も、日本武道協議会も、武道が日本のすべての身体活動、スポーツの根源にあると、こういう考えでいるわけでして、歴史的にはそのようだと理解しておりますが、ぜひ、武道の普及振興を、このスポーツ基本法の中に、どういう形であろうとも、盛り込んでいただいて、特に青少年ですね。これはもう、子供たちが弱っていますので、人間が元気になりますし、正気になります。相手があるということは、もちろん自分を発見することでもあるし、相手との関係もしっかり打ち立てるということで、非常に教育効果が大きいと思いますので、ぜひ、その中でしかるべき位置づけをいただけたらと、そう希望するところであります。

【高井大臣政務官】  

 はい。では、副大臣、よろしいですか。

【鈴木副大臣】  

 はい。

【高井大臣政務官】  

 ありがとうございました。では、そろそろ、ちょうどお時間もまいりましたので。

【財団法人日本武道館】  

 ありがとうございました。どうぞ、よろしくお願いいたします。

【鈴木副大臣】  

 どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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-- 登録:平成22年07月 --